税理士試験科目の財務諸表論とは?試験内容と勉強方法を徹底解説!
2023/11/01
税理士試験において、簿記論と財務諸表論の2つは必須科目となっています。
簿記論は、「簿記」という資格が存在する分イメージがしやすい一方、財務諸表論と聞いて、内容や勉強方法を理解している方は少ないかもしれません。
そこで今回は、財務諸表論の特徴、税理士試験における財務諸表論の合格基準と難易度、財務諸表論の勉強方法についてご紹介します。
税理士試験の財務諸表論の科目について知りたい方、財務諸表論の試験に合格したい方は、ぜひチェックしてみてください。
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コンテンツ目次
税理士試験の財務諸表論の科目とは
税理士は誰もが知っている士業で、国家資格の中でもトップクラスに難易度が高い資格です。
〇会計科目(必須)
- 簿記論
- 財務諸表論
〇税法科目(選択)
- 所得税法
- 法人税法
- 相続税法
- 消費税法または酒税法
- 国税徴収法
- 住民税または事業税
- 固定資産税
税理士になるためには、税理士試験の科目である会計学2科目、税法9科目のうち3科目(選択必須1科目、選択2科目)の合計5科目に合格することが欠かせません。今回ご紹介する財務諸表論は、簿記論と並ぶ必須科目のうちの1つです。
そもそも財務諸表というものは、帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を、株主などに報告するための書類のことです。「財務諸表論」とは、その財務諸表の作成手順や理論を学ぶ科目となります。
簿記論は「会計の具体的な処理方法」、財務諸表論は「会計処理の理論的な背景」という認識でも構いません。簿記論と財務諸表論は密接な関係で結ばれているため、同時に学習することをおすすめします。
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財務諸表論の科目の特徴
財務諸表論の知識は、税理士として実務を進めていく中で、決算書を確認し正確な書類を作成する時に関係してくる重要な科目となります。そのため、税理士試験の必須科目の1つとされているのです。ここからは、財務諸表論の科目の特徴について解説します。
税理士試験における財務諸表論の出題形式とは?
税理士試験の財務諸表論では、理論問題と計算問題が各50点、合計100点の配点の出題となっています。計算問題がほぼすべてを占める簿記論とは違い、財務諸表論の理論問題では論述式の問題があります。
よって、単に計算ができるだけでなく、会計に関する考え方を理解するとともに、限られた文字数でアウトプットする練習が必要になってきます。財務諸表論の具体的な出題範囲は、以下の通りです。
〇財務諸表論の出題範囲
- 会計原理
- 企業会計原則
- 企業会計の諸基準
- 会社法中計算等に関する規定
- 会社計算規則
- 財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則
- 連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則
〇第1問(理論問題:25点満点)
- 無形資産の会計処理と利益計算との関係について答える問題
〇第2問(理論問題:25点満点)
- 「企業会計原則」と「各個別会計基準」を比較して、それぞれの考え方について答える問題
- 「企業会計原則」と「各個別会計基準」の意味・概要について記載
〇第3問(計算問題:50点満点)
- 会社法及び会社計算規則に関する問題
例年、合計で3問出題され、第1問と第2問が理論問題で配点は各25点、第3問が計算問題で50点という点数配分となります。より詳しい試験問題については、国税庁のオフィシャルサイトでも公開されています。(※1)
財務諸表論の試験時間は?
財務諸表論の試験時間は、2時間となっています。税理士試験全般にいえることですが、試験内容はとてもボリュームがあり、120分で完璧にすべて解答するのは至難の業です。試験中に時間の無駄使いをしないように、日ごろから時間配分を念頭に入れて受験勉強をすることが重要です。
理論問題の解答方法
財務諸表論で出題される理論問題は、「問いに対し記述をして答える問題」と、「選択肢の中から正しい記号を選んで答える問題」の2通りがあります。理論問題は、とにかく勉強しなければならない範囲が広く、会計用語が多く出てくることが特徴です。
よって、丸暗記の勉強方法では対策にはなりませんし、内容をしっかりと理解していないと合格は難しいでしょう。特に、問いに対して記述して答える問題は、用語の理解が必須です。財務諸表論の具体的な勉強方法については、コンテンツの後半で詳しく紹介します。
財務諸表論の合格基準と難易度とは
財務諸表論の合格率は年度によって変化しますが、おおむね受験者数の15~20%です。(※2)この数値は、同じ必須科目である簿記論と似通った合格率となっています。
財務諸表論の難易度は、税理士試験の中でも難易度が高い科目の1つです。試験範囲が広い分、学習範囲も比例して広くなるため、体感的に難易度の高さを感じやすい科目となっています。
また財務諸表論と簿記論は、必須科目であるため、注力して勉強している受験生の割合が高い傾向にあります。その中でも、1割~2割の合格率だということを意識して、受験勉強に取り組むことが大切です。
