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税理士資格がないと記帳代行は違反?

資格なしで記帳代行をするのは税理士法違反なのか?資格があっても注意するべきポイントとは?

2024/01/25

記帳作業は時間がかかってしまったり、毎月繰り返しの作業で経理もあまりやりたくないけど、事業者にとって記帳は義務だから仕方ないと思っている人も多いのではないでしょうか。企業の経営者としては、税理士に依頼すると費用が高いので、記帳代行業者へ依頼しているというケースが大半かと思います。

近年では、記帳代行も全てオンラインで対応しているという記帳代行専門業者も増えています。記帳代行を専門としている業者の中には税理士が在籍していないケースもあるため、

  • 記帳代行は税理士資格が無いと違反じゃないのか?
  • 専門的な知識がなくても対応できるのか?

などの疑問があるのではないでしょうか。

この記事では、記帳代行が税理士資格がないと税理士法違反となるのかを検証します。また、税理士が依頼をうける場合でも注意しなくてはいけない点がありますので、合わせて解説します。

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記帳代行とは

記帳代行とは、会社に代わって、事業を通じて生じた取引の内容を帳簿に記入をすることをいいます。

日本では、個人事業主の方やフリーランスの方が帳簿への記入方法がわからないため(記帳の仕方がわからないため)、記帳を税理士や記帳代行業者に代行してもらったりする実務が行われています。

申告納税制度が採用されている日本では、納税者一人ひとりについて、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を自ら計算して確定させなければなりません。

個人事業主やフリーランスの方の場合、具体的には、青色申告や白色申告を通じて、所得の金額とそれに対する所得税を確定させることになります。

ここで、本来、記帳とは単に事業を通じて生じた取引の内容を記帳することに過ぎないものです。しかしながら、個人事業主やフリーランスの方が、企業代行業者に記帳を依頼してしまうと、事実上、記帳だけではなく、税務に関わる判断を行って青色申告や白色申告に備えるということが行われる可能性があります。

本来、記帳そのものを代行することは問題ではないものの、個人事業主やフリーランスの方のように、青色申告や白色申告を前提として記帳が行われているという実態があるため、記帳代行業者は税理士法に違反しているのではないかという疑義が生じているのです。

そこで以下では、記帳代行を行うことが税理士法に違反しているのかどうかについて説明していきます。

また、記帳代行に依頼できることやメリット・デメリットについて、更に詳しく知りたい場合は「記帳代行で依頼できることとは?外注するメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。

記帳代行に税理士資格は必要なのか?

結論から言えば、記帳代行そのものに税理士資格は必要ありません。

税理士資格がないとできない業務については税理士法で以下のように明確に規定されています。

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

ここで規定されているように、記帳代行そのものは税理士資格がないとできないとは言われていません。

しかしながら、税理士が行っている税務代理という業務は、依頼主から委任状を受け、税務に関する官公署に行う手続きを代理・代行することです。

具体的には次のような業務のことを言います。

・申告 (法人税・所得税の納税申告、住民税・事業税の課税標準についての申告など)
・申請 (納税猶予の申請、所得税の予定納税額の減額承認申請など)
・請求 (税金を納め過ぎた場合の更生請求、差押えの変更を求める差押換請求など)

ここで言われているように、税理士だけが独占業務として、法人税・所得税の納税申告などを行うことができる一方で、個人事業主やフリーランスの方が委任している業務は、単なる記帳代行だけではなく、青色申告や白色申告を行うことを目的としたものとなっているケースが多く、記帳業務だけではなく、税理士でないと本来できないはずの申告・申請・請求まで立ち入っている可能性があることから記帳代行業者に依頼することはグレーゾーンとなっているのです。

また、税理士の仕事内容や独占業務について、更に詳しく知りたい場合は「税理士の仕事内容とは?主な就職先、魅力についても解説」の記事をご覧ください。

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資格なしの記帳代行業者が税理士法違反になるケースとは

資格なしの記帳代行業者が税理士法違反となるケースとは、納税者本人の代理で確定申告書類を作成してしまうと、税理士法違反となってしまいます。

基本的な考え方として、税理士資格を有しておらずとも、「記帳代行はセーフであるが、申告代行はアウト」と考えておけば間違いありません。

税務申告の代行は、税理士だけに認められた独占業務であるため、これを犯した場合は当然税理士法違反となるので注意してください。

参考:国税庁「税理士法違反行為Q&A」

税理士の独占業務の範囲

税理士の独占業務とは

税理士の独占業務については、税理士法第2条において「税務代理」、「税務署類の作成」、「税務相談」と規定されており、これは一般に独占業務と呼ばれています。

税理士は、この独占業務を反復継続して行い、または反復継続して行う意思をもって行うことを言い、必ずしも有償であることを要せず、営利目的の有無ないし有償無償の別は問われません。

税理士法第52条において、「税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない」と規定されているので、税理士でない者については、原則として税理士業務を行うことが禁止されているので注意が必要です。

税理士は、租税法規に精通し、税法の解釈、適用並びに申告、申請、請求、不服申立て、
税務調査における主張、陳述などの実務について、高度の識見と能力を備えた税に関する法律の専門家です。

したがって、税理士の資格を持っていない人は、高度の識見と能力を備えた税に関する法律の専門家であるとは見なされません。

税理士の独占業務の一つである税務代理には、納税者の代理のみならず、納税者に代わって、事実の解明や陳述等を行うことも含むものと理解するのが一般的です。税理士は納税者に代わって税務官公署に対して行う「主張若しくは陳述について、代理し、または代行する」ため、税務、租税法全般に関する法的判断などについて高度な職業専門家としての知識、経験が要求されるというわけです。

参考:国税庁「非税理士により行うことが禁止される税理士業務」

税理士が記帳代行を受ける場合の注意点

税理士が記帳代行を受ける場合、守秘義務違反とならないように注意が必要です。

税理士法第54条において、「税理士または税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない」と規定されています。

記帳代行を行うにあたって、税理士事務所内で情報を共有する分には問題ありませんが、記帳代行のみ他の会社に再委託するようなケースでは、守秘義務違反に当たらないよう、コンプライアンスの整備を行う必要があります。

記帳代行を税理士と記帳代行業者に依頼した場合の違いとは

税理士に記帳代行を依頼した場合、記帳代行から申告まで一貫して行ってくれます。

一方で、記帳代行業者については、記帳代行ができるだけで、申告は原則として自分で行うか、企業代行業者を通じて税理士に再委託されることになります。

記帳代行は税理士に依頼したほうが費用が高いケースが多く、記帳代行は記帳代行業者に安価で依頼して、そのほかの業務に関しては会計事務所(税理士事務所、税理士法人)に依頼するという使い分けをされている企業も多いのです。

コスト優先で考えるのか、一貫して税理士に依頼して透明性を保つのか、経営者によって優先事項が違いますのでどちらが正解というようなことはありません。

まとめ

基本的に記帳代行は税理士資格がなくても対応できる業務になります。しかし、決算申告など税理士の独占業務に該当するような業務まで対応してしまうと税理士法違反となってしまいますので注意が必要です。

また、税理士として記帳代行までの業務を請け負う際にも注意するべきポイントがあります。資格がなくても記帳代行は行えますが、記帳作業を遂行するために必要となる知識や経験は必要です。

記帳代行の業務範囲を正しく理解して、クライアントの業務効率化の一助になるようサポートしてみてください。

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投稿者情報

税理士副業ライターSOU
税理士副業ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しています。会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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