【最新2022年度版】全国の税理士登録者数とその内訳とは?会計事務所は減っているのか
2023/11/02
税理士として年収をアップさせるためには、独立開業という方法が一番先に思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、独立開業して成功するためには会計事務所間の競争に勝たなければいけません。
税理士同士の顧客獲得競争が今後どのように推移していくか検討するためには、まずは税理士登録者の人数や今後の推移についてよく知っておくことが有効です。
そこで、さまざまなケース別の税理士登録者数の推移と今後の展望についてまとめてみました。
全国の資格別税理士登録者数と推移
最新の情報で見れば、2022年(令和4年)2月末日現在、日本税理士会連合会の調べによると日本全国における税理士登録者数は80,054人です。
2021年(令和3年)3月31日現在では、日本全国における税理士登録者数は79,404人(※1)でしたので税理士の数は増加していることが伺えます。
以下、2021年度のデータから解説いたします。
その内訳は「国家試験合格者」がおよそ44%、大学院の税法科の修士課程を修了、または税務署に一定の期間以上勤めていたものなどが資格を得られる「試験免除者」がおよそ38%となっており、この2つだけで全体の約80%を占めています。
また、公認会計士や弁護士の資格を持っていれば税理士会に登録(公認会計士は国税審議官の指定する試験で一定以上の点数を獲得する必要あり)することができ、これらの割合はおよそ13%と比較的大きなウェイトを占めているのが特徴です。
また、全国の税理士の数は年々増加傾向にあります。1990年時点での全国の税理士数は55340人でしたが、そこからおよそ30年経過した2020年にはおよそ1.4倍となっています。
年によって増減には多少の誤差があるものの新規登録者数は2500人から3000人、資格抹消者は2000人前後で推移しており、平均して毎年700人程度登録者数が増えている計算です。
また、驚くことに毎年の増減における統計が残っている平成11年から令和3年までの22年間において、一度も新規登録者数が抹消者数を下回って税理士数が減少した年がありません。
これらのことから、今後もしばらくの間は税理士の人数は増え続けると予測できます。(※1)
※1.【佐藤茂税理士事務所】5.全国の税理士の人数と税理士資格を取得した方法・税理士試験受験者と合格者の推移
都道府県別税理士の登録者数と推移
都道府県別税理士登録者数(上位10都道府県) | ||
---|---|---|
1位 | 東京都 | 23,597人 |
2位 | 大阪府 | 8,830人 |
3位 | 愛知県 | 5,385人 |
4位 | 神奈川県 | 4,661人 |
5位 | 埼玉県 | 3,280人 |
6位 | 兵庫県 | 2,882人 |
7位 | 福岡県 | 2,842人 |
8位 | 千葉県 | 2,538人 |
9位 | 京都府 | 1,941人 |
10位 | 北海道 | 1,869人 |
税理士の登録者数を都道府県別に見てみると「1位東京都23,597人(全体の29.7%)」「2位大阪府8,830人(同11.1%)」「3位愛知県5,385人(同6.8%)」となっており、やはり人口の多い3大都市圏が中心となっています。
これは一般的に考えてもわかることではありますが、人口の多い3大都市圏には「会社数が多く、規模の大きい会社も集まりやすい」ため、税理士として仕事がしやすいためであると考えられます。
3大都市圏に続くのは東京周辺の関東地方で神奈川県(第4位)、埼玉県(第5位)、千葉県(第9位)です。また、その他の地域でも関西地方の兵庫県(第7位)や京都府(第10位)は比較的多く、九州地方の代表的な県である福岡県(第8位)も上位に入っています。
一方で、人口の少ない県は会社数が少ないためか税理士数も少ないことが多いです。特に島根県や鳥取県といった山陰地方はその傾向が顕著で、それぞれ第47位、第48位と最下位になっています。都道府県別の推移としては「どの地域も現状維持または増加」という具合で、著しく減少している場所はありません。
ただし、税理士数の多い都道府県ほど増加傾向にあり、逆に少ない都道府県では現状維持もしくは微減といった具合です。これは人口の大都市への集中が進んでいることが、都道府県別の税理士登録者数にも影響していると考えられます。(※1)
※1.【佐藤茂税理士事務所】5.全国の税理士の人数と税理士資格を取得した方法・税理士試験受験者と合格者の推移
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税理士試験受験者の推移
税理士試験の受験者数は、2002年では52,560人でした。2005年までは増加していましたが、その年の受験者数56314人をピークとして減少に転じています。2017年の受験者数は、ピーク時の58%である32,974人です。
毎年平均ではおよそ2000人減少している計算になりますが、特に2013年からの5年間は1年あたりおよそ2500人も減少しており、スピードが加速しています。
最終合格者数については毎年1000人前後で推移していましたが、受験者数の減少とともに少なくなっており、2013年以降は一度も1000人を超えていません。その後は2015年には835人、2016年756人、2017年は795人と800人前後で推移しており、2021年には585人と合格者数が多かった2003年(1193人)と比べるとおよそ50%まで減少しています。
