
監査法人の就職は難しい?難易度・就活対策・Big4の特徴を徹底解説
公認会計士試験に合格した後、会計監査などを行う監査法人を就職先として選びキャリアをスタートさせたいと考えているなら、監査法人の採用事情について把握しておくことが重要です。なぜなら、監査法人の定期採用や中途採用は、一般企業の採用スケジュールとは異なるためです。
そこで今回は、監査法人の採用状況について詳しく説明し、監査法人への就職活動・転職活動を成功させるためのポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
コンテンツ目次
監査法人の就職難易度と就活事情
監査法人の就職市場は、長年にわたり人材不足と国際会計基準への対応ニーズの高まりを背景に、求職者に有利な「売り手市場」の状況が続いています。
特に公認会計士は需要が非常に高く、M&AやIPO支援といったコンサルティング業務の増加も、この傾向に拍車をかけています。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時的に採用数が減少し、監査法人も採用活動に慎重になる時期がありましたが、その後は求人数が回復し、現在では再び売り手市場の傾向が見られます。
とはいえ、市場が売り手有利であっても、すべての応募者が簡単に内定を得られるわけではありません。
特に人気が高く条件の良い監査法人では、競争が激しくなるため、しっかりとした準備が求められます。そのためには、志望動機を明確にすることや、面接対策を十分に行うこと、そして応募先の監査法人が求める人物像に自分がどのように合致するかを具体的に伝えることが重要です。
監査法人は学歴よりも公認会計士資格
監査法人の定期的な採用活動は、公認会計士試験の日程に合わせて行われるのが一般的であることからも、公認会計士試験合格者が採用において優先される傾向があるといえます。
とはいえ、公認会計士資格を持たない人でも、USCPA(米国公認会計士)の資格を保有している場合や、コンサルティング業務などの実務経験がある人が採用される例も、少数ながら見受けられます。
さらに、公認会計士の資格を持っていれば、学歴についてはそれほど重視されない傾向があり、実際に監査法人のパートナー職に就いている人の中には、高卒の経歴を持つ方もいるとされています。
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監査法人の就職を有利にする対策
英語力・PCスキルをつけておく
監査法人への就職活動において、英語力は重要なプラス要素の一つとなります。特に、TOEICのスコアが700点以上であれば、好印象を持たれることが多く、そのスコアが一つの評価基準として見なされることが一般的です。
また、英語力だけでなく、パソコン操作のスキルも選考の際に重要視されます。特に、Microsoft Office Specialist(MOS)などの資格を持っていると、実務で必要なパソコン操作能力を証明する材料として大変有効であり、これにより、より高い評価を得られる可能性が高まります。
このようなスキルをしっかりと備えておくことで、監査法人の採用過程において有利に働くでしょう。
面接練習をしておく
公認会計士試験に合格した方は面接の経験がほとんどない方が多いのが現状です。
試験に合格するためには、専門的な知識や技術をしっかりと身につけることが求められますが、就職活動において最も重要なステップの一つとなるのが面接です。面接は、単に合格するだけではなく、採用担当者に自分自身を適切にアピールし、他の候補者と差別化するための貴重な機会です。
そのため、面接に備えて十分な対策を講じておくことが非常に大切です。事前にしっかりと練習を重ねることで、質問に対する自信を持った回答や、面接官に対して良い印象を与えることができ、競争の激しい就職活動の中で、他の候補者に対して一歩リードすることが可能となります。
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監査法人の就職活動の流れ
公認会計士の試験日程にあわせたスケジュール
公認会計士試験論文式試験の合格発表が行われる11月中旬を境に、監査法人への就職活動が本格的に始まります。
この時期になると、各監査法人による説明会の予約受付が始まり、エントリーシートの提出準備も並行して進める必要があります。
とくに公認会計士の新卒採用は一斉に行われるため、合格が判明した直後から迅速に就職活動に取りかかることが重要です。
約2週間の短期決戦のポイント
公認会計士試験の合格発表後、およそ2週間のあいだに就職活動が集中して行われます。
この短期間に、合格者は複数の監査法人の面接を受けることが一般的です。
面接の予約受付は、発表から約1週間ほどで締め切られるケースが多いため、素早く動くことが非常に重要です。
実際の面接は11月下旬から12月上旬にかけて行われ、面接後は数日以内に内定の連絡が届くのが通常の流れです。
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Big4(4大監査法人)の特徴
この章では4大監査法人の法人ごとの魅力や特徴をお伝えします。
新日本有限責任監査法人(アーンストアンドヤング)
EY新日本有限責任監査法人は、日本で最初に設立された有限責任監査法人で、世界の四大会計事務所の一つであるErnst & Youngのメンバーファームです。
この法人は、監査報酬において長年にわたり日本一を誇り、金融商品取引法監査や会社法監査を同時に提供している大規模なクライアントを多数抱えています。そのため、「監査と言えばEY新日本有限責任監査法人」と考える公認会計士も少なくありません。
