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あとをたたない不正会計処理

あの有名企業や大手企業もニュースに!不正会計処理の恐ろしさとは

2023/11/01

公認会計士や税理士の主な役割は、事業における資金や税金などといった会計の流れを、適正に管理・処理することです。

財務や納税に関わる仕事ですから、もちろん公正で不備のない会計処理が求められます。しかし、残念ながら企業や個人事業主による不正な会計処理はあとを絶たず、誰でも耳にしたことがあるような有名企業や大手企業による不正会計もしばしばニュースに取り上げられているのが現状です。

とはいえ、公認会計士・税理士として働いている人や、これから働こう思っている人の多くは、こうした不正会計処理を良しとせず、未然に防ぎたいと考えていることでしょう。

そこでここでは、不正会計処理が起こってしまう原因や対策方法などについて詳しく解説していきます。

関連する言葉の定義

ニュースなどでよく耳にする会計上の不正に関連する言葉、不適切会計、不正会計や粉飾決算とは何が違うのでしょうか。
似たような言葉ですが、意味は大きく違いがあります。
まずはそれぞれの言葉の定義から解説させていただきます。

不適切会計

不適切会計は、「不適切な会計」とも呼ばれ、意図的であるか否かに関わらず決算書類(財務諸表)に事実と異なる数値を載せることをいいます。

これは、主に大手企業や上場企業などに不正な会計問題が発生した際に使われる用語で、日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会研究報告第25号においては、「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り」と定義されています。

一般に不適切会計は、単純な事務処理のケアレスミスから、ルールに反した会計処理(売上の架空計上や利益の水増しなど)を意図的に使うことまでも含まれ、昨今では、本社から十分に目が届かない海外子会社で発覚しニュースになるケースが増えています。

不正会計

不正会計とは、財務諸表に意図的に虚偽の表示を記載したり、必要とされる開示をあえてしなかったりすることを指します。

不適切会計の中でも、その数字を意図として作っていることが明確な場合には、この言葉が使用されるのです。
つまり、不正な会計をわかった上でおこなっているということになります。

一旦不正が行われると、数字のつじつま合わせのために不正会計を繰り返してしまうというケースもよくあるようです。
1つの嘘が、嘘に嘘を重ねることで大きな問題となってしまう典型的なケースだと言えます。

不正会計では、社内の事情を把握している人間が意図的に会計情報を偽装してしまうことが多いため、社内のチェック機能では発覚することができなくなってしまうことがあります。
特に経営者が主導して不正会計を行ってしまうと、会計士による監査や税理士によるチェックでも、その不正を見抜くことは難しいでしょう。

大手企業の不正会計の会見をニュースで見たりしますが、意図的に虚偽の表示をしているわけではないということで、「不適切会計」という言い方をする場合が多いようです。

粉飾決算

粉飾決算は、企業等が不正な会計処理を行い、意図として損益状況や財政状態を実際より過大または過小に表示するように操作された決算をいいます。
粉飾という言葉の通り、見た目を飾ってりっぱにみせようとすることで、会社を不正してでもよく見せようとする行為です。

これは、売上高の過大計上、架空計上、費用の過少計上、損失の付け替えなど、不正することを理解した上で人の手で操作を加えたものです。
当たり前のことですが、公正な商取引ではなくなってしまうこと、市場の価格形成が損なわれることから、会社法や金融商品取引法などで禁じられています。

上場会社や大手企業においては、このような粉飾決算を防止するために、公認会計士や監査法人による監査が義務づけられています。
それでも長年に渡り、粉飾された不正会計が発覚しないような事もしばしば起こっています。

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不正会計処理について正しく理解しておこう

大手企業や有名企業もニュースでやっている

不正会計処理とは、財務諸表の利用者を欺くために、財務諸表に意図的な虚偽表示を記載する行為を指します。さらに、計上しなければならない金額を意図的に計上しない、必要とされる開示を意図的に行わないといったことも、不正会計処理に該当します。不正を行う目的は、不当または違法な利益を得ることで、経営者や従業員、もしくは第三者の手によって実行されます。

意図的に会計情報が偽装・改ざん・隠蔽されるため、社内のチェックシステムが有効に機能しないケースが多いのが特徴です。特に経営者の指示で行われていた場合、不正が巧妙化しやすく、公認会計士や税理士といったプロでさえ見抜くのが難しくなります。加えて、一度でも不正会計処理が行われると、より大きな利益を求めたり不正の辻褄を合わせたりといった理由で、さらなる不正が継続的に繰り返されてしまいがちです。その結果、不正による損失額や、着服・横領の金額が大きくなりやすいといった危険性も孕んでいます。

不正会計処理とよく似た言葉に不適切会計処理がありますが、その定義は少し異なります。不適切会計処理とは、意図的であるか否かに関係なく、財務諸表の作成時に入手可能な情報を適切に使用しなかった、または誤用したことによる間違った会計処理を意味します。ですから、会計処理におけるケアレスミスなども、不適切会計処理に含まれます。つまり、不正会計処理という言葉は、財務諸表に関する虚偽の申告を意図的に実行したことが明確な場合にのみ、使用されることになります。

不正会計処理は4つに分類される!

