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税理士の将来性とは?

税理士に将来性はある!ニーズの変化を捉えて必要なスキルを身につける

2023/11/01

税理士は専門的な知識と技能で顧客の納税を助ける仕事です。税金のシステムは複雑で、税金申告で誤りを起こしてしまえば、悪意はなくても脱税などの容疑がかけられてしまいます。

企業や個人は信用を損なわないためにも、税理士のサポートのもとに正しい納税を行ってきました。すなわち税理士は、税務の専門家として確かなニーズを有する仕事です。

しかし、そんな税理士という仕事への信頼性がゆらいでいます。AIの台頭や、RPAなど、新たな技術がでてきたことにより、税理士の仕事についてはなくなってしまうのではないかという情報が非常に多くなりました。

税理士という仕事が絶対的な存在ではなくなり、企業内で納税だけに特化した役職を置くことにも議論がなされるようになりつつあります。

しかし実際のところ、税理士という仕事・職種へのニーズがゼロになるとは考えられません。税理士へのニーズがなくなっているのではなく、税理士に対するニーズが変化しているのです。

本記事では税理士の将来性について、若い税理士やこれから税理士を目指す人なら不安に思ってしまうだろうポイントについてまとめました。

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税理士の将来性、なぜ心配されるのか

まずは、なぜ税理士の将来性が心配されているのか、一般的に考えられる理由を詳しく解説します。

税理士の高齢化と受験者数の減少

税理士の将来性が心配される理由の1つが、税理士の高齢化と受験者数の減少です。

まず税理士の数ですが、毎年増え続けている傾向があります。直近5年の推移を見ると、2018年(78,028名)2019年(78,795名)2020年(79,404名)2021年(80,163名)2022年(80,642名)と年を追うごとに増え続けています。

税理士の数が増える一方で、特徴的なのが税理士の高齢化です。日本税理士会連合会による第6回税理士実態調査のデータによると、税理士会に登録している税理士32,747名のうち、最も多い年代が60歳代(全体の30.1%)、次いで50歳代(17.8%)、40歳代(17.1%)となっています。税理士が関わるクライアントの経営者が世代交代によって若返っているところもあるため、若手税理士の活躍が期待されるところですが、どうして高齢化が進んでいるのでしょう。

税理士が高齢化している理由は、税理士試験に合格する年齢も上がっている背景があります。

まず、5年間の間に、税理士試験の受験者数は年々減少傾向です。特に「26~30歳」「25歳以下」といった20代の減少が顕著にあらわれています。一方、「41歳以上」の受験者数はほとんど変わらず、全体の合格者数に占める割合が最も高いのも、この「41歳以上」にあたります。30代以下の税理士は決して多くないといえるでしょう。

41歳以上から税理士として働きはじめるため、税理士全体の高齢化を押し上げている結果となっています。そして、税理士には定年がありません。したがって税理士の高齢化と受験者数の減少、この傾向は今後も続くと考えられます。

AIやRPA、クラウドサービスなどITの代替

近年、AIやRPAを用いたツールやクラウドサービスなど、IT技術の発達は非常に目覚ましいものです。会計や税務といった税理士業務においても、単純作業を中心に自動化が進んでいます。たとえば会計ソフトの登場・発展により、かつてに比べて会計事務にかかる時間や手間は非常に小さくなったといえるでしょう。

このようにIT技術の発達によって助けられている面がある一方、税理士業務は将来的にITに代替されるのではという懸念もあります。税理士業務はデータ入力や書類作成、計算といった作業が多いですが、これらの単純作業はITが得意とする分野です。

長い時間をかけて努力して税理士資格を取得しても、その頃には税理士の仕事はITに代替されているのでは、と不安に思われているのも事実といえます。

インターネットで気軽に手に入る専門知識

インターネットの普及により、一般人でも税務に関する専門知識を簡単に入手できるようになりました。

もちろん、単に情報を見聞きしただけでは、高度な専門知識を正しく理解し扱えるとは限りません。しかし、税理士に聞かずとも一般人が自力で解決できる部分が増えたのは事実です。会計・税務に関する疑問があっても、すぐに税理士に聞くのではなく、まずはインターネットで調べるという方法をとるケースが増えています。

