
経理未経験者必見!はじめてでもわかる経理の仕事内容や基礎知識とは
2021/10/11
経理職未経験の方にとっては、事業会社など一般企業の経理とはどのような仕事をしているのか詳細まではわからないと言う方も多いのではないでしょうか。
少なくても、会社の中で、お金を扱っていて、専門的で重要な役割を果たしていることぐらいはなんとなくご理解されていると思います。
現在、一般企業の経理職はバックオフィス系の職種の中でも特に人気が高くなっており、転職しようと思ってもなかなか苦労するような状況になってきています
なぜ経理職の人気があがっているかなどもも後述しますが、今回は、経理職未経験で経理職に就業(就職・転職)したいと思っている方向けに、経理職の仕事内容や基礎知識をわかりやすく解説します。
Contents
経理とは
ここでは、経理とは何か、会計・財務とはどのように違うのかなどを解説します。
経理の業務
経理とは「経営管理の略」です。経理の業務とは、会社の日々のお金の流れに関する事象を記録・管理する業務です。
最終的には、経理部門がお金の流れを貸借対照表や損益計算書など会社の財務諸表にとりまとめ、定期的に経営陣に財務状況報告を行います。
経営陣は、経理部門が作成した財務状況報告資料に基づき、会社の経営方針を決定するため、経理部門の業務は、会社の中でとても重要な役割を果たしていると言えます。
「経理」「会計」「財務」の違い
会社のお金に関係している業務という意味で「経理」「会計」「財務」が混同されがちですが、違いはどのようなところにあるのでしょうか。
「会計」は、経営者など会社内部に報告する「管理会計」と、株主や債権者など会社外部のステークホルダーに報告する「財務会計」とに分類されます。これらの会計報告のための基礎となる資料である決算書を作成する業務が「経理」であることから、「経理」は、「会計」の仕事の中の1つとして捉えられているので、会計と経理を明確に区別しない会社もあります。
反面、「財務」は「経理」とは異なり、経営者に近い立場で資金調達・予算管理・資金運用などを検討する業務のことを指します。ただし、「財務」もこれらの検討をする際には、「経理」が作成した資料を前提とすることから、これら2つは結びつきが深い業務となっています。
わかりやすく言えば、経理は過去を見るための仕事、財務は未来を創るための仕事ということが言えます。
経理の仕事内容
ここでは、具体的な経理の仕事内容や会社の規模や業種による経理の仕事の違いについて解説します。
経理の主な仕事
経理の主な仕事は、日々の売上や仕入の処理、給与計算や振込、経費精算、資産購入や売却時の処理など、会社のお金の流れに関するさまざまな会計処理や決算業務を行うことです。
経理の主な仕事を整理すると以下のとおりとなります。
主な仕事 | 概要 |
記帳代行 | 伝票・仕訳帳・現金出納帳・預金出納帳の作成、総勘定元帳・試算表の作成 |
経費精算 | 役員・従業員の経費精算 |
給与計算 | 役員・従業員の給与計算・支払・年末調整、社会保険料の計算・納付 |
決算業務 | 会社の財務状況(貸借対照表・損益計算書)をまとめ経営者に報告、月次決算・年次決算 |
税務申告 | 法人税・消費税・源泉所得税などの計算と納付 |
請求書の発行 | 売上・売掛金の管理、請求書・領収書の発行・送付 |
資産管理 | 減価償却、小口現金・預金の管理、手形・小切手の管理など |
仕入管理 | 減価償却、小口現金・預金の管理、手形・小切手の管理など |
会社の規模や業種により業務内容や業務範囲が異なる経理職
会社の規模や業種が異なれば、営業活動の内容や業務範囲も異なってきます。経理は会社のお金の流れに関する事象を記録・管理する業務なので、営業活動の内容や業務範囲が異なれば、経理の業務内容や業務範囲も異なってきます。
以下、会社の規模や業種による具体的な経理の仕事の違いについて見ていきます。
会社の規模による経理の仕事の違い
会社の規模による経理の仕事の特徴の違いは以下のとおりです。
会社の規模別 | 経理の仕事の特徴 |
大企業・上場企業 | 会社の規模が大きいので、経理の業務が分業され、各担当の業務範囲が縮小・専門化される傾向にあります。 |
中小企業 | 会社の規模が小さいので、1人~数人で経理・会計・財務など担当する業務範囲が拡大する傾向にあります。 |
子会社・関連会社 | 親会社や関連会社の連結決算に組み込まれたり、経理業務も親会社や関連会社のシステムと統一したりする場合もあります。 |
外資系企業 | 国内の決算及び海外の親会社への決算報告の2つの業務の必要性があり、外国語も必要となります。為替処理や本国会計基準などが特殊となります。 |
会社の業種による経理の仕事の違い
会社の業種による経理の仕事の特徴の違いは以下のとおりです。
会社の業種別 | 経理の仕事の特徴 |
小売業 | 仕入管理や実地棚卸が必要となります。 |
