司法書士の年収(給与)は高いのか?会計事務所に転職するメリットとは!
2023/11/01
司法書士は超難関国家資格であり、司法書士になるためには、合格率も非常に低い難関試験に合格する必要があります。
また、司法書士試験に合格するためには、数千時間ともいえる長時間の勉強が必要となります。
晴れて国家試験に受かり、司法書士として働き始めた場合、どれくらい稼げるのか年収が気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現実として司法書士の資格があれば、年収1,000万や2,000万といった高年収を得ることは可能なのでしょうか?
大きな労力をかけて非常に長い時間を費やし試験勉強をすることになるので、将来に渡った収入が気になるのは当然であるともいえます。
そこでこの記事では、司法書士の平均年収・将来性などを詳しく解説します。
是非、これから司法書士を目指す人はぜひご参考にしてください。
コンテンツ目次
司法書士試験の現実とは
司法書士試験の概要
司法書士は、法律の定めにより業務とする登記・供託・訴訟その他の法律事務の専門家です。
国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命としています。
司法書士になるためには、司法書士試験に合格する、または、法務大臣からの認可を受けるという2つの方法があります。
司法書士試験には、特別な受験資格はなく、申し込めば誰でも受験可能です。
それに対し、法務大臣から認可を受けるためには、条件を満たす必要があります。
具体的には、法務事務官や裁判所書記官などとして10年以上、もしくは、簡易裁判所判事・副検事として5年以上在職していたという経歴が必要です。
司法書士試験の平均合格率は、約3~5%です。
合格率は非常に低く、文系の国家資格の中でも最難関資格のひとつと言われています。
司法書士試験とよく比較される資格試験として、税理士試験があります。
一般的には、税理士試験よりも司法書士試験のほうが難易度は高いといわれています。
2021年度(令和3年度)の税理士の合格率は科目合格も合わせると約20.3%です。
それに比べると司法書士試験は2021年度で5.14%と、かなり合格率が低くなっています。
司法書士試験の詳細については、法務省に専用のページが用意されていますので下記をご参考ください。
司法書士試験の受験者数、合格率は?
司法書士試験の実施年度ごとの受験者数・合格人数・合格率は以下の通りです。
実施年(年度) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
令和3年 | 11,925 | 613 | 5.14 |
令和2年 | 11,494 | 595 | 5.17 |
平成31年度(令和元年) | 13,683 | 601 | 4.4 |
平成30年度 | 14,387 | 621 | 4.3 |
平成29年度 | 15,440 | 629 | 4.1 |
平成28年度 | 16,725 | 660 | 3.9 |
通年で4%前後、令和3年度では合格率が5%程度と非常に難しい試験であることがうかがえます。
ほかの士業の国家試験と比較しても非常に合格率が低いのです。
受験資格がなく誰でも挑戦できる試験ですが、これほど合格率が低いと受験することを躊躇する人も多いでしょう。
よく比較される行政書士も国家資格ですが、司法書士試験と行政書士試験を比較しても下記のような違いがあります。
- 試験範囲が広くて膨大な量
- 合格率が行政書士試験の半分以下
- 合格に必要とされる勉強時間も5倍も違う
このことからも以下に難しい試験なのかご理解いただけると思います。
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司法書士試験合格に必要な勉強時間は?
司法書士試験に合格するためには、約3,000時間の勉強時間が必要だと、一般的には言われています。
ただし、当然、これには個人差がありますので一概には言えませんが、非常に多くの勉強時間を必要とすることは間違いないので、計画をたて戦略的に勉強をすすめることが合格への近道となるでしょう。
司法書士試験に合格したら登録が必要
司法書士法第8条の規定により、司法書士試験に合格した方など司法書士となる資格を有する方が、司法書士となるには、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に登録を受けなければなりません。
司法書士の業務内容とは
日本司法書士会連合会のホームページによると、下記が司法書士の業務内容です。
- 登記業務
- 登記又は供託手続の代理
- (地方)法務局に提出する書類の作成
- (地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理
- 裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成
- 上記に関する相談
- 法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談
- 対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談
- 家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務
一方、独立開業という選択肢ではなく、勤務司法書士として企業に勤務するケースも増えています。
勤務司法書士の年収とは
勤務司法書士の場合、平均年収は約250万~400万円です。
士業であることや超難関試験を突破することからすれば、低い金額に思えるかもしれません。
しかし、大型事務所で経験を積めば、年収が約500万~700万円になることもあります。
勤務先によって年収に大分開きがあるのが実情です。
開業司法書士の年収とは
独立・開業した司法書士の平均年収は約500万円です。
中には1,000万円以上の年収を稼ぐ人もいます。
独立・開業で高い収入を得るには、司法書士の専門知識だけでなく、集客のノウハウなどを身につける必要があります。
他の士業の年収との比較(司法書士の平均年収は低い?)
