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税理士・公認会計士の年収は減っている

税理士・公認会計士の年収は減っている!? 原因と今後の見通しは?

税理士・公認会計士は取得する難関度が非常に高い資格です。税理士・公認会計士の資格を保有していることを他人に伝えると、凄いというような誉め言葉をいただける機会もあるでしょう。

そんな税理士・公認会計士ですが、難関であっても試験に多くの受験者がいる理由の1つとして、税理士・公認会計士は高給であるという理由が挙げられます。知名度が高いだけでなく、資格を取得した結果、高い年収を貰えることが試験勉強へのモチベーションという方もいらっしゃることでしょう。しかし昨今、税理士・公認会計士の年収が減っているとする説があります。メディアなどで報じられた例もあるようですが、実際のところどうなのでしょうか。

そこで今回は、税理士・公認会計士の年収変化の実態と今後の見通しについて考えてみます。是非、ご参考にしてください。

1.賃金基本統計調査によれば税理士・公認会計士の年収は減っている!?

公認会計士・税理士の直近10年の年収

賃金基本統計調査から見えること

先ずは、国の賃金に関する調査に記載されているデータをあたってみましょう。

賃金基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者について、雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数などといった労働者の属性別にみた賃金の実態を、事業所の属する地域、産業、企業規模別に明らかにするため、日本国によって実施される調査です。

賃金基本統計調査において、税理士・公認会計士については「公認会計士、税理士」という1つの職種として調査がなされています。そのため、賃金基本統計調査において、税理士と公認会計士を別々に分けて賃金を調査しているデータはありません。

賃金基本統計調査によると「公認会計士、税理士」の平均賃金は、2010年には約8,202千円であったにも関わらず、2019年には約6,214千円となっており、約25%減少しています。男女別にみると、男性の「公認会計士、税理士」の平均賃金は2010年の約8,699千円から2019年の約6,958千円へ、約20%減少しています。また、女性の「公認会計士、税理士」の平均賃金は、2010年の約6,740千円から2019年の約4,657千円へ、約30%減少しています。

これだけを見ると、確かに税理士・公認会計士の平均収入は下がっているように見えます。しかし、職種全体の平均年収が600万円以上あるのは、129職種のうち13職種しかありません。そのため、仮に税理士・公認会計士の平均収入が下がっているとしても、まだまだ税理士・公認会計士は高収入の職種と言うことができるでしょう。

平均賃金が下がって見える要因とは

税理士・公認会計士の平均賃金が下がって見える要因は何なのでしょうか。平均収入が低下して見える一因として、30代以下の「公認会計士、税理士」の平均賃金の低下が著しいことが挙げられます。

30代以下の「公認会計士、税理士」の平均賃金の低下の理由として、この約10年で、異業種から税理士・公認会計士への職種転換の数が増加し、経験年数の浅い層の割合が増えたことが挙げられます。また、一昔前の若年層の公認会計士は、在学中に公認会計士試験に受かり卒業と同時に大手監査法人などに勤める人の割合が高かったことも合わせて考えると、単純に10年ほど前の平均賃金と比較して、税理士・公認会計士の年収が減っていると結論づけられるというわけではありません。

さらに、賃金基本統計調査は雇用されている労働者についての調査なので、独立開業している税理士・公認会計士については調査対象外です。所属税理士・社員税理士は税理士全体の2割程度とも言われているため、賃金基本統計調査により明らかにされているのは税理士・公認会計士の収入実態の一部でしかありません。賃金基本統計調査に記載されている税理士の年収は税理士全体の20%の人の収入であると考えられます。そういった意味でも、賃金基本統計調査だけを見て、税理士・公認会計士の年収が減っていると結論付けるのは早計です。

また別の見方として、現在税理士全体の3割を占める60代について考えてみると、2010年の50代と2019年の60代の年収を比べると2019年の60代の年収の方が高いことが分かります。つまり、同じ税理士単位で見れば、基本的に時間の経過とともに、年収はきちんと上がっていると見ることができると言えます。

以上のことから、若年層の税理士・公認会計士の平均年収が下がって見えるのには理由がある事や、同じ税理士単位で見れば経験を積み、年を重ねる事で年収が高くなると考えられることが分かりました。

参照元:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査」

2.開業税理士の年収なら「税理士実態調査報告書」で解る!