財務諸表論の勉強方法とは
財務諸表論の勉強方法においては、ポイントを押さえて勉強することが大切です。以下では、財務諸表論の勉強方法のポイントをご紹介いたします。
理論問題と計算問題をバランス良く勉強する
財務諸表論で勉強の理解を深めるポイントは、理論問題と計算問題をバランス良く勉強して、計算と理論を結び付けていくことです。簿記論の計算と、財務諸表論の理論を結び付けておくと、会計の仕組みが理解しやすくなります。
簿記の計算問題は、会計のルールに基づいて出題されますが、財務諸表論の理論を勉強すると、「どうしてこういう計算をしているのか」という理由がわかってきます。計算のロジックがわかってくると、記憶として定着しやすくなるのです。
また、万が一計算方法を忘れてしまった場合も、会計理論から計算方法を導くことができるようになりますし、理論問題に答える際にも、計算方法から解答にアプローチするというスキルを身につけることもできます。
ですので、計算と理論を結び付けていくことができる、簿記論と一緒に勉強する方法はとても効果的な学習方法です。なお、同じ必修科目である簿記論については、別ページで試験内容や勉強方法を公開しています。(※3)財務諸表論の学習を進める際は、簿記論のページも併せてご参照ください。
※3 税理士試験科目の簿記論の特徴とは?試験内容と勉強方法を解説
専門語句や言い回しは参考テキストを読み暗記する
理論は理解することが大事といわれていますが、財務諸表論については税理士試験を始めて最初に勉強する科目であることが多いので、初めは使われている語句の理解をするのが大変です。そこでおすすめなのが、語句の暗記をすることです。最初のうちこそ、深く理解できないかもしれませんが、ひたすらキーワードの暗記に励みましょう。
なぜ暗記が必要なのかというと、財務諸表論には記述問題があるためです。理論の内容をいくら理解していたとしても、記述に必要な語句は、その通りに書かなければいけません。自分の言葉で置き換えたり、要約して書いたりすることは、減点対象になってしまいます。よって、理論は一言一句正確に暗記することが重要なのです。
中には、「どのように勉強すると暗記しやすいかわからない」と思う方も多いでしょう。暗記は、基本的には読んで覚える方法がおすすめです。もちろん、1度読んだだけでは暗記できないので、何度もテキストを見直すことが必要です。
また、この方法においての読むということは黙読ではなく、声に出して読むことです。読書のようにただ本を読んでしまうと読み飛ばしてしまうことが多くなります。まずはその言葉を頭に入れるために、声に出してテキストを読み進めていきましょう。
過去問・問題集は必ず解答する
財務諸表論は、税理士試験の中で出題パターンが固定化しています。よって、試験形式に慣れておけば、問題を早く解くことが可能となります。
試験本番までに、必ず過去問を解いておきましょう。点数を一気に伸ばすことが期待できます。なお、財務諸表論を含む過去の試験問題は、国税庁のオフィシャルサイトに年度別で公開されているため、入手は容易です。
解答と採点を繰り返して行う
財務諸表論の問題集を採点した後は、解説のページを読み込み、解答と採点を繰り返して行うことが重要です。解説部分までしっかりと熟読し、理解することを意識しましょう。理解したうえで暗記すると、忘れにくくなりますし、理解を深められることによって学習を進める楽しさも生まれやすくなります。
暗記が苦手な方へのポイント
税理士試験を受ける受験生の中には、暗記が大きな壁になることも多いのではないでしょうか。ここからは、暗記が苦手な方へのポイントをご紹介します。
人間は、忘れていく習性のある生き物ですので、1度だけではなく、時間をおいて何度も繰り返し学習することが必要です。毎日欠かさず学習をして、記憶に定着させていきましょう。
その際、覚えたい語句を中心に置き、それにつながる関連事項や用語を書きつつ、マーカーで強調して覚えるという方法が効果的です。この方法は「マインドマップ」と呼ばれていて、数ある学習方法の中でも暗記におすすめの方法となります。
マインドマップの具体的な方法は、まずは覚えたいテーマを「センターイメージ」として置き、それにつながる小テーマや用語を絵や色で強調して、イメージとして理論を覚えていきます。実際に思い出す時は、キーワードをセンターテーマから芋づる式に記憶から連想しやすくなるのです。暗記が苦手な方は、ぜひ1度試してみてください。
実務経験を積みながら効率的に学習を
今回は、税理士試験の財務諸表論の難易度について、科目の特徴や出題傾向、対策法などを踏まえてあらゆる側面から解説しました。
税理士として働くには、税理士試験に合格するだけではなく、2年以上実務経験が必要なので、効率良く税理士を目指すには、働きながら試験合格を目指すことになるでしょう。もちろん資格がない以上、直接的な税務の仕事は行えませんが、記帳代行や試算表作成など、税理士や会計事務所で働いた経験は、実際に試験問題を解くうえでも役立ちます。
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投稿者情報
- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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