
需要が高まる資産税に特化した税理士法人とは?業務内容や求められるスキルを解説
税理士としてさらなるスキルアップを考え、「資産税専門税理士」を目指し、資産税分野への転職を希望している人が増えています。税理士業界では、資産税業務への関心の高まりから、資産税専門税理士の需要は増加傾向にあります。
この記事では、資産税に特化した税理士の業務内容や市場価値、求められるスキルについて詳しく解説し、高齢化や税制改正により注目される資産税業務の現状と、専門性が活かせる転職市場でのニーズの高まりを紹介します。
コンテンツ目次
資産税業務とは
そもそも資産税とは、一体どのようなものなのでしょうか。
「資産税」という税金があるわけではありません。相続・贈与などの財産の取得や売却、承継や活用などに係る税金全般を指します。主に「相続税」「贈与税」「譲渡所得に係る所得税」、ほかに個人住民税や固定資産税などが該当します。場合によっては法人税や消費税なども関係することもあります。資産税は、相続の発生や贈与、土地の売却など、課税原因が臨時発生的な性格であることが大きな特徴といえるでしょう。
資産税は、多岐にわたる税理士業務のなかでも、特に複雑で難しい業務といわれています。多面的な視野と横断的な知識が必要なうえ、扱う金額が大きくリスクも高くなりやすいことから、資産税専門の税理士の数は決して多いとはいえないのが現状です。
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資産税に強い税理士は転職市場で高い需要
高齢化や税制改正で対象者が増加
日本では、高齢化社会の到来によって相続の発生率が高くなっています。相続の発生数が増えると、必然的に相続税の課税対象者が増加します。つまり、相続税を納めなければいけない人が増えるということです。相続税の課税対象者の増加に伴い、相続に備えた生前贈与を検討する人や、資産の売却、事業継承などを考える人が増え、資産税ニーズは増加する一方なのです。
さらに、不動産等の資産流動化のための税制改正が行われたことにより相続税や贈与税を納める人はさらに増加することが予想されます。このような背景から、資産税について専門的な知識を有する税理士の需要は今後も伸び続けると考えられます。
難易度の高い案件になりやすい
資産税は関連する分野が多岐にわたるため、求められる知識が多く、難易度が高くなりやすいといわれます。また、所有資産が多いほど煩雑になり、資産額の多寡に伴って税額が大きくなります。税理士が負う責任やリスクが重くなるということです。複数の不動産を所有しているケースや、国内だけでなく海外資産などを所有しているケースも考えられます。その場合、海外の税制に関する知識も要求され、難易度はさらに高くなります。
資産税に強い税理士が少ない
資産税に強い税理士はそんなに多くはないでしょう。一般的な税理士事務所では、法人の顧問業務が主な業務であり、相続業務などは年に数回は発生しますが、頻繁に発生するものではないため経験や知識を積みにくい、という事情があります。
法人税法や所得税法、消費税法などあらゆる税法について、毎年税制改正がなされるため、税理士は網羅的に知識をバージョンアップしなければなりません。どの税法も年々複雑化しています。そのため、資産税関連の知識のみを深く研究することは一般的な税理士事務所では難しいと考えられます。
資産税に強い税理士になるには、資産税に特化した税理士事務所に入ることが近道といえるかもしれません。
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資産税に特化した税理士法人とは
資産税に特化した税理士法人では、個人のクライアントが多く、資産家からの相談が中心となるでしょう。法人との顧問契約が一般的な税理士法人とは異なり、単発の業務がほとんどです。資産税専門である場合、1つの案件の報酬が高くなる傾向にありますが、売上が安定的とはいえません。
また、法人税や消費税に触れる機会が少なく、一般的な税理士業務の知識や経験は積みにくいことはデメリットですが、特殊な資産税に触れる経験は貴重といえるでしょう。
一般的な税理士法人との違い
法人税・所得税を業務の中心とする一般的な税理士法人では、年間を通して、記帳、決算、税務申告を繰り返すことが基本的な業務となり、資金繰りなどの経営に関する相談や税務相談を受けることがほとんどでしょう。