次に、開業税理士の年収についてのデータを見てみましょう。

日本税理士会連合会は、10年ごとに「税理士実態調査報告書」を作成し、公開しています。「税理士実態調査報告書」の2005年版と2015年版とを比較すると、開業税理士で年収500万円以下の人の割合は、39.2%(2005年)から48.1%(2015年)へ増加しています。ただし、「税理士実態調査報告書」の2015年版によると、開業税理士の約21%、社員税理士の約38%、補助税理士の約7%が年収1,000万円以上であり、これらを合計すると、税理士全体の2割以上と考えられます。こういった年収分布は、稼げる税理士と稼げない税理士とに、税理士が二極化していることを表しています。

また、「税理士実態調査報告書」によると社員税理士は開業税理士より年収が高い傾向が強いことも分かります。そのため、賃金基本統計調査のデータは、補助税理士が下に引っ張る形になっているのだと考えられます。

参照元:日本税理士会連合会 「税理士実態調査報告書」

3.税理士の高齢化は何故起こっているのか

税理士の高齢化が起こっている原因とは

近年、税理士試験の受験者および合格者における40代以上の割合が増えています。これは若年層の受験者が減っていることが理由です。その結果、税理士の資格取得時点での年齢が以前より高くなっています。そして、税理士全体の平均年齢も上がっています。

現時点での税理士の中心層は、全体の3割を占める60代です。士業は定年退職が無く、引退が少ないため資格所有者の数は今後増える一方だと考えられます。

では現在若年層にいる税理士はどのように活躍していけば良いでしょうか。税理士に限らず、高年齢者は一般的にITへの対応を苦手としていると言われています。そのため、税理士業界においてクラウド会計ソフトなどへの対応が今後課題となる可能性があります。また、法改正への対応も若年層の方が柔軟に行えると考えられます。逆に言うと、これらへの対応に秀でられれば、若年層の税理士にはチャンスがあると考えられます。是非、税理士としての自分の価値を差別化によって高めてください。

4.今後の見通しはどうなのか?

資格業には定年がないとはいえ、現時点でのボリューム層である60代以上の税理士について、将来的に大規模な引退が発生することは予測されています。その結果、高年齢層に偏っていた税理士の年齢層ごとのバランスが改善される可能性があり、現時点での若年層の税理士には将来大きなチャンスが回ってくるかもしれません。
また、後継者のいない個人会計事務所も少なくないため、後継者となる若手税理士と税理士法人を設立して事業承継を進めるケースや、M&Aで他の会計事務所へ事業承継をする流れも存在しています。そういった意味でも、現時点で若年層にいる税理士にチャンスが巡ってくるケースも少なくないでしょう。

5.まとめ

税理士・公認会計士の年収変化の実態と今後の見通しについて分析、考察してきました。過去10年を比較した税理士・公認会計士の収入に関する実態についてご理解いただけたのではないでしょうか。

税理士業界に限らず、今までであれば60歳をすぎると引退というケースが少なくなかったですが、少子高齢化の深刻化により、経験を積んだ税理士・公認会計士に仕事が増え、体力や気力が許す限り60代、70代でも働き続けるという風潮ができつつあります。特に定年が無い職業柄ということも大きく影響しているものと思われます。現時点で若手の税理士が60・70代になるときには、今よりもっと長く働くということが文化として定借しているかもしれません。そのように考えると、実力のある税理士・公認会計士であれば、生涯収入を増やせる可能性が高いということになります。
  
開業税理士はどんどんと競争が激しくなり年収の格差が拡大しています。記帳代行の低価格化等で、更に競争が激化していくと考えられます。そんな中、所属税理士は責任が他に比べて軽いというメリットはありますが、代わりに年収はほどほどで落ち着いてしまいます。たくさん稼ぎたいのであれば、税理士法人の社員税理士か開業税理士を目指すべきですが、前者は簡単に取れるポジションではないこと、後者は他の税理士との競争に勝たなければならないことに注意が必要です。

ただし、現時点で若年層にいる税理士にもさまざまなチャンスがあります。チャンスをものにするためにも、今後も広く情報収集をすることが重要です。
特にITの活用については、若手の税理士だからこそ持てるスキルではないでしょうか。

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