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行政書士試験の難易度は?士業の中でも取得しやすい資格なのか?

行政書士は、開業する人や事業主にとって頼れる法律の専門家で「街の法律家」と呼ばれたりしています。

行政へ提出する大事な書類が複雑化していたり、増えていることもあり、人気の資格となっています。行政書士は弁護士や税理士と同様に、「士業」といわれる法律に関連した国家資格の1つであることはご存知かと思います。

 職務上必要な場合に、戸籍や住民票の請求が可能となる請求権を持つのは8つの士業(八士業)に特別に認められている権限なのです。

行政書士もそんな八士業のひとつなんです。

しかし、弁護士や税理士のように超難関国家試験として有名な資格と同じ士業であると考えると行政書士試験の難易度や試験の合格率などとても不安になってしまうかと思います。 

 そこでこの記事では、行政書士の試験についてくわしく解説し、合格率や難易度についてもお伝えすることで、これから行政書士を目指す人へのお役にたてばと思います。

近年の行政書士試験全体の動向を分析することを通じて、行政書士試験の難易度を明らかとしていきます。

行政書士試験の概要

 行政書士試験は、行政書士法に基づき、総務大臣が定めるところにより、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について、毎年1回以上行われることになっています。

試験は、行政書士法第4条の規定に基づき、平成12年度から一般財団法人行政書士試験研究センターが総務大臣から指定試験機関として指定を受け、各都道府県知事の委任のもとに実施されています。

受験資格

 受験資格は特に設定されておらず、年齢・学歴・国籍等に関係なく、誰でも受験することが可能です。法学部の学生から、会社員、主婦、定年退職された高齢者の方など、行政書士試験は様々な人が受験します。

15歳で行政書士試験に合格するという例も少なくありません。なお、あまり知られていませんが、行政書士試験に合格すると、社会保険労務士の受験資格を得ることができます。

試験日及び時間

毎年1回、11月の第2日曜日  午後1時から午後4時までとなっています。

試験場所

毎年7月の第2週に公示されます。
現在のお住まい、住民票記載住所に関係なく、全国の試験場で受験できます。

受験手数料

受験料は7,000円となっています。
振り込んだ受験手数料は、地震や台風等により、試験を実施しなかった場合などを除き、返還されませんので覚えておいてください。

合格基準点とは

 行政書士試験は、300点満点中6割(180点)を取れば合格という「絶対評価」の試験となっています。ただし、後述で説明するように、法令科目、一般知識科目の各々の基準点を突破するという条件がつきます。

行政書士試験の点数(300点)のうち、民法(76点)と行政法(112点)で188点になり、全体の60%を占めています。そのため、これら2科目に重点を置いた勉強が大事なポイントです。

試験科目と内容等

 以下では、行政書士試験の試験科目とその内容について説明していきます。

「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)

 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題され、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題されます。

法令等科目の中でも行政法(112点満点)と民法(76点満点)は、特に配点が大きく、この2科目でしっかり得点しなければなりません。

 行政法は、例年、「5肢択一式」で19問、「多肢選択式」で2問、「記述式」で1問出題されています。

配点は112点と全科目中最大であり、この行政法で合格レベルに達する点を取れることが合格の必要条件です。一方、民法は、例年、「5肢択一式」で9問、「記述式」で2問出題されています。

配点は76点と行政法に次いで多く、この科目で合格レベルの点数を取ることも、行政書士試験合格の必要条件です。

「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)

政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解が出題されます。 

受験の流れ

・試験案内の掲載・配布
7月第2週の公示日から行政書士試験研究センターのホームページに掲載します。

印刷物は毎年8月初旬から、各都道府県庁、各都道府県行政書士会等にて配布します。

・試験申し込みの受付
インターネットによるお申込は毎年8月初旬からとなっています。
郵送によるお申込みも毎年8月初旬から可能です。

インターネットと郵送で、受験手数料の払込方法が違いますのでご注意ください。

・受験票の送付
毎年10月中旬~下旬に送付されます。
受験票には受験番号、試験会場などが記載されていますので、必ず確認しましょう。

・試験の実施
毎年11月の第2日曜日 午後1時から午後4時までです。

・試験結果発表
毎年1月第5週の公示日に受験者全員へ合否通知書を送付されます。
合格通知書には、合否結果、配点、合格基準点、得点が機作されています。

行政書士試験研究センターのホームページに合格者の受験番号、合否判定基準、合格基準点、正解なども掲載されるので、確認してみましょう。

・合格証の送付
合格した人には、毎年2月中旬~下旬に送付されます。

合格に必要な勉強時間

 合格までに必要な時間数には個人差がありますが、ここでは法律初学者を念頭において説明していきましょう。一般に、通信・通学講座を利用した場合、行政書士に合格するためには600時間かかるとされています。

独学で合格を目指す人もいるものの、問題演習量に圧倒的な差がついてしまうでしょう。

法律初学者が独学で合格するには、800〜1000時間は必要とされています。

行政書士試験の分析

 ここからは、10年分の行政書士試験を分析して、試験制度全体の傾向を掴んでいきましょう。

なお、本分析で用いているデータは、行政書士試験を実施している一般財団法人 行政書士試験研究センターのホームページで公表されているものと利用しています(一般財団法人 行政書士試験研究センター)。

数字で見る試験結果の推移(直近10年分)

