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税理士試験の合格率からわかること

税理士試験の合格率や難易度を徹底解説。他士業と比較した結果とは?

2024/08/20

「税理士になりたい!」と考えてはいるけれど、高い難易度や合格率が低いことが気になり、なかなか挑戦できないでいるという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな疑問をお持ちの方にぜひ知って頂きたい税理士試験の基本内容をまとめて解説いたします。また働きながら税理士を目指すことを検討されていて転職をしようとしている方に向けて、「働きながら税理士を目指すことは可能かどうか」についても触れていきます。税理士試験とは一体どういう試験なのかについて詳しく知っておくことは、今後の試験対策や勉強スケジュールの管理等にも役立ちます。

さらに直近5年分の税理士試験合格率の一覧データや、難関とされる他試験の合格率とも比較し税理士試験の難易度について詳しく解説していきますので、ぜひご参照ください!

公認会計士と税理士の難易度の違いについては以下記事で詳しく紹介していますのでご参考にしてください。
公認会計士試験の難易度はどれくらい?税理士試験との違いとは?必要な勉強時間もわかりやすく解説

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税理士試験は難易度が高い?

勉強をして試験を受けるからには、誰しもが絶対に合格したいと考えているはずです。まずは、2019年から2023年まで直近5年分の一覧データを基に税理士試験を受けるにあたり気になる受験者数とそこからの合格者数、合格率について解説していきます。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和元年(2019年)第69回 29,779人 5,388人 18.10%
令和2年(2020年)第70回 26,673人 5,402人 20.30%
令和3年(2021年)第71回 27,299人 5,139人 18.80%
令和4年(2022年)第72回 28,853人 5,626人 19.50%
令和5年(2023年)第73回 32,893人 7,125人 21.70%

※出典: 国税庁|税理士試験

税理士試験の難易度は過去5年間の合格率から判断するととても高く、受験者は難易度の高い試験に毎年苦労していることが読み取れます。税理士試験の合格率は毎年平均して10%前後となっているようですが、この平均値から大きく遷移することは今後もあまり考えられないでしょう。今後税理士試験への挑戦を考えている方にとっては、少し覚悟が必要になるデータとなったのではないでしょうか。

他試験との合格率を比較

次に、他の難関試験の合格率とも比較し、税理士試験の難易度について考察してみます。
他資格として、ここでは公認会計士試験、司法書士試験、司法試験、医師の4つの難関資格を2023年(令和5年)のデータを参考にしています。
他試験の合格率については以下の通りです。

他試験 合格率
公認会計士 7.6%
司法書士試験 約5.2%
司法試験 45.34%
医師 91.7%

医師や司法試験は合格率が高いことに驚く人も多いようですが、試験に至るまでの過程が大きく違っています。受験者となること自体、素養が備わっているという状況の人が多いのです。
そのため、同様に士業の国家資格であっても違う種類であると分類され、税理士試験の難易度と比較されることが多いのは公認会計士だったり、司法書士などになります。

他難関資格のそれぞれの合格率と比べてみても分かる通り、税理士試験の合格率は2023年で21.7%となっています。
税理士試験は他の難関資格と比較すると中間ほどの難易度ということが分かります。

また、公認会計士は勉強時間を確保しやすい、大学生の受験生も多いことからも短期で合格を目指すケースが多い傾向であることがわかりますが、税理士は科目制度を活用しながら科目合格を積み重ねていくような流れが多く、平均でも3年以上の長期期間をかけて合格を目指すことから両者は大きく性質の違う資格であることがわかります。

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税理士試験はなぜ難しいのか

他難関資格と比べてみても、合格率が比較的低く難易度の高い税理士試験。そもそもですが、なぜ税理士試験合格の難易度は高いのでしょうか?
ここでは税理士試験が難しいと言われる、5つの項目について、詳しく解説しています。

試験科目が多い

税理士試験の難易度の高さについての理由として、まず挙げられるのがその試験科目の多さです。
試験科目については、2023年より受験資格が緩和されたことを皮切りに難易度も低くなっていくのでは?と期待される税理士試験ですが、そもそもの試験科目が多くまたその内容も幅広いため、対応するのも一苦労です。
税理士試験の科目は国税庁のHPによると、必須科目と選択科目を受験する必要があります。

