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AIにより無くなる仕事のTOP100に含まれた会計業務は将来どうなるのか?

2020/10/16

2013年、オックスフォード大学の研究発表にてAIの普及で失われる仕事の上位に「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」が挙げられました。2015年には野村総研の日本版レポートが公開され、その中に「経理事務員」が含まれていました。同2015年には週刊誌がオックスフォード大学の論文を翻訳し、2位に「公認会計士」が挙がったため業界に不安が広がりました。
つまり、会計業務はAIの普及でなくなる仕事の一つであるとされています。

そこで、この記事では会計業務の全てがAIの普及によってなくなってしまうのかを考察して行きます。将来的にAIが本格的な普及をしていく事が予想される中で、人間は今後どのように対応していくべきでしょうか。

1.会計業界の現在のAI化はどこまで進んでいるのか?


ここでは実際に、AIを活用して会計業務を簡素化できた例についてみていきましょう。

a.販売システムと会計システムとが連携していない状態で会計業務を簡素化

AI導入前:販売システムと会計システムとが連携していないため、同じ取引をそれぞれのシステムに別途入力するため二度手間である。入力のした後の確認作業もそれぞれに必要である。さらに、電子帳票化にも対応できない。

AI導入後:大部分で電子帳票化を実現できたため、元々月間約数万枚人間の手で入力していた会計伝票が月間約100枚に減少した。また、別々に存在していたデータを関連付けられたためデータを管理会計に利用しやすくなった。

b.売掛金に対する入金による消込業務の簡素化

AI導入前:顧客からの入金が月数十万件ほどある。入金の消込作業はexcelなどを使い人間の手で行っている。

AI導入後:AI導入前は月平均5,000件程のエラー処理の必要があった。しかしAIの導入によって人間の手で切らなければいけない仕訳は約100件まで減らせた。

c.買掛金業務の簡素化

AI導入前:請求書の確認、データ入力、入力データの検証、総勘定元帳への転記といった一連の作業をすべて人間の手で行っていた。

AI導入後の成果:請求書の情報をスキャナーで読み取り、AIを用いてデータの入力・検証・転記を行ったところ、作業時間を約70%削減できた上にヒューマンエラーも起きにくくなった。

これらは現在までのAI導入事例なので、将来的にはAIが更に発達して経理事務の簡素化がますます進むと考えられます。

d.AI導入事例からわかること

これらのAI導入事例から、会計業務においてAIを導入したとしても依然として人間が行わなければならない業務があることが分かります。

具体的には非定型的な仕訳の入力や確認作業がそれにあたります。ただし、AIを導入しても人間が行わなければならない非定型的な仕訳入力や確認作業の量は全体から見ると多くありません。そのため、人員管理や部下の指導などの他の非定型的な業務を行う人間が非定型的な仕訳の入力や確認作業を行えばよいと考えられます。

これらから考えると、将来的にAIが本格的に普及し経理業務が大幅に効率化されることで、組織としては経理データ入力など単純作業のみを行ういわゆる経理事務員を雇う必要がなくなると言えるでしょう。

2.RPAとは何か?AIとRPAの違い

a.RPAとは?

RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略称です。業務内容を覚えさせ、それを自動的に繰り返すのがRPAの基本的な仕組みです。
業務における判断基準やルール作りはあくまでも人間が定める必要があります。RPAが能動的に判断することはありません。

b.AIとRPAの違い

一方、AIは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略称です。日本語でいう人工知能のことです。コンピュータが能動的に判断する仕組みですが、AIそのものに何らかの仕事をさせるというケースはほとんどありません。

そのため、AIとRPAとでは「自身で判断を行うか行わないか」、および「自身で仕事をするかしないか」の違いがあります。

3.今後、会計業務はAIにより必要なくなるのか?

これまでの議論で分かる通り、今後AIが更に進化したとしても人間の手による会計業務が完全になくなるということはないと考えられます。
ただし、上記のように単純な仕訳入力だけを行うような経理事務員を雇う必要性はなくなるであろうと言えます。

4.将来も必要とされる、AI化できない業務とは?

では、AI化できない会計業務とは具体的にどのような業務なのか見ていきましょう。

a.例外処理

AIがいくら自分で判断する力を持っているとしても、人間の判断のように適時に例外処理を行うことは将来的にも難しいと言えるでしょう。例えば、上記のような非定型的な仕訳の入力や、支払いの期日を過ぎて入金があった場合に摘要欄に適宜期日遅れであることの書き込みを加える、といった例外処理をAIが自動で行うようになるとは考えにくいです。

b.重要な最終確認作業

人間が行った作業は通常、誰かの確認が入る流れになっていたはずです。
AIに関しても同様に、正しく判断を行ったかどうかの最終確認は、やはり人間の目でしっかりと行うべきです。

5.AI化の波に流されないためにどうすればいいのか?

それでは、AI化の波に流されないために今後人間はどのように対応していけば良いでしょうか。

a.会計処理に関して

4.でも記載しましたが、人間でしか行えない業務に関するレベルをしっかりと上げていくというのが基本的な対応となります。AIではできないような、より高度な判断や確認をしっかりと行えるようにスキルを高めていきましょう。

b.会計に関するコンサルティングを行えるようなスキルまで身につける

AIが自ら判断することができると言っても、組織内に存在する会計に関する業務体制のどこをどのように直して合理化やレベルアップを図るべきか、という課題抽出ができるようになるとは思えません。また、抽出した課題の解決策を予算や人員の問題等を含めて総合的に判断できるようになるとはますます思えません。
そのため、会計に関するコンサルティングを行えるようなスキルを磨いていくこともまた今後人間に求められることになると言えるでしょう。

6.まとめ


以上、ここまで会計業務の全てがAIの普及によってなくなってしまうのか、について考察し、今後なくなってしまうと考えられる単純業務となくならないと考えられる非定型的な業務の違いについて解説してきました。今後ますますのスキルアップが必要とはなりますが、逆にいうと単純作業のための時間を割く必要性はどんどんなくなっていくわけですから、より高度な業務に専念できる未来が近づいてきていると言えるでしょう。
AI化の波に流されないために、人間にしか持つことのできないようなクリエイティブな視野を磨いて会計業務をより合理的に行っていきましょう。

余談ですが、冒頭の「公認会計士」は「税務申告書代行者」を税理士が存在しない欧米で表した場合の仕事です。日本では税理士に相当するのですが、野村総研のレポートに税理士が挙がらなかったのを見ると税制や業務の違いからAIによる置き換えが容易ではないと判断されたということでしょうか。極端に将来を恐れる必要は無いかと思いますが、積極的なスキルアップを図っておきたいですね。

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