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日商簿記はすごい資格なのか?

日商簿記2級は意味のない資格?やめとけという意見が多い理由とは

簿記とは会社が日常的に行う経済活動を帳簿に記録し報告書にまとめていくためのルールのことをいいます。
経理業務に必要な知識をはじめ、財務諸表を読み解く力、企業の財務状況を理解する力が身につきますので、現代のビジネスパーソンにも必要不可欠なスキルです。

しかし、メディアやブログなどで「日商簿記2級は取得しても意味がない」「日商簿記2級はやめとけ」という意見を目にしたことがありませんか?

日商簿記2級は人気のある資格のため、経理関連の資格として知名度はダントツに高いことはもちろん、毎回10万人前後もの人が受験するほど受験者が多いのです。しかし、比例して資格保有者も多いため、希少性が高い資格というわけではありません。

しかし、誰でも簡単に取得できるというわけではなく、難易度も高く試験に合格するためには多くの勉強時間が必要です。

特に簿記の知識が発揮される業界は会計業界です。一般企業の経理はもちろん、会計事務所、税理士事務所や税理士法人などでも簿記2級の知識は必須と言えます。

また、日商簿記2級を取得することで日商簿記1級や税理士、公認会計士などの上位資格を目指す入り口となり、簿記2級合格のために勉強したことが基礎となっていくのです。

では、なぜ「日商簿記2級は意味がない」「日商簿記2級はやめとけ」という意見がメディアやブログなどに散見しているのでしょうか?

この記事では、意味がないと言われる理由や日商簿記2級を取得することの価値やメリットを徹底解説します。

本当に意味がない資格なのか解説しますので、日商簿記2級を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

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そもそも簿記検定とはどんな資格?

簿記検定とは、簿記の知識や計算能力を判定するための検定試験です。簿記の知識を得ることで会社の経理の方法や決算書などの財務諸表の見方などの財務会計リテラシーを身に着けることができます。

そもそも簿記とは「お金や財産に関する取引を帳簿に記録すること」で、企業を運営していく上で、必ず発生するお金の動きを記録するための手法のことをいいます。

財務会計リテラシーは経理だけではなく、経営や営業部での収益ロジックを立てるうえでも必要であり、社会人として、ビジネスマンとして必須スキルと言っても過言ではありません。

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日商簿記検定試験の概要

簿記検定と一言で言っても、日商簿記、全商簿記、全経簿記など、主催者と難易度の異なる検定試験があり、その中でも日商簿記は抜群の知名度を誇ります。

日商簿記試験は初級から始まり3級、2級、1級と難易度が上がっていきます。日商簿記1級は大学の経済学部卒に相当する知識レベルとみなされており、税理士試験の受験資格を得ることができる公共性の高い資格になっています。

年間で約60万人が受験する資格として社会的に高い信頼と評価を得ています。

会計事務所や経理の求人情報には日商簿記2級を応募条件としているところも多く、必要な会計知識を持っているかどうか判断するための指針となっているような資格です。

日商簿記3級、2級の試験は1年に3回、日商簿記1級は1年に2回が行われます。

2020年の12月より簿記2級、3級についてはネット試験がスタートしました。簿記2級、3級のネット試験とは、指定された試験会場でパソコンを使用し、インターネット上で簿記試験が受けられるシステムです。自宅のパソコンなどから受験することができるわけではありません。また、統一試験とネット試験の難易度や出題範囲は変わりませんので、試験対策も変わりがありません。

受験料は日商簿記3級が2,850円(税込)、日商簿記2級が4,720円(税込)、日商簿記1級が7,850円(税込)となっています。そのほかにも書籍代などが必要となりますので、注意しましょう。

参考:商工会議所「商工会議所検定試験 簿記」

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日商簿記2級の難易度と合格率

日商簿記2級の難易度は3級に比べてぐんと高くなり難しさのレベルが違います。難易度の高さから「3級は合格したけど2級で挫折した」と言う人も多くいます。

簿記2級検定の試験範囲では、一般企業の簿記の知識が試される「商業簿記」に加え、製造業などの工場経営に必要な「工業簿記」の検定も行われます。工業簿記では、製品を製造するために必要な材料や人件費などの原価計算や損益分岐点の計算など、商業簿記とは違った勉強をしなければなりません。

