会計求人TOPICS

会計業界で働く人と、目指す人のへのお役立ち情報

会計求人プラスに戻る

税理士の科目免除をうけるために大学院という選択は?

税理士試験の科目免除が可能になる!大学院への進学とは

2023/10/30

士業の中でも超難関国家試験の1つとして有名な税理士試験。
大学在学中に全科目合格するのは至難の業です。

ほとんどの人は大学を卒業してからしばらく勉強に集中するか会計事務所などで働きながら全科目合格を目指します。

ただし働きながら税理士試験に合格することはとても大変です。
もし勉強で行き詰まっているなら、大学院に通って科目免除を狙うのも1つの手段です。
税理士試験では、大学院を修了し一定の要件を満たせば科目免除を受けられます。

大学院に通い科目免除を目指すと言っても、対象となる学科や大学院は1つではありません。
具体的には法学、経済学・経営学、商業系の研究科、会計大学院という複数の選択肢があります。
自分にあった方法を選択することが重要です。

この記事では、科目免除をする方法の中でも特に大学院に通うという選択について詳しく解説します。

税理士試験の試験科目とは?

税理士試験の科目とは?

税理士試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。

なお、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。

科目免除を受ける方法は下記の3つ

特定資格

弁護士は、無試験で税理士として登録することができます。
また公認会計士については、従来は無条件で税理士として登録することができました。
しかし法改正により、平成29年4月1日以降は、税法に関する研修を修了した公認会計士についてのみ、税理士資格を得ることができるようになりました。

学位取得

税理士法の改正により、「平成14年3月までに大学院に進学した方」と、「平成14年4月以降に大学院に進学した方」とで、取り扱いが分かれるようになりました。

平成14年(2002年)3月までに大学院に進学した方

平成14年3月までに大学院に進学した方は、修士号か博士号かに関わらず、商学の学位であれば会計系の科目(簿記論、財務諸表論)が、法学、または経済学のうち財政学の学位であれば税法系の科目(選択必修及び選択科目)が、それぞれ免除されます。

平成14年4月以降に大学院に進学した方

平成14年4月以降に大学院に進学した方については、科目免除のための要件が異なってきます。
大学院による科目免除制度については詳細を後ほど説明します。

実務経験

税務署に勤務し経験した職域とその期間に応じて、免除される科目が段階的に増えて行きます。

10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、経験した職域に応じて税法に属する科目が免除されます。

a.官公署における事務のうち所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税若しくは酒税の賦課又はこれらの国税に関する法律の立案に関する事務に従事した期間が通算して10年以上になる人:税法に属する科目のうち国税に関するもの

b.官公署における事務のうちa以外の事務に従事した期間が通算して15年以上になる人:税法に属する科目のうち国税に関するもの

c.官公署における事務のうち道府県民税(都民税を含む。)、市町村民税(特別区民税を含む。)、事業税若しくは固定資産税の賦課又はこれらの地方税に関する法律の立案に関する事務に従事した期間が通算して10年以上になる人:税法に属する科目のうち地方税に関するもの

d.官公署における地方税に関する事務のうちc以外の事務に従事した期間が通算して15年以上になる人:税法に属する科目のうち地方税に関するもの

e.cの事務に従事した期間が通算して15年以上になる人:税法に属する科目

f.dの事務に従事した期間が通算して20年以上になる人:税法に属する科目

23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計に属する科目が免除されます。

g.a~cの事務に従事した期間が通算して23年以上になる人:会計学に属する科目

h.dの事務に従事した期間が通算して28年以上になる人:会計学に属する科目

i.fの年数を通算した23分の28(約82.14%)に相当する年数とgの期間を通算した年数とを合計した年数が28年以上になる人:会計学に属する科目


公認会計士・税理士を
目指して求人を探すなら

「会計求人プラス」

公認会計士や税理士を目指すなら、実務経験を積みながら資格取得も目指せる事が理想です。会計業界に特化した求人サイト「会計求人プラス」ならそんな職場も探せます!


大学院による科目免除制度とは・科目免除するための要件

科目免除制度とは?

税法系もしくは会計系の学位を取得した人は、取得した学位の学問領域に該当する試験科目の一部が免除されます。
免除されるのは最大で税法2科目、会計学1科目です。つまり、免除対象となる分野のうち最低1科目は試験で合格する必要があります。

単位については、税法2科目免除を目指す人は税法に属する科目(所得税法や法人税法など)を4単位以上、会計学1科目免除を目指す人は会計学に属する科目(簿記論や財務諸表論など)を4単位以上、修得することが必須です。
なお、この4単位には修士論文に関する演習やゼミの単位は含まれません。

科目免除を受けるためには、大学院で必要な単位を修得したうえで、執筆した修士論文が国税審議会の審査で認定される必要があります。
論文が認定されないケースもあり、大学院での研究や論文への取り組みが科目免除の成否を左右することになります。

税理士になるには?受験資格から税理士登録までの道のりを徹底解説

科目免除のメリットとは

科目免除を利用することで、勉強時間を短縮し短期間で合格できるというメリットがあります。
また、体系立てて学習をすすめることができますので、法律への理解が深まるというメリットもあります。

科目免除のデメリットはあるのか?