監査分野では、特にメーカー、銀行、電力、不動産、建設などの業界に強みを持ち、株式会社みずほフィナンシャルグループや東京電力ホールディングスなどがクライアントです。また、公会計分野にも強みを発揮しており、学校法人の監査クライアント数も他の監査法人に比べて多いです。さらに、地域面では東北や北陸地方に強いとされています。
有限責任監査法人トーマツ(デロイトトウシュトーマツ)
有限責任監査法人トーマツは、世界最大の会計事務所であり、四大会計事務所の一つであるDeloitte Touche Tohmatsuのメンバーファームです。四大会計事務所の中で、日本の会計事務所の名称を冠している唯一の監査法人となっています。監査報酬と非監査報酬を合わせた業務収入は、日本でトップを誇り、従業員数も監査法人の中で最も多いのが特徴です。
この監査法人は特に非監査業務に強みがあり、特にIPO関連の業務において優れた実績があります。また、日本の大手商社である三菱商事、三井物産、伊藤忠商事の監査も手掛けており、商社関連の業務に強い点が特徴です。さらに、三菱グループのクライアントが多いのも特筆すべき点ですが、逆にメーカー関連のクライアントは少ないと言われています。また、地域に関しては四国や九州に強みを持つとされています。労働組合関連の監査業務も手掛けており、その分野においては他の監査法人よりも多くのクライアントを有しています。
有限責任監査法人トーマツの企業文化は、体育会系の雰囲気を持つと言われています。特にIPOなど営業色の強い部署では、このような社風が色濃く現れますが、監査部門ではさまざまなスタイルのチームが存在し、柔軟な働き方が求められる環境もあります。
有限責任あずさ監査法人(KPMG)
日本では、四大監査法人に加えて「三大監査法人」という呼び方も使われることがあります。三大監査法人にあたるのは、上記のEY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツとほぼ同規模のあずさ監査法人です。あずさ監査法人は、世界的な会計事務所であるKPMGのメンバーファームとして知られています。
あずさ監査法人は、特に売上が1兆円を超える企業や、鉄道会社の監査に強みを持っています。例えば、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)はあずさ監査法人のクライアントの一つです。また、住友グループや三井グループのクライアントが多いことも特徴です。地域的には、関西や中国地方に強みを持っているとされています。
企業文化に関しては、あずさ監査法人は穏やかで落ち着いた雰囲気があるとされていますが、実際には多様な性格を持った公認会計士が活躍している職場でもあります。
PwCあらた有限責任監査法人
4大監査法人の中では比較的規模が小さいものの、提供するサービスの幅は非常に広いのが特徴です。
主な業務には、監査のほか、IFRS(国際財務報告基準)導入支援、アドバイザリー、IPO(株式公開)支援などが含まれ、公認会計士としての専門性を活かせる多様な分野で活躍の場が設けられています。
イギリスに本拠を置くPwC(プライスウォーターハウスクーパース)と提携しており、グローバルな最新監査ツール「Aura」などの先進技術を導入し、業務の効率化や高度化を図っています。外資系のイメージも強いです。
さらに、保育施設の利用枠を提供するなど、育児と仕事の両立を支援する制度も整っており、特に女性の働きやすい環境づくりにも力を入れています。
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Big4と中小監査法人の違い
監査法人は、事業規模や売上高によって、BIG4と呼ばれる四大監査法人と、それに続く準大手、中堅、中小監査法人に分類されます。
準大手監査法人の中には、4大監査法人に匹敵するような上場企業のクライアントを持つ法人もあり、仕事内容においては4大監査法人と多くの共通点があります。一方で、中堅・中小規模の監査法人の業務内容としては、上場企業の監査も行っていますが、会社法関連や未上場企業への任意監査の比率が高い傾向があります。
4大監査法人は、規模が大きく年収も高い傾向です。人材の層も厚いため、充実した研修制度が整っており、海外勤務や最新の監査技術を学べキャリアパスもえがきやすいといえます。これに対して、中小規模の監査法人では即戦力が求められることが多く、若手でも早い段階から多様な業務経験を積む機会が豊富に提供されている傾向があります。
監査法人への就職は競争率も高く入念な準備が必要
長らく監査法人は売り手市場とされ、公認会計士試験に合格すれば比較的スムーズに就職できる状況が続いていました。しかし、コロナ禍の影響により、他の業界と同様に監査法人でも採用を控える傾向が強まり、状況は大きく変わりました。
とはいえ、働き方改革や新収益認識基準といった、監査法人が引き続き人材確保に取り組むべき経営課題は依然として存在します。採用を絞り込む際には、早期に戦力として活躍できる人材がますます求められるようになっています。
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投稿者情報

- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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