司法書士の平均年収:約580万円
司法書士の平均年収は、公認会計士の平均年収:約912万円や税理士の平均年収:約702万円を大きく下回るという結果となりました。
ただしあくまでも平均年収の話であり、個別にみた場合には、公認会計士や税理士をはるかに上回る高額の年収を手にしている司法書士もいます。
司法書士が稼ぐためには
1.幅広い知識を身につける
幅広い業務知識を身につけることは年収を高めることに繋がります。
様々な分野に精通した司法書士は取り扱える業務が増えるからです。
また、そのような実績、経験を積んだ司法書士は勤務している事務所にとって重要な存在となります。
特定の分野に特化した司法書士をそれぞれに雇うよりも、幅広い分野に精通した1名を雇う方が事務所にとって効率的だからです。
その結果、当然、その1名に支払う給与も高くなるのです。
2.認定司法書士になる
認定考査に合格して認定司法書士になると、民事紛争の案件にも対応できるようになります。
なぜなら、認定考査は司法書士試験に合格した後、知識をまだ忘れていない1年目に受験するのが最も合格しやすいとされています。
合格率は2019年の合格率は79.7%、2020年は79.0%、2021年は70.6%でした。
認定考査は「70点満点中40点以上で合格」という絶対評価です。
合格率が変動しやすい傾向がありますが、司法書士資格者の約75%が認定を受けています。
認定司法書士になり請け負える業務の幅が広がると、年収アップに繋がります。
3.コンサルティング能力の向上
コンサルティング能力を身につけることも非常に重要です。
AIの台頭により、今後職種を問わず、AIで対応可能な業務を人間が請け負うことは減少していくといわれています。
司法書士に関しても例外ではなく、特に登記の分野はAIの活躍が予想されます。
反対に、相続や信託などのお客様と向かい合って相談を受けサービスを提供するコンサルティング業務は今以上に成長するでしょう。
最近ではそのような分野に注力している事務所も多いです。
営業力や折衝力を含むコンサルティング能力を身につけていることは司法書士にとって強い武器となります。
コンサルティング能力を活かして幅広い業務で活躍できれば、年収アップが見込めます。
1,000万という年収を超えることは可能?
独立した開業司法書士の場合、年収1,000万円や2,000万円を超えることが可能です。
開業当初は、一般企業よりも収入が低くなる可能性も小さくありませんが、経験を積み、有力なコネクションを増やしましょう。
営業力を強化することによって、紹介を広げていくことで高収入を実現できるでしょう。
逆に言えば、集客を行いクライアントを増やせない場合、年収に影響が出てしまうということになりあmス。
司法書士が活躍できる求人をご紹介!
司法書士の将来性は
今後、様々な要因により司法書士の仕事は増加することが約束されているといえるでしょう。
詳しくは下記のような要因が考えられます。
1.高齢化への対応ニーズ
高齢化が進んでいる日本では、相続や成年後見に関する案件が増えてきていますし、今後も増加の一途をたどることは目に見えています。
例えば相続が発生した場合、相続登記のための書類は司法書士が作ります。
2.国際化社会への対応ニーズ
今後、日本には、ビジネスチャンスを求めていたり、安定した生活を欲している多くの外国人が移住してくると予想されます。
それにともない、帰化許可申請が増えるとも考えられます。
その帰化許可申請の手続きには司法書士が携わります。
3.ダブルライセンスで仕事できると年収も上がる
司法書士の資格を取得する人の中には、行政書士や宅地建物取引士などの資格も取得し、ダブルライセンスで活躍する人もいます。
他の資格を取得することは、対応できる業務の範囲を広げます。
司法書士の業務範囲だけですと、差別化も難しいと言わざるを得ませんので、複数の資格を取得することで対応できる業務の幅も広がり、コンサルティングなどにも着手することが可能となります。
また、顧客からの信頼も増しますので、営業しやすいなどのメリットもあるでしょう。
会計事務所で働く場合の将来性
会計事務所で働く場合、司法書士に特化した法人と比較しても、より大規模で多様な案件を扱うことができるメリットがあります。
ただし会計事務所で働く場合、中心はあくまで税理士であることは理解しておきましょう。
近年、会計事務所も事業の幅を広げ、司法書士や行政書士、社労士なども迎え入れ、他事務所との差別化を図っています。
デジタル化、AI活用、クラウドサービスなどの利用率は急速に上がっていて、士業の仕事はAIの進化により無くなるとまで言われています。
実際には司法書士、税理士や公認会計士などの仕事は将来にわたり無くなるようなことはないでしょう。
なぜならば、会計事務所の多くはIT活用、AIなどを利用し、業務改善を推進したりと、利用する側として日々向上しているのです。
また、AIが進化したとしても、人が考えて対応するような業務はAIが不得意な部分ですので、コンサルティングなど業務の幅を広げクライアントとの携わり方を変革している会計事務所がすでに数多く台頭しています。
クライアントの財務状況を把握している仕事をしていることは企業を経営していくことで最も重要な要素であるとともに、多くの提案を可能とする立場にいるということが何よりも強みになるでしょう。
まとめ
合格率が非常に低い難関国家資格である司法書士試験をパスしてはれて司法書士になれたのでしたら、高収入を目指したいものです。
しかし、かなり工夫していかないと司法書士の資格単独で稼いでいくことは難しいかもしれません。
超難関試験を突破したからといって、いきなり開業司法書士として独立しようと考えているのであれば、独立開業できる要素は揃っているのか今一度振り返って検討してみてください。
多くの司法書士は企業や事務所などに勤務司法書士として勤めはじめ、経験を積んでから独立開業を決心する流れになるでしょう。
独立当初は顧客開拓をして顧客を増やし信頼を得ていかなくてはならず思うように売上、年収が伸びないかもしれません。
司法書士としての実務経験だけではなく、顧客を新規開拓していく営業力やコミュニケーション力も必要となるからです。
しかし、継続して顧客の信頼を得ていくことで契約も増えて、年収を大幅に上げることも夢では有りません。
または、会計事務所で司法書士の資格を持ちながら働くというのも選択肢の1つです。
現在は多角的に経営している会計事務所も増えているので、勤務司法書士として会計事務所に勤め、他の資格を取得しダブルライセンスを目指すのも将来的に業務の幅も広がり、キャリアパスとしての選択肢も増えるでしょう。
まずは、勤務司法書士として勤める企業、事務所をさがすことから始めましょう。
会計事務所、司法書士事務所などの求人を探すのであれば、業界専門の転職サイトで探すのが近道です。
超難関と言われる国家試験に合格し、晴れて司法書士として活躍されるのであれば、最適な環境で経験を積む事が重要です。
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