<会計学に属する必須科目>
必須科目は以下の2つで、いずれも必須科目となります。

  1. 簿記論
  2. 財務諸表論

<税法に属する選択科目>
選択科目は以下の7つで、この中から3科目を選択します。ただし、所得税法、法人税法のいずれかは選択必須となります。

  1. 所得税法
  2. 法人税法
  3. 相続税法
  4. 消費税法又は酒税法
  5. 国税徴収法
  6. 住民税又はこと業税
  7. 固定資産税

それぞれの科目がどのような内容について触れているのか、また選択科目を選ぶにあたり、合格点を狙える自分の得意そうな科目は何なのかしっかりと事前リサーチを行なっておくことが大切です。
また、そんな難関資格に合格するためには限られた時間の中で内容の深い勉強を行なっていく必要があるため、学習時間をできるだけ長く取ることが必要となってきます。

税法の改正に追いつけない

税理士試験の難易度が高い理由として、次に挙げられるのが税法の改正に追いつくのが難しい点であると考えられます。
日本の税制は常に変化し続けており、税理士が税制を理解し、税制に準拠した税務を行うのは大変な労力を要します。

既に税理士資格を持ち税理士として働いている方でも最新の税制を理解するのには苦労を要するものなので、それが受験生ともなると尚更難しくなってきます。
また、税制は専門家によって独自の解釈をして活用されることも多く、改正された税制を正しく理解するのが難しいという側面もあります。
専門家は自身の知識や経験に基づいて新しい税制を理解し、正確な税務を行うことができますが、勉強中の方には知識はあっても経験がないため解釈しようとするだけでもかなりの時間を要します。

また税理士試験を受験するためには、税制に関する知識を学ぶだけではなく、実務経験を積むことが求められます。
税制の改正に追いつくためには、改正案に関する最新情報を積極的に収集し毎日勉強を行う等、常に税制に関する情報を把握し続ける必要があります。
一度購入したテキストの内容が変わってしまうと、せっかく覚えた単語を新たに覚え直さなければいけなくなるのは勉強中には大きなストレスともなることでしょう。

試験科目に合った学習方法の確立が必要

税理士試験の難易度が高い理由として、それぞれの試験科目に合った学習方法の確立が必要な点もあると考えられます。
税理士試験に合格するためには、複雑な概念や知識を理解する必要があります。それぞれの試験科目に合った学習方法を確立し適切な方法で勉強をすることが不可欠です。
また正しい知識を暗記するだけではなく、試験科目を正しく理解し、問題を解決するための応用力も必要となります。
複雑で膨大な知識を理解し、それに並行して最新の情報収集も重要であるため、税理士試験の難易度が高いのも納得です。

全て合格するまでに年数がかかる

税理士試験の合格難易度が高いのは、全ての科目で合格を目指すまでにはかなりの年数がかかるからです。
先ほどご紹介した通り、税理士試験は複数の科目で構成されており、合格するためには、試験の内容をしっかりと理解し問題を解くことが必要です。
しかし税理士試験には科目合格制度が用意されているため、一度の試験で全ての科目に合格する必要がない点は安心材料であるとも言えます。

合格を目指すまでに多くの時間を費やす必要がある税理士試験ですが、少しでも自分に合った科目を選択し効率良く勉強を進めていくことが大切です。
全ての科目に合格するまでに数年かかるとも言われているので、特に転職を考えている場合には年単位での計画を立て行動する必要があります。
難易度の高い税理士試験ですが、この科目合格制度をうまく活用することが最短で合格する鍵ともなるでしょう。

教材を探すのが難しい

税理士試験の合格難易度が高い理由の1つとして、教材の入手が難しいという点があります。税理士試験は、税法を専門的に理解する必要があるため、専門知識に関する教材の多くは官公庁から出版されていません。そのため、試験対策に必要な教材を入手するのが困難であるということが挙げられます。
また税理士試験の試験内容や試験方法については毎年変更されるため、毎年試験内容を分析しなければならず、最新情報に対応した教材を購入する必要があります。

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税理士が難しくても人気の理由

難易度も高く試験科目の多さ等により合格率も低い税理士試験ですが、それでも人気である理由は一体何なのでしょうか。
税理士試験は難しいというイメージがあるかもしれませんが、実際には少しずつ合格科目を積み重ねていくことが可能なため、
正しい勉強方法と情報収集を怠らずに続けていけば一歩ずつ合格を目指すことが可能な試験となっています。

