簿記3級に合格しても意味ないの?活かし方は目的と自分次第!
2023/11/01
「簿記3級を取っても意味がない」「役に立たない」「不要な資格だ」という情報がネット上で散見されます。では、そのような情報がある中でどうして多くの人が受験して合格を目指しているのでしょうか?
簿記3級はまったく意味のない資格ではありませんが、その実情を追ってみると確かに「意味がない」という意見にも一理あります。
そこでこの記事では、簿記3級について解説したうえで、意味がないと言われる理由について説明しつつ、取得するメリットや目的について検証します。さらに、一つ上の簿記2級について簡単にご紹介し、比較して見てもらえればと思います。
コンテンツ目次
簿記3級はどんな資格か
そもそも簿記3級とはどういった資格なのでしょうか?まずここではその詳細について解説します。
簿記3級で身につく知識の範囲は?
簿記は、ビジネス活動で生じた日々のお金の出入りを記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする手法です。企業規模の大小や業種・業態を問わず、ビジネスシーンで広く活用されています。簿記3級では、主に帳簿や仕訳の仕組み、貸借対照表と損益計算書の関係など基本的なところについて学びます。
どのくらいの勉強期間が必要?
一般的に、簿記3級に合格するためにはトータル100時間ほどの学習時間が必要といわれています。1日どのくらいの時間を勉強に充てられるかは人によりますが、例えば1日2時間勉強すれば2ヶ月ほどで取得できる計算となります。すでに経理実務を経験している人などはもっと短い期間で合格できるかもしれません。
簿記3級の受験者、難易度、合格率はどれくらい?
簿記3級は30〜40%の合格率となっています。参考までに、最近3回の合格率は次のとおりです。
- 163回(2023年2月26日):36.5%
- 162回(2022年11月20日):30.2%
- 161回(2022年6月12日):45.8%
※参照サイト:日本商工会議所「商工会議所の検定試験 簿記」
受験者は毎回3〜4万人で推移し、その1/3くらいが合格している状況です。上記の数値から見ても、簿記3級の難易度はそこまで高くないといえるでしょう。
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簿記3級が「意味ない」と言われる理由
簿記はあらゆるビジネスで使えるため、とても役に立つ知識です。では、なぜ簿記3級を取っても「意味がない」という声が散見されるのでしょうか?ここではその理由を探ってみました。
誰でも合格できると思われている
簿記3級は内容・合格率をみても難易度が高いとはいえません。例えば、商業高校などに通う高校生であれば多くの人が在学中に取得しているようです。高校生のうちに取得できるレベルの資格となると、社会人として持つ資格としてはあまり評価されないため、意味がないと考えられているようです。
履歴書に書いても評価されない
一般的に、就職・転職活動で資格として評価されるのは簿記2級以上といわれています。そのため履歴書に簿記3級を書いたところでプラス評価とならないため、意味がないと考えられているようです。
実務で戦力とならない
簿記3級の知識であれば、経理実務を少し経験すれば覚えられる内容です。資格を持っているからといってそれほど実務に有利に働くというわけではなく、持っていないと困るほどのことはないため、意味がないと考えられているようです。
簿記3級を取る意味は?
ここまで簿記3級が「意味ない」といわれる理由について探ってきましたが、本当に意味がない資格なのでしょうか?じつは意味がないなんてことはなく、学ぶ人の動機や目的によって変わってくるところがあります。ここでは簿記3級を取るメリットや意味について解説します。
会計業界への適性判断として
簿記3級の勉強をすることによって、自分は会計業界へ適性があるのか知ることができます。例えばこんな人が当てはまります。
- 会計業界に興味がある
- これから経理に就職する人
- 将来に悩んでる人
簿記3級は受験コスト(勉強期間、費用など)のハードルが低いため、トライしやすい資格です。「会計とはこういうものだ」という触りの部分を知るうえで内容がよくまとめられた試験のため、自分に会計業界への適性があるのか判断するためであれば意味があるといえます。
上位資格のステップアップとして
簿記3級を上位資格への足がかりとして取得するのであれば、意味があるといえます。
上位資格として、例えば次のものがあります。
- 簿記1級
- 簿記2級
- 建設業経理士1級
- 公認会計士
- 米国公認会計士(USCPA)
- 税理士
など
上位資格を取るために、勢いづけやステップとして簿記3級を取る人も多いようです。
③経理補助やパート・アルバイトとして
会計事務所や一般企業の経理部では補助的な仕事をしてもらうためにパート・アルバイトを募集します。この募集条件に「簿記3級程度」といった記載がされていることがよくあります。補助的な仕事とはいえ最低限の会計知識はあったほうがいいに違いありませんので、それを証明するのに簿記3級を持っていれば意味があるといえます。
④知識・教養として
経理の仕事をしなくても、例えば投資・ビジネス・確定申告・家計簿など簿記はさまざまなシーンに活用できます。簿記3級では体系的に会計の勉強ができるので、自分自身の知識・教養として活かすことができれば意味があるといえます。
簿記2級になると何が変わる?
ここまで簿記3級について解説してきました。やはりその難易度のためか世間的な評価はあまり高いとはいえず、積極的に取るメリットを感じられない人もきっといるかもしれません。では、さらに上の簿記2級になるとなにか変わってくるのでしょうか?ここでは参考までに簿記2級の違いについて解説します。
簿記2級はどんな資格か
簿記2級になると、高度な商業簿記や3級には含まれてなかった工業簿記を勉強します。試験範囲も広がるため、一般的に合格するためにはトータル300〜400時間ほどの学習時間が必要といわれています。1日2時間の勉強でだいたい6ヶ月ほどかかる計算です。
参考までに、最近3回の合格率は次のとおりです。
- 163回(2023年2月26日):24.8%
- 162回(2022年11月20日):20.9%
- 161回(2022年6月12日):26.9%
この数値からみても、簿記3級と比べるとかなり難易度が高いことがわかります。
簿記2級は就職・転職で有利
経理職や会計事務所では簿記2級以上を採用の条件とすることが多く見られます。上述したとおり簿記2級は難易度の高い資格になります。もし実務未経験で資格だけ取得してる場合でも、持っていれば一定水準の能力が備わっていることの証明になるため、就職・転職のときにプラス評価してもらえることは間違いありません。
簿記2級は実務に活かせる
最近の簿記2級では税効果会計や連結会計など実務的な内容が含まれるようになったため、その知識を直接実務に活かすことができます。
簿記2級は副業に活かせる
最近はクラウドソーシングサイトなどで、会計ソフトの入力や伝票整理などの経理作業を外注する企業も増えています。その募集時に「簿記2級以上」を条件としていることが多く見られます。このように簿記2級は一般企業の経理ができる目安となっているようですので、持っていれば副業で活かすことができます。
まとめ
今回の記事でご紹介したとおり、簿記3級を取得しただけでは、就職・転職活動や会計知識の習得といった目的のためには活かせそうにないため、「意味ない」という声があるのも一理あります。しかし、自分に会計業界(会計事務所や経理職など)での仕事に対する適性があるのかをチェックすることや、未経験から会計知識を身につけるためのファーストステップとして考えるのであれば、簿記3級の取得は非常におすすめな資格だと言えます。
もし簿記3級を取ってみてもっと勉強したいと思うようであれば、その先の2級・1級といった上位資格にチャレンジしてみる価値はあるといえます。簿記に限らず資格でなによりも大切なことは、まず資格を取得する目的を明確にして、その目的を達成できる資格なのかどうかを判断することです。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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