なぜ公認会計士がビジネスシーンにおいて必要とされるのか
2023/10/27
公認会計士の仕事は、医師や弁護士と並ぶ三大国家資格の一つだといわれています。財務情報のスペシャリストともいえる公認会計士は、求められる役割や仕事内容が幅広く、活躍できるシーンが多岐に渡ることが特徴です。
それでは、公認会計士の仕事はビジネスシーンにおいて、一体どのような必要性があるのでしょうか。公認会計士の必要性や強みについて理解しておくことで、今後の転職やスキルアップに役立てることができるでしょう。
ここでは、公認会計士がビジネスシーンで必要とされる理由や監査の必要性、公認会計士の仕事がなくなるとどうなってしまうのかという点を解説します。
コンテンツ目次
なぜ公認会計士が必要とされるのか
公認会計士が刻々と変化する経済社会において、必要とされる理由には以下のものが挙げられます。
まずは主だった業務として最も大きな役割である「監査業務」です。
企業には通常、債権者や投資家などのさまざまな関係者が存在します。その関係者達にとって、企業の財務状況は正確に把握しておきたい重要な情報といえるでしょう。
企業の財務状況を明確にするうえで、欠かせないのが「監査業務」です。
監査業務とは、企業が作成した決算書に誤りや偽りがないかのチェックを行い、監査報告書を発行する業務を指します。最大のポイントは、この監査業務は公認会計士の独占業務であるということです。
上場している企業は、法律によって会計監査を必ず受けなければならないという決まりがあります。監査業務をスムーズに行うためには、専門的な知識が欠かせません。そこで、活躍するのが公認会計士です。豊富な財務知識を有する公認会計士は、企業の監査にとって必要不可欠な存在なのです。
日本公認会計士協会の公式サイトには下記のように公認会計士監査業務について解説されています。
公認会計士監査は、その内容を検証して、「適正」か「不適正」かを判断した結果を報告するという意味で、保証業務であるといわれています。金融商品取引法では、すべての上場会社に公認会計士監査を義務付けています。公認会計士が企業の財務情報を検証し、その正しさを保証することによって、投資家は安心して投資活動を行うことが可能になるのです。
また、法令等で監査が義務付けられているのは上場企業だけではありません。学校法人、独立行政法人、社会福祉法人、医療法人など、その財務諸表の適正性を保証することが求められている事業体や団体等は、それぞれの法令等で監査が義務付けられています。
このように公認会計士監査は、公共の利益を擁護するためにさまざまなところで機能しています。
企業の財務情報が正確であることを証明するための業務というのが監査であることからも、如何に重要な業務なのかを推し量れるかと思います。
さらに、公認会計士は難関資格であり、人数が足りていない傾向だといわれています。公認会計士の数が少ないことや企業にとって欠かせない監査業務を担うことから、公認会計士は景気に左右されにくく、需要が高い職種といえるでしょう。
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もっと詳しく!監査はなぜ必要か
公認会計士のみ対応することができる独占業務である「監査業務」。では、「監査業務はなぜ必要なのか」と疑問を持つ人もいるではないでしょうか。
監査が必要な理由には、まず「決算書が正しく制作されているのかチェックする」という点が挙げられます。たとえば、企業が制作した決算書に嘘や偽りがあり真実が示されていないと、間違った情報が債権者や投資家に伝わってしまいます。こうした粉飾決算が発覚してしまうと、会社の信用に大きなヒビが入る原因になりかねません。
また、投資家などは企業に投資をするための指標として財務情報などを分析するわけですが、その内容に虚偽があれば正しい判断をすることができず、場合によっては大きな損卒を生むことになりかねません。そのため、完全な第三者である公認会計士による監査業務によって財務情報が適正であると証明されることは、投資家や金融機関にとっても非常に重要なことなのです。
こうした事態を避けるためにも、決算書は嘘や偽りなく正しい情報を開示することが求められます。そして、その情報が正しいという証明に、必要なのが公認会計士による「お墨付き」です。真実の証明や社会的信頼性を高めるためにも、公認会計士による監査は欠かせない要素といえます。
監査業務の流れとは
公認会計士の監査は下記の様な流れで実施されます。
第三者として財務書類が適正であることを証明するため、綿密なチェック業務が行われ、更にはミスや不正が発生しないような体制で進められます。
1. 予備調査
監査の相談を受けるとまずは、依頼をうけた監査人はまず、公認会計士としての責任が果たせる状況にあるのかどうかを確認します。
例えば、クライアントが監査に協力できる体制をもっているのか、監査に対応可能な内部統制がきちんと構築されているかどうかなどを調べます。
非常に重要なフェーズで、監査業務を遂行できるのかどうかを判断します。
監査は試査により行われますので、もし内部統制が構築されていないクライアントであれば、その構築から始める必要があります。
2. 監査計画の立案
管理組織のレベル、内部統制の整備・運用状況、実際の取引などを分析して、誤りがある可能性の高い部分を抽出します。この間違いの可能性の高い部分はリスクと呼び、そのリスクを集中的に監査することによって、より効率的な監査を実施することができます。監査計画立案において最も重要な段取りであるのがリスク・アプローチになります。如何にリスクを正確に抽出できるかが公認会計士の評価にも繋がります。
3. 監査手続の開始
監査計画の立案結果に基づいて具体的な監査手続を進めることになります。通常は数名のチームで構成され、大企業であれば数百名規模の人員がアサインされれる場合もあります。勘定科目を「売上」や「仕入」などでわけ、それぞれに担当者が決められます。実査・立会・確認・勘定分析など監査手続を効率的に行い、監査証拠を積み上げることをしていきます。
4. 監査意見の形成
各担当がそれぞれの勘定科目に記載に誤りがないと確信できるところまで徹底的に調べ結論がでると、その業務の過程を監査調書として現場の責任者(主査)に報告することになります。現場責任者(主査)はそれらの報告をまとめ、相互の関連性や整合性を加味しながら、全体としての正しさを検討することになります。検討結果を監査責任者(業務執行社員)に報告し、最終的に監査責任者が適正かどうかを検討して、監査チームとしての意見をとりまとめます。
5. 審査
とりまとめられた監査チームの結論を、その監査に関わっていない、第三者として別の公認会計士が客観的な視点でチェックをします。このことを「審査」と呼び、上場企業を監査する事務所には必ず「審査担当」を置かなくてはいけないことを日本公認会計士協会で義務付けられています。監査現場を見ていない審査担当は、監査責任者から監査意見形成の過程の説明を受け、監査調書を査閲し、その判断が適切かどうかを客観的に判断します。
6. 「監査報告書」の提出
公認会計士監査の報告書はこのようにして作られます。「監査報告書」は監査責任者が自筆のサインをして、監査したクライアント企業の取締役会宛に提出することになります。企業は財務諸表にこの「監査報告書」を付けて、自らが作成した財務書類に間違いがないことを明らかにします。
監査をうけて財務書類が適正であることを証明することで、信頼性が担保されていることになります。
公認会計士の仕事がなくなるとこうなる!
