税理士に何を依頼できるのか?報酬額の相場とは
2023/11/01
働き方が多様化し、独立して個人事業主として開業する人や、会社員のまま副業をする人が増えています。初めての確定申告だと、言葉の意味もわからないため「何をどう計算したらよいのか」がさっぱりわからないものです。
また、思いのほか売り上げが伸びたため、「どのくらい税金を納めることになるのか不安だ」という人もいるでしょう。そんなときは税務の専門家である税理士に相談するのがおすすめです。そこで、今回は税理士の独占業務や依頼できる仕事の内容、注意点などについて紹介します。
税理士の資格を持っている人や、これから税理士を目指す人にも、税理士の魅力や、やりがいなどについて見直すきっかけになれば幸いです。
☆まず知っておこう!税理士にしかできない独占業務
税理士資格を持つ人だけが行うことができる独占業務には「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つがあります。これらの税に関する業務は税理士以外が行うことを法律で禁じられています。「税務代理」は、確定申告などの税金の申請や申告を本人に代わって手続きを行うことです。
企業と顧問契約をした税理士なら税務権限が与えられるため、税務調査が入ったときでも税務調査の対応を代行できます。「税務書類の作成」とは、税務代理の業務の一部となる確定申告書や相続税申告書などの書類を作成する業務です。
「税務相談」は、法人税、所得税、消費税、相続税、贈与税などの税務に関する相談に回答する業務です。税務無料相談会などで税理士会に所属する税理士が輪番制で担当しています。これらの3つの業務は、有償、無償に関係なく、税理士か税理士法人にしか行えない業務と「税理士法」で決められています。
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☆何ができる?税理士に依頼できること
税理士には、独占業務に付随する以下の業務を依頼することができます。
「会計指導」は、企業で会計や経理を担当する部署に対して、日々の仕訳や売掛買掛などの管理の指導などを指導することです。伝票起票の方法や勘定科目の説明などのほか、税理士事務所で使っている会計ソフトの使い方などを指導します。
「記帳代行」は、小規模企業など内部で経理の知識を持つ従業員がいない場合などに、日々の現金預金の出納や売掛金の回収などの記帳処理をすべて行ってもらうものです。つまり、企業の経理全般を税理士に担当してもらうことになります。
そのため、経理担当の従業員をひとり雇うよりも、専門家に丸投げすることで人件費も削減できるメリットがあります。「起業支援」は、会社設立の際に生じる書類の作成や事業計画のサポートなどを行う顧問的なサービスです。
「資金調達支援」は、金利の低い資金調達先の紹介や融資の審査に通るコツ、返済計画などのアドバイスを行います。「税金対策」は、法人や個人事業主、一般の相続税など、幅広く節税対策の提案をしてくれるサービスです。
「年末調整」とは、個々の従業員の年間の税額を過不足なく正しく計算し直して清算するものです。年末調整後の源泉徴収票や支払調書などの法廷調書の作成も行います。「給料計算」は、従業員の勤怠データをもとに、社会保険料や源泉所得税などを算出し、一人ひとりの給与支給額の計算を請け負うことです。
給与明細書の作成も行うこともあります。その他にも、事業承継、事業再生、会計参与、内部管理体制の見直しなど、顧問として経営アドバイスなどの業務も行います。
税理士に費用として支払う顧問料は法人と個人事業主によって相場が違うのが一般的です。 また、年間売上高、毎月の訪問回数(顧問先を訪問する回数)によっても金額は違ってきます。企業の規模によって顧問料違いがあることがほとんどで、法外な金額を要求されてしまうなどということはありません。
☆要注意!税理士以外に業務をたのむとどうなるか
上記の説明の中には、税理士でなくても簿記の知識があればできる業務も含まれています。たとえば、記帳や給料計算などは、企業の経理担当なら問題なくできる業務です。また、税理士に顧問をしてもらっていろいろと相談するうちに、税務の知識が身についた人もいるでしょう。
そういう人に税務相談をして確定申告を代わりにやってもらおうと考えることがあるかもしれません。
しかし、それらの行為は、税理士の独占業務に当たるため、たとえ無償にしても税理士以外の人が行うことが許されない業務になります。会社の経理を担当していて決算や納税準備まで行っていたため、ある程度知識がある人でも、税理士の独占業務に当たる業務をたのむと税理士法に抵触するため気をつけてください。
「お金をもらわずに気軽な相談だけなので儲けなければ問題にならないだろう」ということはありません。たとえ、利益の出ない無償の場合でも独占業務を税理士以外の人が行うことは税理士法に抵触するため注意してください。
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☆判断基準!税理士に依頼するタイミング
ある程度の規模の企業なら、弁護士や税理士などの専門家と顧問契約をしているのが通常と言えるでしょう。特に税理士の場合は、一般的な企業であれば税理士とのお付き合いを既に行っている場合がほとんどかと思います。
では、まだ顧問税理士と契約していなく、税務に関する業務について税理士に依頼すべきかどうかは、どう決めれば良いのでしょうか。ひとつの方法として、「現状の売上高から税理士への報酬を無理なく払えるかどうか」を判断基準とすると良いでしょう。
売り上げが多いということは、その分、事業税も多く納める見込みになりますので、どこまで節税できるかの検討をしたほうがよろしいかと思います。間違いなく今後の事業計画にも大きく関わってきます。
そんなときには、素人の浅知恵ではなかなか効果的な節税対策にもならず、下手をすると国税庁に痛くもない腹を探られることにもなりません。そのため、難しい税務処理は専門家に任せたほうが安心でき、何かの折には責任を持って対応してもらえるため、本業にも専念できます。
個人事業主の場合は、起票から記帳まで自分で行えるなら、すべての業務を税理士に依頼することはありません。取引先が少なく、売掛金や買掛金の管理が煩雑でなければ、最終的な確定申告だけを依頼するということもできます。
しかし、「家事按分が複雑と感じる」「日々の現金出納も適当」「ただ領収書やレシートをためてあるだけ」という人は専門家に処理を依頼したほうが結果的には節税になるでしょう。思いのほか売り上げが多く、「会社規模にしたほうが節税になる」という場合でも、税理士に依頼すれば会社設立の際にも何かと頼りになってくれるでしょう。
☆まとめ
税理士の独占業務は税理士にしか依頼することができません。税理士事務所ではそれぞれさまざまな業務を請け負っています。ひとりでひとつの企業を巡回してすべての業務を請け負う場合もあれば、何人かで担当する場合もあり、業務の仕方は異なっています。
自分自身がどこまでの業務をこなせるかによっても、税理士との付き合い方は異なります。業務を効率化したいと考えている経理担当者や個人事業主は対象となる業務の得意な税理士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
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投稿者情報
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