公認会計士の仕事はやめとけ?難易度が高すぎる?業務が激務?その理由を解説
2024/09/04
公認会計士を目指して試験勉強を進めている最中に「公認会計士はやめとけ」「食えない資格」という記事をメディアやブログで目にしたことがある人もいるでしょう。
これから公認会計士を目指して頑張っている人の中には、このような発言を耳にしたりや記事を目にしたりすると不安になってしまう人もいると思います。
しかし、実際に公認会計士の合格者はBIG4監査法人に就職する人も多いというような、高年収が期待できる国家資格のはずです。では、なぜ「公認会計士はやめとけ」、「公認会計士になって後悔している」といったような意見があるのはなぜなのか気になります。
こちらの記事では「公認会計士はやめとけ」というのは本当なのかを検証していきます。なぜそのようなことを言われるのか理由も解説しながら、公認会計士のメリットにも触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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コンテンツ目次
「公認会計士はやめとけ」といわれる理由
公認会計士になるために、必死で公認会計士試験合格を目指して勉強を重ねている人にとって、「公認会計士はやめとけ」はあまり聞きたくない言葉でしょう。こうした発言が聞かれる裏には、どういった背景があるのでしょうか。まずは、「公認会計士はやめとけ」といわれる理由について解説します。
- 難易度が高いから受かるわけがない
- 激務になることが多い
- つまらない仕事と感じることがある
- AIに仕事を奪われる可能性がある
難易度が高いから合格するわけがない
「公認会計士はやめとけ」といわれる理由の1つとして、公認会計士の難易度が挙げられます。実際、公認会計士試験は合格率が例年10%前後を推移する難しい試験です。令和5年11月17日に開示された令和5年度における公認会計士試験の合格率は7.6%でした(※1)。
税理士試験のように科目制度がありませんので、公認会計士試験は1度の試験で全てに合格しなくてはならないことから「質」の難易度が高い試験だと言われています。
当たり前ですが、時間をかけて勉強したからといって、必ず合格するわけではありません。また、合格するまでに数年費やすことも想定されます。
※1 令和5年公認会計士試験の合格発表について / 公認会計士・監査審査会
公認会計士試験の難易度については「公認会計士試験と税理士試験の難易度の違いとは?合格までの勉強時間は」で紹介しています。
激務になることが多い
公認会計士の就職先として多いのが、監査法人になります。とくにBIG4と呼ばれる大手監査法人へ就職する人も多いです。監査法人は慢性的な人手不足に陥っているため、公認会計士の資格を持っていれば就活しやすいといえます。
一見するとメリットに感じられますが、決算期になると業務が集中し、残業がかなり多くなり激務になりやすいのが特徴です。多くのクライアントを抱えている場合や、4半期決算を踏まえると、実質1年中忙しい状態であることも考えられます。
つまらない仕事と感じることがある
公認会計士の仕事を始めて間もないころは、すべての仕事内容を把握するのが困難です。最初は、上司の指示を頼りにわかりやすい単調な業務をこなしていくことになるでしょう。
理解ができていない状態で仕事を進めると、「つまらない仕事」だと感じることもあります。一方で、年数を重ねると、担当する仕事も増えていきます。また、仕事に対する理解力が深まることで、徐々にやりがいも感じられるでしょう。
AIに仕事を奪われる可能性がある
近年よくいわれているのが、入力作業や仕訳といった単純な業務はAIに取って代わられるということです。実際、すでにAIは活用されており事務作業や仕訳業務などは自動化されている企業も増えています。AIを活用することで、一般企業の経理業務や公認会計士の業務負担を軽減してくれています。
このままAIが進化し続けると、「公認会計士の仕事がなくなるのではないか」という意見もあるのが現状です。しかし、公認会計士の仕事では、クライアントとのコミュにケーションや話し合いが重要になります。このように日々変化する状況や環境に合わせて柔軟に対応を検討するようなコンサルティング業務などはAIが不得意とするところで、AIでカバーするのが難しい部分といえるでしょう。
本当にデメリットばかりなのか
公認会計士の仕事だけに限りませんが、「やめとけ」といわれると、本当にやめたほうがいいのだろうかと悩んでしまうものです。
実際、公認会計士の試験は難易度が高いため、合格するためには、それなりの努力が必要になります。また、試験に合格した後も資格を得るためには、実務補習や2年以上の実務経験といった条件を満たさなくてはなりません。
必死で勉強したのに合格できなくて、挫折する人もいるでしょう。さらに、公認会計士になれた後には、激務の日々が待ち構えています。働き方改革が進んでいる昨今でも、繁忙期は仕事の忙しさに手いっぱいになる可能性も考えられるでしょう。
一方で、公認会計士になると、これらのデメリットを補えるほどのメリットも感じられます。やりがいや収入などに加え、安定性もメリットとして挙げられるでしょう。公認会計士になるかどうかは、こうしたメリットを踏まえた上で考えることが大切です。
公認会計士のメリット
