会計求人TOPICS

会計業界で働く人と、目指す人のへのお役立ち情報

会計求人プラスに戻る

行政書士と司法書士の違いとは

司法書士と行政書士の違いとは?ダブルライセンスは効果的なのか

2023/11/01

これから資格を取得しようと考えている人にも意外と混同されがちな「司法書士」と「行政書士」ですが、実際にどう違うのだろうと思っている人は意外と多いのではないでしょうか。

司法書士と行政書士は、どちらも法律を用いた仕事をする独占業務のある国家資格である点では共通していますが、取り扱う業務の内容は大きく異なります。

また、資格取得を目指している方にとっては、司法書士と行政書士のダブルライセンスをとれば将来効果的なのではないかと考えている人もいるかもしれません。

今回は、司法書士と行政書士の資格の違いについて、試験難易度や範囲、業務範囲や仕事内容の違い、更にはダブルライセンスは将来効果的なのかなどについて解説していきます。

また、併せて、税理士や簿記1級の資格を保有している方に向けに、司法書士・行政書士の資格を取得しダブルライセンスとなる意義についても解説します。

司法書士とはどのような資格か

司法書士の資格を解説

司法書士とはどのような資格なのかについて、司法書士試験や司法書士の資格概要、司法書士の仕事内容など順を追って解説します。

司法書士試験とは

司法書士試験とは、司法書士の資格を取得するための試験です。法務省が毎年7月に筆記試験、10月に口述試験を実施します。5月上旬から中旬にかけて願書を受け付け、11月に最終合格発表があります。

受験資格に特に制限は無く、誰でも受験できます。試験科目は、民法・商法(会社法)・不動産登記法・商業登記法の主要4科目と憲法・刑法・司法書士法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・供託法のマイナー7科目です。主要4科目だけで8割以上も出題されるので主要4科目のマスターが必至です。

口述試験は、筆記試験合格者のみに実施され、司法書士として必要な知識を面接形式で問われます。
試験時間は合計5時間で、合格率は3~4%前後と超難関の試験です。
司法書士試験の合格者へのアンケート調査によれば、合格に必要な勉強時間は、一般的に3,000時間前後と言われています。合格者の中には効率的な勉強をすることにより2,000時間前後の勉強時間で合格した強者もいます。

司法書士試験の難易度の高い理由として、合格者が相対評価で決まるということが挙げられます。相対評価というのは、同じ年に受験した受験者のうち、点数が高い上位者から合格者が決まっていくということです。昨年の合格者と同じ点数を獲得したとしても合格できるとは限りません。

また、試験は午前の択一問題・午後の択一問題・記述問題と分かれていて、それぞれに基準点があり、3種類すべての問題で基準点をクリアしていないと合格できません。

司法書士資格の概要

司法書士になるためには、司法書士試験に合格するか、法務大臣の認可を受けるかどちらかです。
法務大臣の認可を受けるためには、以下のどちらかの経歴の条件を満たす必要があります。

  • 法務事務官や裁判所書記官など10年以上
  • 簡易裁判所判事・副検事など5年以上

司法書士の資格を取得して、日本司法書士会連合会及び各都道府県にある司法書士会に登録すれば、司法書士として自身の司法書士事務所を開設したり、司法書士法人で勤務したりすることが可能です。
ちなみに、司法書士試験に合格して、司法書士会等に未登録の人のことを「司法書士有資格者」と呼び、司法書士と区別しています。

司法書士の仕事内容

司法書士の主な仕事は、裁判所や法務局に提出する法律書類の作成です。具体的には以下のとおりです。

  • 不動産を売買・相続したときの不動産登記の申請書類の作成や法務局への申請手続き代行業務
  • 会社を設立したり役員を変更したりしたときの商業登記の申請書類の作成や法務局への申請手続き代行業務
  • 認定司法書士による簡易裁判所での訴訟代理業務や裁判外和解交渉など

司法書士の職場は、個人の司法書士事務所または司法書士法人、企業の法務部などです。
司法書士は、身近で、弁護士と比べて敷居が低いことから、一般市民から法律的な相談がしやすいという意味で「街の法律家」「ホームロイヤー」と呼ばれたりもします。

司法書士が活躍できる求人をご紹介!

