日商簿記1級合格の難易度や合格率は?取得方法や独学でも取得できるのか
簿記1級は資格取得するのが大変難しい資格のひとつで、会計や財務における高度な専門知識を持っていることを証明できます。そのため、就職や転職、さらには大学入試においても非常に高く評価される資格です。
この記事では、簿記1級の概要、合格率、必要な勉強時間、また取得することで得られるさまざまなメリットについて詳しく徹底解説します。簿記1級の合格を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
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コンテンツ目次
日商簿記1級の難易度や合格率は?
近年の合格率は10%前後
日本商工会議所が公開している最新の受験者データによると、簿記1級の合格率は約10%であることがわかります。過去3回の合格者数と合格率は以下の通りです。
回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
167(2024.6.9) | 11,798名 | 9,457名 | 992名 | 10.5% |
165(2023.11.19) | 12,886名 | 10,251名 | 1,722名 | 16.8% |
164(2023.6.11) | 11,468名 | 9,295名 | 1,164名 | 12.5% |
引用:簿記 受験者データ | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)
簿記1級のレベルとは?
日商簿記1級は、日商簿記3級や2級と比較して学習範囲が非常に広く、難易度も高いため、基本的には気軽に取得できるものではありません。多くの努力が必要な難関資格とされています。
合格率は毎回約10%で、合格者数は約1,000人程度にとどまります。この合格率は3級や2級の学習期間を経た受験者の中での数字ですので、非常に稀少で価値の高い資格であることがわかります。
取得することで、高度な知識を持つことが証明され、専門的な知識と技術を身につけたことが自信につながるでしょう。
簿記1級試験の特徴
日商簿記の3級や2級では、簿記の様々な手続きを把握し学びますが、1級ではその理論的背景にも触れます。3級と2級では、簿記のルールを理解し適用するという、いわばパズルのような思考が重要ですが、1級ではなぜそのルールが適用されるのか、その背後にある理論を理解することが求められます。つまり、「本質を知ること」が大切になります。
1級の簿記検定試験では単なる丸暗記やパターン学習では対応できず、学問的な要素も含まれています。1級の知識を深めることで、ビジネスシーンで直面する問題に対する「応用力」や「実践力」を養うことができます。
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高難易度の日商簿記1級を取得するメリット
日商簿記1級から税理士、公認会計士を目指せる
日商または全経簿記1級に合格することで、税理士試験の受験資格を得られるというのも大きなメリットです。
税理士試験を受験するには通常、大学卒業などの学歴要件や実務経験が求められます。しかし、簿記1級を取得すれば、これらの要件を満たさなくても税理士試験に挑戦することができます。
簿記1級を取得することで税理士試験の受験資格を得られるため、学歴や実務経験に関係なく、税理士や公認会計士を目指すための短縮ルートの一つと考えられています。そのため、簿記1級が税理士や公認会計士などの国家試験に挑戦するための登竜門とされているのです。
そのほか就職・転職・独立に役立つ
まず、簿記1級の資格保有者は、就職や転職活動や昇進に有利になるという点が挙げられます。この資格は「大手企業の経理業務を担当できるレベルの知識を有する」とされており、保有者は高く評価される傾向があります。資格手当がもらえるケースもあります。
簿記1級は専門性が高く、経理・財務部門や税理士事務所、公認会計士などの職において非常に有用です。また、企画部門など他の部門でもその能力をアピールでき、大企業への就職のチャンスが広がります。複数の候補者が同時に就職試験を受ける中で、簿記1級の資格保持者は希少性が高いため、より高く評価されるでしょう。
実際、簿記1級を必須または歓迎条件とする求人の平均年収は日本の平均年収よりも高い水準であるといわれています。
資格取得者はより良い条件の仕事に就ける可能性が高く、起業やフリーランスとして働く場合でも、会計処理が確実に行えるため、帳簿管理が万全になり経営上の不安を減らすことが期待できます。
大学受験や推薦入学にも役立つ
さらに、この資格は進学の際にも役立ちます。大学などの推薦入試で、簿記2級よりも上級の資格を持っていると、高く評価されることが多いです。
難易度は高いものの、高校生のうちに簿記1級を取得すれば、非常に価値のある学生として認識されるでしょう。
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日商簿記1級合格に必要な勉強時間
具体的な勉強時間についてですが、独学で簿記1級を取得するには500~1,000時間程度が一般的です。たとえば、365日間毎日勉強を続けたとしても、1日あたり1.5~3時間程度の学習スケジュールを確保する必要があります。体調や急な用事ができることも含めて判断すると、実際には1日2~5時間の勉強が求められることが多いです。
基礎知識が既にある場合や費用をかけて簿記講座を受講し予備校のサポートを受ける場合は、500~800時間程度で済むこともあります。具体的な時間は個々に差があります。
独学で日商簿記1級の取得はできるのか?