税理士になるには、もちろん試験合格を目指さなければいけない難しさもありますが、その中で得られるメリットも多く人気の職業として知られています。
ここではさらに踏み込んで、税理士が難しくても人気の理由について詳しく解説していきます。

少しずつ科目合格を重ねながら進められる

税理士は非常に専門的な知識を必要とする職業ですが、多くの人々から人気を博しています。
その理由の1つは、少しずつ科目を合格していくことで徐々に資格を取得していくことが可能であるという点にあります。
税理士の資格試験は非常に厳しいものですが、科目合格制度を採用しているため、一度で全ての科目に合格する必要はありません。
合格するためには膨大な時間が必要ですが、それぞれの科目に特化して力を注ぐことができるので、正しい計画を立てれば効率良く合格を目指せる資格でもあります。

高い年収が期待できる

税理士は高い年収を期待できる職業という点で人気があります。
就職や転職を考える際、やはり今までの年収より高い年収を期待できる環境に身を置きたいものですよね。
会社を選ぶ条件としても、年収アップを第一に掲げている方も多いのではないでしょうか。

試験に合格し、就くのが難しいと言われる税理士ですが、専門的な技術を要する職業のため年収も高めに設定されていることが多いです。
法律を理解して税金の申告を行う上で、正しい税務知識を持った税理士の職業は社会に必要不可欠な存在だからだと言えるでしょう。

独立しやすい

税理士は独立しやすい職業でもあるため、将来的に自分の事務所を立ち上げてみたいという方にも人気があります。
独立してしまえばある程度は自分のペースで業務を行うことができるため、マイペースに働きながら高い収入を得ることに魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。
また業務内容についても、税金の計算や納税申告のサポート等を行うだけでなく税制の知識を活かした金融面のコンサルティングも可能であることから、税理士法人で働くより多種多様な業務を手がけることができます。このように、専門職のため独立しても収入を得やすいという特徴から、難しくても税理士に挑戦してみたいと思う方も多くいます。

転職に有利

国家資格でもある税理士の資格を有することは転職においても大きなアドバンテージがあるため、その点においても人気があります。
理由としては専門性が高い資格であるため、他の業種での税務管理業務等においても活用できるからです。

他業種への転職であっても税理士試験で得た知識を活かせるため、業種を超えた仕事選びができる点も、税理士の転職においては強みとなります。
税理士試験に合格した人材というのは、会計や法律等の専門分野の知識を深く学び認められた人物であるということを意味します。こうした専門性の高い知識を身に付けている人材は企業や業界を超えた環境でも活躍できると評価され、転職活動においても非常に有利な立場になります。

それでも、税理士試験はおかしいと言われる理由については以下記事で詳しく紹介していますのでご参考にしてください。
税理士試験はおかしいのか?理由やメリットが無いのかも解説します

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税理士資格は働きながら目指せます

これから税理士を目指していくためには、まずは試験合格を目指す必要がありますが、働きながら税理士を目指す人も多く見受けられます。
税理士試験は科目合格制度を採用している試験のため、一発合格する必要がないのも、働きながら勉強を続ける方が多い理由のうちの1つです。

合格した科目が1つでもあれば、また次の年に挑戦し、少しずつ受験科目を少なくしていくことが可能な試験のため働きながら試験勉強を行う社会人の方も多いですが、その方法では全ての試験に合格するまで数年単位かかってしまいます。また試験に合格するだけでは税理士として働くことはできず、税理士を名乗って働くためには2年間の実務経験が必要とされています。
そのため、より効率の良い方法を選択し実践していくことが最短距離で税理士に合格するための道のりとなります。

まずは2年間の実務経験を積める税理士事務所や税理士法人の会計事務所で働き、収入を得ながら日々の業務内容を試験勉強に役立たせることもできる環境に自分の身を置くのも効率的で有効なアイディアです。
なによりも、会計事務所であれば税理士資格を持った方が必ずいるわけですから、税理士試験の試験勉強の苦労や、学習のポイントや勉強のコツなども教えてもらえる可能性も大きいのでおすすめです。

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入社したあとに、思っていたのと違ったということになると、税理士試験勉強に集中できなくなってしまう可能性も大きいからです。

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会計業界ライターZEN
会計業界ライターZEN
税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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