このようにインターネットの普及も、税理士の将来性が悲観視される理由の1つです。

中小企業の衰退

税理士の将来性が危惧される理由として、中小企業の衰退による影響も挙げられます。

税理士の主な顧客層は中小企業です。近年、不況によって税理士がクライアントとしてきた中小企業がつぎつぎと倒産し、税理士は顧客を減らしました。また、出費を抑えるために中小企業が税理士を雇わない傾向も強くなっています。

その上、税理士の数は増加する傾向のなか、日本人の労働人口が今後減少していくことが考えられるため、過当競争が起こることが見込まれます。

しかし、不況であっても売上げを伸ばしている企業や個人事業主もたくさん存在します。経営に懸念のある中小企業に対しても、助成金、融資などのコンサルティングといったサービスが可能です。

今や税理士に求められるのは、単純な会計・税務サービスだけではありません。顧客のアンテナに留まるためには、これからの税理士は与えられた仕事をこなすだけでなく、企業を良い方向に導く姿勢が求められます。それができる税理士であれば末永く生き残っていくことができるでしょう。

税理士へのニーズは変化している

税理士に求められているものは変化している

税理士はこれからの時代で先行きが不透明で将来性が見えない仕事ともいわれます。税理士はデジタル化、人材難、コロナ禍など大きな環境変化の荒波にもまれながら、生き残るための競争に直面しているのです。

税理士に限らず、世間に存在する仕事は先行きが不透明なものも多いでしょう。AI(人工知能)が発展すれば、専門職だと思われていた仕事をコンピュータやロボットに委ねられるようになり、多くの仕事が「過去の仕事」として淘汰される可能性は否定できません。

しかし、税理士に将来性がない・税理士のニーズがなくなっているというわけではありません。税理士へのニーズが変化しているのです。これまでは会計・税務手続きの代行が税理士の主な業務でしたが、今後は専門家としての知識や経験を活かした業務へのニーズが強まるでしょう。

これらの仕事は、AIのようなロボットにはできません。納税というプロセスを通じて企業に貢献し、従業員の幸福に貢献できる税理士のニーズは常に存在し続けます。これから税理士を目指す人が意識すべきなのは、「とりあえず資格があれば将来が安心」という考えではなく、いかに「資格を武器」にするかという発展的思考なのです。

では、税理士のニーズはどこにあるのでしょうか。税理士のニーズの具体例を3つ紹介します。

事業承継・M&A

中小企業の経営者の高齢化に伴い、事業承継やM&Aの数は増加傾向です。そして事業承継およびM&Aでは贈与税または相続税が発生します。したがって適切な事業承継のためには税理士の力が必要不可欠です。

しかし、すべての税理士に事業承継やM&Aの知見があるとは限りません。言い換えると、事業承継・M&Aに対応できる税理士は需要があり、経営者の高齢化が進む中で今後さらにニーズが強まると考えられるのです。

国際税務

グローバル化が進む中、国際税務に関するニーズも強まっています。日本に限らず、諸外国の所得税・法人税をはじめ各種税務の知識があると、今後活躍できる場面が増えるでしょう。

日本で税理士資格を取得するにあたって、外国の税務知識はほとんど必要ありません。日本国内の税務業務でも、基本的には日本国内の税務知識のみが求められます。外国の税務知識は通常の業務では必要ない上、身につけるためには自ら進んで勉強しなければなりません。

しかし、外国の税務知識が必要とされる場面は存在します。多くの税理士が対応できない分野の知識があれば、それだけ仕事を得るチャンスが増えるでしょう。

コンサルティング業務

今後は入力や書類作成といった単純作業ではなく、コンサルティング業務のニーズが強くなると考えられます。

前述したように、IT技術の発展により単純作業は自動化が進んでいます。また、インターネットの普及によって一般人でも専門知識が手に入るようになりました。

とはいえ、税務は非常に複雑で高度な分野です。必要な情報を得たからといって、正しく活用できるとは限りません。そもそも主観のみで課題を正しく把握するのは難しいため、何をするべきかわからない、すなわち何を調べれば良いかわからない事態が起こり得ます。また、節税をはじめ将来を見据えた対応には、税務の専門知識を活かした上での判断が必要です。