合格者率は2002年から2%前後で推移していて、これは2021年時点でも年によって多少の誤差はあるものの変わっていません。そのため、単純に受験者数が減少することによって、合格者数も減少していると考えられます。(※1)
※1.【佐藤茂税理士事務所】5.全国の税理士の人数と税理士資格を取得した方法・税理士試験受験者と合格者の推移
では、何故受験者数がこれほど減少しているのか気になるところです。税理士は不人気な国家資格となってしまったのでしょうか。
詳しくは下記の記事でご紹介していますので、ご一読ください。
税理士受験申込者数の今後の展望
税理士試験の受験申込者数は2005年以降年によって人数は異なるものの、毎年減少しています。この理由として最も大きいと考えられるのが「少子高齢化」です。少子高齢化によって学生の数が減っているということは社会的な問題としてよく取り上げられますが、それは税理士業界も無縁の話ではありません。
ただ、少子高齢化は一朝一夕に解決する問題ではありませんし、解決したとしても成果を実感するのは子供が成人するおよそ20年後のことです。そのため、税理士試験の受験者数は特に2013年以降の減少スピードが速いですが、今後ますます加速する可能性も考えられます。
長期的な視点で考えると税理士の数は減っていくと考えられるでしょう。ただし、受験者数の減少がすぐに税理士数の減少に結びつくわけではありません。
なぜなら、受験者数は減っているのに税理士登録数は毎年増加しているからです。この要因としては「一定期間以上勤めた国税のOBが税理士資格を持つ」という「試験免除」といった制度が影響しています。つまり、国税を定年退職したて税理士として登録をする人の方が、税理士試験受験者の減少も多くなっているということです。定年間際の人たちの人数は若い世代と比べると多いので、この傾向はしばらく続くことでしょう。(※1)
※1.【佐藤茂税理士事務所】5.全国の税理士の人数と税理士資格を取得した方法・税理士試験受験者と合格者の推移
大きな変革の時期に差し掛かっている!
会計業界に限らず、これからの社会情勢、経済環境には注視が必要です。
これまで遅々として進んでいなかったテレワーク、リモートワークがコロナ禍によって導入する企業が急増し、既にニューノーマルな働き方として定着しつつあります。
おそらくはコロナ禍が収束したとしても、継続してテレワークは残ると思われます。
驚くことに会計事務所、税理士法人でテレワークを行う場合、税理士法第40条第3項が問題となるとして、税理士事務所ではテレワークは無理だという風潮が一般的でした。
しかし、IT企業などの協力もあり、法的な解釈をクリアするような方法も見出し、多くの会計事務所がテレワークを導入したのです。
そもそも、会計事務所の入力業務や仕分けなど、テレワーク、リモートワークに向いている作業も多く、テレワークを導入することで会計事務所の業務も効率化が図れると言うメリットもあります。
一部の大手企業では、本社を地方に移転し、フルリモートワークを中心とした働き方に変えたり、オフィスを縮小・分散したりするケースも増えています。
そうすると、何が起こるかといえば、一般企業に勤める従業員も都心の本社近くに住居がある必要がなくなります。
昨今、地方移住が話題になっていますが、家賃や生活費が安く、環境の良い地方へ移住したいと考えている人は急増していると言われています。
会計事務所、税理士法人など、大半が都心である東京、大阪に集中していましたが、今後の企業の動向次第では、会計事務所の分布が大きくかわるかもしれません。
今後、社会的な動向をとらえ、流れを把握することで競争に負けることのない税理士、会計事務所として残っていくのでしょう。
まとめ
税理士数の今後の推移としては「少子高齢化に伴う受験者数の減少」といった理由によって、長期的には減少していくことが考えられます。
税理士数が減少していく要因は、少子高齢化による受験者数の減少に伴った税理士登録数が減ることにプラスして、税理士の高齢化により個人事務所の廃業が今後は増加することが予想されているからです。
会計事務所の90%以上は個人事務所と言われており、代表税理士1名が支えている事務所なのですが、後継者がおらず引退する際には廃業か、別事務所と統合又は吸収という形式になるため、会計事務所の数事態は減少していくでしょう。
税理士数が減るということはライバルが少なくなることを意味しますが、楽観できない状況になっていくことが予想されています。
クライアント側の企業にとっても、今後は少子高齢化による後継者不足によって中小企業の統廃合が進み、企業数そのものが減少するとも予測されているからです。
昨今の日本では若い人の起業が増えてきており、スタートアップ企業数も以前と比較すれば増加傾向にありますが、世界的にみれば起業するハードルが高く、10年継続する起業は1%とも言われています。
税理士としてのキャリアプランを描くときは、そのあたりも計算にいれて考えるようにしましょう。
また、短期的には国税のOBが退職することによる税理士登録などの理由により税理士登録数は毎年増加していることから、しばらく税理士は増加傾向が続くと予想されます。
さらに都道府県別にみると人口も多く、規模が大きい会社も集まりやすい都市部ほど増加傾向にあり、基本的にはこの流れも続くと思われます。ですから、税理士として長く働くつもりであれば理解して就職、独立を検討するようにしてください。
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その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。
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