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税理士試験、所得税法について

税理士試験の所得税法は難しい?難易度や合格のための勉強方法について徹底解説!

2023/11/01

税理士試験にはいくつもの試験科目があるため、科目ごとの特徴をつかんで、どのくらいの難易度があって、どういった勉強をするのが効果的か理解しておくのがおすすめです。中でも選択科目は、学習効率や将来的なキャリアプランに大きく影響をするため、よく吟味したうえで選ぶ必要があります。

そこで今回は、税理士試験における選択科目の1つ、所得税法の科目について知りたい方や試験で合格したい方に向けて、所得税法の特徴や難易度、勉強方法を解説していきます。

所得税法の科目とは

所得税法は、所得税に関して定められた法律です。

「所得があれば、その分納税をしなければならない」のが日本の社会の仕組みとなっています。所得が多ければそれだけ多く税金を支払わなければならず、所得が少ないとそれだけ支払う税金は少なくなります。いわゆる「課税の公平」です。他にも、課税には細かな仕組みがいくつもあって、所得税に対する知識のない方が計算して申告することは容易ではありません。

そのため、税理士や公認会計士などの所得税に知識を持つ専門家に依頼することがほとんどです。こういった背景があって、税理士としての資格を認定する税理士試験の受験科目の中に所得税法が含まれています。税理士試験では、所得税法などの試験科目すべてで60点以上を取り、租税あるいは会計の実務経験を2年以上こなしてはじめて税理士として認定されます。(※1)

※1 税理士試験をパスしたら必見!税理士名簿に登録する方法とは

税理士試験のほかの試験科目としては、簿記論、財務諸表論、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税があります。税理士試験に合格するためにも、複数の科目に対して専門的知識を身につけられるように時間をかけて勉強を進めていかなければなりません。

税理士試験の仕組み

税理士試験は、1年に1回3日間かけて行われる、税理士の資格を認定するための資格試験です。

〇会計科目(必須)
・簿記論
・財務諸表論

〇税法科目(選択)
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法または酒税法
・国税徴収法
・住民税または事業税
・固定資産税

税理士試験では、簿記論と財務諸表論の2科目が必修となっていて、所得税法と法人税法は選択必修科目となります。それ以外の科目からは2科目を選択し、計5科目を受験する形です。3日間で科目ごとにスケジュールが組まれていて、自分の受験する科目の日や時間帯だけ参加して、それ以外の時間帯は自由に過ごします。

所得税法は、法人税法とどちらか一方を選ぶことになるため、試験内容や難易度などを吟味したうえで、受験するか否かを検討しましょう。なお、税理士試験は科目合格制となっていて、一度合格した科目はずっとその効力を発揮します。そのため、もし2科目は合格しそれ以外は合格できなかったという場合は、来年以降は合格できなかった科目だけ受験すれば問題ありません。

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所得税法の科目の特徴

所得税法は、理論問題と計算問題が出題されて、それぞれ50点満点で配分されています。

理論問題は、問いに対し記述式で解答する形式です。計算問題は、例題に対する問題が2、3題出題される形式となっています。理論問題と計算問題の解答時間は合わせて2時間です。解答が間に合わないと合格する可能性が低くなるので、1つに時間をかけすぎないよう注意しましょう。税理士試験は問題数が少なく配点の大きい試験なので、受験する科目を等しく学習する必要があります。

なお所得税法の科目では、2019年に新しく制度が変わった「国外財産調書」と「財産債務調書の基礎知識」を問う問題が出題されました。所得税法の学習を進めるうえで、このようなトレンドとなる項目も、きちんと押さえておかなければなりません。

所得税法の事例問題

以下では、これまでに出題された問題の事例をご紹介します。

競馬の払戻金に係る所得の事例

競馬の払戻金は平成27年の最高裁判決で雑所得に該当する、という判決がなされました。第70回の大問2で、この「競馬の払戻金に係る所得の事例」が出題されたのです。(※2)事業所得を中心とした者が納付すべき税額までを計算する総合問題です。みなし配当や上場株式等、譲渡損失の繰越控除などの論点が出題され、基本をきちん押さえていれば確実に点が取れる問題でした。

※2 令和2年度(第70回)税理士試験試験問題及び答案用紙

債務の免除に関する所得税の課税関係の事例

第69回の大問1では、「債務の免除に関する所得税の課税関係の事例」が出題されました。(※3)取引銀行から債務の免除を受けるという事例を通じ、債務の免除を受けた個人の所得税の取り扱いについての理解が問われる問題です。取引銀行から債務の免除を受けた場合における債務免除益や破産法の免責許可の決定、民事再生法の再生計画認可の決定があった場合の債務免除益などについても押さえておく必要があるといえるでしょう。

※3 令和元年度(第69回) 税理士試験試験問題、答案用紙及び正誤表

所得税法の合計の合格基準と難易度

所得税法は、100点満点中60点獲得すれば合格できます。しかし、所得税法は他の税理士試験の受験科目と比べても難しい科目です。その一番の原因は、試験範囲が膨大であるうえ、細かいところまで踏み込むとキリがないほどに新しく学べるものがあります。税理士試験に合格するためには他の項目も学習する必要があるので、ある程度は要点を絞ることも視野に入れなければなりません。