司法書士になるまでの流れを徹底解説!資格取得から登録、転職先まで

行政書士とはどのような資格か

行政書士の資格を解説

行政書士とはどのような資格なのかについて、行政書士試験や行政書士の資格概要、行政書士の仕事内容など順を追って解説します。

行政書士試験とは

行政書士試験とは、行政書士の資格を取得するための試験です。都道府県知事の委託を受けた総務大臣の指定機関である一般財団法人行政書士試験研究センターが毎年11月に試験を実施します。7月から8月にかけて願書を受け付け、翌年1月に最終合格発表があります。

受験資格に特に制限は無く、誰でも受験できます。試験科目は、基礎法学・憲法・行政法・民法・商法(会社法)の法令科目と政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解の一般知識です。法令科目だけで8割以上も出題されるので法令科目のマスターが必至です。

筆記試験の形式は、5肢択一式・多肢選択式・記述式の3種類です。試験時間は合計3時間で、合格率は9~11%前後と比較的取得しやすい試験です。
行政書士試験の合格者へのアンケート調査によれば、合格に必要な勉強時間は、一般的に600時間前後と言われています。もちろん、効率的な勉強をすることにより時間短縮して合格することも可能です。ただし、受験予備校などに通学せず独学だとすると800時間~1,000時間かかる合格者もいました。
行政書士試験の特徴は、以下の合格基準点をすべてクリアすれば合格できるという点です。

  • 法令科目:122点以上
  • 一般知識:24点以上
  • 合計  :180点以上

行政書士資格の概要

行政書士になるためには、行政書士試験に合格するか、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を保有しているかどちらかです。
弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を保有している人は、無試験で行政書士の資格を取得できます。

行政書士の資格を取得して、日本行政書士会連合会及び各都道府県にある行政書士会に登録すれば、行政書士として自身の行政書士事務所を開設したり、行政書士法人で勤務したりすることが可能です。

ちなみに、行政司法書士試験に合格して、行政書士会等に未登録の人のことを「行政書士有資格者」と呼び、行政書士と区別しています。

行政書士の仕事内容

行政書士の主な仕事は、各省庁や都道府県庁、市役所・区役所、警察署など官公署に提出する法律書類の作成及び申請手続き代行業務です。具体的には以下のとおりです。

  • 会社設立時の書類作成
  •  ※ただし、法務局への会社設立登記などの商業登記代理業務は司法書士の専権業務なので行政書士が行うことはできません。

  • 各種契約書作成
  • 遺言書作成支援、遺産分割協議書作成、相続財産調査等
  • 自動車登録申請代行
  • 外国人登録、帰化申請手続き代行
  • 土地に関する農地法の許可などの申請代行
  • 飲食店営業許可手続き
  • 旅行業の登録
  • 不動産業許可、建設業許可手続き等その他各種許認可の申請手続き代行

行政書士の職場は、個人の行政書士事務所または行政書士法人、企業の法務部などです。
行政書士の許認可等作成する書類の数は1万種類を超えるとも言われています。行政書士の職域は、司法書士に比べて特に広いです。

行政書士が活躍できる求人をご紹介!

行政書士の資格を活かした転職先、就職先を探す重要なポイントとは

司法書士・行政書士・税理士のダブルライセンスは有効か?

行政書士・司法書士のダブルライセンスとは

複数の資格を保有していることを「ダブルライセンス」と言います。ここでは、司法書士・行政書士・税理士の「ダブルライセンス」が有効か、メリット・デメリットについて解説します。

ダブルライセンスのメリット

ダブルライセンスのメリットは以下のとおりです。

  • 各々の資格の専権業務が両方できる
  • クライアントからの信頼度が上がる
  • 仕事の依頼の機会が増える
  • 法務・税務がワンストップで対応できる

会計事務所には税理士の他に、司法書士や行政書士の資格を持った人が在籍していて、ワンストップで法務・税務を提供している事務所も多くあります。
しかし、それはあくまでも各資格を取得した人が個別にいるという意味です。

