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税理士と中小企業診断士

税理士と中小企業診断士のダブルライセンスの相性とは?

2023/11/01

税理士の主な顧客は中小企業ですが、税理士に求めているのは税務のみならず、経営的なアドバイスなども幅広く求めているように変化してきています。

税理士もAIの進化や、IT化の波による業務の変化を感じて、代替しにくい業務であるコンサルティグにまで広げている事務所も増えています。そのことからも税理士が中小企業診断士の資格を取得するダブルライセンスにメリットが大きいことは理解いただけるのではないでしょうか。

この記事では、税理士が中小企業診断士の資格を取得することのメリットや、税理士が目指した場合難易度などを詳しく解説します。

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税理士の業務の特徴

税理士は、税務サービスとして、主に以下のような業務を行っています。

税務代理活動

税理士はクライアントの代わりに、確定申告や青色申告の承認申請、税務調査への参加、税務署に対する更正や決定に対する不服申立てなどの税務に関する手続きを行います。

税務文書の作成

クライアントのために、確定申告書や相続税申告書、青色申告の承認申請書など、税務署への提出が必要な書類の作成を担当します。

税務に関する相談

税金に関する問題や疑問、必要な情報についての相談に応じます。特に「事前」の相談は有益とされています。

e-Taxの代理送信

クライアントからの依頼に基づき、e-Taxを用いた申告書の代理送信を行うことが可能です。この際、クライアント自身が電子証明書を保有していなくても問題ありません。

税理士は税の専門家として、主に中小企業の経営者や個人事業主に対して税務サービスを提供しています。ただし、実務上、税理士は経営者や個人事業主と接する機会も多く、特定の経営課題の解決のために経営者などをサポートしたりすることもあるなど、税務サービス以外での経営者などのサポートも期待されています。

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中小企業診断士の業務の特徴

一方、中小企業診断士は、特定のサービスを提供しているわけではありません。中小企業診断士とは、企業の経営問題を特定し、適切なアドバイスを提供する業務を担っています。主なクライアントは、税理士と同じで、中小企業経営者や個人事業主です。

中小企業診断士は、「中小企業支援法」第11条に基づいて経済産業大臣によって認定される、法的な国家資格を持つ者として認識されています。中小企業診断士の主な任務は企業の成長戦略を策定し、その実行に対するアドバイスを提供することですが、中小企業経営者と政府、金融機関の間のコミュニケーションをサポートし、専門知識を活用して中小企業の施策を適切に活用するサポートを提供するといった多岐にわたる活動を行うことが求められています。具体的には、補助金の獲得などのサポートを行うケースもあります。

税理士と中小企業診断士の資格の相性とは?

税理士と中小企業診断士の資格の相性はとても良いと言えます。その理由は、税理士も中小企業診断士も、ともに中小企業を対象としたサービスを展開しているからです。つまり、クライアントが同じなのです。税理士事務所では中小企業の税務サポートを中心的な業務としています。

そのため、中小企業の経営者と面談をする機会が数多く存在しています。面談した際に経営者が現在直面している課題について相談されることも少なくありません。そんなときに、中小企業診断士として、経営者にアドバイスをしたり、コンサルティングサービスを提供したりできれば、税務サポートに対する報酬以外にコンサルティングサービスに対する報酬を受けとることができます。

結果として、税理士事務所において中心的な業務となっている税務サポートに加えて、コンサルティングサービスも提供できるようになるわけです。この意味で、税理士と中小企業診断士の資格の相性は良いと考えることができます。

独占業務は税理士にしか無い

税理士法第52条では、税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならないと規定しており、税理士又は税理士法人でない者が、原則として「税理士業務」を行うことを禁止しています。

税理士だけが行うことができる税理士業務は、一般に、独占業務と呼ばれますが、これは次のような業務であると規定されています。

代行業務

まず一つ目は、税務代行業務です。税理士は、本来、個人が自分で行うべき所得税や復興特別所得税の確定申告を代理で実施することができます。たとえば、クライアントが青色申告を希望する場合、「青色申告の承認申請書」を提出する必要がありますが、この申請も代行することができます。