日商簿記2級の配点は、商業簿記が60点、工業簿記が40点になっており、全体で70点以上が合格ラインです。直近の164回の合格率は21%、過去5回の合格率平均は22%となっていますが、10%以下の実施回もあれば30%の実施回もあり、問題の難易度で合格率に開きがあります。

特に日商簿記2級の鬼門とも言える「連結会計」は難解でほとんどの学習者が苦労する分野です。配点が部分であるため、連結会計を避けて合格を目指そうとするのは難しいです。

意外と合格率が低いと思われた方も多いと思いますが、決して簡単に合格できるような資格ではなく、しっかりと勉強をして問題の解き方を理解しないと合格することは難しいでしょう。しかし、予備校や通信講座を受けなくても、独学で目指せる資格でもありますので、計画的に学習を進めることで合格できる可能性が高まります。

日商簿記2級受験者データ

受験者数 実受験者数 合格者数 合格率
164(2023.6.11) 10,618 8,454 1,788 21.10%
163(2023.2.26) 15,103 12,033 2,983 24.80%
162(2022.11.20) 19,141 15,570 3,257 20.90%
161(2022.6.12) 16,856 13,118 3,524 26.90%
160(2022.2.27) 21,974 17,448 3,057 17.50%
159(2021.11.21) 27,854 22,626 6,932 30.60%
158(2021.6.13) 28,572 22,711 5,440 24.00%
157(2021.2.28) 45,173 35,898 3,091 8.60%
156(2020.11.15) 51,727 39,830 7,255 18.20%

参照:日本商工会議所「受験者データ」

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日商簿記2級に意味がないと言われる要因とは

日商簿記2級が意味がないと言われる原因は?

日商簿記2級は簡単に取得できる資格ではありませんが「日商簿記2級は意味がない」と言われることがあります。

その要因、理由として次の点が考えられます。

受験者数、合格者数が多い

日商簿記2級の過去5回の平均受験者数は約35,000人、平均合格者数は約5,100人にのぼります。検定は年に3回行われているため、受験者数、合格者数ともにかなりの人数です。合格者数が多いため、就職や転職で他の求職者との差別化が難しいと思われています。

有名な資格で簡単だと勘違いされている

日商簿記検定は歴史が長く、知名度が抜群に高い資格です。簿記の勉強を行う商業高校では、在学中に日商簿記2級の受験を行う学校もあり、高校生の間でも知名度が高い資格になります。あまりにも知名度が高いため、日商簿記2級を受験したことのない人からは「有名=簡単」と勘違いされることがあります。

士業のように独立開業は目指せない

日商簿記は、国家資格ではなく民間資格です。そのため、税理士や公認会計士と違い、日商簿記の資格を取得することで独立開業を行うことはできませんし、資格を持っているからと言って何か特別な手続きができるわけでもありません。

公認会計士や税理士といった士業と言われる国家資格では、独占業務という資格を取得していないとできない業務があります。他の資格を持っていても行うことができないので独占業務といわれるのですが、簿記資格ではそのような業務がないため、独立開業をしても直接的にメリットがないのです。

実務を経験すれば得られる知識だから不要

簿記の勉強では、経理や経営に役立てる知識を学ぶことができます。違う見方をすれば、実務経験することで簿記に関する知識を得ることができると考える人もいます。しかし、実務はあくまでも簿記の応用であり、簿記の原則や基礎を理解せずに実務を行うことは非効率的ではないでしょうか。

基礎を理解していることは非常に重要です。基礎があるからこそ、応用することができるからです。実務を経験して知識を得るということは応用から入っているということになりますので、正確な知識を身につけているのかどうか判断できません。

一方で例えば会計業界での転職時の履歴書・経歴書が書類選考で評価されるのは資格よりも実務経験が高く評価されることは覚えておくといいでしょう。

専門家に任せられるので知識は不要と思われている

税理士や会計士は簿記を熟知している専門家です。中小企業であれば、税理士と顧問契約をして会社の帳簿を見てもらうことができるため、簿記の知識が必要ないと思われる人もいます。しかし、簿記の知識がなければ、税理士に見てもらう帳簿自体を作ることができません。簿記は会社の経営にとって大事なスキルの1つです。

経理職の従業員であっても、簿記知識があることで勤め先の決算書を読み解くことができ、業績について正しく把握することができるようになります。また、営業職であっても取引先の経営状況を把握することができますので経営者や経理職でなくても多いに役立つのです。