相続税をはじめとする資産税には強くありませんが、一般的な税理士法人では消費税などあらゆる税法について網羅的に強くなれるメリットがあります。顧問契約であるため、安定的な収入が望めます。資産税のように単価の高い報酬が単発的に発生することは少ないかもしれません。
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資産税に特化した税理士法人の主な業務
税務申告
資産税に特化した税理士法人の税務申告は、相続税、贈与税、譲渡所得に係る所得税の申告が中心となります。場合によっては法人税、消費税が絡むことも考えられます。
一般的な税理士事務所では、法人・個人のクライアントが多く、法人の決算期や、1月~3月の個人の確定申告時期に繁忙期を迎えますが、資産税特化型の場合、相続税については発生のタイミングが不定期であることから申告時期が偏ることはありません。しかし、個人の確定申告時期には多忙である可能性があります。不動産オーナーの確定申告が多い、といったことも考えられるでしょう。
生前の節税対策
相続税の節税対策は、生前から考える必要があります。できるだけ税金を抑えて資産を承継したい、といった税務相談も特化型事務所の業務の一つです。オーナー会社の役員から事業承継の相談もあるでしょう。
資産税は税額が高額になる場合が多く、事前の節税対策次第で税額が大きく変わることがあります。税理士の腕の見せ所でしょう。生前贈与をする、不動産投資をする、生命保険の加入を検討する等の方法を考え、そのクライアントに合った節税対策を提案します。判断を誤ると、その是正は極めて困難であることから、税理士にとってはリスクの高い業務といえるでしょう。節税対策の提案には、クライアントの状況や性格を踏まえるなど、慎重な検討を要します。クライアントに寄り添うなど、高いコミュニケーション能力が求められます。
財産評価
土地や株式の評価も非常に重要な業務です。財産の評価方法によって税額が大きく異なる可能性があるためです。税務上認められる有利な方法で、かつ正確に評価しなければなりません。税務調査を嫌い、確実に否認されない方法を選ぶ税理士、節税に積極的な税理士など事務所によって考え方が異なるかもしれません。いずれにしても丁寧な検討が必要です。特化型事務所では、そのような経験や知識が豊富に蓄積されているでしょう。
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資産税業務で求められる税理士のスキル
資産税に関連する深い知識
前述のとおり、資産税とは、相続税、贈与税、譲渡所得に係る所得税などが主な税目です。これらの知識は一律に備えておく必要があります。
また、遺言書や遺産分割協議書、契約や登記など、民法や会社法への理解も必要です。相続人同士の争いや、登記の手続きなどは弁護士や司法書士に依頼することになりますが、他の士業との連携するコミュニケーションスキルも必要でしょう。
資産税で役立つ資格の取得
資産税に関連する資格としては、宅地建物取引士や不動産鑑定士などが挙げられます。宅地建物取引士は、土地や建物に関する専門知識を有する資格です。宅地建物取引士の資格を持つ税理士は割と多くいます。不動産鑑定士は適正な地価や有効利用についての判断に非常に役立つ資格で、取得する税理士もいます。
諸外国の税制の知識
海外に資産を保有するクライアントがいれば、諸外国の税制についても知識が必要です。最近では海外への投資も増えていること、また海外に住む相続人である場合なども考えられるため、語学に堪能な税理士、海外の税制について知識がある税理士、また海外に人脈がある税理士などが有利となるでしょう。
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資産税に強い税理士の需要は今後も高まる
資産税専門税理士は需要が高く、今後ますますニーズは拡大していくと予想されます。資産税特化型の事務所に転職する際は、業務内容などを下調べしておきましょう。資産税の知識やスキルを身に付けることで、より税理士としての活躍の場を広げやすくなります。税理士としての自分の将来像を明確にしたうえで、最適な転職先を選びましょう。
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