ダブルライセンスで1人でワンストップに対応できることが2人分、3人分の業務を扱うことができるということは非常に魅力的でもあります。

ダブルライセンスのデメリット

では逆にデメリットとして考えられることにはどのようなことがあるのでしょうか。
難関の国家資格のダブルライセンスを取得することのデメリットは以下のとおりです。

  • 両方の資格を取得するために手間と時間がかかる
  • 特定の分野に特化するならダブルライセンスは必要ない
  • 司法書士会費、行政書士会費、税理士会費など経費が余計にかかる
税理士・公認会計士で
独立開業を目指すなら

「会計求人プラス」

将来的な独立開業を後押しする求人案件も多数!会計専門求人サイト「会計求人プラス」の非公開求人であなたの高度なスキルを活かしながら、独立に向けたノウハウを蓄積しましょう。

ダブルライセンスは有効か?

ダブルライセンスの有効性を判断する前にまず、各資格保有者の年収に関して解説します。
「厚生労働省令和2年度賃金構造基本統計調査」のデータによれば、公認会計士・税理士の平均年収は842万円、法務従事者の平均年収は958万円となっています。

もちろん独立開業の有無、就業形態、就業規模、役職、経験年数、年齢、男女別などによって差はあります。
しかし、司法書士・行政書士・税理士などの資格保有者は総じて年収が高いことがわかります。
ダブルライセンスが有効かどうかを図る観点として、メリット・デメリットを天秤にかけて、自身としてメリット部分が大きいか、デメリット部分が大きいかによって判断することをおすすめします。

たとえば、司法書士と税理士のダブルライセンスであれば、法務・税務がワンストップで対応できる事務所は少ないので、他の事務所と差別化することができ、受注機会が増えるとうメリットはありますが、どちらも難関資格で取得するのに時間がかかるというデメリットがあります。

そもそも、司法書士や税理士の単体資格の保有者でも、前述したような平均年収を獲得できる前提があります。
人それぞれ考え方が違うので、一概にダブルライセンスの良し悪しは測れないと思います。自身に合った選択をするように心がけましょう。

ちなみに、日商簿記1級という難関資格がありますが、簿記1級を保有していても、士業の国家資格のように独立開業することはできません。簿記1級を保有している場合、資格を活かせる転職先の候補としては、主に会計事務所と一般企業の経理・財務の2つの選択肢があります。簿記1級を保有して、士業へのキャリアアップを図るためには有効かもしれませんが、ダブルライセンスとしては簿記1級は除外して考えるほうがよいでしょう。

※参照:厚生労働省「令和2年度賃金構造基本統計調査」

税理士が活躍できる求人をご紹介!

まとめ

これまで、司法書士と行政書士それぞれの資格について、どのような資格なのか、試験内容や仕事内容の違い、ダブルライセンスは将来効果的なのかなどについてご紹介させていただきました。

司法書士と行政書士の試験について、司法書士試験の方が難易度は高いです。仕事の内容については、各々の資格に専権業務があります。司法書士であれば、法務局への各種登記申請手続き代理業務や簡易裁判所での訴訟代理業務、行政書士であれば、官公署への許認可申請手続き代行業務です。

司法書士と行政書士の違いを理解した上で、どちらの資格を目指すのか、ダブルライセンスが有効かどうかは、メリット・デメリットを把握して、人それぞれ考え方が違うので、自身に合った選択をするようにしましょう。

税理士・公認会計士で
独立開業を目指すなら

「会計求人プラス」

将来的な独立開業を後押しする求人案件も多数!会計専門求人サイト「会計求人プラス」の非公開求人であなたの高度なスキルを活かしながら、独立に向けたノウハウを蓄積しましょう。

投稿者情報

会計求人プラスシニアエージェントK
会計求人プラスシニアエージェントK
会計事務所や税理士法人、一般企業の経理職など会計業界の求人情報が豊富な「会計求人プラス」を運営し、日々多くの求職者の方、会計事務所の採用ご担当者とお話をさせていただいています。
異業種から会計業界へ転職を希望している方をはじめ、これから税理士や公認会計士を目指す未経験の方や、今までの税務・会計の知識・経験を活かして年収アップやスキルアップしたい方などを全力で支援しています。
その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。

ピックアップ求人

-税理士, 税理士の仕事, 転職ハウツー
-, ,