会計事務所に労務士をおく

会計事務所で社会保険労務士は活躍できる?需要・仕事内容・キャリアを解説

2026/08/18

社会保険労務士の資格や実務経験を生かして転職活動を進めると、会計事務所や税理士法人が社労士を募集する求人を目にすることがあります。税務・会計を主な業務とする事務所で、なぜ人事・労務の専門家が必要とされるのでしょうか。
背景には顧客企業から寄せられる給与計算、社会保険・労働保険の手続き、就業規則の作成、労務管理などの相談へ一体的に対応したいというニーズがあります。
そこでこの記事では会計事務所で働く社会保険労務士の仕事内容、メリットや注意点、求人情報の見方、今後のキャリアの可能性を解説します。
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なぜ会計事務所で社会保険労務士が求められているのか

税務・会計と人事・労務は、どちらも企業経営を支える管理業務です。特に中小企業では経理、人事、給与計算、社会保険の届出を少人数の管理部門や人事部が兼務していることが多く、その場合税理士への相談と社労士への相談が同時に発生します。
ただし、会計事務所が社会保険に関する書類作成や提出代行を自由に行えるわけではありません。報酬を得て行う一定の手続きは社会保険労務士の独占業務に当たるため資格者の採用、社会保険労務士法人の併設、外部の社労士事務所との連携が必要です。
社労士が組織内にいれば税務申告や会計処理に加え、給与変更に伴う社会保険料の見直し、雇用保険の届出、就業規則の整備まで同じ窓口で支援できます。
顧客にとっては相談先を一本化でき、事務所にとってはサービスの幅を広げて競争力を高められる点がメリットです。
近年は給与計算や社会保険手続きのアウトソーシング需要も高まり、税理士法人と社労士法人が連携するビジネスモデルも一般化しています。人事制度や働き方に関する相談が増えるなか、税務と労務を横断して対応できる人材の採用ニーズは今後も続くと考えられます。

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社会保険労務士とは?【会計事務所視点で解説】

社会保険労務士の主な業務内容

社会保険労務士、通称「社労士」は労働法令、社会保険制度、人事・労務管理に特化した国家資格者です。税理士が税務・会計の専門家であるのに対し、社労士は企業と従業員の雇用関係を支える士業として活躍します。
社労士の主な業務には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険に関する資格取得・喪失などの手続、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届などがあります。また給与計算や勤怠管理、就業規則・36協定の作成や見直し、労働時間・残業管理に関する助言、産休・育休・介護休業に伴う手続や制度整備など、企業の労務管理を幅広く支援します。必要書類の作成、期限管理、行政機関への提出を代行し、企業の事務負担を軽減します。
社会保険や労働保険の手続だけでなく、人事・労務に関するコンサルティングも行います。具体的には賃金制度や人事評価制度、退職金制度などの設計・見直し、人材採用・育成に関する支援、ハラスメント防止対策、各種研修、就業規則や雇用契約書の整備などです。こうした支援を通じて企業の人事労務管理を改善するとともに、将来的な労務トラブルの予防にも貢献します。
社会保険や労働保険は法改正が多く、従業員ごとに加入条件や給付要件が異なります。社労士が正確に対応することで届出漏れや給与計算の誤りを防ぎ、経営者が営業、企画、人材開発など本来の事業に時間を使いやすくなります。

社会保険労務士の資格と登録の基本

社会保険労務士試験に合格した後、社労士として登録するためには原則として2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要です。実務経験が2年に満たない場合は、全国社会保険労務士会連合会が実施する事務指定講習を修了することで登録要件を満たせます。
そのうえで全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿への登録と、所属する都道府県社会保険労務士会への入会を行います。会員種別は主に「開業」「勤務」「その他」に分かれます。なお試験合格後の登録申請に有効期限はなく、必要になった時点で登録を申請できます。
社会保険労務士の資格と登録の流れは以下の通りです。
1.受験資格を確認する 学歴、一定の実務経験、指定された国家試験の合格など、いずれかの条件を満たしているか確認します。
2.社会保険労務士試験に合格する 労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法など、幅広い制度の知識が問われます。
3.登録要件を満たす 通算2年以上の対象実務がない場合は、事務指定講習を修了します。
4.社会保険労務士名簿へ登録する 所属予定の都道府県社会保険労務士会を通じて申請し、必要な費用を納付して入会します。
社会保険労務士に関する実務経験には試験の「受験資格」と、合格後に社労士名簿へ登録する際の「登録要件」に関係するものがあります。
実務経験によって受験資格を得る場合は原則として通算3年以上の所定の経験が必要です。一方、社労士として登録するには、原則として2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が求められます。なお登録に必要な実務経験は試験合格後に限られず、試験前の経験も対象となります。
学歴による受験資格を満たしていない場合でも、所定の実務経験によって社会保険労務士試験の受験資格を得られる場合があります。
例えば一般企業で労働社会保険諸法令に関する事務に従事した経験、健康保険組合などで法令の実施事務に携わった経験、社会保険労務士事務所で補助業務に従事した経験などが対象となり、それぞれ原則として通算3年以上の経験が必要です。ただし勤務先だけで判断されるのではなく、具体的な業務内容が要件を満たすかどうかが審査されます。
なお求人情報の「未経験可」「経験者優遇」「経験者必須」は、社労士登録の法律上の条件ではなく、採用する企業や法人が定める応募条件です。資格と実務経験は別の評価軸であり、合格者でも実務未経験として扱われる場合があります。
求人の表記
基本的な意味
未経験可
人事労務や社労士事務所での経験がなくても応募可能
経験者優遇
未経験者も応募できるが、選考、給与、配属などで経験者を優先
経験者必須
求人で指定された年数や業務の実務経験が必要
経験者として評価されやすいのは給与計算、社会保険・労働保険手続き、電子申請、就業規則作成、顧客対応などの経験です。未経験者は正確な事務処理能力、学習姿勢、説明力、ExcelなどMS系ツールの活用スキルを示すと採用上の強みになります。

