会計事務所の業務とは?会計事務所で働くスタッフの業務とは?
2024/01/25
会計事務所・税理士事務所(以下、会計事務所)は法人又は個人の記帳代行から税務相談、各種税務申告業務まで、様々な税務・会計に関するサービスを提供します。通常は税務・会計に関する資格である公認会計士、または税理士資格を有する方が独立・開業して運営しています。
税理士が行える独占業務(税務の代理、税務書類の作成、税務相談)をはじめとして、経理部門がまだ確立されていない中小企業などへの会計代行業務や経営分析。さらには、株式公開支援・企業再編支援など、年々情報提案型のコンサルティング業務を行う会計事務所が増加しています。通常の会計事務所が行う業務に付加価値をつけようとする動きが加速しているのだと思います。
今回は会計事務所の業務と会計事務所で働くスタッフの業務についてご紹介します。
コンテンツ目次
会計事務所の業務とは
一般的な会計事務所の業務内容は大きく分類すると以下のようなものになります。
1.記帳代行業務
記帳代行とは、帳簿作成業務を代行するサービスのことを指します。お客様である中小企業の経営内容を見える化するために、日々のお金の動きをお客様に代わって会計ソフトに入力する業務になります。
事業を行っている以上、お金の動きを会計ソフトへ入力して会計帳簿を作成することが必要ですが、自分の会社でこれらの経理事務を担当する方がいない場合や忙しくて困難になってしまった場合などに代行を利用します。
記帳代行業務は会計事務所に入社した場合の基本的には最初に行う業務であり、また、多くの時間を費やす作業になります。
お金の動きを仕訳と呼ばれる簿記のルールに従って会計ソフトに入力する業務で、日付、勘定科目、取引内容、金額を入力していきます。量が膨大なため正確性に加えスピードも問われる業務で、簿記の知識や税金の知識が必要となります。
2.法人の決算申告業務
会計事務所の業務の中で記帳代行に次ぐ大きな業務として、「法人の決算申告業務」があります。法人は1年に1回、現時点の預金残高や年間の売上高及び製造費用・必要経費などを集計し、貸借対照表、損益計算書といった「決算書」を作成する義務があります。この会計データから作成された決算書をもとに税務申告書の作成を行うことになり、決算書と税務申告書の2つを作成する業務を法人の決算申告業務(「決算書+税務申告書」)と言います。
作業ボリュームは法人の規模にもよりますが、決算書と税務申告書を合算すると50ページを超えることもあり、時間のかかる大変な作業になります。
膨大な量の書類を作成する業務ではありますが、これら(決算書+税務申告書)は一枚一枚手書きで作成するわけではなく、会計ソフトや専用の税金計算ソフトに入力すれば、作成できるようになっています。
3.巡回監査業務
クライアント先を定期的に訪問することにより、会計帳簿の記帳内容・会計処理・税務処理(消費税の課税区分)等が適正に行われているかどうかを確認し、必要に応じて指導を行う業務です。巡回監査業務は取締役や経理担当者への会計・税務上のアドバイスを行うこともあります。一般に、税務や会計の手続きは複雑ですので、クライアントに対してその手続きを適切なものに導く際にはクライアント企業の業務内容を理解しつつ、必要な改善策を具体的に提示することが必要となるため経験や知識が求められます。
最近増えている業務
近年では会計事務所の業務も多様化してきています。記帳代行業務や決算申告業務ですと、他の事務所との差別化が難しくなってきているのと、AIやRPAなどのIT化が加速している昨今、業務の中の作業的な業務については、減少していく傾向があることから、顧問先の業務知識や、経験を積まれたりしながらノウハウを蓄えた税理士がコンサルティング業務も行うケースが増えているのです。税理士は税務の知識のみならず、会計知識やその周辺知識を用いて、コンサルティング業務も行っている事務所が増加しています。コンサルティング業務の代表的なものとしては、現状の環境でも躍進している企業も多くありますので株式公開支援(IPO)や、今は停滞気味ではありますが海外進出されている企業の国際税務、ベンチャー企業や後継者不足によるM&A、不況下の一時的な業績ダウンの企業の企業再生支援など、さらには、事業承継等、不動産証券化(SPC)のコンサルティング業務を行っている事務所もございます。
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会計事務所スタッフの業務
