会計事務所への就職・転職に有利になる役立つ資格とは?
2023/10/27
会計事務所は「会計」と「税務」の専門職であり、非常に人気がある職業の1つです。
常にクライアントの財務状況を分析し、経営者と共に戦略を考えていく、言わば共同経営者のようなポジションでクライアントをバックアップしています。
会計事務所で働く人の中には、税理士資格を取得して実務経験を積み独立開業を目指している人も少なくありません。
会計事務所に就職・転職することは将来の士業としての輝かしいキャリアプランへのスタート地点になることでしょう。
まず、会計事務所で勤務するためには会計や税務に関する専門的な知識が必要になります。
未経験であっても、会計や税務に関する資格を保有していれば会計事務所への就職・転職を有利に進めることが可能です。今回は、会計事務所が本当に求めているニーズの高い資格やスキルについて詳しく解説します。
コンテンツ目次
そもそも会計事務所で勤務するために資格は必要?
会計事務所のスタッフは「税理士や公認会計士の補助業務」を行うのが主業務となります。そのため、業務を行うために必要な必須資格は無いということになります。
会計や税務の資格を持っていなくても就職することは可能ですが、クライアントへ専門的なサービスを提供するうえで専門的な知識を深めることは必要不可欠であるため、その基盤となる知識を就職・転職する前に身につけておくことは非常に重要です。
資格は知識を習得している証明となるもので、そういった意味では就職・転職にも役にたつことは間違いないでしょう。
専門職スタッフとして向上心が大切
会計事務所業界は常に進化し続けています。会計事務所で専門職スタッフとして勤務するためには、様々な分野に向上心を持つことが大切です。
例えば、現在の会計業界にはIT活用・デジタル化の波が押し寄せており、クライアントへの会計ソフトのインストールや利用方法の指導、クラウドストレージを利用してのデータ共有など、PCやITに関する知識が必要になります。また、毎年行われる税制改正を理解しておくなど、会計事務所で勤務するためには知識を身につける姿勢と向上心が大事です。
ITツールやクラウドサービスを利用しているのと、機能を理解して活用しているのでは雲泥の差がでてしまいます。各ITツールやソフトウェアなどを理解し、活用することで業務効率化の最大化を目指しましょう。
昨今では会計ソフトのクラウド化、DX推進などの波は会計業界にも大いに関連があります。また電子帳簿保存法、インボイス制度など様々な法律も変革のうねりが大きくなっています。
ITについて理解を深めることは、今後の会計業界をリードしていく上でも、非常に有利に運べるスキルといえるでしょう。
知識の裏付けになる資格は就職・転職に有利
会計事務所で勤務するためには資格は必要ありませんが、身につけている知識の裏付けになる資格を評価する会計事務所も少なくないのが現実です。会計事務所に就職・転職を目指す場合は、業務に関連した資格を取得することが成功の秘訣と言えるでしょう。
そのためには、どのような会計事務所に就職・転職するのかを明確に定め、事務所を把握するために深く情報収集をすることが大切です。
事務所の得意とする業務、所長の人柄、経営方針などについても研究することで、必要とされる資格も見えてきますし、これからどのような資格を目指すといいのか指針にもなります。
なによりも資格を取得するということは、知識を持っている証明にもなりますので、試験合格のために勉強するだけではなく、知識として習得するための勉強をするように心がけるといいでしょう。
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会計事務所スタッフの業務内容とは?
会計事務所に就職・転職する場合は、業務に関連する資格を取得することが大切です。会計事務所スタッフがどのような業務を行っているのかを知ることで、何の資格を持っていれば就職・転職に有利になるのか分かってきます。会計事務所スタッフの業務内容を見ていきましょう。
・記帳業務
記帳業務とは、クライアントの日々の取引を伝票に起こし、月次試算表を作成する業務です。以前は伝票を手書きで作成し、総勘定元帳に転記しなければならなかったため、記帳業務に多くの時間が必要でしたが、最近では会計ソフトやクラウド会計により短時間で記帳業務が行えるようになってきています。記帳業務では、会計の基礎である簿記の知識とPCのスキルが必要です。
・巡回業務
巡回業務とは、会計事務所スタッフがクライアントを巡回し、財務状況の説明や経理指導、経営についての助言などを行う業務です。コミュニケーションと質問に対して正確に回答することができる確かな知識が必要になる業務です。
・決算業務
通常は1年に1回、事業年度を締めくくる決算業務を行います。決算業務では、日々の記帳業務を見直し、減価償却費の計上や消費税、法人税を計上することで最終的な決算書を作成する業務です。クライアントへ1年間の事業の成果を報告する大事な業務です。
・税務申告業務
法人税の申告は決算業務と同時進行で行います。利益の金額から法人税等の納付額や消費税の納付額を計算し、税務署への申告書類を作成します。税額を軽減するために利用できる特例や控除がないかなどを調査することも会計事務所スタッフの業務です。
個人事業主がクライアントの場合は、毎年3月15日までに所得税の確定申告書を作成して税務署に提出します。確定申告は期限が決まっているため、2月から3月が会計事務所の繁忙期になります。
繁忙期の会計事務所は採用業務まで手が回らないこと場合も多いので、応募する時期については注意しましょう。
会計事務所への就職・転職で有利になる資格とは?
