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社会保険労務士試験と転職について

なぜ社会保険労務士(社労士)試験が難関なのか解説!難易度と合格率に潜む罠とは?

2023/10/30

働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、テレワークや時短営業、フレックスタイム制など、労働者の働き方が多様化しています。

さまざまな制度の導入に伴い、各企業の労働環境や労働条件、就業規則、給与体系が一斉に見直されています。

このような労働問題に対応できる専門家は「社会保険労務士(社労士)」です。複雑化した労働問題に対応できる専門家として社労士の社会的ニーズが高まる一方で、社会保険労務士試験の合格率は毎年数%と超難関国家資格としても有名です。

なぜ難易度が高いのに、挑む人が多いのでしょうか。何千時間にも及ぶ勉強時間を必要とし、合格率の低い試験に挑むのは理由があるはずです。

本記事では、社会保険労務士(社労士)試験の難易度や試験合格率、超難関資格と言われる理由についてご紹介しています。これから社会保険労務士(社労士)を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

社会保険労務士(社労士)とは?

社会保険労務士は、労働保険や社会保険などの労務全般に精通し、企業を支える専門家です。企業の成長に欠かせない「ヒト・モノ・カネ」の内、「ヒト」に関する業務をサポートする仕事です。

社会保険労務士の仕事は、大きく以下の3つに分類されます。

  1. 労働保険や社会保険に関する書類作成・提出業務
  2. 就業規則等の帳簿書類の作成業務
  3. 労務や人事に関する相談業務

1・2の業務に関しては、社会保険労務士の「独占業務」とされているため、無償であっても第3者が行えない業務です。

社労士試験を解説

社会保険労務士とは

受験資格

社会保険労務士が難関国家資格といわれる理由のひとつは、受験資格に要件があることです。本章では、社労士試験の受験要件について一部ご紹介しています。

学歴要件

短大または大学、高等専門学校の卒業した者であり、高校卒業のみに人は試験を受けることができません。大学は62単位以上の修得が必須条件とされ、短大については、全国社会保険労務士会連合会の審査で短大を卒業した人と同等以上の学力が認められる人も受験資格を有します。

実務経験要件

3年以上の実務経験がある人も社労士試験を受けることができます。ここでいう実務経験とは、「社労士や弁護士の補助に3年以上従事」や「個人事業主として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事」などをいいます。

実務経験の範囲については、あいまいな部分も多いため、実務経験に該当するかを全国社会保険労務士会連合会に直接問い合わせしてみてください。必要事項を記入した後、「実務経験証明書」と「送付状」をFAXすると、受験資格の有無について正式に回答してくれます。

国家資格合格者要件

厚生労働大臣が認めた一定の国家試験に合格している人も社労士試験の受験資格があります。一定の国家資格とは、公認会計士試験や不動産鑑定士試験、弁理士試験が該当し、他にもさまざまな国家資格が該当します。詳しくは、社会保険労務士オフィシャルサイトから確認してみましょう。

試験の詳細

社労士試験は「労働基準法」・「雇用保険法」・「健康保険法」など、20種類以上の法令問題によって構成されています。広範囲の試験範囲であるうえに、毎年多くの法改正が行われる試験でもあることから難易度の高い試験だと言われています。

出題形式は、マークシート方式を採用しており、「選択式」と「択一式」になります。問題出題数は全110問で、選択式8問(解答40問)と択一式70問の構成になっています。110問を210分以内に解答する必要があるため、正確性と解答スピードが求められます。

科目別の紹介

社労士試験に出題される科目は以下のとおりです。

下記からも、かなりのボリュームを吸収しなくてはならないことが伺えます。

  • 労働基準法(労基)
  • 労働安全衛生法(安衛)
  • 労働者災害補償保険法(労災)
  • 雇用保険法(雇用)
  • 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収)
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)
  • 健康保険法(健保)
  • 厚生年金法(厚年)
  • 国民年金法(国年)
  • 社会保険に関する一般常識(社一)
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申し込んだが受験しない人も多い