難易度が高いにも関わらず、毎年多くの受験者が公認会計士の試験に挑戦しています。なかには、かなりの年月を費やして頑張る人もいます。それだけ公認会計士という仕事には、魅力があるということです。続いては、多くの人が目標とする公認会計士のメリットを5つ紹介します。
- 高年収が期待できる
- 仕事を失う可能性が低い
- 職種の一般的なイメージが良い
- 他の資格への応用が利きやすい
- 幅広い職種に就職・転職がしやすい
高年収が期待できる
公認会計士の大きなメリットとして挙げられるのが、収入面です。公認会計士は高年収が期待できる職種であり、平均年収は約1,000万円といわれています。令和4年度の正規雇用で給与を得ている人の平均年収が458万円であることからも、公認会計士がいかに高収入かご理解いただけるかと思います(※2)。
また、監査法人や金融機関で雇われる場合も公認会計士の資格を持っていれば、高待遇が期待できます。また、独立して個人事務所を立ち上げれば、さらに年収が上がる可能性もあるでしょう。
お金を稼ぎたいという人にとっても活用できる資格であることは間違いありません。
仕事を失う可能性が低い
公認会計士は、医師や弁護士と並ぶ三大難関国家資格の1つです。高額報酬に加えて、公認会計士のみが許される独占業務の規定があります。また、公認会計士は試験の難易度が高いことから、人材不足なのが実情です。そのため、資格を持っていれば仕事に困ることも少ないでしょう。さらに、収入も安定しているため安心して働きやすいのもポイントです。
職種の一般的なイメージが良い
公認会計士は、難関とされる試験を突破して初めて就ける職業です。医師や弁護士と同じように社会的なステータスが高く、憧れを抱いて公認会計士を目指す人も多いでしょう。また、公認会計士の試験は、学歴や年齢を問わず受けられる試験です。そのため、働きながら資格取得を目指す公認会計士志望の方も少なくありません。
他の資格への応用が利きやすい
公認会計士の資格試験と出題範囲が近いのが簿記1級です。公認会計士の資格試験で得た知識は、知識を簿記1級に活用できます。公認会計士よりは受かりやすい簿記1級ですが、難関資格には変わりありません。例えば、会計事務所だけではなく、セカンドキャリアとして大手企業の経理部門やコンサルティング会社など、さまざまな職種への就職で有利に働くでしょう。
また、グローバルな企業や外資系企業でのキャリアを考えているのであればUSCPA(米国公認会計士)の取得も検討しておくと良いでしょう。
公認会計士の試験勉強をしておくと、他の場面で有利に働くという点は、大きなメリットといえます。
幅広い職種に就職・転職がしやすい
公認会計士資格を取得後、試験を受けなくても税理士や行政書士として登録できます。公認会計士と併せて取得すると、仕事の幅が広がり多くの企業から重宝されるでしょう。仕事を選びやすくなります。
例えば、監査の仕事が得意であれば、大手企業の監査業務でキャリアを積むのも良いでしょう。中小企業であれば、財務会計や税務といった、会社の中枢を担う仕事を任される可能性もあります。その他、コンサル業務に専念するのも1つの道です。このように、公認会計士の資格を持っているからこそ活躍できる仕事や職場は非常に多くあります。キャリアアップを目指しやすい点もメリットといえるでしょう。
近年では、監査法人を退職され、独立開業や何かのライフイベントを終えた後に、非常勤としてふたたび監査法人で働くことを選ぶ公認会計士が増えています。
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公認会計士を目指すのにおすすめの人
公認会計士は、特殊なスキルが必要な仕事です。もちろん、すべての人が公認会計士に向いている訳ではありません。自分に向いているかどうかを把握した上で、公認会計士を目指すことをおすすめします。続いては、公認会計士に向いている人の特徴について解説します。
- 数字に強い人
- 公正な姿勢で業務と向き合える人
- コミュニケーション・チームワークが取れる人
数字に強い人
公認会計士は、その名の通り会計業務に携わる職業です。財務諸表の確認がメインとなります。財務諸表とは、企業の状態を数値化したものであり、これを元に監査を行い、虚偽や間違いを指摘しなければなりません。そのため、数字に強い人は公認会計士に向いているといえるでしょう。
公正な姿勢で業務と向き合える人
公認会計士の仕事では、公正さが問われます。場合によっては、企業に対して厳しい態度を取らなければならないこともあるでしょう。監査の段階で不正が発覚した際には、どんなに知名度のある企業であったとしても、指摘する必要があります。そのため、企業の大小や自分との関係性を問わず、公正な姿勢を崩さず業務を遂行できる人が公認会計士に向いているといえます。
コミュニケーション・チームワークが取れる人
公認会計士の仕事の1つに、コンサル業務があります。コンサル業務では、クライアントの経営者などと相談しながら問題解決をする必要があるため、クライアントとのコミュニケーション能力が欠かせません。また、監査業務では、数人の会計士とチームを組んで仕事をすることがあります。そのため、クライアントや仕事仲間とコミュニケーションやチームワークが取れるかどうかは、公認会計士として働く上で重要な要素の1つといえます。
向いていない人の特徴