会計事務所の業務内容をふまえて、どのような資格を持っていると会計事務所への就職・転職が有利になるのか見ていきましょう。
会計事務所(税理士事務所、税理士法人)には税理士が必ず必要となりますので、税理士資格を所有していることは当然、有利になりますので、税理士以外の資格を紹介いたします。
・税理士科目
税理士資格は1つの試験を合格すると取得できるのではなく、全11科目の中から会計科目2科目と税法科目3科目に合格することで税理士登録することができます。税理士科目の一部合格することで、その科目については税理士と同等の知識があると見なされるため、会計事務所の就職・転職には有利になります。
・公認会計士
公認会計士は国家資格の中でも難関資格と言われおり、会計のエキスパートです。公認会計士として独立開業することもできますし、税理士登録することも可能です。公認会計士の資格を保有している場合は、監査法人への就職・転職が可能です。
・日商簿記検定
簿記検定とは、会計と財務の知識を判定する資格です。簿記検定には日商・全経・全商の3種類がありますが、一般的には日商簿記検定が最も知名度が高いため、会計事務所の就職・転職に有効です。日商簿記検定は1級・2級・3級とありますが、2級以上を取得しておくと実践でも役に立ちます。1級は合格率が低く設定されていますが、合格すると税理士と公認会計士の受験資格を得ることができます。
・社会保険労務士
社会保険労務士は人材に関する専門家です。社会保険料の計算や社会保険関連の届出書の作成などを行える国家資格です。税理士の税務分野と社労士の労務分野は補完的な関係にあり、親和性が高いと言われています。社会保険労務士の資格を保有していると会計事務所で重宝されるでしょう。
・中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営を診断し、課題の解決方法に助言を行うことができる資格です。会計事務所のクライアントの大部分は中小企業であるため、中小企業診断士と税理士の相性はかなり高いと言えるでしょう。中小企業の経営診断を行える中小企業診断士の資格は会計事務所への就職・転職で非常に有利です。
・FP(ファイナンシャルプランナー)
FPは個人のライフプランの合った資金計画の助言を行う資格です。お金に関する幅広い知識を持っているため、コンサルティング業務に強いという特徴があります。FPは、所得税や資産税(相続税)を多く取り扱っている会計事務所との相性が良く、資格を持っていると就職・転職に有利になるでしょう。
・不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産を分析して適正な価格を算出する高度専門家です。難易度の高い国家資格であり、不動産鑑定士として独立開業することができます。不動産鑑定は相続税申告で必要になる場面が多くあるため、資産税を主に取り扱う会計事務所と相性がいいでしょう。
専門的な業務を行っている会計事務所を目指す際に有利となる資格
会計事務所の中には一部の業務に特化した「特化型会計事務所」があります。特化型会計事務所に就職・転職する際に有利になる資格には次のようなものがあります。
・USCPA
USCPAとはアメリカの公認会計士にあたる資格です。日本国内企業ではなく、外資系の企業や海外展開を行っている日系企業をクライアントに持つ会計事務所で活躍することができる資格です。
・BATIC
BATICは国際会計検定のことであり、会計の知識と英語の知識が必要になる資格です。USCAP同様にグローバルな会計事務所で活躍することができます。USCPAに通じる部分がありますが、USCPAよりも難易度が低く、身近な資格と言えるでしょう。
・FASS
FASSとは、経済産業省が中心となり作成された「経理・財務サービス・スキルスタンダード」を網羅した資格です。この資格を取得することで経理・財務の総合的な実務レベルを証明することができます。経理や財務のコンサルティングを行っている会計事務所と相性が良い資格です。
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資格以外に会計事務所で必要とされるスキル
ここまで会計事務所への就職・転職に有利な資格について解説しましたが、資格以外にも求められるスキルがあります。
・PCスキル
会計事務所の業務の大半はPCを利用します。会計ソフトへの入力やクライアントへ提出する資料作成などですので、基本的なPCスキルで十分対応可能です。WordやExcelなどを使用する機会も多いためMOS資格を取得するのもおすすめです。
