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日商簿記3級は取得する価値はあるのか?

日商簿記3級は独学合格できる?勉強方法で変わるメリットとは

2024/01/26

会計に関する資格の中でも最もメジャーなのは日商簿記ではないでしょうか。

税理士法人や税理士事務所などの会計事務所、一般企業の経理など会計業界で働いている方にとっては知らない人はいないというくらい浸透している資格だと思います。日商簿記は初級から1級までレベルがあって、大変多くの方が受験しています。

一般的には簿記2級からが本格的な簿記知識を習得できて、簿記1級になるとかなり難しい難関試験となっていて簿記2級と比較すると難易度には大きな開きがあります。

日商簿記3級はあくまでも初心者が簿記に携わる入門編というポジションであるという理解をしている方が多いと思います。

そこまで難しくないだろうと独学で勉強をする人も多いようなんですが、簿記3級は独学で勉強して合格できるでしょうか。

会計業務が未経験な人や、経理で働いているけどキャリアップのために資格がほしいと思っている初心者にとって、簿記3級を取得することにはメリットとはなんでしょうか?

また、就職・転職を考えた際に多少でも有利になるのでしょうか。日商簿記3級の概要をわかりやすく解説をするとともに、簿記3級を取得する意義やメリットについてもふれていきます。

そもそも日商簿記とは?

日商簿記検定は、商工会議所が実施している企業の経営活動を適切かつ正確に処理するための能力を身に着ける検定です。

日商簿記検定3級は、「複式簿記」で記録・計算・整理する試験で、試験時間は60分、合格点は100点満点中の70点以上とされています。

試験は年に3回(6月、11月、2月)行われ、受験費用も高くはなく検定価格(2021~2022年)は3級2,850円になっており、その他、1級7,850円、2級4,720円です。

日商簿記検定を取得する人は、企業の経理担当者や財務担当者が受験するものとイメージされる方も多いと思いますが、経理や財務担当者の枠を超えて、さまざまな職種の人がビジネススキルにひとつとして取得する人気の高い検定です。

現在では、多くの企業が採用やスキルアップに活用する検定として、企業が取得を促すほどコスパのいい検定です。

参考:日本商工会議所「商工会議所の検定試験 簿記」

日商簿記3級検定とは

簿記3級の試験内容とは

簿記検定は2020年12月より2級、3級にネット試験が追加されました。また、従来の統一試験も2021年6月試験(第158回)より出題形式が大きく変更されています。

これから日商簿記3級を受験しようと試験勉強を始める方は問題有りませんが、以前のテキストなどを利用されている人は注意してください。

出題形式が変わっているので、過去問を本番の模擬試験として勉強されることはあまりおすすめできないかもしれません。

新試験における配点は以下のとおりです。

問題内容 配点
仕訳問題 45点
帳簿・伝票等問題 20点
精算表・財務諸表 35点
合計 100点

また、日商簿記3級の出題範囲は2019年に改定され、電子記録の債券債務やクレジット売掛金処理についての範囲が追加されるなど、より実践的な知識が求められるようになりました。

2021年には、日本商工会議所は、簿記検定試験での出題にあたって基礎的な指針として、「商工会議所簿記検定試験出題区分表」を制定しました。

「商工会議所簿記検定試験出題区分表」について詳しく知りたい方は下記PDFからご確認ください。

2021年度試験(2021年4月1日~2022年3月31日)「商工会議所簿記検定試験出題区分表」
参考:日本商工会議所 商工会議所の検定試験

日商簿記3級の難易度や合格率は?

簿記3級の難易度や合格率は?