公認会計士の仕事がなくなると、決算書をはじめとした財務情報の信頼性が低くなるリスクが高まります。すると、その情報を信頼しきれない資本家から、経営者への財産の委託ができなくなる可能性があるのです。
それに加えて、お金が回らなくなることで会社経営の運転資金に困ったり、企業の資金調達のコストが上がったりする可能性もあります。
会社に必要なお金が回らなくなってしまうと、結果として経済社会が停滞する大きな原因にもなりかねません。経済を円滑に回すためには、債権者や投資家が不安なくお金を出せる環境を整えることが大事なのです。このように、公認会計士の仕事は資本主義を支えるうえで欠かせない仕事といえます。
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公認会計士に求められているものとは
社会における信頼性の高さや市場のニーズが高いことが魅力の公認会計士。公認会計士として成功するためには、以下の3つのスキルが必要だとされています。
情報処理能力
何よりも重要なスキルともいえますが、公認会計士はただ数字に強ければ良いというわけではなく、その数字からさまざまな情報を読み取り、多角的に分析する能力が求められます。
さらに、その情報を素早く整理して情報処理するスキルも大切です。的確に情報を取捨選択しながら問題を解決に導く、正確でスピーディな処理能力が求められます。
守秘義務
公認会計士の仕事は、企業の核となる機密情報に携わる仕事です。そのため、企業やクライアントの経済状況や大切な情報は、外部に漏れないよう、徹底的に管理する必要があります。安易に誰かに情報を漏らしたり、きちんとデータを管理できていなかったりすると、企業やクライアントからの信頼を損ねる大きな原因につながります。仕事を円滑に行うためには、企業やクライアントとの揺るぎない信頼関係を築くことが欠かせません。
そのため、酔って電車にパソコンの入った鞄を置き忘れてしまったというのは論外ですが、公共の場では会話の内容に気をつけたり、データの管理を徹底したりすることが重要なのです。自分自身の倫理観や守秘義務を守れるかどうかは、公認会計士として成功を目指すうえで大切なポイントといえます。
判断力
会計に関する深い知識を身につけたうえで、合理的かつ正確な判断をする能力が求められます。監査業務に携わっていると、なかには高度な判断力が求められるケースもあるでしょう。こうしたときに、誤った判断を下してしまうと、自分自身の評価だけではなく、企業の社会的な立場まで下がってしまうおそれがあります。業務に携わっているときは数字に目を光らせて、正しい情報と誤った情報をきちんと見極める判断力を身につけることが重要です。
それに加えて、間違った情報があるときに、根拠を提示して企業やクライアントを納得させる「交渉力」も必要不可欠です。明確に理由を説明できる能力を身につけることで、より企業からの評価や信頼を高めることができます。
このように、公認会計士は情報処理能力や守秘義務、それに加えて判断力や交渉力など、幅広い能力が求められます。これらのポイントを押さえて日々の業務をこなすことで、クライアントからの信頼を得ることもでき、自身のスキルアップにつなげることもできるでしょう。
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まとめ
監査業務がなければ、資本主義社会は円滑に回らなくなってしまいます。
資本主義社会がうまく回っていくためには、公認会計士の存在が必要不可欠なのです。公認会計士として活躍を目指すためには、自分のスキルを最大限に活かせる働き先を見つけることが大切です。
また、公認会計士としての経験やキャリアを積み上げることにより、監査法人や公認会計士事務所だけではなくコンサルティング会社、一般企業の監査役としても高い評価をうけ転職をすることも可能です。
公認会計士資格を取得していれば、税理士資格も無試験で取得することも可能ですので、業務の幅を広げ、独立開業という流れをすすむ人も少なくありません。
公認会計士試験は大学又は大学院に在籍中に合格するというケースが多いのですが、卒業後に就職せずに勉強に集中し数年で合格するという方も多いようです。
それだけ勉強に時間を費やさないと合格することが困難な超難関資格であることが伺えるかと思います。
「質」の難易度が高いといわれえる公認会計士試験ですので、働きながら勉強も平行するということが難しいのでしょう。
それだけの難関を突破して晴れて公認会計士となれたのであれば、それだけでも評価が高いというのはご理解いただけるかと思います。
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その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。
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