更にIT系の知識を深めたいということであれば、ITパスポートや情報セキュリティマネジメントの取得を目指してもいいでしょう。基本情報技術者試験などもありますが、会計事務所の勤務を目指す場合は少しオーバースペックな資格と言えるかもしれません。
・経理実務経験
会計事務所の多くは10人規模のスタッフで営業しているため、経理実務経験者が優遇されることがあります。どの業種であっても経理部門は必ずあり、基本的な業務の流れも同じです。未経験で会計事務所に就職・転職することが不安な場合は、一般の会社で経理経験を積むことも1つの方法です。
会計事務所も経験よりも実務経験を重視する傾向がありますので、実務経験を積んでいるということは有利になるでしょう。
・コミュニケーション能力
会計事務所はサービス業ですので、コミュニケーション能力は必要不可欠です。特に巡回業務を行う際にしっかりとしたコミュニケーションを取ることでクライアントとの信頼関係を構築することができます。
また、将来独立開業を目指しているのであれば高いコミュニケーション力があるほど有利に運びますので、とても重要なスキルと言えます。
迷ったら簿記検定を取得しましょう
「会計事務所に就職したいが何の資格を勉強していいのかわからない」と感じた場合は、日商簿記検定の勉強から始めるといいでしょう。簿記検定で学ぶことは会計の基礎であり、会計の基礎を理解できていなければ会計事務所の業務をこなしていくことはできません。例えば、試算表の仕組みが理解できていなければ、クライアントへわかりやすく月次報告をすることは難しいでしょう。会計事務所への就職・転職するために、簿記検定の取得を目指しましょう。
ただし、簿記3級では就職・転職を有利するだけの材料にはなりにくいので、2級を目指して勉強中であることなどをアピールすることで向上心があることを伝えるといいでしょう。
まとめ
会計業界は慢性的な人手不足と言われていますが、専門性の高い職種であることから実務経験がなく、業務に関する資格を持っていない場合の就職・転職は簡単ではありません。
だからこそ、人手不足になってしまうのではないかという意見もありますが、専門性が高い業務を扱うということは、取って代わる事ができない証明でもありますので、はれて会計事務所で経験を積めれば、将来に渡り食いっぱぐれのない仕事だとも言えます
一般企業で経理を行ったり、会計事務所にパートで働いたりすることで実務経験を積むことも1つの方法です。または、ここで紹介した資格を取得することも会計事務所への就職・転職への近道です。
近年の会計業界は、デジタル化やAI技術の発達により速い速度で変化しています。記帳業務などの単純作業は自動化され、AIではできない業務の重要性が今まで以上に高まっています。これからの会計業界は「ITの活用」と「デジタル化」による業務効率化を図り、新たな様式の会計事務所として進化していくでしょう。将来性がある会計事務所で手に職をつけ、貴方のキャリアパスを描いてみてはいかがでしょうか。
近年、個人事業主やフリーランスという働き方を選択している人が大幅に増加しています。
また、電子帳簿保存法、インボイス制度、DXなど業務は複雑化したり、変革したりと、会計事務所の業務は大きく増えているのです。
そのため、会計事務所でも人材の確保は急務であり、実務経験者層の中途採用はとても難しくなってきているので。
そういった背景もあるため、IT活用し業務効率化を図り、リソースを削減したりと努力されている会計事務所も多いのです。
これから会計事務所を目指そうとしている未経験者の方、異業種からの転職など、会計業界で新たなキャリアパスを検討しているような人たちにもチャンスが多い時代となってきています。
ぜひ、会計業界であなたのスキルや資格を生かして新たなキャリアパスを築いていってください。
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異業種から会計業界へ転職を希望している方をはじめ、これから税理士や公認会計士を目指す未経験の方や、今までの税務・会計の知識・経験を活かして年収アップやスキルアップしたい方などを全力で支援しています。
その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。
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