日商簿記検定3級は、株式会社の実務経理に困らない程度の会計知識が問われます。株式会社の経理では、発行する株式や余剰金の配当についての知識を必要となるので、株式が絡む仕分や計算が中心です。

試験年度によって合格率は変動するものの、過去10回の試験を見てわかるように約50%が3級の平均合格率です。

日商簿記検定3級の合格率(過去10年)

受験者数 実受験者数 合格者数 合格率
161(2022.6.12) 43,723名 36,654名 16,770名 45.8%
160(2022.2.27) 52,649名 44,218名 22,512名 50.9%
159(2021.11.21) 58,025名 49,095名 13,296名 27.1%
158(2021.6.13) 58,070名 49,313名 14,252名 28.9%
157(2021.2.28) 70,748名 59,747名 40,129名 67.2%
156(2020.11.15) 77,064名 64,655名 30,654名 47.4%
155(2020.6.14) 77,064名 64,655名 30,654名 47.4%
154(2020.2.23) 100,690名 76,896名 37,744名 49.1%
153(2019.11.17) 99,820名 80,130名 34,519名 43.1%
152(2019.6.9) 91,662名 72,435名 40,624名 56.1%
151(2019.2.24) 中止

2021年6月13日実施の第158回は出題形式の変更と制限時間の短縮(90分から60分)があったこともあり、合格率が大きく低下しました。

簿記3級の場合は特に、過去問で対策している人も多かったこともあるのか、大きな影響があったようです。

引用:日本商工会議所・各地商工会議所ホームページ 3級受験者データ

日商簿記3級の改定内容とは

商工会議所の簿記検定試験のwebサイトには改定内容について下記の様な記載があります。

”今回の改定では、出題の前提が個人商店から小規模の株式会社に改められます。また、現代のビジネス社会における新しい取引を3級に盛り込むとともに、従来は2級以上で出題していた論点のうち、企業実務において重要度が高い論点について難易度を調整のうえ3級に移行いたします。一方で、ビジネススタイルや情報技術の進展にともない、現在の実務と乖離がある項目および、初学者にとって学習上の支障となりやすく、かつ実用性に乏しい論点について整理・削除を行っています。これにより、簿記に関する理解を段階的に深めながら知識・スキルの修得ができるよう連続性・整合性を考慮した内容となっております。

日商簿記3級は難しすぎ?資格試験の実際の難易度をくわしく解説

合格に必要な勉強時間はどれくらいなのか

日商簿記検定3級の勉強平均時間は、約50〜80時間が必要だとされています。最初から問題集や過去問を解くよりは、1度時間をかけてテキストを読み通してから問題を解いていくことをおすすめします。

理由としては、日商簿記3級の知識は、簿記の基礎知識(土台)であるからです。

今後、日商簿記検定2級の受験を考えている方は、簿記の基本を理解していなければ、2級の問題で理解できずに挫折することも考えられます。日商簿記3級のテキストは、多少時間をかけてでも読み返して理解を深めましょう。

日商簿記3級の試験勉強は、資格取得を目的としているだけではなく、将来的なスキルアップのための基礎固めとも考えて、1つ1つ学んだことをきちんと理解することも心掛けてください。

また、働きながら資格取得を目指している方は、試験日までのスケジュール表を作成し、全ての項目を満遍なく解くことで、短時間で効率的に合格に近づくことができます。

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簿記3級の勉強方法は

日商簿記3級を効率的に短時間で合格するためのコツをご紹介します。勉強方法はシンプルで、以下の3ステップを繰り返し勉強するだけです。

1. テキスト(参考書)を読みこむ
2. 問題集や過去問題を解く
3. 間違えた部分をテキストで復習する

それでは、この3つのステップそれぞれにどういった意味があるのかを見てみましょう。

テキストを読みこむ

日商簿記3級を勉強する際は、基礎知識を理解しながらテキストを読み進めるのが理想です。いきなり問題を解く方もいますが、はじめて簿記検定にチャレンジする方は非効率です。

合格率が約50%あるとはいえ、会計の知識がない状態で問題を解くのは難しいです。最初に難しいと感じてしまった場合は、勉強するモチベーションにも影響が生じるので、まずはテキスト(参考書)を理解しながら読み進めることを意識してください。

もちろん、1周目で理解を深めるのは困難です。テキストを最低繰り返し3周することを前提に、問題を解く中で不明点や疑問点があった場合は、理解するまで読み直すことが合格への近道です。

