コンサルティングファームとは?仕事内容や向いている人の特徴などを解説
2024/05/16
コンサルティングファームは、会計士や会計業務に関する経験を持っている人が、高い報酬やキャリアアップを考えた時の転職先として人気があります。
本記事では、「そもそもコンサルティングファームとはどのようなところなのか」「コンサルファームはどういった人に向いているのか」など、歴史や仕事内容、働き方から向き・不向きに至るまでを解説します。
「会計士としての資格や業界での経験を活かした転職がしたい」「自分を高めて成長し、よりやりがいのある仕事がしたい」「年収上げたい」など、キャリアアップを意識したコンサル業界への転職をお考えの方は、ぜひ最後までお読みいただき、今後のキャリア形成の参考にしてみてください。
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コンテンツ目次
コンサルティングファームの概要
まずは、「コンサルティングファームとは何か」を知りましょう。コンサルティングファームそのものの概要や歴史、仕事内容などを理解することで、自分の経験や資格をどれだけ活かすことができるか、自分が活躍できるのはどこかなどを具体的にイメージすることができます。
コンサルティングファームとは
コンサルティングファームとは、世の中のあらゆる企業が抱える課題を、コンサルタントの持つ高いスキルや経験、問題発見能力などによって解決に導く(コンサルティングする)企業です。
企業が抱える課題は、「事業戦略」「業務オペレーションの改革」「システム構築」など多種多様です。例えば、近年はインターネットによる業務効率の改善などが当たり前になる中で、ビジネス形態の変化や業務効率化などの推進が課題となる企業が増えています。そういった企業に対して、予算や規模、必要性などに合わせた提案を行います。
コンサルティングファームのこれまでの歴史
コンサルティングファームは、1886年に世界最初の経営戦略コンサルティングファームが誕生したことをきっかけとして、「マッキンゼー」や「BCG」などの有名な会社が誕生しました。また、会計系のコンサルティングファームとしてはアクセンチュアなどの大手の他、少数精鋭のコンサルティングファームなど数多く誕生しています。
特に、リーマンショック以降は会計系のコンサルティングにニーズが集まったことで事業が加速したため、さらに事業領域が拡大していきました。
コンサルティングファームの仕事内容って何?
ここからはコンサルティングファームの仕事内容について解説します。
前述した通り、コンサルティングファームの目的は「企業が抱える経営課題を解決する」ということです。
以前は経営課題といえば「経営戦略」や「事業戦略」など、中長期的な課題を解決する「戦略領域」に関するコンサルティングがメインでした。しかし、最近では特定の事業テーマに注目した課題解決を行うこともあります。
現在、コンサルティングファームの仕事内容は多岐に渡り、携わるプロジェクトごとに多様化しています。例えば、商品のプライシングに関する戦略設計、サプライチェーンの仕組みの再構成やコスト削減施策の具体化などが挙げられます。しかし、これらはあくまでも仕事内容のごく一部です。
他に、携わるプロジェクトには以下のようなものがあります。
【プロジェクトの一例】
・経営戦略(中長期経営立案、新規事業立案など)
・IT戦略、マネジメント(システム導入、DX化など)
・人事(育成、制度・組織改革、研修など)
・財務アドバイザリー(M&A、財務戦略など)
・業務改善(CRM、BPRなど)
また、ファームによってはプロジェクト案件の受注やファーム経営、プロジェクト管理、情報収集、資料作成なども担当します。なお、クライアントごとにチームが構成されて、チームによって業務が進められることもあります。
コンサルティングファームの仕事の流れ
では、コンサルティングファームではどのような流れで業務を行うのかを解説します。
前述した通り、コンサルティングファームではプロジェクトごとに仕事をすることもあるため、企業・組織、プロジェクトごとに細かい流れは異なります。しかし、大まかには次のような流れで行うと理解しておいて問題ありません。
プレゼンテーション・案件の受注
コンサルティングを行う前には、「自社でコンサルティングを行わせてもらいたい」というアピールをする必要があります。自分たちの会社だからこそできること、自社に任せてもらうことでどういった解決が可能か、メリットが提供できるかなどをプレゼンテーションします。
場合によっては、複数のコンサルティングファームがコンペ形式でプレゼンテーションすることもあり、提案が受け入れられて初めて、コンサルティングファームとしての仕事が始まります。
キックオフ・ミーティング
