司法書士の就職・転職は未経験でも可能?成功させるポイントとは
2024/01/25
司法書士の資格は、国家資格の中でも難易度が高いため、何年もかけて取得するケースがほとんどです。取得に時間が掛かる事から多くの人が合格するまでの間に別の仕事に就いています。また、合格後も実務経験が乏しいため、就職や転職に不安を抱える人も少なくありません。
この記事では、未経験でも司法書士に就職・転職できるのかを解説するとともに、就職・転職の成功ポイントについて触れていきます。
コンテンツ目次
未経験でも司法書士に就職・転職できるの?
司法書士への転職や就職は、実務経験がなくても可能です。ただし、司法書士と謳って仕事をするためには、司法書士試験に合格して資格を取得する必要があります。司法書士試験は、最も難易度が高い国家資格のひとつとされ、令和3年度司法書士試験では、合格率が約5%でした。このように、簡単に取得できない資格ですが、司法書士の資格がなくても、「司法書士補助者」という選択肢もあります。司法書士の仕事や司法書士試験については、以下のページでご紹介しています。
司法書士の資格の魅力とは?取得までの流れ・仕事内容を紹介
司法書士の年収は高いのか?会計事務所に勤務するメリットとは!
新卒で就職する
大学在学中に、難易度の高い司法書士資格を取得しておくと、就活において非常に有利です。多くの人が、仕事をしながら資格取得を目指す中で、すでに司法書士試験に合格していると、高評価を得やすいでしょう。司法書士事務所だけではなく、銀行や不動産会社など、司法書士のスキルが重宝される職業への就職も期待できます。
新卒向けの求人の場合、転職や中途採用とは異なり、実務経験を問われることはありません。まず、大切なのは、企業と就職希望者とのマッチングです。理念や目指すところが近いと、就職後の業務もスムーズに進められるでしょう。履歴書や面接では、企業に対する理解度の高さや自分が企業に貢献できるポイントをしっかりアピールすることが大切です。
また、社会人に必要な基礎能力も必要です。特に司法書士の仕事は、事務作業だけではなく、クライアントからの相談対応やアドバイスをする業務もあるため、高いコミュニケーションスキルが求められる場面があります。
社会人から転職する
司法書士に転職をする場合は、中途採用向けの求人を探す必要があります。中途採用の場合、募集条件に実務経験を提示しているケースが多く、法務を5年以上経験している人や前職で組織マネジメントをしていた人などであれば、即戦力になるため重宝されるでしょう。
しかし、中には実務未経験で応募できる求人もあるので、応募する際は募集条件を細かく確認することが大切です。
40~50代から転職する
令和3年度司法書士試験では、受験者の平均年齢が41.79歳でした。実際、現役で働いている司法書士の平均年齢は50歳といわれています。働きながら資格取得に向けた勉強もできるので、第二の人生を想定して資格取得を目指す人も多いでしょう。
年齢制限を設けている求人は比較的少なく、司法書士の資格があれば、高齢でも転職しやすいといえます。例えば、相続に関する業務や成年後見人業務を中心に手がけている司法書士事務所では、クライアントの年齢層が高く、新卒や20代の若手よりも、40~50代の落ち着いた年代を募集する傾向にあります。
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司法書士を目指す方におすすめの就職・転職先
司法書士試験に合格し、司法書士の経験を積んでいくためには、マッチする就職・転職先を見つける必要があります。司法書士の資格を活かせる職場は、司法書士事務所だけではありません。続いては、司法書士を目指す人におすすめの就職・転職先をご紹介します。
司法書士事務所
司法書士を目指す人の多くが、司法書士事務所への就職をイメージしているでしょう。将来、独立を目標としている人も、司法書士事務所で実績を積んでから開業するケースが一般的です。
司法書士事務所と一括りにしても、取り扱っている案件はさまざまで、登記をメインに手がけるところもあれば裁判業務をメインとしているところもあります。大規模な司法書士法人に勤めれば、複数の業務をこなすことになるでしょう。事務所によって得られる知識やスキルが異なるため、自分が何を求めているかを明確にしたうえで、就職・転職先を選ぶことが大切です。
