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上場企業の経理業務とは

上場企業における経理業務の特徴とは?非上場企業と違いはあるのかを解説

2024/07/30

上場していない非上場企業の経理事務として働いていると、上場企業へキャリアアップ転職したいと考える人も多いと思います。同じ経理職でも、上場企業と非上場企業では業務内容に違いがあるのでしょうか?

上場企業ではステークホルダー(株主など)に会社の経営情報を正確に伝える役割も求められます。

一方で、非上場企業の経理は適正な決算書を作成する役割が求められ、正しく法人税等の税金を納税することが目的となります。上場企業特有の経理業務が存在し、同じ業務でもプロセスが違っていたり、株主などへの資料を作成する業務があったりと、さまざまな点で上場企業の経理業務の方が多岐に渡ります。

この記事では、上場企業の経理部門へ就職を検討している人や、非上場企業から上場企業へ転職をしようと検討している人に向けて、上場企業の経理業務を詳しく紹介するとともに、非上場企業との違いや、上場企業の経理に必要スキルや知識についてお伝えします。

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上場企業の経理業務の特徴

上場企業は、株式市場や法的要件に従って、大規模な経理チームを維持する必要があります。一方、非上場企業は、規模の小さい経理チームで経理業務を遂行することが可能です。

上場企業の基本的な経理業務

上場企業における経理業務の特徴をそれぞれの項目ごとにまとめると次のようになります。

会計処理

上場企業の経理部門は、日々の会計処理を担当します。これには、売上や支出の処理、財務諸表の作成、決算処理、固定資産の管理などが含まれます。中小企業の経理部門でも同様の業務が行われますが、上場企業の経理部門は、会計システムの構築が済んでいるため、伝票などを実施に起票したりするケースは多くありません。むしろ、日々の取引については、会計システムが自動的に処理してくれるケースが多いため、会計数値そのものを作成するよりも、会計数値を実際に分析することで会社の状況を正確に把握することが求められます。

財務報告書の作成

上場企業は、定期的に財務報告書を作成する必要があります。経理部門は、その財務報告書を作成するための情報を収集し、検証します。財務報告書には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書が含まれます。

監査対応

以下でも説明するように、上場企業は、外部監査人による監査を受ける必要があります。経理部門は、監査人とのコミュニケーションを担当し、監査人の要求に対応します。また、内部監査を実施することもあります。

資金管理

上場企業は、資金の調達や運用を担当する必要があります。経理部門は、銀行や証券会社との関係を維持し、資金調達の手配や資金運用の管理を行います。

税務

上場企業は、複雑な税制に対処する必要があります。経理部門は、法律や規制に従い、納税申告書の作成や税務調査の対応を行います。

経営分析

上場企業は、事業の成長戦略や経営課題について分析し、経営者に報告する必要があります。経理部門は、財務データを分析し、業績改善の提案や予算管理を行います。

上場企業の経理の仕事は、組織の中で重要な役割を担っています。
経理部門は、財務や税務の専門知識を持ち、組織の財務状況の管理と向上に貢献しています。

上場企業において重要な経理業務

これに加えて、上場企業の経理部門はステイクホルダーとのコミュニケーションが重要となります。上場企業の経理部門は一般に、IR(Investor Relations)部門と呼ばれています。上場企業の経理部門は、企業が株主や投資家、金融機関、証券アナリスト、マスコミなどの関係者と円滑なコミュニケーションを図ることを求められます。具体的には以下のような仕事を担当しています。

投資家・株主向けの情報提供

IR部門は、企業の業績や事業計画、財務状況などに関する情報を適時かつ適切に開示することで、投資家や株主の理解を得る役割を担っています。具体的には、決算短信や有価証券報告書などの開示資料の作成や、IRウェブサイトや投資家向けのプレゼンテーション資料の作成などがあります。

投資家・株主とのコミュニケーション

IR部門は、投資家や株主との対話を通じて、企業の戦略やビジョン、課題などについての理解を深めることを目的としています。具体的には、株主総会や投資家向けのIRセミナーの開催、投資家向けのIRイベントの企画や実施、アナリスト・インタビューや訪問などがあります。

株主・投資家の声の収集

IR部門は、株主や投資家からのフィードバックを収集し、企業の課題や改善点を把握することが求められます。具体的には、投資家向けアンケート調査や、アナリストのレポートやレーティングなどの収集・分析があります。

マーケット・トレンドの分析

IR部門は、市場動向やトレンドを把握し、投資家や株主の視点から企業の評価を分析することが求められます。具体的には、業界調査や市場分析、競合他社の動向の分析などがあります。

IR部門は、企業と投資家・株主との関係を円滑に保つために不可欠な部署であり、企業の株価や投資家の評価に大きな影響を与えることがあります。

また、基本的な経理の仕事内容や年収について、更に詳しく知りたい場合は「【未経験者必見】経理の仕事とは?平均年収やおすすめの資格を解説」の記事をご覧ください。

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上場企業の特徴的な業務

企業が上場する場合、取引所に申請する必要があります。各取引所は独自の要件を定めており、一般的にはキャッシュフローや会社の資産の最低水準が含まれます。また、その取引所のコーポレート・ガバナンスの基準に準拠する必要があります。