社労士試験の合格率は例年1桁台です。過去7年間の「受験申込者総数」・「受験者総数」・「合格者総数」・「合格率」は以下のとおりです。

実施年度受験申込者数受験者数合格者数合格率
令和3年度52,25140,6332,1345.3%
令和2年度50,44337,3062,9377.9%
令和元年度49,25034,8452,2376.4%
平成30年度49,57038,4282,5256.6%
平成29年度49,58238,4272,4136.3%
平成28年度49,90238,6852,6136.8%
平成27年度51,95339,9721,7704.4%

表から見てわかるとおり、確かに合格率は大変少なく、狭き門であることは間違いありませんが、受験申込者の約20%が試験を受けていません。

特に令和3年は受験者数が増加しているのに関わらず合格率は5.3%と非常に低い数値になっています。

仕事の都合や勉強時間を確保できないなど、受験しない理由は人それぞれです。何が言いたいかというと、受験するだけでも受験者数の20%のライバルに勝り、上位80%に入ることができる試験でもあるのです。

参考:厚生労働省「第54回社会保険労務士試験の合格者発表」

社会保険労務士試験の難易度とは

社労士試験の難易度はどれくらい?

前述の合格率が示すように、毎年約5万人の受験申込者総数がいる中で、合格するのは2,000人〜3,000人弱です。合格率も約4%〜8%であることから、難易度が高い国家資格といえます。合格率が非常に低い理由は2点あげられます。

1点目は、広範囲である試験範囲にも関わらず、合否が1発で決まる試験だからです。同等の難易度でいうと、税理士資格と比較されますが、税理士資格は11科目あるうちの5科目に合格すれば税理士試験に合格したと認められます。

さらに、科目合格した税法は、基本的に消えることがないため、モチベーションを保ちながら勉強を進められるのに対して、社労士試験は、全て一発勝負であるため、税理士試験に限らず、他の国家資格よりも難易度が高いと位置付けられます。

2点目は、試験の科目数が多いことに加えて、出題範囲が広範囲であることです。社労士試験は全8科目+労務管理と社会保険に関する一般常識についての問題が出題されるため、法律の暗記範囲が膨大です。

暗記試験は、付け焼き刃の知識では合格することができないため、各分野をコツコツと暗記していくほか、合格の道はありません。勉強時間の確保が難しい会社員が多いことも合格率が低い要因といえるでしょう。

社労士試験の「合格ライン」とは

社労士の合格ラインは、全体の7割を超えるかつ、「択一式」の問題は科目ごとに40%以上、「選択式」の問題は60%以上の点数が必要です。択一式で満点を叩き出したとしても、選択式で60%に満たない時は不合格。もちろん、選択式が満点で択一式で40%に満たない場合も不合格です。

つまり、社労士試験は、総合力を問われる試験でもあり、総合得点がどんなによくても不合格になる場合があることも忘れないように注意しましょう。

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なぜ社労士試験が難関といわれるのか

社労士試験が難しい理由のひとつに、年度によって問題の難易度に差がでることがあります。過去6年間の合格率を見てわかるように、合格率が低い年は5%に満たない合格率なのです。

広範囲の複数科目試験において、平均的に合格基準を満たすのは非常に困難です。科目数が多ければ多いほど、合格率が下がることに加えて、難易度が高い問題が密集している科目が一つでもあれば、合格ラインに達することができず不合格になってしまいます。

合格率が10%に満たない難関資格全般に言えることですが、その年度の出題問題の難易度によって合格率が左右される運の要素が加わることも、社労士試験が難関資格と言われる由縁です。

科目毎の合格ラインが変動する

前述でご紹介したように社労士の合格ラインは、全体の7割を超えるかつ、「択一式」の問題は科目ごとに40%以上、「選択式」の問題は60%以上の点数が必要です。

選択式の場合、40点満点中28点以上であり、各科目5点満点中3点以上が必要です。択一式の場合は、70点満点中の49点以上であり、各科目10点満点中4点以上が必要とされます。