問題集や過去問題を解く

テキストを3周読み終えた後は、実際に問題集や過去問題などの練習問題にトライしてみましょう。問題集を中心に解きすすめ、過去問は直近5回分程度に絞って勉強するのがおすすめです。

過去問題を解いていると、苦手とする問題などの傾向がわかるようになります。

問題集や過去問題は、何度も解いていると答えを覚えてしまうこともありますが、答えを丸暗記しても合格できません。問われている仕訳・計算方法・数字であるかを理解することが重要なのです。

正解した問題を解き直すことよりも、間違えた問題の解説・ポイントを理解することを重視してみましょう。

ただし、前述でもお伝えしましたが、2021年6月試験(第158回)より出題形式が大きく変更されていますので、過去問を本番の模擬試験として勉強されることはあまりおすすめできないかもしれません。

間違えた部分をテキストで復習する

日商簿記3級を短時間で効率よく合格するためには、新しい問題を解くことよりも、ある程度出題範囲を絞って、間違えた問題を復習する方が理解を深めることにつながります。

間違えた問題を放置するのではなく、間違えた日に解答解説でポイントを理解して、次の日にもう一度問題を解きます。テスト前にもう一度確認して解けるようであれば、本番でも問題を落とす可能性が低くなります。

また、苦手な部分を復習することで、克服することができるのです。

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簿記3級を取得したメリット・デメリット

≪簿記3級取得のメリット≫

日商簿記検定3級取得の一番のメリットは、経理業務・会計業務への就職・転職に活かせることです。取得しただけで有利になるわけではありませんが、将来へのスキルアップや自己啓発として取得したことを上手くアピールすることができれば就職・転職の際に有利になる可能性もあります。

もちろん、簿記検定で学んだ知識を活かして仕事をすることも可能です。企業の経理部や財務部では、帳簿管理や税金の計算などが業務内容のひとつであるため、理解した基礎知識を応用しながら仕事に活用できます。

また、会計業界、経理に関わらない職種の方でも、簿記3級を取得するメリットはあります。

例えば、営業の方であれば、取引先の経営状況を判断できるようになります。財政状況から分析することできるようになりますので、新規開拓などでの営業活動が効率的にすすめることができるでしょう。

また、一般企業にお勤めの経理、財務部門以外の方であっても、自社の経営状況をみることができるようになりますので、自社の健全性などを確認し、安心して業務に力を入れることができるようになるでしょう。
近年、急激に増えているフリーランスや個人事業主の方にとっては、経理処理をご自身でやらなくてはいけない方も多いと思いますが、簿記3級を取得することで、会計処理をスムーズにできたり、確定申告の際にも困ることはなくなるでしょう。

何よりも簿記3級は、上位資格を取得するための入門編とも言われています。簿記2級、1級へいきなりチャレンジすることも可能ですが、まず3級で勉強方法をしっかりと確立し、試験勉強のためではなく簿記に関する基礎知識を理解することで、上位資格の取得がとても効率的にできるようになると思います。

簿記3級の勉強時間をただ試験対策の勉強と捉えるのではなく、簿記の基礎をしっかりと身につけるため、勉強内容について1つ1つを理解することを意識することで、身に付く知識が全く違ってきます。簿記の基礎をしっかりと習得すると、簿記2級以上の資格に挑戦したときに、勉強がスムーズに進むことに驚くのではないでしょうか。

≪簿記3級取得のデメリット≫

日商簿記検定を受験するためには、受験料(2,850円)やテキスト代、問題集代などののお金がかかります。一度の試験で合格するとは限らないので、その後の受験料とテキスト代等を考えると、ある程度の出費が見込まれます。

さらに、3級に合格するためには勉強時間を確保しなければいけないため、興味を持っている方以外にはあまりおすすめしません。

ただし、自分のスキルを磨きたい方やとりあえず資格が欲しい方には、自己投資と考えていただければ、合格率も高い試験でもありますのでコスパの良い資格であることは間違いありません。

簿記3級は独学でも合格は十分可能!