苦労して公認会計士に合格したとしても、向いていなければ、長く続けていくことはできないでしょう。公認会計士を目指すのであれば、どんな人が向いていないのかを把握しておくことも大切です。続いては、公認会計士に向いていない人の特徴を解説します。
- 年収だけに魅力を感じている
- 仕事が忙しく時間が取れない
年収だけに魅力を感じている人
公認会計士の魅力の1つとして、年収の高さがあります。確かに、高年収を得ることを目標の1つとして掲げている受験生も少なくありません。しかし、年収の高さだけを目標にすると、資格を取得して仕事に就いたときに、忙しさで挫折する可能性があります。年収のみではなく、仕事内容を理解した上で目指すことが大切です。
仕事が忙しく時間が取れない人
公認会計士資格を取得するためには、3,500時間程度の勉強時間が必要といわれています。仕事が忙しい人が、膨大な学習時間を確保するのは困難だといえるでしょう。受験生の多くが、時間に余裕がある大学生もしくは無職の人です。公認会計士を目指す場合は、毎日の勉強時間を確保できる状態にする必要があるといえるでしょう。
公認会計士の資格取得までの流れ
公認会計士試験には受験資格がありませんので、誰でも挑戦できる、間口の広い資格です。
公認会計士の試験は、短答式試験と論文式試験の2つにわかれています。短答式試験に合格しないと、論文式試験は受けられません。論文式試験に合格して初めて、公認会計士の資格取得となります。
短答式試験は、「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目あり、マークシート式の試験です。どの科目も専門知識が問われるため、しっかりと理解した上で挑む必要があります。特に重要となるのが「財務会計論」と「管理会計論」です。一方、論文式試験は記述形式で実施されます。公認会計士に欠かせない知識に加えて、応用力が備わっているかを試される試験です。実際の業務に使える思考力や判断力を判定するため、応用問題を踏まえた内容の濃い問題となっており、3日間に渡って実施されます。
また、公認会計士試験に合格した後は、実務補習を受けなければなりません。その後、2年以上の実務経験を積むと、晴れて公認会計士として登録可能になります。ただし、一般企業の経理として働いている人が公認会計士の試験を受ける場合、経理の業務内容によっては、これまでの業務も実務経験として認められることがあります。
公認会計士試験の詳細は「公認会計士試験の科目・試験内容を解説」で紹介しています。
公認会計士試験に合格するためのポイント
公認会計士試験は、単純に暗記すれば合格するというものではありません。合格するには、ポイントを押さえて勉強することが大切です。続いては、公認会計士試験に合格するためのポイントを3つ解説します。
- 無理のないスケジュールを立てる
- 苦手やミスを放置しない
- 問題演習や模試で自身のレベルを把握する
無理のないスケジュールを立てる
公認会計士試験は難易度が高い試験です。最初にすべきこととして、試験日までのスケジュールを組むことが挙げられます。最低でも3,500時間の勉強時間が必要となるため、体調面や精神面など、さまざまなことを考慮して、無理のないスケジュールを立てるようにしましょう。
また、予備校やビジネススクール、通信講座などに通うことで体系だったカリキュラムをスケジュールまで組まれて学ぶことができます。ただし、それらの費用がかかりますので、受講費用も想定しておくことが大切です。
苦手やミスを放置しない
公認会計士の試験内容は、短答式試験4科目、論文式試験6科目の合計10科目で構成されています。どの科目も深く理解していないと、合格はできないでしょう。特に、苦手分野やミスへの対策をしっかりしておくことが大切です。わからない所は地道に繰り返し反復学習して、しっかりと対策した上で試験に挑むようにしましょう。
問題演習や模試で自身のレベルを把握する
単に知識量を増やしただけでは、公認会計士の試験には対応できません。大切なのは、問題を解く力です。インプットした知識を、しっかりアウトプットするスキルが必要になります。自分がどれくらい問題を解く力を持っているのかをチェックするためには、問題演習や模試を活用すると良いでしょう。本番さながらの問題を解くことで、どの程度の実力があるか把握できます。自分の実力が把握できれば、対策も立てやすくなります。
公認会計士はメリットが大きい資格で目指す価値は大きい!
今回は、「公認会計士はやめとけ」といわれる理由や、目指すメリットを解説しました。難易度から敬遠する方も多い一方、合格ができれば就職や転職におけるメリットが大きい資格です。
監査法人などに勤めると、想像以上に業務が忙しいことに驚かれるかもしれません。しかし、そこで得られる実務経験とさまざまなノウハウなどは、今後のキャリアパスに生きることは間違いないでしょう。
応用が利きやすく安定性が高いという利点から、公認会計士を志す方も少なくありません。学習方法さえ習得できれば独学でも目指せるという点も、公認会計士を志す方にとってうれしいポイントでしょう。
メリットもたくさんあり、平均年収も高い傾向である魅力が多い仕事ですので、メリットだけではなく、デメリットも理解した上で公認会計士を目指されることが大切です。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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