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税理士試験の結果を分析

税理士試験の結果発表!受験者数と合格率を徹底分析【最新2020年/令和2年度版】

2023/11/01

先日、国税庁の税理士試験ページに令和元年度の税理士試験結果が発表されました。合格率は20.3%という発表でしたが、詳細と実情はどのようなものだったか確認されたでしょうか?
過去5年分の試験結果と比較しつつ、もう少し掘り下げた結果分析をお届けします。

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm
国税庁:税理士試験ページ

【2020年/令和2年度】税理士試験受験者数の変化

<過去5年分の分析資料(PDF)>

税理士試験の受験者は年を追うごとに減少しています。5年前(平成28年度)と比べると、実に2割以上も受験者が減っているという状況は昨年度と変わりありません。41歳以上の受験者数は横ばいが続いていましたが、今年度は昨年度と比べて1000名以上が減少しています。全体的に受験者数が減少している中、25歳未満の受験者数は昨年と同数となっており、受験者の年齢帯はいくらか下がった年度となりました。

全国の受験者分布は大きくは変わらず、首都圏で半数程度を占めるという比率は過去5年から大きな変化もありません。全国の税理士法人や税理士の登録数の分布とも大きく離れているわけではありませんので、概ね自分が所属することになる税理士会に近しい受験会場を選んでいると考えられます。

税理士試験に合格しての税理士資格取得が難しいことは明白で、科目合格の一部を大学院などで補う試験免除の利用が増えていることは、税理士登録の内訳から明らかになっています。受験申込がされた科目数は1名あたり1.52~1.55、実際に受験した科目数は1.38前後というのが直近5年の状況です。受験者数は減少傾向ですが、受験科目の数は特に変わらない状況が続いているようです。

【2020年/令和2年度】試験の合格率を分析

試験の合格率を分析
発表される合格率は「科目合格」と「試験合格」が混在した状態のため、20.3%と言われても正直あてにならない数字と考えて良いでしょう。もう少し紐解いて実情を確認します。

まず、合格者数は例年ですと700人弱から800人強をいったりきたりしていましたが、今年は650名弱と昨年度に比べて100名ほどの減少となっています。合格者数で見ると大幅減に見えますが、合格率は2.43%と昨年度の2.52%から過度に減少したようには見受けられません。2.2%弱を記録した年もあり、数は減っていても合格率は変わらない数字をキープできていると考えられます。
それとは反対に、今年度の科目合格は昨年度に比べて合格率・合格者数ともに高くなっています。全体的な科目合格率は17.82%に上がり、受験者数減少にもかかわらず科目合格者数は増加しました。
各地域の合格率も一時的な変動はありますが、数年を通して見ると地域によって著しく良い・悪いはないと読み取れます。

5科目の合格となる「試験合格」は過去5年間ともに合格率2%台前半で推移しています。試験合格は26歳以上からが本番とも言える状況で、41歳以上は受験人数も多いですが試験合格者数の35%前後を占める中心層でもあります。年齢層による合格者数は仕事をしながら勉強して科目合格を繰り返す、税理士試験の定番ともいえる流れを示しているといえるでしょう。そのため、試験合格については若年層の合格率は低めとなっています。

続いて科目合格ですが、こちらはやはり勉強との親和性が高い若年層が強い部分です。しかし、仕事をしながら勉強を続ける年代層の合格率も低くはありません。1科目の合格に時間がかかるため、若年層のうちに試験合格に至ることが難しく年代層が上がってしまうという問題が実情といえるでしょう。

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【2020年/令和2年度】科目ごとの結果

固定となる簿記論・財務諸表論を除くと、人気が高い選択科目は消費税法・法人税法となっています。過去5年を遡ってみても、科目ごとの受験者数分布はほとんど変わりません。
実際に業務で使う科目、試験合格を主眼とした科目とそれぞれ分かれますが、実際に業務で使う科目の方が普段から触れる機会がある分だけ勝手が良いということでしょう。

各科目について見てみると、大半の科目は10%前後から13%前後で合格率の幅があり、決まった傾向が無いと読み取れます。
今年は簿記論の合格率が高くなっており、25歳未満の受験者比率が多かったことから、試験の親和性の高い年齢層が会計科目の合格率を引き上げたと考えるのが妥当と思われます。
昨年に引き続き住民税の合格率も高めとなっています。一時は10%を割る合格率にもなっていたため簡単な科目と考えるべきではありませんが、「ミニ所得税法」とも呼ばれており重複部分の多い所得税法とあわせて勉強すると効率的とも言われています。
固定資産税は通じて合格率が安定して少し高めの科目で、比較的受験生にとって取り組みやすいとも言われています。将来的に税理士試験科目から外されるのではないかとの懸念が出た科目ですが、税理士試験の科目見直しを行うべき、という提言から数年が経過しています。試験合格を優先するのであれば、選択肢から外す必要はないでしょう。
所得税法も同様の傾向ですが、法人税法と選択のため選ばれずに受験者数が少ないというのが実情です。

ちなみに、各科目の過去5年の合格率は下の通りです。

所得税法 :12.04~13.38%
法人税法 :11.58~16.07%
相続税法 :10.56~12.49%
消費税法 :10.60~13.35%
酒税法  :12.20~13.90%
国税徴収法:10.69~12.70%
住民税  :11.66~19.02%
事業税  :11.00~14.80%
固定資産税:13.29~14.91%

どのように税理士試験へ取り組むべきか

合格率の低い試験でもあり高難度化が進んでいるため、大半の人が長期戦での試験合格となります。そのため、勉強に専念するには相応の環境(費用の工面等も)を整える必要があります。
この辺りは個々の環境による部分が大きくはなりますが、一般的には定番に則って仕事をしながら勉強をするスタイルが順当でしょう。

税理士事務所・税理士法人も人材育成に力を入れているところが増えており、試験休みや自学用の教材整備、通学のための勤務時間調整などで便宜をはかるようになっています。税理士資格の取得は事務所にとってもメリットと考えている代表者も多いですから、既に勤務中の方は社内制度について確認・相談してみるのも良いでしょう。

科目については実用と資格取得の2方向から考えて選択するところで、中長期にわたらないよう入念に検討して取り組みたいところです。自分の興味の範囲や資格取得目的の科目でも、当然ながら税法なので使うところが存在します。現在の業務にすぐに活かせる科目の方が優先度は高くなるでしょうが、逆に科目合格で新しいジャンルの仕事に手を出しやすくなることもあります。科目合格は評価につながることでもありますので、勤務中の方は勤務先と受験科目について相談してみるのも良いでしょう。

5科目合格による税理士試験合格者は貴重な存在

税理士試験は受験者数が減り、試験免除者や公認会計士による税理士登録も増えていますが、試験合格の意味が減っているわけではありません。
むしろ5科目合格による税理士試験合格者は5年間で4000人を割る数で、全体でも少数になりつつある貴重な存在なのです。特に、若年層で取得できれば将来を担う人材として業界内で非常に大きな価値となります。

税理士試験は高難度で時間の掛かる資格試験です。既に取り組まれている方も、これから取り組まれる方も、勉強に入る前に一度自分の環境を見直してはいかがでしょうか?

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