このミーティングでは、発足したチームの顔合わせなどを行った後に、プロジェクト全体の体制やスケジュールなどを共有します。
インタビュー調査・仮説の立案
プロジェクトとして携わる企業の現状を把握し、課題についてのデータ収集やクライアントとの議論などを行うことで、解決に向けた仮説を立てます。この仮説をどれだけしっかり立てられるかが実際の課題解決の方法やコンサルティングの質につながるため、とても重要なものと考えて良いでしょう。
課題解決方法の提案・決定
立てた仮説をもとに実行するコンサルティングの内容を固め、クライアントに提案します。中身を充実させられるかどうかは、仮説の立案時に行うデータ収集やクライアントとの議論にかかっています。
また、クライアントから解決方法などの了承が得られたら、その内容で具体的にどのようにコンサルティングを行っていくか検討します。
実行・クライアント支援
クライアントに提案した内容をもとに、実際に支援を行います。この時、ただ改善を見込んで支援するだけでなく、コンサルティングする内容をその企業に定着させることで、より良い結果・成果が出ることが期待できます。
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コンサルティングファームにもいくつかの種類がある
1886年から現在に至るまで、外資系、日系を合わせると数多くのコンサルティングファームが存在しています。当初は「戦略系」「会計系」という2つの大きなジャンルしかありませんでしたが、現在では大きく6つに分類できます。
1:総合系コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファームは、あらゆるプロジェクトに対応できるような組織構造であることが特徴です。様々な業界・業種のプロジェクトを扱っているだけでなく、専門的な領域でも対応できるケースがあります。大規模なファームであれば、国内だけでも数百人から千人規模のコンサルタントが所属しており、特定の課題に特化したチームを作ることも可能です。
企業・事業戦略の立案といったいわゆる経営層向けのサービスから、現場レベルでの業務コンサルティングサービスまで幅広く手掛け、他の5つのコンサルティングファームの要素を持ち合わせています。
総合系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・デロイトトーマツコンサルティング
・PwCコンサルティング
・KPMGコンサルティング
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)
・アビームコンサルティング
など
2:戦略系コンサルティングファーム
戦略系コンサルティングファームは、古くから存在するジャンルのものです。経営・財務・事業などの戦略、中長期的な経営課題に関する分野に強みを持っているのが特徴です。近年、M&Aや新興国をはじめとした海外進出戦略など、プロジェクトの範囲は広がっています。組織としては、「プール制」と呼ばれるプロジェクトごとに空いている人材をアサインさせる仕組みを導入しているところが多いようです。また、最近では実行支援までを行うケースが増えてきていることから、求められるスキルは高いだけでなく幅広くなっています。
主として経営層が直面する経営課題に対して、マーケティング、セールス、顧客インサイト、需要を起点とした成長戦略、カスタマージャーニー、顧客データ分析など様々な面からアプローチした解決手段をサービスとして提供しています。
戦略系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・ボストンコンサルティンググループ
・マッキンゼー・アンド・カンパニー
・A.T.カーニー
・べイン・アンド・カンパニー
・株式会社 経営共創基盤
・株式会社コーポレイトディレクション(CDI)
・株式会社ドリームインキュベータ
など
3:人材系コンサルティングファーム
人材系コンサルティングファームは企業や組織のビジョンや人事戦略の策定、制度構築・導入など、人と組織から企業を変えることをサービス領域としています。その領域は人事における各種制度や福利厚生の設計行う「①組織・人事領域」、新人に対する教育や経営層に対する研修などを行う「②教育・研修領域」、企業のM&Aや海外進出にともなって刷新する「③人事システム領域」の主に三つに分類されます。
人材系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・トーマツイノベーション
・グロービス
・マーサージャパン
・コーチ・エィ
・アルー
・レジェンダ・コーポレーション
・パーソル総合研究所
・クレイア・コンサルティング
など
4:IT系コンサルティングファーム