気になる勤務司法書士の平均年収は200~400万円程度です。就職する事務所や実績によって年収は異なります。大規模な事務所で経験を積んでいくと、一般的なサラリーマンよりも多く稼げるケースもあります。
他の士業事務所
司法書士の資格を取った後に、その他の士業事務所で働くケースも多いです。例えば、弁護士や公認会計士が所属する事務所でも、司法書士のスキルは重宝されます。また、さまざまな士業の資格を持つ人が働く総合的な法律事務所を選ぶのもひとつの手段です。こうした法律に関する仕事をワンストップで行う事務所では、司法書士事務所で体験できない業務に携わることもできます。
弁護士のもとで働くパラリーガル(法律事務員)として働く場合の年収は、350万円程度です。司法書士事務所と同じく、大規模な事務所や特許関係を扱う事務所になれば、さらに年収が上がる可能性があるでしょう。
一般企業の法務部
一般企業の法務部でも、司法書士の専門知識を活かせます。特に、近年はコンプライアンスに関する問題が多くあり、企業内でも法律に詳しい人が重宝されるようになりました。また、銀行や不動産関係など、法律と密接に関わる企業でも重宝されます。大企業の法務部に採用されれば、司法書士事務所よりも良い待遇を受けられることもあるでしょう。
一般企業で法務職を行った場合の年収は、575万円程度です。新卒でも400万円前後とされており、事務職と比べると高収入が期待できるでしょう。
独立開業・フリーランス
司法書士事務所や一般企業で実績を積んだ人が、独立開業やフリーランスの道を選ぶこともあります。司法書士は他士業と比べて、独立しやすいといわれており、資格さえ取得すれば場所を選ばず開業可能です。自宅を事務所にしているケースも多いです。
独立開業を目指す人のほとんどが、年収アップを目指しています。独立したばかりの段階では、司法書士事務所に勤務した場合よりも年収が低くなる可能性もありますが、人脈を開拓し順調に仕事を得ていけば、年収1,000万円を超えることもあるでしょう。
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就職・転職の流れ
司法書士としてスムーズに就職・転職するためには、求人探しから面接までの流れを押さえておく必要があります。続いては、司法書士の就職・転職の流れについて、段階ごとに解説します。
求人を探す
就職や転職におけるはじめのステップが、求人探しです。新卒の場合は、新卒者向けの求人サイトを見る必要があります。また、転職者であれば中途採用を募集している求人を探します。
司法書士の場合、司法書士事務所や一般企業のウェブサイトでも、求人募集ページが設けられていることがあります。運よく、自分の希望とマッチする企業が見つかれば、求人募集ページから応募するのもひとつの手段です。
しかし、一社だけの情報では他社との比較がしづらく、本当に自分に合った企業かどうか判断できません。特に、転職を希望する場合は、現職よりも快適に働ける職場を選ぶ必要があるでしょう。そこでおすすめなのが、会計業界に特化した転職エージェント会社を活用する方法です。希望やスキルを分析したうえで、より適した企業を第三者目線で選んでもらえるため、就職後も長く勤められる可能性が高いといえるでしょう。
書類選考
書類選考を通過できなければ、面接まで進めません。まず、共通事項は、誰が見てもわかるように簡潔な内容にまとめましょう。このとき、結論から先に書くようにするとわかりやすくなります。
続いて、重要なのが志望動機です。抽象的な内容ではなく、なぜ応募したのかを具体的にまとめる必要があります。例えば、応募した企業が求めているスキルや性質があること、理念に共感したこと、今後のキャリアビジョンなどを簡潔にまとめ、担当者に明確に伝えることを意識しましょう。
また、新卒就職と転職でアピールの仕方が変わります。新卒の場合、過去の経験をもとに、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)や自己PRを書きましょう。この時、学校生活やアルバイトなどで得た学びや自分自身の長所が、今後の仕事にどう活かせるかを伝えることがポイントです。一方、転職の場合は、前職の実績や経験が必要です。前職が司法書士の仕事と無関係だとしても、過去に得たスキルが転職先にマッチしていれば、自己PRの強みになります。文章にするときは経験やスキルに加えて、仕事への積極性や適応力もアピールできる内容になるよう心がけましょう。
