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AIの波は会計事務所にも押し寄せる

AIの波は会計事務所にも押し寄せる。将来的に何が起きるのか?

AIの発達により、10年後に無くなると言われている職業として「税理士」があります。実際に最近の経理業務や税理士業務など、AIの機能を活用している場面は確かにあります。しかし、このAIの活用で本当に税理士事務所がなくなってしまうのでしょうか。
もちろん無くなってしまう事務所もあるかもしれませんが、全てなくなるということはありません。そこで今回は、税理士事務所に押し寄せているAIの波を中心に解説します。

会計事務所の仕事は低価格化が進む

会計事務所の仕事は低価格化が進む
AIの機能が発達すればするほど、今は人の手で行っていることが機械による自動化により人手が必要でなくなることから、低価格化が進みます。具体的に挙げられる仕事としては、記帳代行があります。記帳代行は起業時など経理がいない企業・個人事業主にとってはアウトソーシングしたい業務のため、その需要は無くなることがありません。しかし、税理士事務所としては記帳代行を主な業務とすることはできません。あくまで税務申告や最近増加傾向にある経営コンサルティング業務を行うことで売り上げを確保します。

つまり、記帳代行は簡単な業務なだけのことはあって、あまり収益を生まない業務なのです。そのような業務は、できるだけ人の手がかからない方法を取りたいと思うのが経営者です。自動化できれば、低価格競争になってもAI利用の原価割れさえ起こさなければ利益を生み出すのです。

新しい技術が信頼された時に雇用は削減される

AIが代表できるようになった業務について今まで行っていた従業員は、必要なくなってしまうことになります。今は「記帳代行」という業務だけだったとしても、AIの進化とともにできる業務範囲が広がります。また、人の手と違いAIはミスなく精度の高いものを常に作成し続けることができます。同じ業務を行っても人が変わればその完成度が変わる、といったこともありません。

新しいサービス等は現れた当初こそ信頼性に対して疑いの目を向けられるものですが、その存在が信頼されると一気に日常化が進みます。これがAIに発生すると、たちまち人の手からAIへ任せられる業務は移行されていきます。

専門知識の需要が減る?

例えば税務署への届出や申請業務も、税理士でなければできないといったものは少なくなっています。また、税理士でなくてはできない届出ではないのに「手間だから」といって専門家に依頼しているケースもあります。しかし、そのような手間もAIを利用すれば簡単にできるようになります。
過去には会計ソフトの普及で手書きの伝票がなくなっていったように、自分でできること、専門家に依頼しなくてもよいものについてはどんどん技術に任せる流れとなるでしょう。

また、最近はネットの普及と公開されている情報量の多さから、自分で検索すれば簡単に判断できることも増えてきました。この流れも受けて所在地や事業主など簡単な入力だけで済むような書類は、自動でできるようになってきています。昨今ではe-Taxを誰でも利用できるようスマートフォンアプリが開発されるなど、申請方法自体もだれでも簡単にできるようになってきました。

こういった自己対応のハードルが下げられることで、今まで確定申告を専門家に依頼していた人たちが自分たちで申告するようになるのも時間の問題です。

ここまで迫ってきたAIの日常化

では、会計事務所では実際にどのようなAIの波が押し寄せているのでしょうか。「押し寄せている」というとまだまだ語弊がありますが、現在実際に行っている業務には次のような4つのものがあります。

1.フィンテックの利用
2.勘定科目ごとの自動仕訳
3.紙媒体の領収証データの読み取り
4.決算チェック・監査のクラウド化

では、この4つが現状どのように活用されているのか紹介していきましょう。

1.フィンテックの利用

これは、ネットバンキングを利用していれば銀行口座の利用明細を自動で取り込める機能です。銀行口座の情報だけではなく、最近は郵送も選択制になったクレジットカードの利用明細も自動で読み込みができます。この読み込みについては、1度仕訳の設定をすれば毎月出てくる決まった仕訳を自動で会計ソフトに入力できてしまう機能があります。
これを活用することで会計事務所は記帳代行に投下していた時間を違う業務へ投下でき、企業の経営者は経理担当者がいなくてもワンクリックで会計帳簿を作成できるようになります。もし今ExcelのCSVでの読み込みをしている場合であれば、さらに業務は簡単になります。

2.勘定科目ごとの自動仕訳

これも「1.フィンテックの利用」と関連してきます。例えば、今まで年に1度しか出てこない仕訳で勘定科目の統一が図れていないような場合でも、AIを利用することで毎年同じ科目で管理できるようになります。これは、決算書を見たときに「前年対比」をより精度が高いものとして経営に役立てられるようになります。

3.紙媒体の領収証データの読み取り

名刺をクラウド管理できるように、同じ技術で領収書を読み取って内容から自動で仕訳を作成できるようになっています。領収書の保管がネックになっているような場合であれば、クラウド化することで紙媒体での保存をする必要がなくなり、保管にかかる手間や場所を削減できます。また、「x年x月の領収証がみたい」「消耗品の領収書を確認したい」といった際に、一枚一枚領収書をめくるのではなく検索で簡単に見つけられるようになります。

4.決算チェック・監査のクラウド化

毎年決まっていることであればルール化ができるので、そのルールに従って決算書の整合性をチェックできます。同様に監査も単純に前期比較からの整合性を切り口にできますから、よほどの特記事項がない限り自動でできます。また、クラウド化することで毎月会計事務所から帳簿チェックのために関与先へ出向いていたことが、会計事務所から行うことができるようになり、移動時間の短縮や移動にかかる経費の削減につながります。

そのほか、最近注目されているものに人材採用の書類審査やデータ分析をAIに任せるケース、サービス業であればサポートセンターをAIに任せるケースも増加してします。経験では判断できない部分もAIのデータにより客観的に判断できるので、業種への適正も含め需要が増えてきています。
サポートセンターは問い合わせをチャットに任せ、簡単な操作方法であれば「はい・いいえ」の選択肢を選んでいくことですぐに回答が得られるようになっています。AIでは回答できない複雑な内容は担当者が引き継ぐ形で電話対応を行う必要がありますが、簡単な内容に人手を使う必要が無くなりました。
また、今まで電話での問い合わせでは担当者につながるまで時間がかかっていたものが、AIの活用により「待ち時間にかかるお客様のイライラ」も削減できるようになっています。

AIは学習機能を活用するシステムであるため、一番初めは人の手で教えなければいけません。もちろんその手間はありますが、長い目で見ればコスト削減や違う業務への時間投下などメリットは多く存在します。

AI時代で人の手に残る会計事務所の仕事とは?