税理士には今後、コンサルティング業務や相談対応といった、ニーズを正しく汲み取り顧客に合わせたサービスを提供する力が求められるでしょう。

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今後の税理士に求められるスキル

今後の税理士に求められるスキルを4つ紹介します。

AIやRPAを活用できる

テクノロジーの発展は目覚ましく、税理士業務においてIT技術はもはや欠かせない存在といえるでしょう。

しかし、税理士の仕事すべてをAIやRPAが担えるわけではありません。たとえば、税務申告書の代行業務、簿記・会計・監査の事務業務などはAIに取って代わるといわれています。このようにAIは過去のデータを処理するのは得意ですが、データを基に、税務の専門的な知識を駆使して、経営者に提言・指導することまではできません。

また、AIがどんなに普及しても、それを使いこなすのは人間です。税理士がAIやRPAを使いこなせるスキルを持っていれば、税務書類の作成はAIなどに任せて業務の効率化を進められます。そしてその分、税務の専門的な知識に基づいて提言・指導を行うコンサルティング業務に集中できるでしょう。

クライアントは税務書類の作成だけでなく、今後の経営に必要なアドバイスを求めています。したがってAIやRPAを操るスキルを身につけて、コンサルティング力に磨きをかければ、税理士として大きな成功をつかむ可能性が高まります。

ITツールによる業務効率化

税理士にはAIやRPAを使いこなせるスキルが必要と紹介しました。関連して、ITツールを活用し、業務効率化を進められるスキルも求められます。

税理士が活用するべきITツールとして、以下の例が挙げられます。

  • クラウド会計ソフト
  • 給与計算ソフト
  • チャットツール
  • 勤怠管理ツール
  • 電子契約・サインツール
  • 日程調整ツール

ITツールは業務に必須なわけではありません。そのためITツールの導入に対して積極的でない人も多いかもしれません。

しかしITツールの活用は、業務の効率化に大きく貢献します。コンサルティングのように人が行う必要のある業務に充てるリソースが増えるでしょう。

税理士として成功するためには、ITツールを活用して業務効率化を実現するスキルが必要といえます。

得意とする専門分野を持っている

得意とする専門分野を持っている税理士は、今後も高い需要があるでしょう。

昨今の社会のグローバル化において、日本と海外企業との取引が増えています。国を越えた国際取引で得た利益に対して、どちらの国で課税されるのか、あるいは両国で課税されるのか等、「国際税務」に関する案件も増えるでしょう。国際税務案件に対応するためには、より高度な税務知識と英語力が必要です。

国内に目を向ければ、少子高齢化に伴い、相続に関する案件数も伸びています。相続案件であれば、その家族構成や不動産の有無によって対応する内容が変わってきます。こうしたより複雑にからむ要因をまとめながら対応するのは、AIやRPAよりも人間が得意な分野です。

上記で挙げた例以外にも、専門性が求められる分野は多々あります。いずれにせよ、税理士として何らかの強みとなる分野を持つことが重要です。将来は今以上に、専門性の高い業務が増えると考えられます。

コミュニケーション能力

テクノロジーの発展により、今後は税務相談やコンサルティング業務の比重が増すと考えられます。すなわちクライアントとコミュニケーションをする場面が増えるのです。

したがって必然的に、税理士には高いコミュニケーションスキルが求められます。顧客のニーズを上手く汲み取り、状況やニーズに合わせた適切な提案やサポートを行う必要があります。

実際のところ、事務業務を中心に行っている税理士は、近い将来過酷な状況になっていくとイメージできるのではないでしょうか。今後も税理士として活躍するためにコミュニケーションは避けられず、より磨くべきスキルといえます。

税理士を目指す意味、やりがいや魅力

税理士はニーズが消えるのではなく、ニーズが変化すると考えられると紹介しました。税理士の将来性は十分に期待できます。

しかし、従来のやり方では苦しい状況に陥る恐れがあるのは事実です。現在すでに懸念事項が存在する以上、税理士という仕事の不安さを意識してしまうでしょう。将来のキャリアを考える上で、大変な思いをしてまで税理士を目指すよりも、別の仕事を目指した方が良いのでは思うのも当然です。