将来AIの進化によって代替される仕事だから

簿記の主な目的は、会社の日々の帳簿を作成し、決算期ごとに財務諸表を作成することです。

最近では技術の発達により、銀行口座の明細を自動で取込み帳簿を作成してくれるシステムなど、簿記の知識がなくても財務諸表を作成することができるようになってきています。

将来的にはAIのさらなる進化により、税理士や会計士の仕事はAIに代替されてしまい、なくなる職業だというレポートが発表されました。
AIによって自動で仕分けをしてくれて人の手を介さず帳簿を作成することができるようになる日が必ず来るでしょう。

しかし、AIにより帳簿作成が楽にできるようになっても、財務諸表を取り扱う経営者の判断や分析しコンサルテーションなどの業務はAIが不得意とすることであり、将来的にもなくなることはないでしょう。

例えば、仕訳を例としても、企業の仕訳はそれぞれ違いがありますので、イレギュラーな処理などをする場合、AIでは判断することが難しく、人の手を必要とするでしょう。

また、AIの進化によって会計事務所の仕事がなくなるのかについて、更に詳しく知りたい場合は「AIの進化で無くなる仕事TOP100に含まれた会計業務は将来とは?」の記事をご覧ください。

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実際には取得のメリットが多い

先に説明した理由により「日商簿記2級は意味がない」と思われている人もいますが、実際には取得するメリットはたくさんあります。

経理の実務に活かせる

簿記を勉強は経理の実務に活かすことができます。特に2級では本支店会計や連結会計、税効果会計など実務でも難易度の高い範囲が出題範囲となっており、勉強することで実務をより深く理解することが可能になります。

簿記1級レベルの知識が必要になるのは上場企業などの大規模な企業や各国に拠点を持つグローバル企業だったりしますので、一般的な企業であれば簿記2級を持っていれば経理業務に役立つことは間違いありません。企業によっては簿記2級を取得していることが書類選考を通す判断基準の1つとしているケースもあるほどです。

就職や転職に有利になる

日商簿記2級を取得すると就職や転職に有利になります。企業の経理部門や税理士事務所などでは勉強した知識を業務にダイレクトに活かすことができ、即戦力として活躍することが可能です。また、経理関係の職種でなくとも、取引先の決算書を分析したりすることができるため、通常のビジネスパーソンや営業職にも役に立ちます。

もちろん、採用担当者も同様の考えを持っていることが多く、実務経験が乏しくても日商簿記2級を取得していれば、基礎知識を持っているという証明にもなりますので、会計業界未経験あってもプラスに作用するケースが多いでのです。

また、日商簿記2級が転職で有利になるのかについて、更に詳しく知りたい場合は「日商簿記2級は仕事に活かせる資格か?有利になる就職・転職先とは」の記事をご覧ください。

資格手当で給与が上る可能性もある

企業によっては、日商簿記2級に資格手当を設定している場合もあります。特に簿記の知識が必要になる税理士事務所や企業の経理部門であれば、資格手当で給与が上がる可能性があります。

年収アップのために日商簿記2級を目指す人も多いようですが、単に資格取得のために勉強するのではなく、知識として習得すること、勉強方法の確立などを意識して取り組まれるといいでしょう。

財務諸表の分析ができる

簿記の知識を得ることで、企業の財務分析を行うことができるようになります。「自社の業績はどうなっているのか」「何か問題点はないのか」を分析し、会社の財務体質の強化を図ることが可能です。また、自社のみならず、取引先の財務分析を行うことで「取引先が優良企業なのか」「倒産の危険性はないのか」などを数字で把握することができ、今後の取引に活かすことが可能になります。

上位資格を目指す際の基盤となる知識を得られる

日商簿記2級は、難関資格と言われる税理士や会計士を目指すための登竜門です。税理士を目指す場合は2級を取得し、1級にも合格することで税理士の受験資格を得ることもできます。また、2級を勉強することで上位資格の基盤となる知識を得ることが可能です。

上位資格は数千時間といわれる膨大な勉強時間・期間を費やし、挑まなくてはなりません。正しく基礎を身につけているかどうか、勉強方法が効率的がどうかなど、簿記資格を取得する際に正しく勉強法や会計学の基礎を身につけておけば、上位資格に挑む際にも迷わず勉強を進めることができるでしょう。

ただし、USCPA(米国公認会計士)の資格を取るまえに簿記2級を取得しておくと役にたつという意見と意味がないという意見があります。USCPAと日照簿記2級や1級は目的が異なる試験ですので、そもそも取得の順序や比較すること自体にあまり意味をなさないかと思います。国内一般企業の経理を目指しているのであれば日商簿記を取得すること自体に意味が出てきますが、USCPAを目指すのであればあまり簿記の資格を取得することには意味がないと思います。

日商簿記2級を取得していると活躍できる求人をご紹介!

