公認会計士は将来性がない?合格者が多すぎると言われている理由を解説

2025/12/03

安定した高収入や高い社会的信頼を背景に、長年にわたり非常に人気がある難関資格として公認会計士を多くの受験生が目指してきました。ところが、近年は有資格者の増加を受けて「公認会計士が供給過多ではないか」という指摘も一般的には聞かれるようになっています。

そこで今回の記事では公認会計士数が増えている要因を整理しつつ、公認会計士資格そのものの市場価値が本当に低下し、有利性は失われているのかをデータなどから検討します。あわせて今後見込まれるキャリアの選択肢や展望やポイントについても考察します。

これから公認会計士を目指す方はもちろん、すでに合格・登録済みの方にとっても今後の進路を描く際の判断材料として役立てていただければ幸いです。

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公認会計士の将来が不安視される現状とは

受験者数・合格者数が増加している

コロナ禍をきっかけに公認会計士資格の価値や重要性はあらためて見直されました。 不確実性が高まる中で「手に職」の安心感が評価され、資格取得の意義が再注目されています。

しかし、合格者数の増加に伴い就職環境は“完全な売り手市場”から次第に均衡しつつあるとされています。 需要一辺倒だった状況から、採用側と求職側のバランスが取れたマーケットに移行しています。

その結果、体感としては以前より“需要が弱まった”ように映りやすい現状があります。依然として求人はあるものの競争が相対的に高まり、かつてほどの引く手あまた感は感じにくい局面になっていると考えられます。

AIによって仕事がなくなると言われている

ITの進展とAI技術や人工知能の発展により、公認会計士の将来性が揺らぐのではないかという見方が取り沙汰されています。

たとえば、会計士・監査人の業務は高い確率でコンピューター化し得るといった予想(2013年9月発表の「雇用の未来:コンピューター化により仕事は失われるのか」)が話題となり、需要が縮小するのではという不安を呼びました。
AIが監査領域へ本格導入され積極的に利用されれば、会計士の高度な専門知識という価値が相対化されるリスクがあるという指摘もあります。

しかし、公認会計士の本質的な役割は単に正確に数値を処理する会計事務ではありません。

例えばクライアントである上場企業に対して財務・会計の状況を総合的に見立て、適切な助言や支援を提供する「専門家としての判断と伴走」こそが価値の中核の一つです。
ゆえに、AIの普及やそれによる効率化によって需要が急速に消えるとまで懸念する必要は大きくありません。

実務面でもAIを活用するには正しいデータの投入(前処理・設計)や出力結果の妥当性確認(検証・説明)が不可欠で、こうした工程には専門的判断が求められます。
さらに、多くの経営者はフェイス・トゥ・フェイスで相談できる安心感や状況に応じた解釈・提案・交渉力を重視します。

つまり、AIの登場により仕事の中身や進め方は変わるとしても、公認会計士という職業自体が不要になる可能性は低いと言えるでしょう。

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公認会計士の受験者数の推移と市場動向

公認会計士の受験者数は増加している

公認会計士試験の出願者数や合格者数は年度によって大きく上下してきました。とりわけ2008年のリーマンショックの影響で監査法人の採用枠が一時的に縮小し、その余波として未就職問題が顕在化。結果2013~2015年には受験人気が落ち込み、受験者数も大きく減少しました。

一方、近年はコロナ禍を契機に資格の有用性が再評価され、受験者数が再び増加に転じています。
合格者も増えたことでかつての完全な売り手市場から需要と供給の均衡に近い就職環境へと移行しつつあり、相対的に「以前より需要が弱くなった」と感じやすい状況が生まれています。

願書提出者数と論文式試験合格者数
2024年:21,573人(+1,256)/合格 1,603人

受験者数増加に影響した要因としては以下が挙げられます。

  • 外出自粛やオンライン授業/リモートワークの普及で、学習に充てられる可処分時間が増加
  • 先行き不透明感の高まりにより、資格取得によるキャリア保全・拡張へのニーズが上昇