IT系コンサルティングファームは、IT戦略の策定や業務改革、システム導入支援などのサービスを行い、近年もっとも需要の高まっている領域です。企業の業務課題の解決を支援するシステム設計、構築、運用、保守などを行います。サービスの対象領域は、財務・会計、人事・給与といったバックオフィスから顧客管理、販売・在庫管理、購買管理、生産管理などのサプライチェーンに至るまでのあらゆる業務の効率化プランを作成し、システム導入を支援します。現代においては最も需要の大きい領域かもしれません。
IT系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・日本IBM
・フューチャーアーキテクト
・ウルシステムズ
・大洋システムテクノロジー
・シンプレクス
・ビズオース
・マネジメントソリューションズ
・パシフィックビジネスコンサルティング
・新日鉄住金ソリューションズ
・電通国際情報サービス
など
5:シンクタンク系コンサルティングファーム
シンクタンク系コンサルティングファームは証券会社や銀行などを母体としているため、そこで蓄積されたネットワークやノウハウを強みとしている点が特徴です。
主なサービス内容として、官公庁や大手企業などから依頼を受けて様々なリサーチやレポーティングを行ってきましたが、最近ではリサーチのみならず企業向けのコンサルティング業務を行っているところも増え、他のコンサル会社とそれほど大きな違いはなくなってきているようです。
シンクタンク系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング
・日本総合研究所
・野村総合研究所
・富士通総研
・みずほ総合研究所
・三菱総合研究所
・EY総合研究所
など
6:マーケティング系コンサルティングファーム
ブランドマーケティングやマスマーケティングなど、広告を使ったマーケティング戦略に強みを持っています。近年、SNSプラットフォームなどにおける広告を活用する企業が増えており、そういった企業に対してのコンサルティングを行います。
マーケティング系コンサルティングファームに該当する企業の代表例はこちらです。
・インターブランド
・博報堂コンサルティング
・ZS
・ブライアリー・アンド・パートナーズ
・株式会社アイレップ
・株式会社クロス・マーケティング
など
コンサルティングファームで働くのに向いている人の特徴
ここまでは、「コンサルティングファーム」そのものについての解説でした。やはり、会計士や業界での経験、資格や知識などを活かしてステップアップすることを考える上で、コンサルティングファームは無視できません。
では、実際にコンサルティングファームが向いている人とは、どのような人なのでしょうか。特徴などについて解説します。
幅広いスキルと心身ともにタフであること
どういったジャンルのコンサルティングファームで働くとしても、クライアントの業界や業種に対しての専門知識や、コンサルタントとしてのプロ意識、「何が課題かがわからない」という声が聞こえてきても対応できる観察眼、そして、論理的思考力などが必要です。
また、クライアントが抱く課題などに対して仮説を立案し、議論を重ねて企画などを提案したとしても、それがなかなか採用されずボツになってしまったり、クライアントからの質問に対してすぐに返答したりできる準備をしておくなど、心身ともにタフであることも欠かせません。
コミュニケーション能力
コンサルタントは、常に社内外でコミュニケーションやプレゼンを行う必要があります。そのため、相応のコミュニケーションスキルが求められるといって良いでしょう。また、外資系の企業とやり取りをする場合には英語でのコミュニケーションが発生する可能性があります。そういったことから、日常会話程度の英語力がある人は向いています。
コンサルティングファームを目指す方へ
コンサルティングファームは、通年「ポテンシャル採用」をしているところが多くあります。ただし、特定の業界やジャンル向けのファームに就職を希望する場合は、熱意だけでなくそれ相応の経験や知識が求められます。
コンサルタントとして働きたいという想いだけでなく、「クライアントの課題解決に対して向き合うこと」や「なぜ、顧客に対して課題解決を提供したいのか」という動機や思いを抱いたきっかけを整理して、面接でもクライアントと話すような気持ちで説得力を持って話せるように準備しておきましょう。
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投稿者情報
- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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