日商簿記2級を真の役立つ資格とするためには?

日商簿記2級を持っているだけでは多くのメリットを得ることはできません。合格するために勉強した内容を資格取得後に活かしてこそ、真の役立つ資格になるのです。実務で行う取引について「なぜこのような帳簿処理になるのか」を勉強した内容に当てはめることで、より深く理解することが可能になります。

実務では「前任者が行っている処理を当たり前に繰り返して行う」ことがよく行われます。簿記で勉強した知識を持つことで、その処理の本当の意味を理解することができ「もっと効率がいい方法はないのか?」を考えることができます。簿記の勉強を通して実務を深く理解できることが日商簿記2級の本当の利用方法ではないでしょうか。

会計業界未経験でも転職の役に立つ

会計業界未経験でも転職する際に役に立つ

一般企業の経理職や、会計事務所への転職活動や就職活動は知識や経験がなければ簡単にはいかないものです。経理職や会計事務所への転職を目指すのであれば、即戦力になる会計業界経験者が有利になることは間違いありません。

しかし、現在の会計業界は人手不足と言われており、多くの会計事務所は経験者の中途採用がかなり難しくなっている状況です。
人材紹介を活用しても経験者の採用は難しく、新卒や第二新卒にも目を向けていたり、異業種からの未経験転職者へ広く門戸を開いている会計事務所も増えています。

そのため、会計業界未経験であっても、チャンスは増えています。さらには、未経験者であっても日商簿記2級に合格している人であれば、会計の基礎知識を習得している証拠となり、日々の仕事の流れを理解しやすい素養があると人事からみてもらえることもあり、就活や転職で有利になる可能性があります。

まずはしっかりと会計業界の転職市場の動向にアンテナをはり、目指す職種の仕事内容を把握し、どのようなスキルが必要なのかポイントを押さえて効率的に転職活動をすすめましょう。

また、会計業界の求人は正社員だけじゃなく、会計事務所ではパート・アルバイトで活躍している人も多くいらっしゃいます。
未経験であっても日商簿記2級を持っていると、無資格の人と比較してもパート・アルバイトの応募へも有利にはたらくことがあるのを覚えておいてください。

だたし、簿記2級受かったからといって、過信してはいけません。
会計業界未経験の人の場合、簿記2級を取得していることが書類選考を通過する決め手になることはないでしょう。あくまでも会計の基礎知識は持っているという材料としてなるということなのです。

重要なのは、簿記2級を取得したあとのキャリアプランだったり、簿記2級を取得した理由だったり、貴方自身のキャリアパスなのです。
面接まで進むことができれば、これらのことを踏まえ、堂々とアピールしてみてはいかがでしょうか。

日商簿記2級を取得していると活躍できる求人をご紹介!

日商簿記2級は意味がない資格ではない!役立つ資格だから活用しよう!

日商簿記2級は決して「意味のない資格」ではなく、メリットが多く貴方のキャリアの強みとなる資格です。知名度の高さ故に他の資格よりも受験者数や合格者数が多く、簡単な資格として見られがちですが、実務と直結した勉強を行うことができます。簿記の勉強を通し、実務をより深く理解することができ、将来へのステップアップにもつながるのではないでしょうか。

日商簿記2級を取ることはキャリアの始まりであってゴールではありません。実務をより深く理解しキャリアアップを図ることもできますし、日商簿記1級や税理士、会計士と上位資格に挑戦することもできます。日商簿記2級のハードルが高くて理解できない感じられる場合は3級からスタートしてみるのがおすすめです。オンラインスクールや通信講座、イーラーニングなどでも簿記講座は人気がありますので、さまざまな教材などを活用して学習を効率的に進めることも可能です。

簿記2級があれば、一般企業の経理や会計事務所、税理士事務所などの会計業界のみならず、小売やサービス業、コンサル業など多くの業種で役に立ち、経理職や営業職、販売職のスキルアップに役立ちます。日商簿記2級は、「意味がない資格」ではなく、メリットばかりの「意味がある資格」ですので、安心して資格習得を目指してみてはいかがでしょうか。

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