さらに、税務調査が実施された際の立会い、税務署の更正・決定に対する不服申立ても担当することもあります。税金に関する知識がない方々にとって、税務調査は大変なプレッシャーになるかもしれません。しかし、税金の専門家である税理士がサポートを提供することで、そのような懸念が解消されます。税理士が顧問税理士になれば、日頃の会計帳簿の作成などを通じて既に把握している情報を共有し、税務調査への対応を安心して進めることができます。税務署の更正・決定に対しても、専門家としての視点から必要な主張を行うことが可能なため、不必要な損失を防ぐことができます。

税務文書の準備

二つ目は、税務関連文書の作成です。確定申告書などの税務文書は通常自分で準備する必要がありますが、税理士はそれを代行して行います。税務に関する文書は、初めて経験する人にとっては難しいかもしれません。専門家である税理士の助けを借りることで、適切な文書の作成が可能になります。たとえば、青色申告をする場合、「決算書」の作成が必要となります。これには、複式簿記に基づいた帳簿の日々の作成が必要で、会計の知識がない方にとっては困難な作業です。そのため、税務文書の作成は、会計の知識を前提とし、税金の専門家である税理士の専門的な業務となっています。

税務に関する相談

税務に関して困ったことや疑問がある場合、税理士にアドバイスを求めることができます。
税金の計算や手続きは専門的な知識が必要なこともあり、それを税金のプロである税理士が解決することで、より精度の高い税務処理が可能となります。自分の業務をこなしつつ税務を行う場合、知識を得るために調査が必要で、時間とエネルギーを大いに必要とします。その結果、自分の主要な業務に影響を及ぼす可能性もあります。そこで、税理士に相談することで、理解できなかった税務に関する問題について、的確な解答を得ることができます。税務相談はそのため、重要な役割を果たしており、日々の業務として税務に関する知識を深める税理士の専門的な業務となっています。

ダブルライセンスのメリットとは

税理士と中小企業診断士について、ダブルライセンスを取得することには大きなメリットがあります。特に、税理士が中小企業診断士を取得するメリットは大きく、税務サービスよりも幅広い業務に対応ができるようになるというメリットが挙げられます。税理士の主な業務となっている税務サービスについては、AIやITの活用によって、中小企業の経営者や個人事業主が自分自身でもある程度行えるようになってきています。

そのため、税理士の主業務である税務サービスだけを提供していては、将来的に、クライアントを失う可能性があります。

また、税務サービスは、税理士であれば、誰でも同程度のサービスを提供することができるため、サービス面で差別化がしにくいのが現状です。したがって、同業者との競争が激しく、より安く税務サービスを提供してくれるところに仕事が流れがちです。結果として、入ってくる報酬が少なくなってしまいます。実際に、税理士の報酬は少なくなってきているという現状があります。

中小企業診断士の業務内容である中小企業経営者などが抱える経営課題は、それぞれの企業において異なるため、AIやITを活用するだけでは解決が難しいと言われています。したがって、税理士が中小企業診断士の資格を取得すれば、AIやIT技術によって代替されにくい業務スキルを手に入れることが可能です。

税理士が中小企業診断士を目指す際の難易度は?

中小企業診断士となるためには、一次試験(マークシート方式の試験)、二次試験(面接試験)を突破しなければなりません。中小企業診断士の合格率は以下の通りです。

年度 1次合格率(A) 2次合格率(B) 試験合格率(A×B)
令和4(2022) 28.9% 18.7% 5.4%
令和3(2021) 36.4% 18.3% 6.6%
令和2(2020) 42.5% 18.4% 7.8%
令和元(2019) 30.2% 18.3% 5.5%
平成30(2018) 23.5% 18.8% 4.4%

この数字は、税理士試験に比べれば難しいものではないので、税理士試験を突破している人であれば、中小企業診断士に合格することは難しくないと言えるでしょう。第一次試験の科目は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目です。このうち、財務・会計については、税理士試験に合格している場合には免除となります。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会(J-SMECA)「中小企業診断士」

まとめ

これまでの記事で、税理士がクライアントのニーズに応えるために、中小企業診断士を取得することには大きなメリットがあることはご理解いただけたかと思います。

税理士の業務は将来、AIの進化により無くなる仕事だと言われていますが、AIやIT活用されにくい、代替されにくいコンサルティング業務への幅を広げることで差別化をはかることも可能だと言えるでしょう。税理士とは違う知識を身につけるための科目の勉強など苦労も多いのですが、ダブルライセンスを目指してみてはいかがでしょうか。

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投稿者情報

税理士副業ライターSOU
税理士副業ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しています。会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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