税理士になるには何年かかる?あなたの最短ルートは?
2023/11/01
税理士は、国が認めた税の専門家です。長く活躍できる仕事であり、独立開業を目指すこともできます。ライフプランに合わせた多様な働き方も可能です。
ただし、難易度の高い国家資格であるため、数年の受験勉強が必須です。5科目合格に3年で合格できれば周囲も驚くほど早く、10年以上かかることも珍しくありません。
現在のあなたの環境で、できるだけ早く合格するにはどのようなプランが良いのでしょうか。
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コンテンツ目次
税理士試験に合格するまでにかかる年数は?
勉強に専念して税理士を目指す場合
専念型であれば勉強時間を確保できますので、1年目に3科目(会計2科目+税法1科目)、2年目(税法2科目)合格ができれば最短2年で5科目合格、も不可能ではありませんが5科目すべて1発合格することはかなり難しいでしょう。不合格科目を2年目に合格するとして3,4年で5科目合格できれば早い方です。
働きながら、育児をしながら両立して税理士を目指す場合
平日に3時間、土日祝日に6時間以上勉強するイメージで、1年目に2科目(会計2科目)、2年目に2科目受験(税法2科目)で1科目合格、3年目に2科目合格(2年目税法1科目と税法新1科目)を目安にすれば最短3年で5科目合格も可能ですが、資格取得を支援してくれる会計事務所などに勤務し、勉強時間を確保できなければ厳しいでしょう。
なぜ何年もかかるのか?税理士試験の概要
受験資格が必要
税理士試験の受験科目は、会計科目と税法科目の2種類あります。
2023年の試験より、会計科目の受験資格は撤廃されました。税法科目について、学識、資格、職歴のいずれか1つの要件を満たせば受験資格を得られます。主な要件は以下の通りです。
- 学識:大学や短大、高等専門学校で社会科学に属する科目を1科目履修している者
- 資格:日商簿記検定1級や司法試験、公認会計士短答式試験に合格した者
- 職歴:銀行の事務、法人等の会計に関する事務、税理士等の補助業務などに2年以上の従事をした者
学識の要件を満たさない方は、日商簿記検定1級合格を目指す方が多いかもしれません。ただし、合格率は10%台です。税理士登録する際に実務経験が必要になりますので、会計科目に挑みながら職歴で要件を満たすのも一案です。
受験科目・問題の難しさ
上述の通り、税理士試験では、会計科目と税法科目の2種類に関する試験が行われます。
会計科目は、簿記論と財務諸表論の2科目で、どちらも合格必須科目です
税法科目は、法人税法、所得税法、消費税法、相続税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税の9科目のうち3科目に合格しなければいけません。法人税法と所得税法のいずれかが必須で、消費税と酒税法、住民税と事業税はどちらか一方のみ選択可能です。
税理士試験は科目合格制ですので、一度に合格しなくてもよく、1科目ずつ積み重ねていけばよい試験です。税理士事務所などでは、5科目揃っていなくても「科目合格者」と呼ばれ、就職・転職時にも歓迎されます。
税法試験は特に難関とされます。難解な税法の条文を暗記し、そのうえで事例問題や計算問題にも対応しなければなりません。分量は膨大、時間内に速記する技術も必要です。
とりわけ、1年に1度しか試験が行われないことが難しさに拍車をかけます。すべての受験生が、その日のために必死で勉強しますので、受験者のレベルが高くなり、少しのミスも許されなくなるのです。
低い合格率
税理士試験の合格率を見てみると、毎年変動はしますが、おおむね会計科目で15~20%前後、税法科目は10~14%くらいです。受験者が高レベルですので他試験との合格率比較は参考にならないでしょう。勉強時間を重ねてきた8~10人の受験者の中から合格者1人、という程の難易度です。
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税理士になるには
受験資格を得る
受験資格があるか確認し、税法科目の受験までに要件を満たしましょう。日商簿記検定で時間が掛かるリスクがある方は、前述のように、受験資格不要の会計科目を受験しながら職歴要件を満たす選択肢もあります。
試験を突破する
試験を突破するには、①5科目合格する、②大学院を修了し一部科目免除制度を受けて5科目揃える、の2択になるかと思います。
免除制度には、弁護士や公認会計士資格があれば税理士試験免除、税務署職員として一定期間勤務すると免除される方法もありますが、大学院で執筆した論文を国税審議会に提出・認定されて2科目免除される方法が現実的です。