以下では、上場企業に特徴的な業務を解説していきます。

単体・連結決算業務

上場企業は、単体の決算書を作成するだけではなく、連結の決算書を作成する必要があります。したがって、連結決算業務が上場企業に特徴的な業務です。連結決算業務とは、複数の企業がグループを形成している場合に、そのグループ全体の財務状況を示す財務諸表を作成する業務のことを言います。

たとえば、ある企業が子会社を持っている場合、その子会社の財務情報を含めて、親会社の財務諸表に反映させる必要があります。これを連結決算といいます。連結決算業務では、親会社と子会社の財務諸表をまとめ、調整する必要があります。具体的には、以下のような作業が含まれます。

子会社の財務諸表の取得

親会社は、子会社から財務諸表の提出を求め、その情報を収集します。

情報の精査

親会社は、子会社の財務諸表を精査し、会計基準に則って調整を行います。また、子会社の投資や負債などを把握し、適切な処理を行います。

財務諸表の作成

親会社は、子会社の財務諸表を基に、連結財務諸表を作成します。これには、連結損益計算書、連結貸借対照表、連結キャッシュフロー計算書などが含まれます。

開示業務

上場企業は、証券取引所の規則や法的要件に従って、定期的に財務報告書を作成する必要があります。これらの報告書は、投資家や株主に提出されます。一方、非上場企業は、財務報告書を定期的に提出する必要はありませんが、税務目的などで財務報告書を作成する必要があります。

監査対応

上場企業は、外部監査人による監査を受けることが求められます。この監査は、投資家や株主に対する責任の一環として行われます。非上場企業は、監査を受ける必要はありませんが、税務目的などで監査を受けることがあります。

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上場企業の経理に求められる知識や経験

経理二筆おような知識や経験とは

上場企業の経理に求められる知識は、一般に、日商簿記試験2級程度と言われています。実際、日商簿記2級試験には、基本的な連結財務諸表の作成方法が試験範囲の中に含まれています。財務諸表を作る能力に加えて、財務分析能力も上場企業の経理には求められます。

上場企業では、財務諸表を分析し、経営戦略に反映させることが求められます。これに加えて、上場企業の経理には、会計ソフトウェアを使った業務が多くあります。各企業で使用するソフトウェアについての知識が必要です。最後に、コミュニケーション能力が求められます。関連部署や顧問税理士とのやりとりが頻繁に発生します。そのため、コミュニケーション能力が求められます。

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上場企業の経理職の年収とは

上場企業の経理職の年収は、およそ500万円~1,000万円程度となります。単なる経理業務だけであれば、上場企業の経理職としても最低限の年収しか得られない可能性が高いです。上場企業の経理職に求められるのは、会計情報から会社の状況を分析して、経営戦略に反映させることが求められます。

こうした業務は、経営企画と呼ばれることもあります。したがって、上場企業の経理には、単なる経理業務だけではなく、IR業務、経営企画業務が含まれていると言えます。これら3つの業務を十分に遂行できる能力があれば、平均よりも高い年収を得られる可能性があります。

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上場企業の経理は激務って本当なの?

上場企業の経理は特定の時期に監査対応などがあるため、その時期だけは激務となるのが通常です。外部監査人とのやりとりはもちろん、内部監査人とのやりとりが発生することもあります。経理業務そのものは、会計システムが発達している上場企業ではそれほどたいへんではありません。むしろ、IR業務や経営企画業務など、高度な専門知識が求められる業務を担当する場合には、激務となる傾向があります。

また、経理の仕事内容の誤解について、更に詳しく知りたい場合は「経理はやめとけってなぜ?その理由と経理職のメリットを詳しく解説」の記事をご覧ください。

上場企業への転職を検討する場合のポイント

上場企業へ転職を検討する場合には、高度な経理業務の知識は不可欠です。連結決算に対応できる能力が必要となります。また、中小企業と異なり、上場企業は、適用される法律が多くなりますし、社会的責任として対応しなければならない業務もあります。

上場企業の経理には、ステイクホルダーとのコミュニケーションが求められる以上、転職の際には、専門知識だけではなく、相手の要求にどのように応えるか、というコミュニケーション能力が求められることを忘れてはなりません。

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上場企業と非上場企業は仕事内容も業務範囲も違う

上場企業の経理には非上場企業の経理業務よりも、より高度なスキルや知識が求められることはご理解いただけたかと思います。経理職でも上場企業の決算業務や開示業務を経験した人は少ないため、転職する際にも貴重な人材として扱われるでしょう。

特に外資系企業ですと、グローバルな知識も必要となり、より広範囲の知識を求められます。しかし、そのぶんだけやりがいのある仕事であるとも言えるのです。この記事を読んでいただき、上場企業の経理へ転職を考えている人のお役に立てば幸いです。

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