年度受験申込者数受験者数合格者数合格率
令和3年度61,869人47,870人5,353人11.18%
令和2年度54,847人41,681人4,470人10.72%
令和元年度52,386人39,821人4,571人11.48%
平成30年度50,926人39,105人4,968人12.70%
平成29年度52,214人40,449人6,360人15.72%
平成28年度53,456人41,053人4,084人9.95%
平成27年度56,965人44,366人5,820人13.12%
平成26年度62,172人48,869人4,043人8.27%
平成25年度70,896人55,436人5,597人10.10%
平成24年度75,817人59,948人5,508人9.19%

直近の10年間でみると、合格率の平均は10%位となっています。
合格率が一定ではないこともわかるかと思います。

受験申込者数の推移の分析(直近10年分)

 まずは、受験申込者数がどのような傾向にあるのかを分析していきましょう。行政書士試験は年に1回11月に実施される試験です。年に一度しか実施されません。

直近10年全体の傾向として、受験申込者数は減少傾向にありますが、令和元年から微増傾向に転じました。

行政書士試験は受験申込者数こそ多いように感じるものの、図表2で示されているように、受験申込者数の4人に1人程度しか実際には受験していません。

つまり、受験申し込みこそすれど、実際に試験は受けていない人が多数いる試験となっているのです。

受験申込者数の推移の分析

図表1:行政書士試験における受験申込者数の推移(直近10年分)

受験者数の推移の分析

 行政書士試験は、平成30年に初めて4万人を切りました。平成22年から受験者数の減少が続いていましたが、令和元年度に微増し、令和2年度についても増加しました。結果として、行政書士試験の受験者数の近年の傾向としては微増傾向にあると言えます。

図表2:行政書士試験における受験者数の推移(直近10年分)

合格者数と合格率の推移の分析

 行政書士試験は絶対評価の試験です。したがって、合格者に「定員」が設けられていません。基準点に達していれば合格となりますし、達していなければ不合格となります。

そのため、行政書士試験は、その年度の問題の難易度がそのまま合格率に反映されます。結果として、以下の図表3のように、毎年度の合格率にばらつきがあるのです。

合格できるかできないかといったレベルの実力で受験すると、受験年度によっては不合格になってしまうこともあります。

 合格率のトレンドラインは上昇傾向にありますから、行政書士試験の合格率は高くなっている傾向にあるものの、このことはここ10年間を通じて、行政書士試験の難易度は全体の傾向としては簡単になっているということができます。

最近10年間の合格率としては約10%〰15%程度を推移しています。

 その一方で、合格者数については減少傾向にあります。問題の難易度は下がっているものの、合格者数が下がっている要因は、単純に受験者数が少なくなっているからです。受験者数が少なくなる分、合格者数も減っているというわけです。

 また、行政書士試験は過去問を通して出題領域を確定できない試験である点も毎年の合格率にばらつきがある要因となっています。試験では、問い方を変えながら同じ内容が出題されることが多いため、過去問に力を入れることが合格につながってきます。

しかし、行政書士の実務家でない法学者が過去の出題を考慮することなく、法律家としての一定水準を求める出題をするなどの理由から、突然新しい論点を問われたりするのが行政書士試験の特徴です。したがって、誰が作問を担当するかによっても、毎年の合格率が変化するのです。

行政書士試験における合格者数と合格率の推移

図表3:行政書士試験における合格者数と合格率の推移(直近10年分)

行政書士試験の合格者数(都道府県別)

 最新の試験結果である令和2年度行政書士試験の合格者数としては、やはり大都市(東京都や大阪府)をはじめ、その近郊の埼玉県や兵庫県の合格者数が多いことがみてとれます。

これは、資格学校や有料自習室など、行政書士試験を勉強するための環境が充実していることも関係しています。大都市圏の合格者数が多いことは例年の傾向であり、毎年大きく変化することはありません。 

令和2年度における行政書士試験の合格者数

図表4: 令和2年度における行政書士試験の合格者数(都道府県別)

行政書士試験の合格率(都道府県別)

 最新試験結果である令和2年度における行政書士試験の合格率は滋賀県がトップとなっています。

ただし、この結果は偶然によるもので、令和元年度は異なる都市が合格率のトップとなっています。行政書士試験は全国で同じ試験を受験することになりますから、都道府県という立地と合格率の高さに相関関係はほとんどありません。 

令和2年度における行政書士試験の合格率

図表5: 令和2年度における行政書士試験の合格率(都道府県別)

おわりに

 行政書士試験は、本格的な法律系国家資格試験の中で登竜門のような位置づけにあります。合格をすると、独立・開業が可能となる資格です。行政書士の具体的な業務としては、官公庁への許認可に関する書類提出や契約書、交通事故調査報告書等、権利義務又は事実証明に関する書類作成業務などを行っています。

 行政書士試験の難易度は国家資格の中でも超難関とまでいかず、取得しやすい分類になるような中間的な難易度の国家資格だと言えます。

では、誰でも簡単に取得することができるのかと思うと、全くそうではなく、かなりの勉強時間と根気が必要な資格であることを理解いただけたかと思います。

出題される科目が幅広いというだけではなく、法理論に対する本質的な理解を深めていくことや、それをもとにした様々な形式の問題に対応する力が求められます。

単純な「勉強量」だけではなく「勉強の質」も高めていくことが、合格に向けた近道です。

 行政書士の資格を取得すれば、就職や転職に有利となるような資格でもありますし、将来独立開業も目指すことも可能となる国家資格です。

合格率から見れば法律系の国家資格の中でも多少高いようにみえますが、試験勉強を計画的に進めれば、決して難しすぎるということはないでしょう。

 既に税理士や公認会計士の資格を取得している人がダブルライセンスとして行政書士を取得されることも多い資格でもありますので、是非法律に興味がある人は検討してみてはいかがでしょうか。

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