会計科目の免除には、簿記論や財務諸表論などの会計科目等の研究、税法科目の免除には、所得税法や法人税法などの税法に関する研究についての学位が必要です。一般的には商学研究科、法学研究科、経済学研究科が該当しますが、免除対象の授業が用意されているか慎重に調べましょう。
2年間で2科目合格、と考えると大学院のメリットは大きいでしょう。また、科目免除だけでなく、会計や税法についての幅広い知識や文章能力、プレゼンテーション能力なども養えます。ただし、大学院入試を突破できる会計・税法の知識と、2年間の学費の準備が必要です。
税理士登録
合格しても、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録しなければ、税理士として活動することはできません。登録には様々な書類の提出が必要ですが、特筆すべきは「実務経験2年」の証明書を勤務先に出してもらわなければならない点です。実務経験はいつの時点でも良く、学生のうちから会計事務所で働く方もいます。早く独立したい方はこの2年を義務的に感じるかもしれませんが、会計や税務に関する経験を積めますので貴重な時間です。身につけておきたい経験ができそうな勤務先を選ぶのが良いでしょう。
なお、税理士登録するためには、登録料、税理士会費、支部会費、を支払わなければなりませんので資金の準備が必要です。約30万円ほどです。
試験を突破するためのポイント
専門学校、通信講座
試験勉強は、専門学校に通学するか、通信講座を受講するか、の選択肢がありますが、専門学校に通学する方が多いようです。
通学のメリットは、講義の時間が決まっているので勉強の習慣を作りやすく、モチベーションが維持しやすい、先生に質問しやすいことなどが挙げられます。定時に仕事を終えられる方は、夜に通学することで勉強のリズムを作りやすいです。費用が高め、担当講師によって授業の質が左右されることはデメリットでしょう。
通信講座は、自分のペース、場所で勉強でき、人気講師の講義の受講や、費用が比較的抑えられることなどがメリットです。利便性は高いですが、気軽に質問する機会がない、勉強のモチベーション維持が困難である点はデメリットでしょう。勉強に対する強い意思が必要です。
科目の選択
実務で活かすことを重視するなら、法人税、所得税、消費税、相続税を選択すべきでしょう。法人税法、所得税法は他の税法に比べてボリュームが多く、内容も濃いため勉強は大変ですが、実務に直結しますので、興味をもって勉強できる科目です。合格に必要な勉強時間目安が短く、ボリュームが軽めといわれる科目(酒税法や事業税、住民税など)を選択する方も多いのですが、試験内容は難しくなりがちで「合格しやすい」とも言い切れません。
科目の選択は、実務で活かせるか、興味をもって勉強できるか、少しでも合格率の高いものにするか、といったことがポイントです。
仕事と勉強の両立
仕事と勉強を両立させたい方は、資格取得を支援してくれる会計事務所などを探すのが良いでしょう。大抵、会計事務所には繁忙期があります。年末から業務が増え、個人の確定申告業務が集中する3月、法人の決算業務が偏りやすい5月などはそれなりの業務量になります。残業が発生すると、専門学校に通えない場合や、勉強時間の確保ができなくなりますので、柔軟な勤務が可能な職場がベストです。
両立のポイントは「スキマ時間」の活用です。社会人にとっては、まとまった時間の確保は困難ですが、スキマ時間は税法の条文暗記に有効です。モチベーションを維持し、常に頭に税法を叩き込もうという強い意志が必要です。加えて、家族の協力と理解は必須です。
税理士に合格するには勉強しやすい環境を整えること
税理士試験には、とにかく勉強時間の確保が必要です。最短を目指したい方は専念型、状況的に可能であれば大学院の科目免除制度を利用して資格取得までの時間を短縮するのも良いでしょう。
税理士事務所などに勤務し、ある程度の収入を確保しながら、実務経験2年を確実にクリアしつつ、1年1科目合格を積み重ね、最短5年を目指すのもおすすめです。
どんな税理士になりたいかを想像し、自分に合った学習計画で税理士試験を突破しましょう。
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投稿者情報
- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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