面接
面接では、事前によく聞かれる質問を把握して、答えを用意しておくことが大切です。自己紹介や志望動機については、はじめに聞かれることが多いので必ず準備しておきましょう。新卒者の場合、学校で得た経験やスキルを踏まえながら簡潔に応える必要があります。一方、転職を希望する場合は、前職を退職した理由も聞かれるでしょう。前職に対する批判的な内容ではなく、自己分析をしたうえで、反省点があれば素直に伝え、これからの前向きな展望を話すことが大切です。
面接の最後には、逆質問をされる可能性があります。逆質問に対してうまく対応できず、悔しい思いをする人も少なくありません。逆質問では、応募者の意欲が試されます。質問をしないと、会社に興味を持っていないと判断される可能性があるため要注意です。また、コミュニケーション能力をアピールするチャンスでもあります。事前に、応募企業の情報を調べておき、企業に関する質問をすると好印象を与えられるでしょう。
志望先によっては、二次面接まで段階を踏んで行われるケースがあります。面接方法に関して事前にリサーチしておくと、安心して面接に挑めるでしょう。リサーチをする際には、転職エージェントの活用をすることで様々な情報を得るきっかけにもなるのでおすすめです。
就職・転職を成功させるポイント
司法書士試験に合格しても、就職・転職のポイントを押さえておかなければ、就活失敗に終わる可能性もあります。そもそも、司法書士の就職は、一般企業に勤めるよりもハードルが高いです。ポイントを押さえておき、司法書士の就活を成功させましょう。
「司法書士補助者」の経歴は役立ちやすい
司法書士になる前に、司法書士補助者として働いていたという人も多いでしょう。司法書士補助者の仕事は、司法書士の業務サポートであり、書類作成や外回りなどを任されます。司法書士の資格がなくても、司法書士補助者として働けるため、資格取得を目指して実務経験を積むことも可能です。司法書士の業務を間近で見て、サポートしてきた経験は即戦力として重宝されます。司法書士補助者として働いていた事務所で、司法書士へと昇格するケースも考えられるでしょう。
過去の経験を考慮して志望先を選ぶ
司法書士と一括りにしても、募集する企業が求める要件はさまざまです。自分に適した就職先を選ぶためには、過去の経験を考慮することが大切です。就職であれば、学校やバイトなどで経験したこと、転職であれば前職で得たスキルなどを考慮しましょう。
書類選考や面接の段階で、志望先の業務内容に合うエピソードを伝えると、より採用の可能性が高まります。同じ司法書士の募集であっても、志望先によって業務内容や理念が異なるため、エピソード選びには注意し事前にしっかりと準備しておきましょう。
司法書士業界の将来性
AIの開発が着々と進む昨今、司法書士の仕事も業務ソフトウェアによって効率化されました。そのため、将来的には人間が対応する仕事がなくなるのではないかと心配する声もあります。
実際、マイナンバーやAIによって、司法書士の仕事である登記手続きが自動化され、自分でする人も増えているのが現状です。そのため、業務縮小の可能性は考えられるでしょう。一方で超高齢化社会が進んでいる日本では、保有する財産を信頼できる家族に管理してもらう家族信託の需要が高まりつつあります。家族信託に関するサポート業務は、司法書士の仕事のひとつであり、家庭によって提案が異なるためAIでは対応が困難です。
その他、成年後見人制度の需要もますます高まる可能性があり、こうしたコミュニケーションが必要な細かな業務は、人間の感覚が求められるため
司法書士が活躍する場も増えるでしょう。
まとめ
司法書士は、未経験でも就職・転職ができる仕事です。さらに、40代以上で資格を取得するケースも珍しくなく、新たなチャレンジとして司法書士の資格取得を目指す人も多いでしょう。司法書士の仕事内容によっては、年齢を重ねた人の方が対応しやすい部分もあります。未経験者が司法書士の求人を探すときは、「業務未経験可」を謳う企業に応募することをおすすめします。
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