AI時代で人の手に残る会計事務所の仕事
AIが対応できる作業は、決まったルールに従ってすすめられる内容のものや単純作業があります。逆を返せば、ルールが煩雑化しているものや事例が少ないもの、単純作業でないものは人の手によって進めなければなりません。

では、どのような内容が人の手に残る会期事務所の仕事なのでしょうか。

人との信頼関係が必要だったり、内容に合わせてサービスを提供する必要があるもの

税務会計顧問や月次決算/記帳代行/給与計算/年末調整/英文会計/社会保険・・・毎月の数字の変動を把握しながら、その状況に応じたアドバイスをしなければなりません。また、判定を必要とするため、結果に応じて臨機応変に対応できるのは人でなければ難しいでしょう。
ただし、記帳代行は一定の法則をAIに覚えさせてしまえばその後は人の手を借りなくてもできる業務なので、人がする業務としては残らない可能性が高いでしょう。同じ理由で給与計算もAIができる業務範囲になります。

相続税申告・・・相続税の計算そのものはAIでも可能です。しかし、それには家庭の内情をオープンにする必要性があり、AIとはいえ信頼関係がなければ知ることは難しいと言えます。場合によっては親族が知らないこともありますので、信頼関係を必要とする相続税の申告業務は人の手が必要です。

経営相談や事業承継/事再生支援・・・経営者の悩みは千差万別です。A社の悩みとB社の悩みが全く同じということは、置かれている状況も含めるとまず考えられません。また、後継者候補がいてもその人が必ず跡を継いでくれるとは限りません。このような事業承継についての相談もAIでは難しいでしょう。

法人決算・申告代行・・・計算そのものや電子申告という作業はAIが行うことになるでしょう。しかし、申告にあたって「決算事前対策」を検討する場合には、経営者と会計士とのやり取りが必要なため、AIには厳しい内容となるでしょう。

交渉が発生するもの

資金調達・・・資金調達のために作成する計画は、AIでも過去の数字や将来の展望により作成できます。しかし、実際に資金を調達しようとすれば金融機関と経営者など借入側との交渉が必須です。交渉(駆け引き)はAIには難しいと言えます。

税務調査・・・調査官との受け答えが必要となり、調査対象のクライアントが不利にならないように回答する必要があります。日々の税務申告はまだしも、調査官が訪問する調査日の対応はAIには困難でしょう。

M&A/事業再生支援・・・デューデリジェンスであれば、単純に数字をもとにAIでも判断できます。実際の「合併・買収」となると、企業同士の交渉が続きます。これをAIで行うことはできません。事業再生支援も、人との関わり合いにより今後の業務内容についての検討や、M&Aも視野に入れなければなりません。この判断はAIには難しいといえます。

人による承認が必須であるもの

会計監査・・・会計士が帳簿を精査し利害関係者に損害を与えないよう監査します。数字に関する信憑性はAIにも判断できますが、会計士の経験により判断する「見えない部分」を見抜く力は人でなければできません。また、会計監査は公認会計士の独占業務でもあるため承認を与えるのは人が必須になります。

補助金/助成金・・・決まっている様式を作成することは人の手よりもAIの方が得意としている分野です。しかし、申請書提出後にアフターフォローが必要な場合には専門家の手が必要になります。

自計化支援・・・人による承認というよりも企業の経理を育てることが目的であるため、人による指導が必要になります。

AIが判断するには事例が少ないもの

株式公開・・・公開会社には証券取引所から厳しい審査を受けることになります。この調査に耐えるだけの経営管理体制を整えるのはAIでは事例が少なく難しいでしょう。

単純作業や計算だけの業務、決まった様式の届出(確定申告の計算・会社設立の届け出書作成・デューデリジェンスの企業価値調査・法人決算及び申告代行・月次決算・記帳代行・給与計算・社会保険・年末調整の計算・英文会計の和訳)は、今後人の手を離れAIが中心となる業務に代わっていく可能性が高いでしょう。

しかし、アフターフォローや指導、相談業務(会計監査・税務会計顧問・相続税申告・会社設立の際の届出以外の業務・株式公開・資金調達・経営相談・M&A・税務調査・補助金助成金・事業承継・事業再生支援)は計算を必要とする部分をAIが担当し、それ以外を人が担当するといった明確な役割分担により残っていく分野です。

このように人と人との関わりが必要な内容は、AIにすべてを任せるといったことはできません。もちろん、給与計算や英文科系、年末調整など人の手で行うには単純作業と言えるものはAIを活用することで格段に効率が上がります。しかし、コミュニケーション能力を求めるものはAIでは対応が難しいため、これから求められるスキルは税務や会計の知識、コンサルティングの知識もさることながら、コミュニケーション能力も必要となるでしょう。

今の自分の手元にある業務を再確認し、AIが担当する業務が多くを占める場合は人が担当する業務が手元に残るよう自身の業務範囲を見直していきましょう。

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