そこで、税理士を目指す意味として、税理士のやりがいや魅力を具体的に紹介します。

専門知識が会社経営に役立つ

税理士試験に向けた勉強や税理士としての経験を通じて得る専門知識は、会社経営に役立ちます。

会社経営には会計・税務の知識が必要不可欠です。会社経営をしながら会計・税務の専門知識を身につける勉強をするのは容易ではありません。しかし税理士試験の勉強や税理士の仕事をすれば、日々の経験を通じて会社経営に役立つ知識を自然と学べるのです。

税理士として経営者のサポートを続けるのはもちろん、将来的に自身が会社を設立する選択肢も生まれます。

国を支えている実感を持てる

税理士は納税者の税務申告や節税をサポートする職業であり、一見すると個人や企業を支える立場に思えるかもしれません。しかし税理士による適切な納税のサポートは、税を納める先である国や自治体を支えることにもつながります。

また、税理士は税務署や国税庁といった機関と直接かかわる場面も少なくありません。専門家という立場で公的な機関と接する機会も、国を支えている実感を持てる時間です。

税理士資格の取得は、国を支えている実感を持てる方法でもあるのです。

高収入で、転職に有利

税理士は高年収を得られる士業の1つである上、税理士資格は転職で有利に働きます。

国税庁が実施した「民間給与実態統計調査」によると、令和3年度の給与所得者の平均給与は443万円でした。一方、税理士の平均年収は900万円台と言われています。年代や経験によって年収の違いが大きいものの、日本の平均を遥かに上回る年収を得られるのは事実です。

また、税理士は税務相談や税務代行ができる唯一の国家資格です。税理士にしかできない業務は非常に多く存在します。もちろん、税理士の有する専門知識そのものにも高い価値があります。したがって税理士は転職市場でも需要が高く、転職に有利といえるでしょう。税理士や科目合格者を歓迎する求人は多く存在します。

転職に限らず、税理士として独立開業するのもひとつの方法です。税理士資格を取得することで、転職や独立といった幅広い選択肢をとれるようになります。

税理士も時代の変化を捉え、活躍していく

これから税理士を目指そうと考えている人や、科目合格者の人からしてみれば、税理士という職業の将来性に不安を覚えるのは当然のことです。しかし、税理士のニーズが完全になくなることはありません。そうではなく、税理士に対するニーズが変化するのです。

AI、RPAのみならず、クラウド化などの業務のIT化は今後更に加速していくでしょう。しかし税理士業務がすべて奪われるわけではありません。そして、変化に適応してIT活用して業務を進めている税理士の方もたくさんいらっしゃいます。すなわち、ITの知識を持っていて、活用する術を理解することができる税理士であれば、AIやPRAというツールを恐れることなく、使いこなし業務に改革をもたらすことも可能なのです。

また、今後は事業承継や国際税務、コンサルティング業務のニーズが強まると考えられます。顧問先の書類作成や計算業務など事務業務を中心に行っている税理士にとっては、近い将来、過酷な状況になっていくものと思われます。ニーズの変化に向けた積極的な対応も必要です。

また、税理士事務所の大半は個人事務所、もしくは10名以下の小規模な事務所となっており、税理士には定年がないこともあり所長税理士の高齢化が進んでいます。そして、ほとんどの場合は後継者が決まっておらず、このままでは所長税理士が叩けなくなったら廃業となってしまうでしょう。

このような状況からも、会計事務所の新陳代謝が加速していくものと考えられています。中規模以上の税理士法人が増加し持続性をもった事務所がクライアントからの信頼も得ることができ、拡大していくものと思われます。事務所としての在り方にも変化が求められるのです。

クライアントとの関係を築き、経営者にとって頼りとなるような立場にある税理士は、AIなどで代われるものではありません。常に差別化を図ろうと考えているような税理士には、将来にも多くの可能性が広がっていくような仕事だと言えるでしょう。

まとめると、税理士の将来性は十分に期待できます。ただし今までのやり方を維持するのではなく、環境やニーズの変化に合わせた積極的な対応が必要でしょう。

自分が税理士になった際のビジョンや目標と照らし合わせながら、いま何を準備しておくべきか、考えてみてください。

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