会計事務所の業務内容を理解した上で、会計事務所で働く人々はどのような作業を行っているのか仕事内容について説明します。
各スタッフの仕事内容が、上記に挙げた3つの業務内容とどのように関連があるかも把握することができます。
入力スタッフ
主に記帳代行業務で仕訳内容を会計システムに入力するスタッフです。
会計・税務の知識を勉強中の段階のスタッフが担当します。
単純に入力するだけと思われがちですが、領収書等をもとに自ら勘定科目を判別して入力作業を行う必要があるので簿記の知識は必要です。
会計事務所によっては売上入力だけ、仕入入力だけといった、勘定科目を判別する作業を不要とし、入力だけに特化しているスタッフもおります。
税務会計スタッフ
記帳代行業務に加え、決算申告業務や巡回監査業務の補助も実施するスタッフです。
入力スタッフよりも税務・会計の知識が豊富であることが通常です。
申告書の作成は最終的に税理士が確認し署名することになるのですが、作成の大部分は税務会計スタッフが行います。巡回監査における会計帳簿間の整合性の検討も、税務会計スタッフが中心となって実施します。
税理士スタッフ
税理士の資格をもつスタッフです。
当然ではありますが、入力スタッフや税務会計スタッフよりも税務の知識は豊富です。
会計事務所の規模にもよりますが、記帳代行等の簡単な業務は実施せず、決算申告業務や巡回監査で経営層への税務アドバイスが業務の中心になります。
公認会計士スタッフ
公認会計士の資格をもつスタッフです。
公認会計の資格保有者は税理士試験の免除がされ、一部の研修を受けることで税理士登録も可能です。
公認会計士スタッフの主な業務は巡回監査での会計アドバイスになります。
税理士資格も有している公認会計士が多いため、申告書の作成や税務アドバイスも可能です。どちらかというと会計の専門家になりますので、申告書の作成よりは決算書の作成が中心となり、アドバイスも税務より会計が中心になります。
総務スタッフ
基本的には会計事務所の総務業務を行います。具体的には備品、消耗品等の管理や、クライアントとの契約書の管理、電話対応業務が中心になります。
総務スタッフには会計・税務の特別な知識は求められませんが、繁忙期には入力スタッフの業務も任されることもあります。
経理スタッフ
経理スタッフは会計事務所で日々動くお金の流れの管理を担います。具体的には、売上や給料などのお金の動きを記録して振込みや支払い、請求が正しく行われているかを確認します。そして、これらのお金の流れを決算書作成のために貸借対照表、損益計算書などにまとめることが主な業務になります。「賃借対照表」「損益計算書」は「財務諸表」と呼ばれ財務会計に欠かせないものです。
財務スタッフ
財務スタッフの主な業務内容は、経理スタッフが作成した会計帳簿などを参考に資金計画を立てることです。現時点の資金状況を把握し、将来的な財務状況(顧客からの入金予測や給料の支払による出金予測)をチェック、その都度最適な資金計画を立てることが主な業務になります。
法務スタッフ
会計事務所は単に会計の知識・税務の知識が豊富であれば良いというものでもありません。基本的には小規模のクライアントとの契約が多いため、契約内容(特に訴訟に関連する箇所)については細心の注意を払う必要があります。そのため、ある程度の規模の会計事務所になると法務スタッフとして法律の専門家を雇うことがあります。
主な業務としては契約内容の確認になります。
事務スタッフ
クライアントの帳簿作成や申告書作成といった業務ではなく、会計事務所の事務全般を実施するスタッフです。ある意味、一番業務内容が広い可能性もあります。
スケジュール管理からファイリングまで幅広い業務内容になります。
以上が、会計事務所で働くスタッフの業務内容の紹介になります。
3つの業務内容を理解することで、会計事務所の仕事がおおむね把握できるかと思います。
また、会計事務所で働く各スタッフの仕事内容についても3つの業務と大きく関わりがあります。
どういった働き方が貴方のスキルとマッチしているかどうかを検討するための材料としてご覧ください。
最適なお仕事を探すために、まずは実際の業務を理解することが大切です。
求人情報にも募集職種などの記載がありますので、言葉を理解しておけば、想像も容易ですし、面接の際に同じ言葉でコミュニケーションを図ることもできます。
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