製造業 | 製品ごとの製造コストを算出する原価計算が必要です。 |
金融業 | 金融機関や証券会社など株式等の評価が厳格です。外貨建て資産の場合には為替処理も必要です。 |
不動産業 | 不動産売買・賃貸に関する税金処理、取引価額が高額な不動産会計処理が特殊です。 |
輸出入業 | 為替処理や輸出入に関する特殊な経費、関税などの処理が特殊です。 |
物流業 | 軽油の変動リスク軽減のためのヘッジ取引の会計処理、本支店が多い場合の会計処理などが特殊です。 |
建設業 | 工事会計基準がさだめられており特殊です。 |
保険業 | 加入者への支払のための準備金計上の会計処理が特殊です。 |

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経理の仕事のサイクル
経理の基本的な仕事のサイクルは1日、1カ月、1年単位で行う業務がおおよそ決まっています。
そのため、1日単位、1ヶ月単位の業務を1つ1つ覚えていけば、仕事の内容で苦労することは少なくなると思います。
ここでは、それぞれの仕事のサイクルをご紹介します。
1日の仕事のサイクル
1日の仕事のサイクルのことを「日次業務」と呼びます。日次業務は、1日のすべての会社の取引を数値化し記録し、日々同じことを行います。
日次業務は、以下のように「毎日行う仕事」と「日によって発生する仕事」に分類されます。
毎日行う日次業務 | 現金・預金の管理(入出金・残高管理)、仕訳と帳簿への記録、伝票・書類の管理 |
日によって発生する日次業務 | 経費精算、請求書・領収書の発行、在庫管理、未払金管理・支払、仕入計上・買掛金管理・支払、売上計上・売掛金管理・支払、固定資産計上 |
毎日行う日次業務 現金・預金の管理(入出金・残高管理)、仕訳と帳簿への記録、伝票・書類の管理
日によって発生する日次業務 経費精算、請求書・領収書の発行、在庫管理、未払金管理・支払、仕入計上・買掛金管理・支払、売上計上・売掛金管理・支払、固定資産計上
1カ月の仕事のサイクル
1カ月の仕事のサイクルのことを「月次業務」と呼びます。月次業務は、1カ月のお金の出入りをまとめる目的で、日次業務のチェックなどを行います。
経営陣は、経理がとりまとめた月次決算書に基づいて経営方針を決定するため、月次決算書の作成は月初にスピーディーに行う必要があります。
1カ月の仕事の流れは以下のようになります。
【月次業務の事例】
日程 | 月次業務内容 |
前半 | 取引先の入金確認、在庫の確認、棚卸 |
月次決算書作成 | |
予算実績管理 | |
前半10日まで | 住民税・源泉所得税の納付 |
後半 | 給与計算・振込、社会保険料の計算・納付 |
伝票類のとりまとめ | |
取引先への仕入代金の支払・売上代金の請求(請求書の発行) |
1年間の仕事のサイクル
1年間の仕事のサイクルのことを「年次業務」と呼びます。年次業務は、1年間のすべての会社の取引を数値化し記録するために、月次決算・四半期決算・半期決算などを年間決算としてとりまとめて、決算書作成を行います。
そのほか、年次業務には、税務申告及び中間税務申告・年末調整・年度末実地棚卸・年数回の賞与計算と振込などがあります。
年次業務のスケジューリングは、会社の決算月に合わせて決められます。
経理職に就く上で知っておくべきポイント
ここでは、資格や最低限必要な知識とスキルなど経理職に就く上で知っておくべきポイントについて解説します。
資格は必要ないがあったほうがよい
経理の仕事をする上で、必須となるような資格は必要ありません。しかし、日商簿記2級や日商簿記3級など、会計に関連する資格を保有することは、経理職の仕事をする上であったほうがよいでしょう。
資格ですから取得することが最終目標となりますが、資格試験を学習していく中で得た経理に関する知識が、経理職の実務をこなす上で必要な知識とスキルに役立つからです。
特に転職を希望している場合は、資格がないと会計業界での業務経験が重要視される傾向があります。
業務経験もなく、資格も取得していない場合は、ITに強いや、営業経験によりコミュニケーション能力には自身があるなど、貴方の魅力を明確にしておくことをおすすめします。
最低限必要な知識とスキル
経理職をこなす上で最低限必要なスキルは、以下のとおりです。
・PCスキルでは、WordやExcelは人並み程度に使いこなせたほうがよいでしょう。
・経理職をこなす上で、会計ソフトを活用することになりますが、会社ごとに使用している会計ソフトが異なるので、最初から会計ソフトを使いこなせる必要はありません。Excelなど表計算ソフトの入力経験があれば対応できます。
・簿記の知識はある程度はあったほうがよいでしょう。転職活動で、日商簿記2級以上を応募条件としている会社もありますが、簿記の学習をしておくことをおすすめします。
なぜ経理職が人気なのか?
