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税理士は不人気職になったのか? 税理士試験の受験者が減っている本当の理由

今年も税理士試験の合格発表の季節がやってきました。コロナウイルス感染拡大の影響で厳重な感染防止対策を講じて実施された第70回試験の受験申込者数は35,135名(第69回36,701名、前年比95.7%)、受験者数はより少ない人数が推定されます。また、昨年の受験者を年齢別にみてみると、30歳以下の受験者は8,104名と全体の3割にも届きません。

税理士試験の受験者数が年々減少しており、受験者の高齢化が進んでいることに税理士業界でも危機意識が高まっているようです。
では、本当に税理士という仕事は人気が無くなってしまったのでしょうか? 受験者数以外の数字も絡めて、現在の税理士の状況を読み解いていきましょう。

若手が税理士を志望しなくなったのはなぜなのか?

税理士試験の受験者が減ったのは一体どうしてなのでしょうか。まず、「税理士という仕事がなくなる」という噂が流れたことが原因の1つとして考えられます。

2013年にオックスフォード大学の研究発表にてAIの普及で失われる仕事の上位に「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」が挙げられ、2015年に公開された野村総研の日本版レポートでは人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業に「経理事務員」「会計監査係員」が含まれていました。2015年にはオックスフォード大学の論文を週刊誌が翻訳し、2位に「公認会計士」が挙がったため会計業界に不安が広がり、世間的にも会計・税務・経理関連業務はAIにとってかわられる職業だというイメージが広がりました。

また、税理士の平均年齢が高く、古い業界であるというイメージが定着していることも、税理士業界の将来性に疑問を持つ若者が増えた原因であると考えられます。
そもそも税理士試験の難易度が高く、勉強期間が長期化するとやめられないリスクがあることや、そのリスクに見合ったリターンが得られないという判断をしている若者も多いかもしれません。

そもそも税理士が無くなる仕事という認識は誤解

それでは、実際に税理士・公認会計士の仕事はAIにとってかわられてしまうのでしょうか。
週刊誌で「公認会計士」と和訳された単語はもともと「税務申告書代行者」であり、AI任せにできるのは、会計ソフトへの仕訳入力や年末調整の書類作成といった比較的単純な業務と考えられます。

実際のところ、クラウド会計ソフトfreeeやマネーフォワードを利用することで現場で仕訳を1本ずつ手入力する機会は確実に減少していますし、年末調整に関しても令和2年10月より国税庁から「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」の提供が開始されたため年末調整の電子化手続を導入する会社が今後増加することが予想されます。

しかしながら、相談者の個別の状況を理解したうえで日本の複雑な税法を読み解き、適用する税務相談の自動化(AI任せ)はまだまだ現実的ではありません。税法を簡素化してAI処理できるようにするためには法改正が必要ですが、短期間で移行できるものでもないでしょう。
また、クラウド会計ソフト等は誰でも使いこなせるものではなく、IT知識と会計税務知識を持つ専門家による導入時の設計や保守が非常に重要になります。このことから、ITに精通した税理士は将来不要になるどころか、AIを使いこなすために不可欠な存在となり需要が高まることでしょう。

どうして税理士の平均年齢は高いのか

日本税理士連合会「第6回税理士実態調査(平成26年1月1日現在、32,747人対象)」によると、50歳代以上が税理士の7割超を占めています。これはそもそも、税理士になれる年齢が高いことが影響していると考えられます。

前述の令和元年度(第69回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)でもわかるように、税理士試験の高難易度化により5科目合格者の年齢そのものが高いのが現状です。
税理士になるには試験合格のほかにもいくつか方法がありますが、例えば国税庁OBが税理士試験の全免除を受ける場合には23年の勤続年数が必要になります。こうして国税庁OBから税理士になる方の税理士登録はどれだけ早くても40代後半、実情としてはそれ以降の年齢層が中心になります。

加えて税理士には定年がなく、新規登録より現役を引退する税理士の方が少ないため全体として高齢化が進んでいます。

税理士試験の受験者は確かに減っているが・・・


税理士試験の受験者は確かに減っていますが、税理士の新規登録者数は登録抹消数よりも多く、税理士登録者の総数は実は年々増加しています。

これは、税理士試験合格以外で税理士になる人が増加している影響だと考えられます。税理士の新規登録者の3割弱が試験5科目合格者である一方で、試験免除(一部科目免除を含む)で税理士になる人は5割以上にものぼります。
税理士試験の受験者数に大きく影響を与えていると考えられるのが会計大学院の科目免除ですが、学費と一定の期間はかかるものの競争率の高い5科目合格を目指すよりは確実性が高いため、会計大学院を合理的な選択肢の1つと考える人は少なくないでしょう。例えば、簿記論・財務諸表論と税法1科目に合格していれば税法免除2科目で5科目合格が揃います。
それ以外に、国税庁勤務年数による税理士試験の免除(年数によっては一部免除)という方法もあります。

そして、公認会計士から税理士に新規登録するケースも2割弱と少なくない数になっています。公認会計士試験は税理士試験と異なり、20代が合格の中心で試験合格後には実務経験や研修が必要になるものの、短期集中型で試験合格さえ取れれば5科目合格を目指すよりも結果的に早く税理士になれる場合もあります。また、非常に少数ですが弁護士有資格者も税理士試験を免除できます。
税理士としての独占業務を行うためには税理士資格を持っていることが重要であり、加えて税理士業界の人材不足が深刻化しているため、5科目合格にこだわる事務所ばかりではなくなっています。
むしろ、今後税理士業界を引っ張っていくであろう30代40代の税理士事務所では、ITの活用を通じて会計・税務業界のビジネスモデルや組織を一緒になって変革していこうという志を持つ人材を渇望しています。

税理士試験の官報合格(5科目合格)で税理士になることを目指す人が減ったという点に注目すると斜陽にもとられがちな税理士業界ですが、実際の税理士登録者数が減少しているわけではなく、税金が存在する限り税務会計はなくなることはありません。
資格試験の受験者数減少等の記事に惑わされることなく、今後の税理士業界の変革を楽しみに税理士を目指していただければと思います。

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