日商簿記検定3級は独学で合格できる資格ですが、将来的に簿記2級、1級を取得する計画がある方、上位資格である税理士や公認会計士などの受験を考えている方には独学で学ぶことはあまりおすすめしません。

なぜなら、独学で3級を取得できたとしても、勉強の方法が試験対策に偏ってしまったりすることが多く、間違った理解をしてしまったり、意図をしっかり把握しないまま試験勉強を進めている可能性があるからです。

簿記を学ぶ上で簿記3級で学べる基礎知識はとても重要であり、基礎知識を複雑化・応用している検定が日商簿記2級であると考えてください。初心者が簿記の基礎知識をきちんと理解できていない状態で、3級に合格したとしても会計知識として役に立たない可能性があり、更には2級へステップアップしようと調整下としても基礎知識を理解していないのでゼロから勉強のし直しということにもなりかねません。

つまり、簿記検定3級の理解は、将来のビジネススキルや2級取得に大きな影響を与える基礎だということが言えるでしょう。

また、3級の知識がある人でも、2級の学習期間は、約6か月(250時間~350時間)以上かかるとされています。一方、簿記検定の通学・通信講座・予備校やスクールなら150時間~250時間が目安です。
効率的に基礎知識となる日商簿記3級の理解を深めたい方は、通学・通信講座・予備校等の利用が効率的でしょう。

日商簿記3級は就職・転職が有利になるのか?

就職・転職に役に立つ資格なのか?

結論から申し上げると、日商簿記3級を取得したとしても、それだけでは就職や転職に有利にはならないでしょう。

ただし、企業会計に興味があることへのアピールや、上位資格(日商簿記2級、1級や税理士など)を目指すための入り口として取得したことなど、簿記3級のみではなく、将来性や会計業界に魅力を感じたきっかけとしてなどと関連したアピールができるようにすることでライバルと差をつけることが可能となります。

さらに、会計事務所のパートやアルバイトは、採用条件に日商簿記3級程度の知識が必須であることが多いため、会計事務所のパート・アルバイトの求人に応募する場合には有利に働く可能性が非常に高いことも覚えておきましょう。

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日商簿記2級・簿記3級の正式名称とは?履歴書に記載するポイントを解説

ご存知ですか?日商簿記3級の出題範囲が改定されています

また、日商簿記を取得されていないという方も、まずは日商簿記3級の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

非常に認知度が高い日商簿記資格ですから、勉強するためのテキストもとても多く出版されていますし、インターネットで検索すれば勉強法についても数多く掲載されています。以前の日商簿記3級に対してのイメージは、就職・転職ではあまり役に立たないんじゃないかと思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、2019年度以降の簿記検定の試験出題区分表が改定されたことをご存知ですか?日商簿記の出題範囲は、企業会計に関する諸制度の変更に対応するとともに、企業における近年のビジネススタイルの変化や会計実務の動向をふまえ、日商簿記の検定試験がより実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるように、2019年度から3級を中心とした改定が行われています。

まとめ

日商簿記3級は、しっかり勉強時間を確保すれば、独学でも十分に合格できる資格です。そのためか、非常に多くの方が取得している資格でもあるので、簿記3級を取得したからといって、就職や転職に直結して有利になるような大きなプラス要素にはなり得ませんが、ビジネススキルのひとつとしては非常に役に立ちます。

さらに、企業経理の基礎を理解することで、日商簿記2級へのステップとして考えたり、会計に興味を持ち、税理士への道を検討したりする足がかりになるでしょう。

日商簿記2級よりも勉強時間が少なくて合格可能な日商簿記3級は会計の基礎を学び、理解することに非常に適した資格でもあります。

これから2級の取得や、1級を考えている人や、税理士資格へ挑戦しようと考えている場合も、簿記3級をスキップして難関試験に挑戦するのも、1つの効率化ではありますが、3級取得を基礎固め、土台作りとして捉え、足場をしっかり固めてから難関試験に挑むというのも、難関試験の勉強効率を大きくあげることができる心の効率化を実現できる可能性が多いにあるのです。

これからの貴方のキャリアプランを前提として、どのような資格取得フローを計画するか、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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投稿者情報

税理士ライターSOU
税理士ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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