この数年、バックオフィス系の中でも特に一般企業の経理職は人気が高く、会計事務所にお勤めの方も経理への転職をされた方も数多くいらっしゃいます。
いくつか理由はあるのですが、経理職のほうが業務内容をイメージしやすく将来的に年収が上がる可能性が高いということと、仕事に慣れれば業務は負荷が少なくすすめることができるというようなことがあるようです。
会計事務所に勤める場合、以前と比較すると働き方改革法の施行の影響もあり、働く環境も著しく改善されてきていますが、まだまだ全ての事務所がそうとは言えない状況ではあります。
会計事務所の繁忙期などは残業や休日出勤も多くなってしまう事務所も多いです。そういった環境からワークスタイルを見直したいという方が増えていているようです。
経理職の年収が将来的に上る可能性が高い理由ですが、経理職の場合は一般企業の給与体系に則っているかと思います。その場合、企業の業績が上がれば給与水準も上がりますし、将来的な年収も企業の経営状況によって変化していくでしょう。
自己のスキル、経験はもちろんですが、企業の業績や将来性によって、年収が変化する可能性があるというのがバックオフィス系の職種の魅力でもあるのです。
それとは逆の方向としては、会計事務所にお勤めの方は税理士などの資格を取得し独立開業を目指していたり、クライアントを多く担当しコンサルティングなども行うというような自己の経験やスキルを武器に年収を上げることが可能です。
そのため、場合によっては1000万以上の年収のある方も多くいらっしゃいます。
また、ベンチャー企業の経理職も非常に人気があります。これから伸びるであろうベンチャー企業を見極め、転職することで将来的な成長を期待して転職するというキャリアパス重視の方もいらっしゃいます。
未経験でベンチャー企業の経理を目指すのであれば、少し注意が必要です。資格や知識などを持っていれば可能性も上がりますが、全くの未経験ですとスタートアップ直後のベンチャー企業の場合は、バックオフィス系の体制が整っていないこともあったりしますので、即戦力を求められていることが多い傾向です。
スタートアップ時から参画することができれば、将来的に要職に付く可能性も高くなります。
未経験の方であれば、まずはベンチャー企業のバックオフィスの体制を確認されたほうがいいでしょう。
ただし、人気職でもありますので、何か秀でた部分があるなどの特徴がないと書類選考を通過することも難しいかもしれません。
会計業界経験者であれば、ベンチャー企業への転職も可能性は大いにあります。
成長著しい企業は、IPOを目指される際には経験者を欲したり、規模が大きくなりホールディングス化する場合には連結決算の経験者をという、その状況が近づくと人材を確保しようとされる企業が多いのです。
そのため、会計事務所や大手企業で上場企業の経理や、IPO業務または、連結決算、国際基準の会計知識などを持っていると転職の際には非常に有効な武器になり得るのです。
そういった方は、IPOして一定の水準まで企業が成長したら、また新たなベンチャー企業を求めて転職をされたりするような方も多いようです。
日商簿記2級を取得していると活躍できる求人をご紹介!
まとめ
これまで、経理職の仕事内容や基礎知識などについてご紹介させていただきました。
経理の仕事は、会社のお金の流れに関する事象を記録・管理する重要な業務です。正確性を求められる上、専門的で煩雑な業務が多いので、誰にでもできる仕事ではありません。
しかし、会社の中でお金を扱う重要な役割を担っているだけにやりがいがあります。
また企業の中の1つの部門になりますので、営業職や技術職、バックオフィス職でも経理だけではなく総務や人事など多くの方が働いていると思います。
そのような組織体制の中でコミュニケーションもとって、安定してお仕事をしたい方には、経理職は魅力的なポジションと言えます。
経理職であれば、決算書なども読めるようになると思いますので、会社の経営状況などにもいち早く気付けるのも特徴です。
今回は、経理未経験の方でも、経理の仕事のイメージがわかるようにわかりやすく解説しました。
ぜひ、今回の記事を参考にして、経理の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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