コストを重視する場合、独学の学習スタイルを選ぶ方も少なくないかもしれません。簿記1級は独学でも合格可能ですが、相応の学習時間が必要です。基礎知識の有無によっては、800~2,000時間の学習が求められることがあります。初学者は特に長い時間が必要でしょう。
ただし、独学でもお金をかけて通信講座を利用すれば、効率的に学ぶことができます。
日商簿記1級の試験内容
試験内容
商業簿記・会計学に90分、工業簿記・原価計算に90分を費やし、合計で180分(3時間)です。
試験日・受験料
簿記1級の試験は毎年6月と11月の2回行われます。対照的に、簿記2級と3級の試験は2月にも行われるため、年間で合計3回の試験が実施されます。2024年の簿記1級試験の日程は、第167回が6月9日(日)、第168回が11月17日(日)です。
簿記1級の試験には受験資格がないため、誰でも受験することができます。簿記3級や2級を取得していなくても1級を受験可能ですが、通常はまず3級や2級の合格を目指すのが一般的です。簿記1級の受験料は8,800円(税込)です。
試験開始時間
試験開始は午前9時です。
合格発表
合格発表の時期や方法は各商工会議所によって異なります。合格証書の受け取り方法もそれぞれ異なるため、試験申し込みの際に資料請求し、確認しておくことが大切です。
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日商簿記1級の難易度を高くしているポイント
1科目でも落とすと不合格となる
簿記1級には科目ごとに最低点を設定する「足切り制度」があります。そのため、どの科目も一定以上の点数を取らなければなりません。
この制度により、4科目中1科目でも配点の40%未満の得点しか取れない場合、合計点が70点を超えていても不合格になります。つまり、得意科目で高得点を狙って合格を目指すという方法は通用しません。
また、苦手な分野を重点的に勉強しようとしても、その内容が出題されるとは限らないため、全ての科目を均等に学ぶ必要があります。
このため、各科目で偏りのないようにするためには、計画的な勉強スケジュールが求められます。苦手な分野が出てきた場合でも、あまり不安に思わずに少しずつ理解度を高めることを心がけましょう。
日商簿記2級の倍以上学習時間が必要
簿記2級の取得には、一般的に250時間から350時間の学習時間が必要だと言われています。この時間を確保して、効率的に学習を進めることが求められます。しかし、簿記1級となると、さらに複雑な学習内容が含まれるため、必要な学習時間は簿記2級の倍近くに達することが多いです。
簿記1級の学習では、より高度な会計知識や実務スキルが求められるため、しっかりとした学習計画を立て、長時間の学習を確保することが課題となります。したがって、簿記1級の合格を目指す際には、学習時間の確保や効率的な学習方法の確立が重要な要素となります。
出題範囲が広く試験時間が短い
簿記1級は「試験範囲の広さ」が大きな特徴です。2級と比較すると、範囲が広がるだけでなく、難易度も大幅に上がります。
2級の知識がしっかりと身についていても、1級の試験では問題全体の難易度が高く、正答率は20%程度に留まることもあります。
簿記1級の試験範囲は「企業会計」に関する全てで、2級に比べて2倍以上の内容が含まれており、論点も深く掘り下げられています。
また、単なる暗記では対応しきれない難問も少なくないため、理論を正確に理解することが求められます。そのため、質の高い学習と「記憶よりもプロセスの理解」が重要になります。試験の所要時間は180分です。
試験時間が長く感じる人が多いため、まずは集中力を維持する体力と時間配分の感覚を養う必要があります。問題数も多く、1問にかける時間が長くなるため、各科目の時間配分が重要です。
どの問題に時間をかけずに素早く解答し、どの問題に多くの時間をかけるかを理解し、効率よく解答する技術が求められます。独学では、こうした時間配分のアドバイスを得るのが難しいため、自分で問題集を解きながら試行錯誤しながらコツをつかむ必要があります。
予備校や通信教育では、時間配分の目安や効率的な勉強方法についての有益なアドバイスを受けられるため、独学と比較して大きな差が生まれることがあります。
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日商簿記1級の難易度が高い理由を理解して試験に臨みましょう
この記事では、日商簿記1級の難易度について、合格率や他の資格との比較を交えて説明しました。以下に主なポイントをまとめます。
- 日商簿記1級試験は非常に難易度が高く、合格率はおおよそ10%前後です。
- 簿記2級の知識がある場合、必要な勉強時間は約400~600時間が目安となります。
- 簿記1級を独学で合格するのは簡単ではないため、通学して講義やスクールを利用するのが一般的です。
- 簿記1級を取得することで、就職や転職が有利になることや、税理士試験の「税法関連の試験科目」の受験資格を得られるなどのメリットがあります。
- 簿記1級と税理士(簿記論)の難易度は個々の得意分野によるため、目的に応じてどの資格を目指すか選ぶべきです。
- 日商簿記1級は経理職・会計職の専門家として広く認知されており、就職や転職、キャリアアップに役立つ資格です。
今回の記事が皆様の日商簿記1級に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
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