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公認会計士の将来性を多角的に考えてみる

2023/11/02

公認会計士は「将来性のある仕事」と評されることが多い職種です。公認会計士は個人、企業を問わず仕事を受注できますし、専門性の高さから報酬も大きくなるメリットがあるからです。しかし、時代とともに社会のあり方は変わっていきます。公認会計士の安定性がこれからも続いていくのか、不安に思っている人も多いでしょう。IT技術が発展し自力で会計ができるようになっている風潮も、公認会計士を脅かしています。それでも、公認会計士だからこそPRできる強みは数多く残されているはずです。この記事では、公認会計士の将来性をさまざまな観点から分析していきます。

☆公認会計士が将来性のある職業だと言われてきた理由

公認会計士の将来性は「資格に対する信頼」によって保証されてきました。公認会計士は「医師」「弁護士」と並ぶ日本の3大資格に数えられています。公認会計士は狭き門であり、専門的な知識を学び、十分な経験を積み重ねたからこそ取得できる資格です。そのため、公認会計士を名乗れる人材を優遇する地盤が社会的にできあがっており、高収入を用意してくれる職場も少なくありません。「仕事が途切れない」のも公認会計士になるメリットでしょう。ほとんどの仕事は景気や法律の改正などによって利益が左右されます。しかし、公認会計士に関しては常に何らかの案件が世の中に転がっています。なぜなら、すべての会社、個人事業主は「会計業務」なしに経営を続けられないからです。そして、会計業務をミスなく終えるためには専門家が必要です。また、公認会計士の監査を入れて社会的信用を保ち続けたい企業もなくならないでしょう。公認会計士が「女性に優しい職場」なのも将来性を裏付ける要素です。公認会計士は体力がほとんど必要ないうえ、有能な人材は性別や年齢を問わず活躍できます。一度、出産や育児で仕事を離れていた女性も復帰しやすい環境が整っています。専門性が高いうえ、労働条件も良い公認会計士は長く続けるにぴったりの仕事と言えるでしょう。

☆企業に属する公認会計士の将来性

将来性が揺るがないといわれてきた公認会計士ですが、徐々に懸念すべき現象も見られるようになりました。特に、就職難は深刻な問題として若手の公認会計士にのしかかっています。これまでの公認会計士にとって、就職先として大きかったのは監査法人です。また、会計事務所に属して仕事をする公認会計士もいます。好景気だったころは監査法人や会計事務所もどんどん人材を増やして事業を拡大し、さらなる利益を生み出していくという好循環が成り立っていました。しかし、不況の到来とともに公認会計士の就職先が新人の採用枠を絞る傾向が顕著になってきたのです。多くの中小企業が倒産していき、監査法人や会計事務所の抱えていた顧客が減少していったのが大きな要因でしょう。なかには事業規模を縮小せざるをえない状況にまで追い込まれた事務所もあり、新しく公認会計士になった人たちは困難な時代にぶつかっていると言えます。また、公認会計士の数が増えすぎたのも就職難を招いた背景のひとつです。ただし、金融庁は「会計士の合格者数そのものを減らす」などの対策で、就職難を克服する努力を行っています。公認会計士になるハードルは上がりますが「せっかく資格を取ったのに就職先がない」という現状は改善されていくでしょう。

☆開業公認会計士の将来性

「就職難が続いているなら自分で事務所を開業してしまえばいい」という意見もあります。一理あるとも言えますが、それでも「顧客数が減退している」という状況そのものが変わるわけではありません。むしろ、新たに事務所を立ち上げたところで、既存の大手事務所とどうやって渡り合っていくのかを考えないと無謀な挑戦のまま終わってしまうでしょう。もちろん、いくつかの注意点をクリアすれば開業公認会計士の将来性は決して暗いものではありません。まず「営業力を身につけること」です。世の中にはすでに無数の会計事務所、監査法人があるため「あえて自分の事務所を選びたくなる理由」をはっきりさせましょう。また「人脈形成」も重要です。顧客を紹介してもらえるような社会的信用度の高い人物や、事務所を開業した際にエース級の働きをしてくれそうな公認会計士など、経営者の人脈は成功を左右します。そして「開業の目的」を明確にし、PRすることで顧客も人材もついてきます。たとえば「中小企業の発展に貢献したい」「地方の活性化を支援したい」などの大きな目的が肝心です。目的がしっかりしている事務所は顧客から愛されやすく、経営にもブレが出ないので評判も良くなるでしょう。

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☆IT技術が発達しても公認会計士の価値は変わらない!?

ITが発達しても公認会計士の価値は不変

公認会計士の将来性を不安視する理由として「IT技術の発達」も挙げられています。インターネットが一般化した時代では、誰でも会計を学び実践することも可能になりました。小規模の個人事業主レベルの会計業務であれば、予算削減のために自力で行おうとする人も増えてきています。また、人工知能「AI」の実用化も公認会計士の地位を脅かしています。複雑な計算も一瞬で行えてしまうAIが監査業務などにも本格進出したら、高額の報酬で雇われていた公認会計士は切り捨てられるリスクもあるからです。しかし、公認会計士の価値は「正確に計算ができること」だけに留まりません。会計の専門家が企業に対して「会計状況に問題はありません」と太鼓判を押すことにこそ意味があるのです。そのため、多くの人が会計を独学で学ぶ世の中になっても公認会計士の需要は極端に減らないでしょう。それに、AIが計算を行っても「正しくAIにデータを与える人間」「その計算を確認する人間」は引き続き不可欠です。何より、生身の公認会計士に会計を相談して安心感を得たいと願う経営者はいなくならないでしょう。AIの時代でも公認会計士の居場所は十分残されています。

☆まとめ

公認会計士の将来性が無条件で守られているとは断定できません。これからの時代の公認会計士は、今まで以上に営業努力を行わなければいけないでしょう。とはいえ、公認会計士が社会で重要な仕事であり続けるのは同じです。企業から会計業務がなくなることはありませんし、AIが公認会計士以上の信頼性を持つようになる時代もまだまだ先だと言えます。公認会計士としてのキャリアプランを明確に持っている人なら、見通しは明るいでしょう。

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