年度ごとに出題問題の難易度が異なり、出題難易度が高すぎる範囲においては、補正が行われ、合格ライン基準点を満たしていない場合でも合格とみなされることもあります。

合格ラインに達しても繰り越せない

社労士試験には、合格ラインを達成した科目があるからといって繰り越しできる制度はありません。

前述でもご紹介したような税理士やFP、中小企業診断士も一定の合格ラインを超えた部分について、科目合格等で免除される制度があります。社労士試験については、一切免除制度がないため、合格するか不合格かの2択です。

科目数が多いため勉強範囲も広い

社労士試験の特徴としては科目数が多く、20種類以上の法律の知識が必要です。さらに、各科目に合格基準点が設定されているため、総合的に合格ラインを超えなくてはなりません。

つまり、社労士試験を勉強する際は、得意・不得意関係なく、出題範囲の膨大な量の法律を網羅的にしっかり学習するのが一番重要な方法と言えるでしょう。

そのため、独学では網羅的、効率的に勉強することが難しく、多くの方は予備校や専門学校、通信講座などを受講して教材などに沿って効率的に勉強を進めて挑む方が多いのです。

社労士は人気があるのか?

なぜ社労士は人気が高いのか?

社労士試験が人気である理由は、大きく3つあります。

1.高い年収が期待できる

1つ目は、社労士試験に合格して、社会保険労務士になってしまえば、安定した収入が期待できることです。社会保険労務士の平均年収は600〜700万円と言われてますから、日本の平均年収を越えるいい暮らしができることがわかります。

もちろん、一般的には社員社労士と独立開業社労士では、多少年収差が生じるものの、ある程度は高い水準の報酬は期待できる資格です。

2.独立開業も可能な資格

2つ目は、独立開業できる国家資格であることです。独立開業社労士の年収はピンキリですが、自分のペースで仕事を調整することや自分の業務範囲を自由に設定できるメリットがあります。

3.ある程度の仕事量が見込める

3つ目は、独占業務があるだけに仕事が舞い込んでくる確率も一般の会社より高いため、集客しやすいというメリットも魅力です。ワークライフバランスを重視している方にはとてもおすすめの資格と言えるでしょう。

まとめ

社会保険労務士試験の仕事や試験概要、超難関国家資格と言われる理由について理解は深められたでしょうか。

社会保険労務士試験は合格率は、結果として数%ではあるものの、日々の勉強や試験対策を継続的に行うことで、合格ラインを突破できる試験です。

社労士試験は、試験範囲が広いため豊富な知識を求められます。実務経験の知識というよりは地道に法律を覚えて、試験範囲を網羅していく勉強法がおすすめです。

さらに、社労士試験は、国家3大資格である公認会計士や難関資格である税理士と比較されることも多いため、合格するまでに膨大な勉強時間が必要であると囁かれています。

しかし、コツコツと地道に勉強すれば短期間で取得できる試験でもあるため、ダブルライセンスを目指す方も多い資格でもあります。中には独学で勉強して合格したというツワモノもいるくらいです。

独立開業できる独占業務のある国家資格の中では、比較的コスパのいい試験ですから、キャリアアップや社会的信用力のある資格を目指す方にはピッタリの資格と言えるでしょう。

但し、どの転職サイトで検索してみても社労士事務所の求人数が少ないこともあり、労務知識を活かして会計事務所や一般企業にまで視野を広げ、転職する方も少なくありません。

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労務知識を活かして会計業界(会計事務所、一般企業のバックオフィス)で働きたいと考えている方は、会計業界専門の転職サイトや転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

会計業界専門の転職エージェントは業界に精通していますし、他の総合的な転職エージェントでは細かな条件まで理解されないことも多いのですが専門の転職エージェントであれば、コミュニケーションが取りやすくストレスも少ないでしょう。

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