科目免除を目的として大学院に進学すると主に、費用面・時間についてデメリットがあります。
費用面では、大学院の入学金と授業料だけで130万円から300万円以上かかります。
また大学院に通うための時間が必要となり、拘束される時間がでてきます。

科目免除が受けられる大学院の研究科

法学研究科

法学研究科では、税法だけでなく、憲法や民法、刑法といった法律科目も履修します。
修士論文で税法について取り上げることもできるため、法律の分野に強い税理士として活躍したい人には適しています。

経済学研究科

経済学研究科では、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学など経済学に関する科目を履修し、財政学の視点から租税論などに関する修士論文を執筆することになります。

商業研究科、経営学研究科

商学研究科または経営学研究科では、経営や会計など商学・経営学系の科目を履修します。
経営論や組織論を学べるため、税理士になったあとに会計や経営全般のコンサルタントとして活躍したい人におすすめです。

会計大学院

会計大学院とは、国際会計や管理会計、監査業務に関して実務に即した知識・スキルを習得できる専門職大学院です。
修士論文で税法関連のテーマを扱う場合は税法2科目、会計関連のテーマを扱う場合は会計学1科目の税理士試験の科目免除が可能です。

働きながら通える大学院とは?

仕事を持っている人には、日中はそのまま仕事を継続し、夜間制や通信制の大学院に通うというのも方法としてあります。
通信制の場合は大学院に出向くのは年に数回程度のスクーリング(面接指導)だけで済みますので、仕事との両立もしやすいでしょう。
ただし、通信制の大学院は非常に人気があり、倍率も高い傾向にあるので注意が必要です。


公認会計士・税理士を
目指して求人を探すなら

「会計求人プラス」

公認会計士や税理士を目指すなら、実務経験を積みながら資格取得も目指せる事が理想です。会計業界に特化した求人サイト「会計求人プラス」ならそんな職場も探せます!


大学院の受験までのスケジュールに注意しよう

大学院の受験スケジュールに注意

志望校に関する情報収集はできるだけ早めにしておくのがベターです。
入試は早いところでは7月ごろにスタートし、秋と年明け1~2月ごろがピークになります。
複数回入試を実施する大学院では、3月にも入試を行うところがあります。

入試の日程を確認したうえで、受験する入試方式(社会人入試か一般入試か)を決め、入試科目を調べます。

ちなみに秋入試で不合格でも、まだチャンスはありますので簡単に諦めないようにしましょう。

まとめ

税理士試験は超難関試験ですが、必ず受験で5科目合格しなくてはならないということではなく、他にも方法があることをご理解いただけたと思います。

大学院に通うための学費は決して安くありません。
しかし、なかなか税理士試験に合格できない人にとっては、大学院で税法科目を2科目免除できることは非常に大きいと言えるでしょう。

大学院では予備校とは違った専門的な知識が身につき、大変ではありますが働きながら大学院修了を目指すことも可能です。
税理士資格取得後の長期的なキャリアプランの観点から考えると、全科目合格までの時間を短縮し、早い段階から税理士としての実務経験を積むことは、大きなメリットになるのではないでしょうか。

ただし、科目免除するからといって、税理士になってから必要となる知識が不足している状態では本末転倒です。
免除する科目は貴方のキャリアプランと照らし合わせて、業務に関連性が低い科目にするか、税理士資格取得後に勉強を補うというような計画を事前煮立てておきましょう。

また、税法などを大学院で体系的に学べること自体もキャリアに役にたつと思います。

5科目全てを受験して全科目合格を目指すか、大学院への進学などで科目免除を受けるかについて、貴方にあった方法を選択することが何よりも大切と言えるでしょう。

<税理士試験の各科目を詳細に解説している記事をご紹介>
参考記事:税理士試験科目の財務諸表論とは?試験内容と勉強方法を徹底解説!
参考記事:税理士試験科目の簿記論の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験の所得税法は難しい?難易度や合格のための勉強方法について徹底解説!
参考記事:税理士試験科目の法人税法とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験科目の相続税法とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験科目の消費税法・酒税法の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験科目の国税徴収法の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験科目の住民税・事業税の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説
参考記事:税理士試験科目の固定資産税の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説


公認会計士・税理士を
目指して求人を探すなら

「会計求人プラス」

公認会計士や税理士を目指すなら、実務経験を積みながら資格取得も目指せる事が理想です。会計業界に特化した求人サイト「会計求人プラス」ならそんな職場も探せます!


投稿者情報

税理士副業ライターSOU
税理士副業ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しています。会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

ピックアップ求人

-税理士試験
-, ,