不正会計処理の内容は、主に「売上の前倒し・架空計上」「費用の先送り・不計上」「資産の評価替え・架空計上」「負債の評価替え・不計上」の4つに分類されます。「売上の前倒し・架空計上」とは、決算後に回収される予定の売上金や売掛金を、決算が行われるよりも先に前倒しで決算書に盛り込んでしまう方法です。売上の回収時期が早まるだけで、企業に入る金額の合計自体に変化はありません。しかしながら、決算後に回収するはずの売上を架空計上するわけですから、不正の決算ということになります。

「費用の先送り・不計上」とは、本来なら当期の決算時に計上しなければならない費用を、翌期に先送りする方法です。ほかにも、費用として計上しなければならないものを資産として計上して費用化を先送りにしたり、在庫を多めに計上して売上原価を少なくしたりなどといった方法もあります。決算書に計上すべきものを意図的に計上せず、虚偽や改ざんを行う以上、不正な会計処理に当たります。

「資産の評価替え・架空計上」は、資産の評価を偽造・改ざんする方法です。資産の評価額を付け替えることで、決算において過大計上や過少計上を実行します。それから、架空の資産を決算書に組み込むというやり方もあります。「負債の評価替え・不計上」は、負債の評価を偽造・改ざんする方法です。負債額を本来よりも少なく偽って計上する、負債をなかったものとして計上を行わないなどといった手法があります。資産や負債を虚偽報告する評価替えも、やはり不正行為です。

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不正会計処理の原因はなにか?

不正会計処理が何故おこるのか

不正会計処理の原因として挙げられるのは、まず競争の激化です。市場や顧客のシェア獲得競争、商品やサービスの価格競争などに勝ち残るため、不正に手を染めてしまうといったパターンが見られます。

また、予算未達も原因の一例です。予算が未達になると、従業員のモチベーション低下や役員の経営責任問題につながることがあるため、なるべく回避したいというのが企業や経営者の本音だといえるでしょう。

それから、業績の悪化も不正を招く大きな原因です。銀行や取引先、投資家や監督官庁などといった外部に経営状態を良く見せようとして、虚偽の会計処理を行ってしまうということがあります。
コロナ禍の現在では、助成金申請のためなどでも虚偽の会計処理をした上で申請をするようなことも発生しています。

さらに、外部からの利益供与やプレッシャーも不正の一因です。違法な利益供与を得るためだったり、利益供与を行った相手からさらなる利益を求められたりすることで、不正が蔓延してしまうことがあります。

ほかにも、内部統制に不備があることで、不正が引き起こされてしまうケースも見られます。特定の従業員に権力が集中している、社内のチェックシステムに不備があるなどといったことが、従業員の着服や横領の引き金となります。

不正会計処理を防ぐ対策をしよう!

不正会計処理を防止する対策として有効なのは、社内のチェックシステムの強化です。

決済や財務報告における統制手続きを効果的に機能させるため、マニュアルの改善やアップデートを試みましょう。チェックシステムが定期的に更新されることで、会計ミスや不正会計処理を発見できる可能性が高くなります。

それから、内部統制の強化を図り、不正行為が行えないような土壌を作ることも重要です。従業員のモラルを高めて監視体制を設けたり、内部通報者が保護されるような仕組みを作ったりといった対策を講じましょう。

そして、従業員に会計業務についての知識を身につけさせることも大切です。

会計に関する知識を持つ従業員が増えることで、会計ミスや不正の見過ごしのリスクを軽減させることができます。そうした従業員が幅広く情報共有できる環境を整えられれば、より不正防止効果が高まるでしょう。公認会計士や税理士がプロの視点でアドバイスすることも、有効な対策の1つです。

適正な会計処理を

どんなに優れた公認会計士や税理士でも、経営者主導や企業ぐるみで隠蔽しようとしている不正を見抜くことはなかなか困難です。

そのため、公認会計士や税理士として働く場合は企業に対し、会計を通じて企業の業績や財政状態を適切に報告・説明する責任があることを、充分に理解させる必要があるでしょう。

また、公認会計士・税理士側も、不正会計処理に関する対策を把握し、企業が適正な会計処理を行えるよう、しっかりとサポートしていくことが大切です。

まとめ

東京商工リサーチの「2020年 全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査」では、2020年に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は58社(前年比17.1%減)、総数は60件(同17.8%減)という結果がでています。集計を開始した2008年以降、2019年は過去最多の70社、73件だったようですが、2020年はそれぞれ下回ったという興味深い結果になっています。

2020年4月といえば新型コロナウイルス感染拡大に伴う初めての緊急事態宣言の発令で経済にも多大な影響があった時期にあたります。業績や財務内容などの数字が適正かチェックする公認会計士の多くがテレワークとなってしまい、慣れない環境におかれたことによる影響もあってか、監査業務などが遅れてしまうということが多かったようです。そのため、2020年の件数は減少したという要因もありそうですが、そうすると2021年、2022年の件数は大きく増えるのかもしれません。
これからの動向が気になるところですが、経過については改めて記載させていただきます。

年々増加傾向にあった不適切な会計・経理をしていた企業数ですが、コーポレートガバナンスやコンプライアンスへの意識を向上するだけでは防ぐことが難しいとされる不適切会計ですが、経理・会計の責任者のみの問題でなく、企業組織のあり方自体をトータルで考えるべき問題だといえるでしょう。

不適切会計は、会社の存亡にすら関わるであろう大きな問題に発展しかねないリスクの一つになります。
不正を見過ごさない体制や従業員一人ひとりの意識を高めることによって、最悪の状態になる前にリスクを回避できるはずです。
また、そのためには公認会計士や税理士が適正に経理・会計処理をすることが前提となりますし、その体制つくりのコンサルティングなどは可能なはずです。

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