そういった事情もあり、市販の教材を使って独学で対処しようとするのは、物理的に困難です。学習の際には予備校や通信講座を利用することをおすすめします。なお、所得税法は莫大な試験範囲に対応しなければならない一方、出題される内容は法人税法よりも身近な事例が多くて学習しやすいという一面もあります。

所得税法の勉強方法

所得税法の勉強方法としてどういった方法を用いるのがいいのか、理論問題と計算問題でそれぞれ解説していきます。

理論問題の勉強方法

理論問題はいかに必要な知識を身につけているかが大事です。そのため、効率良く暗記することが求められます。

どうやって暗記をするかは個人差があるため、手を動かして覚える方もいれば、読んで覚える方もいます。ある程度自分のことを理解していれば、どういった学習法が覚えやすいかは理解しているはずですので、それをわざわざ変える必要はありません。ただ、いつでも学習できる環境を確保することは大事で、テキストに必要なことを書き込むだけでなく、それを撮影して画像として保存しておけば、場所を問わず隙間時間にチェックができます。

受験範囲が広いぶん、いかに隙間時間を活用できるかが合格のカギとなるでしょう。基礎的なことはここで覚えて、あとは過去問を解く中でそのトピックに対する自分の意見を持つように意識してみてください。そうすれば、所得税法にまつわるトピックなら、試験本番でもしっかり意見を持って解答できます。

計算問題の勉強方法

計算問題は、計算方法を覚えるまで実際の問題を解くことが大事です。ただし、計算問題が出題されるどんな試験にも該当しますが、解答方法だけでは所得税法の計算問題は攻略できません。ある程度計算に慣れたら、あとはテキストを読み込んで知識を蓄えることで、高い点数が取りやすくなります。あまり出題されない規定を知っているかどうかで、正しい計算ができるかどうか変わってくることも珍しくありません。スピード感を持って解答できるよう、知識を身につけることも忘れないでください。

勉強時間をいかに確保できるかが重要

効率の良い勉強も大事ですが、税理士試験の勉強する時間を確保することは、合格への最低条件といえます。残業ばかりで毎日遅い時間に仕事を終えている方だと勉強に時間を割くのは難しいでしょう。仕事量が多くて、勉強時間が取りづらいという悩みを持った方は、転職を視野に入れるのが良いかもしれません。

所得税法と法人税法のどちらを選択すべき?

所得税法と法人税法は選択必修科目で、どちらかを選択しなければなりませんが、受験生の中では法人税法のほうが人気です。大きな理由として、税理士の仕事として法人を相手にすることが多いためだと考えられています。実際、会社の決算や税務申告がメインの仕事になってくるので、「実務的なことを早く学習しておきたい」という受験生のニーズが垣間見えています。

一方、中には資産税を専門的に取り扱う税理士も存在し、そういった方向を目指す場合は所得税法のほうが実務的な学習が可能です。他にも所得税法に精通していると、個人事業主の確定申告や事業承継に関わることがあります。それらを踏まえると、今後所得税法に対する知識がより一層以上に必要となるので、所得税法を勉強しておくと将来的なキャリアアップにも繋がるでしょう。

ひと口に税理士といっても、取り扱う分野はそれぞれで異なります。税理士としてどんなキャリアを目指すのかによって、適切なほうを選択してください。あまり明確なイメージをまだ持っていない方は、顧客を個人にしたいか企業にしたいかによって判断すると良いでしょう。

所得税法を受験するうえでの注意点

所得税法を選択する場合は、合格率を判断材料にしないことが大事です。

所得税法の合格率は例年12%前後を推移しています。(※4)難しいという割には、そこまで合格率が低すぎるわけではありません。年によっては法人税法の合格率が、所得税法よりも低くなることもあります。しかし、先ほど説明したように、多くの受験者は法人税法を受験しています。所得税法は、法人税法よりも難しい中でも同じ合格率を記録していることが多いのです。つまり、それだけ所得税法を受験している方はしっかり勉強をしたうえで受験している方が多いということです。

※4 令和2年度(第70回)税理士試験結果|国税庁

合格率だけを見て判断してしまうと、いざ学習を始めてみたら想像以上に難しかったという場面に直面してしまいます。そういう意味でも、合格率はあくまでも参考程度にしかならず、実際は難易度の評判と合格率を総合して判断しなければなりません。とはいえ、どちらにせよ税理士として仕事をしていく中でステップアップをしていくなら、所得税法に関する学習は避けては通れない道となります。

まとめ

税理士試験の所得税法は難易度が高く、税理士の仕事の関係で実務性の高い法人税法を受ける方が多いのが現状です。

しかし、副業やフリーランスの増加によって、今後税理士で所得税法の知識が必要とされる可能性もあります。所得税法は理論問題と計算問題が出題され、小問が多く問われるというより大問がいくつか出題される形式となっています。それだけハードルの高い試験を乗り越えるとなると、働きながら合格を目指す受験者の場合は、時間確保に対する工夫も必要となるでしょう。

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税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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