再度確認!税理士登録書類等はたくさんあるって知ってる?
税理士試験に合格して実務経験を積めば(もしくは積んでいれば)、税理士として登録をすることができます。
しかし、登録に必要な書類は数十種類に及ぶため、事前の準備が欠かせません。税理士として登録するために、すべての申請者に提出を求められる書類に加えて、申請者の状況によって提出するべき書類も異なっています。
具体的には税理士会への入会届や履歴書、戸籍抄本・住民票・実務経験の証明書などさまざまです。また、税理士として活動するための事務所設置の書類や登記内容を確認する書類を提出する場合もあります。税理士としてスムーズに活動するためにも、必要な書類に漏れがないようにしたいものです。
そこで、税理士登録のための必要書類及び様式について詳しく解説していきます。
コンテンツ目次
税理士登録する全員に求められる書類等
税理士として登録するために必要な書類は、日本税理士会連合会のホームページに記載されています。(※1)まずは申請者の状況にかかわらず、全員が提出する必要がある書類について見ていきましょう。
税理士登録申請書
「税理士登録申請書」は5通の提出が必要な申請書類です。正本以外の4通についてはコピーでもかまわないとされていますが、いずれも原寸大の両面コピーで文字が鮮明でなければなりません。5通に漏れなく、自署・押印・捨印を行いましょう。
登録免許税領収証書
税理士になるためには登録免許税として6万円を納付する必要があります。この領収書も添付書類として必要であり、電子納付は認められていません。
登録手数料・写真
書類の提出は必要ありませんが、日本税理士会連合会あてに登録手数料として5万円を納付する必要があります。また申請書を提出する際には写真も3枚必要です。写真は下記のような条件を満たすだけではなく、撮影日時の指定などがあるため注意が必要です。
- 申請者本人のみが撮影されていること
- 上三分身であること
- 背景は無地であること
- 無帽で正面を向いていること
- サイズはおおむね縦3.0㎝、横2.4cm(運転免許証サイズ)であること
身分証明書・住民票の写し
3カ月以内に発行された戸籍抄本または個人事項証明書、住民票の写しの提出も必要です。
資格を証する書面
「資格を証する書面」としては税理士試験合格証書・税理士試験免除決定通知書などがあげられます。弁護士や公認会計士の資格保有者はそれぞれ証明する書類が必要となります。
履歴書・誓約書
履歴書と誓約書も必要となります。誓約書は2種類あり、一つは税理士法第4条(欠格条項)及び第24条(登録拒否事由)に該当しないことを誓約するものです。もう一つは税理士会会長宛の誓約書で、業務面について税理士として遵守すべきことを誓約した内容となっています。
確定申告書のコピー
直近2年分の確定申告書のコピーか住民税の課税証明書が必要となります。
はがき
税理士名簿に登録された場合に登録年月日及び登録番号を通知するためのもので、税理士会が配布する日税連所定のはがきです。
ここまでが税理士登録する全員に求められる日本税理士会連合会に提出する書類等です。これに加えて所属を希望する各税理士会が求める書類もあわせて提出しなければなりませんので、書類の提出先である税理士会に事前に問い合わせをしましょう。
※1.参考:日本税理士会連合会「登録に必要な提出書類等」
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税理士の実務経験を証明する書類等
税理士として登録をするためには2年間以上の実務経験が必要となります。ここではその実務経験を証明するための書類についてご紹介します。
在職証明書
実務経験期間を充足していることを証明するものです。勤務先が税理士法人等の場合は代表者からの証明書となります。
在職証明書に係る印鑑登録証明書
在職証明書の公証力を担保するためのもので、申請書提出日から3ヶ月以内に発行された在職証明書に押印された印鑑の登録証明書を提出してください。
源泉徴収票又は確定申告書のコピー
在職証明書の裏付けとして確認するためのもので、在職証明書により証明した実務経験期間の源泉徴収票又は確定申告書のコピーを提出してください。
税理士事務所(税理士法人)と会計法人の関係について
勤務先が一定の条件に当てはまる場合に、申請者の所属、給与の支払い状況等を確認するために提出します。税理士会が用意する書面を用いて作成します。
職務概要説明書
実務経験の充足を確認するうえで在職証明書だけで判断できないときに提出します。2年以上の実務経験とは、申告書作成などの税務に関する事務、財務諸表作成など会計処理に関する事務などがあげられます。一般企業でも経理部や財務部などに所属していれば問題ないですが、勤務先の組織図の提出が求められるときもあります。
勤務時間の積上げ計算書
勤務時間数が実務経験期間を充足するか確認するために提出するものです。パート・アルバイトや正社員であっても時短勤務などで十分な実務経験となっていない場合もあるため、出勤日数等を確認するために出勤簿やタイムカードのコピーの提出が必要となります。
大学院通学状況説明書
実務経験として申請した会社等の勤務期間と並行して大学院に通学していた場合、会社等の勤務日数、勤務時間等への影響を確認するために提出します。
ここまでが税理士の実務経験を証明する書類等となります。
事務所の設置を確認する書類等
開業税理士となる場合、未設立の税理士法人の社員税理士として登録申請する場合に事務所の設置場所が実態を伴うものかを確認するために提出する書類です。