なお、公認会計士の学習には概ね最低でも1~2年の準備期間を要するため、これらの動きが受験者数に反映されるのは数年遅れとなるのが通例です。
      

公認会計士の需要は充分ある

これまでの検討からも明らかなとおり公認会計士の仕事が将来的に消滅するリスクは極めて小さく、むしろ足元では監査法人における需要が一段と高まっているのが実情です。

たしかに2007~2008年には金融庁の方針で試験合格者が大幅に増加した結果、一時的に就職難が生じました。しかし、その後の東芝の不正会計を契機として監査の厳格化・高度化が急速に進展。
これに伴い財務諸表監査実務の負担は着実に増え、会計士の作業工数が拡大したことで人手不足感が顕在化しています。こうした構造を踏まえる限り、少なくとも当面は会計士が再び「就職難」に陥る公算は低いと見てよいでしょう。

加えて、監査業務には次のような特徴があります。

  • 独占業務であること:法令上、監査は公認会計士(または監査法人)にしか担えないため、代替が効きにくい。
  • 手続の細分化・増加:ガバナンス強化や開示の高度化により、監査手続きがより細かく、多層的になっている。
  • 需要の底堅さ:上記を背景に、監査に必要な公認会計士の需要はむしろ増勢にあります。

総じて職域の独占性と実務要件の高度化が相まって、監査分野における会計士のニーズは今後もしばらく堅調に推移すると考えられます。

公認会計士の関わる分野は全体的に人手不足

結論から言えば、公認会計士に対するニーズは現在も十分に強い状態にあります。

まず、公認会計士試験は合格率が低く有資格者の絶対数は決して多くありません。
加えて監査は法律で定められた独占業務であり、公認会計士(監査法人)以外は担えないという構造的な制約があります。しかも、近年は監査手続の細分化・高度化が進み、必要手続のボリュームが増加しているため、監査現場で求められる会計士の人数は右肩上がりです。

この傾向は非独占領域でも同様です。たとえば経理・財務の専門職やコンサルティング業務では慢性的な人材不足が続いており、高度な会計知識と実務スキルを備えた人材の評価が一段と高まっています。
総じて公認会計士が関与する監査・会計・コンサルの各領域は広範に人手不足であり、この需給ギャップが短期で解消される見込みは小さいと言わざるを得ません。

さらに日本社会の少子高齢化・人口減少というマクロトレンドを踏まえると、長期的にも大幅な供給超過に転じる可能性は低いでしょう。
したがって、当面、公認会計士の需要が大きく落ち込む心配は乏しいと考えられます。

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「公認会計士は多すぎる」の真相とは

公認会計士の登録者数は増加している

公認会計士の登録者数はここ数十年にわたり右肩上がりの推移を続けています。

とりわけ2012年から2024年の12年間で見ると、登録者は21万人超増加しました。

公認会計士の登録者数
2012年:23,119人
2024年:35,532人(+1,096)

なお、公認会計士法の制定は1948年ですが登録者(=試験合格者ベース)の大幅な増加は2000年以降に本格化しました。
そのため現在は若手の現役会計士が多い年齢構成となっており、毎年1,400~1,500名程度の新合格者が誕生している実情を踏まえると世代交代が本格化するまでは登録者数の増勢が続くと見込まれます。

加えて一般に登録には試験合格後おおむね3年の実務経験等が必要となるため、登録者の増減は合格者数の動きより数年遅れて反映される点にも留意が必要です。

雇用環境に関しては、かつては需要>供給で明確な売り手市場でしたが、直近は需要と供給の均衡に近づき、求人倍率も以前より落ち着きを見せています。
これにより転職が難しくなった、報酬面がやや抑制的に感じられるという声が一部で出ているのも事実です。とはいえ、業界全体としての会計士需要は依然として高水準にあります。

総括すると、受験者・合格者の増加基調が続く限り登録者数も一定のタイムラグを伴って拡大していく公算が大きいと言えるでしょう。

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公認会計士の活躍の場は広がっている

公認会計士のキャリアパスは多様化

さらに、公認会計士の進路は近年ますます多彩になっています。
伝統的な監査法人だけでなく、さまざまな業種、例えば、税理士法人、コンサルティングファーム、一般事業会社(経理部・財務部/内部監査/経営企画など)、企業再生などでの活躍に加え、独立開業や海外赴任・海外転職といった道も選択肢として現実的です。

こうした幅の広さがあるからこそ、自分の得意分野や関心領域に合わせて最適なキャリアをデザインすることができます。
これから会計士を目指す方にとっては専門性を磨くことはもちろん、多様なキャリアの可能性を最初から視野に入れて準備する姿勢が大切です。