税理士(法人)事務所の設置に関する書類
具体的には、建物の登記事項証明書・賃貸借契約書・間取り図などです。登記のされていない建物に事務所を設置する場合には、固定資産税の課税証明書の提出も必要となります。
また、必要に応じて提出する書類として、法人の役員を行っている場合には会社の履歴事項全部証明書、税理士法人の社員税理士になる場合には定款の写しも提出します。職歴に長期の無職期間がある場合には生活状況を説明する書類、短期間のうちに転職を繰り返している場合には退職理由説明書の提出を求められる可能性もあります。
提出予定の税理士会への確認は必須
税理士として登録するためには、日本税理士会連合会が求める書類と提出予定の東京税理士会など各税理士会が求める書類の両方をそろえておく必要があります。必要となる書類はたくさんあるものの、事前に提出先の税理士会に確認をとっておけばスムーズです。
書類の内容について不安がある場合には、直接税理士会を訪れるか、書類を送ってチェックしてもらうようにしましょう。書類の記載は厳密さが求められるため、住所や戸籍などは提出書類の記載例を確認して正確に記入してください。
税理士登録の手順
ここでは税理士登録の手順を見ていきます。
必要書類の提出
すでに上記でご紹介した必要書類を提出します。提出先は税理士として仕事をする予定の事務所等がある地域の税理士会となります。
面談
必要書類の提出後、税理士会の支部で面談が行われます。面談の内容としては、これまでの職歴についてや税理士会についての説明などで、それを通じて人物確認もしているようです。こちらは落とすための試験ではありませんので、あまり緊張しないで臨めば問題ありません。
登録通知の受領
書類の提出と面談が終わると、登録審査期間となります。だいたい2-3ヶ月ほどかかりますので、通知を待ちましょう。審査で問題がなければ税理士名簿に登録されるとともに氏名や登録番号が官報をもって公告され、手元に税理士登録通知が届き晴れて税理士としての活動をスタートできます。
登録が否認される場合
登録申請をしても審査で否認されるケースもあります。理由は様々ですが、例えば以下に該当すると否認される場合があります。
【登録拒否事由】
● 弁護士や公認会計士等で、懲戒処分で業務を停止された者
● 報酬のある公職に就いている者
● 納税において不正があった者、刑事罰を受けた者
● 心身に故障があり税理士業務を行うことが難しいと判断された者
● 税理士としての信用や品位を著しく欠くと判断された者
など
税理士登録後の流れ
税理士登録が問題なく完了した後の流れを見ていきます。
税理士登録通知受領と伝達式
登録年月と登録番号が記載された「税理士登録通知」と税理士証票伝達式の日程が記載されたお知らせが届きます。伝達式は税理士会の支部で開催されることが多いようですが、交付式では税理士バッジ授与や各種書類受け渡しなども行われるため必ず出席するようにしましょう。
登録費用の負担
税理士登録をするためには、以下の様々な費用を負担しなければなりません。
● 全国共通の費用
○ 登録免許税:6万円
○ 登録手数料:5万円
● 税理士会の費用
○ 入会金:約5万円
○ 会館建設費:約2万円
○ 税理士制度発展募金:約1万円
※税理士会の費用・内訳は支部によって異なります。
● その他の費用
○ 登録研修時テキスト代等:1万円程度
○ 各税理士協同組合連合会費用等:数千円
○ 名札代:実費
登録のためにはトータル20-30万円ほど必要となるため、あらかじめ資金を準備しておくことが重要です。税理士事務所によってはこれらの費用を負担してくれるところもあるようなので、勤務先に確認しましょう。
税理士登録申請中の注意点
税理士登録のすべて申請手続きが終わってから税理士として登録されるまで通常2-3ヶ月ほどかかりますが、この登録申請中はまだ税理士資格は有しておらず税理士ではありませんのでご注意ください。
そのため登録申請中に「税理士」と名乗ってしまうと税理士法第52条および53条違反となるため、税理士として名乗らないよう注意しましょう。税理士の独占業務を受託することは当然として、ホームページや名刺などに税理士と記載すること等もこれに該当するためNGとなります。
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税理士登録を済ませるための書類は多くありますが、税理士として活動するための第一歩であるため、しっかりと行いましょう。特に実務経験を証明する書類については、勤務先の協力も必要となるため登録予定の日から前倒しで早めに行動することが大切です。
住民票や戸籍抄本などは書類発行の日から、有効な書類として取り扱われる期間の定めがあるので提出時期をよく見定めておく必要もあります。また、登録決定と同時に事務所を設置する場合には、他の書類の作成と並行して賃貸借契約も行わなければならないため、思っている以上に取り組むべきことが多いと言えるでしょう。書類の提出が終われば、税理士会で面接を受けて審査を待つという段取りになります。
早めの行動を心がけて、わからないことはすぐに税理士会に確認するといった姿勢で登録申請を行っていきましょう。
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投稿者情報
- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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