公認会計士という資格は依然として強力なアドバンテージであり、今後も長期にわたって幅広いチャンスを切り開ける武器であることに変わりはありません。

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AIや自動化による影響と対応策

会計士や監査の仕事がなくなることはない

ITの進化とAIの普及により、公認会計士の将来性に懸念を示す声が出てきています。とくに監査領域でAIの活用が本格化すると、これまで会計士が提供してきた高度な専門性の価値が相対的に弱まるおそれがある、という見立てです。

ただし、公認会計士の本質的な役割は単に正確に数を扱うことではありません。上場企業や個人事業主に寄り添い、財務・会計の現状を適切に見立て、改善策や意思決定を支える。この専門的判断と伴走支援こそが価値の核です。

このため、AIの浸透によって会計士の需要が極端に萎むと過度に心配する必要はないでしょう。実務ではAIを活用するために正確なデータ設計・前処理を行い出力結果の妥当性を検証・説明する役割が不可欠で、ここには人間の専門知識が求められます。

さらに、数字だけでなく対面で相談しながら状況を解釈してほしい、という経営者のニーズは根強いものがあります。
要するに、AIの導入で業務内容や働き方は変容していくとしても、公認会計士という職業自体が不要になる可能性は低いと考えられます。

AIの影響を受ける業務と受けない業務を理解する

AIがどれほど高度化しても、監査という職務そのものが消滅することは考えにくいでしょう。

ただし、公認会計士の実務の中にはAIの影響を受けやすい領域と人間の専門判断が不可欠で置き換えにくい領域が混在しています。ここでは、それぞれがどのような業務に該当するのかを整理します。

公認会計士のタスクのうち、定型的・反復的でルール化しやすい作業はAIによる代替が進む可能性があります。典型例が監査プロセスの初期段階で発生する資料の収集・分類(仕分け)です。
大企業の監査では、企業が保有する膨大な会計関連文書を預かり、内容を精査して関連項目ごとに仕分ける作業が生じます。将来的に文字認識(OCR)や自然言語処理の精度がさらに向上すれば、こうした大量文書の自動読解・自動タグ付け・自動振り分けはAIに置き換わる可能性が高いと考えられます。

一方で、最終的に財務情報の適正性に「責任ある判断」を下すといったコア業務は依然として人間の職能が中心です。

    適正意見の形成:会計基準の解釈や事実関係の総合評価、経営者との協議を踏まえ、「正しい」と結論づける職業的専門判断は、AIが単独で担うのは困難です。

    不正の見抜き(粉飾・不正会計の兆候検知):AIが大量データから異常値を示すことはできても、意図や背景、組織的関与の有無までを文脈的に読み解き、妥当な対応策を策定するには、人の経験と洞察が不可欠です。

    コンサルティング・助言:会計・内部統制・経営管理の高度化が進む中、純粋な監査以外の助言需要が拡大しています。AIが選択肢を列挙することはできても、企業固有の事情に即して優先順位を付け、実行可能な打ち手に落とし込む作業には、対話・折衝・現場理解を伴うきめ細かな伴走が求められます。

総じて資料の読み込みや一次仕分けのような定型作業はAIに任せ、会計士は判断・説明・合意形成に集中する方向へ役割分担が進むと見込まれます。

すなわち、業務の中身は変化していくものの、公認会計士の価値の中心である専門判断と対人支援は引き続き不可欠であり、職務全体が無くなる可能性は低いと言えるでしょう。

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まとめ:公認会計士は将来に向けてどう動くべきか

会計士の役割は単なる監査手続の実行にとどまらず、財務情報の適正性を自らの責任で判定することに核心があります。ゆえに、この本質部分までAIが全面的に置き換えることは想定しにくいと言えるでしょう。

とはいえ市場環境は今なお動的で、定型的な監査実務だけに依存していると相対的な市場価値が徐々に薄まるリスクは否めません。将来にわたって選ばれ続ける会計士であるためには、AIを活用した新しい実務スキルの獲得や専門領域の再設計(キャリアの再構築)が不可欠になります。

もし会計士としての将来像に不安があったり、次の一歩に迷いを感じているなら、まずはキャリア相談の場で現状と選択肢を整理してみるとがおすすめです。
外部の視点を取り入れることでメリットがあります。強みの棚卸しや学ぶべきスキルの優先度付けが進み、納得感のあるキャリアアップ戦略を描きやすくなります。

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