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社労士が会計事務所で働くメリット

社会保険労務士の勤務先は社労士事務所、社会保険労務士法人、一般企業の人事部などが中心ですが、会計事務所や税理士法人も有力な選択肢です。税務・会計と労務の両方を経験できるため、専門性とキャリアの幅を広げられます。

税務知識が身につきキャリアの幅が広がる

給与計算では所得税、住民税、社会保険料を扱い、賞与や退職金、役員報酬の設計では税務と労務の知識が交差します。税理士、公認会計士、経理担当者と連携することで、企業の財務状況や人件費を踏まえた実務的な提案ができるようになります。
経験を積めば会計事務所や社労士法人だけでなく、企業の人事・経理・財務部門、給与計算のアウトソーシング会社、コンサルファーム、外資系企業の日本拠点などへの転職も視野に入ります。英語力があれば、海外本社との制度調整や外国人社員への対応で活躍できる可能性もあります。
求人の対象は中小事務所からBig4系の税理士法人・コンサルティングファームまで幅広く、KPMG、PwC、EY新日本有限責任監査法人を含む大手監査法人グループの関連法人を研究することも、キャリア設計の参考になります。

コンサルティング業務に関われる

会計事務所には資金繰り、経営改善、事業承継、組織再編などの相談が集まります。そこに社労士が加わることで、人件費の管理、人事評価制度の構築、賃金設計、就業規則、助成金、採用・定着支援まで踏み込んだコンサルティングが可能です。
例えば人件費を機械的に削減するのではなく、財務面と従業員の働きやすさを両立する制度を設計できます。経営者への説明、クライアントとの折衝、課題の分析と提案を重ねることで、コンサルタントとしての能力や営業力も高まります。

安定した求人ニーズと将来性

中小企業では専門の人事部を置けないことも多く、給与計算、社会保険、労務管理を外部へ委託する需要があります。また育児・介護休業、長時間労働、ハラスメント、雇用形態の多様化など、企業が対応すべき課題は増えています。
会計事務所側も社労士を採用したり社会保険労務士法人を併設したりすることで、顧客支援の範囲を広げられます。不動産、建設、金融、IT、機械開発など、顧問先の業種に特化した労務コンサルを提供できれば、事務所の差別化にもつながります。

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社労士が会計事務所で働くデメリット・注意点

会計事務所なら必ず社労士の専門性を生かせるとは限りません。法人ごとに業務範囲、クライアント、組織体制、教育環境が異なるため、年収や勤務地だけでなく実際の仕事内容を確認する必要があります。

税務中心の事務所では専門性を活かしにくい場合も

税務申告、記帳代行、決算書作成を中心とする事務所では社労士資格を持っていても、会計入力や給与計算の補助が主な仕事になる場合があります。社会保険手続き、就業規則、労務相談、人事制度構築に携われるとは限りません。
外部の社労士へ業務を委託している事務所では、実務経験を積む機会が少ないこともあります。応募前に社労士部門の有無、資格者の人数、自分が担当する業務、税務業務との割合を確認しましょう。

繁忙期の残業・業務量

会計事務所では年末調整、法定調書、確定申告、決算が重なる時期に残業が増えやすくなります。社労士業務にも年度更新、算定基礎届、毎月の給与計算という期限があるため、税務と労務の繁忙期が重なる職場では負担が大きくなる可能性があります。
求人票では平均残業時間、担当クライアント数、給与計算の対象従業員数、業務分担、在宅勤務の可否を確認しましょう。週休2日、土日祝休み、休日出勤の扱い、特別休暇、産休・育休・介護休暇など休暇制度と働き方の実態も重要です。
女性を含め育児や介護と仕事を両立したい人は、制度の利用実績まで見ると判断しやすくなります。

キャリア設計を考えずに転職するとミスマッチが起きやすい

社会保険手続きの実務を深めたいのか、人事労務コンサルに進みたいのか、企業の管理部門へ移りたいのかによって、選ぶべき事務所は変わります。税理士試験とのダブルライセンスを目指す場合は、勉強時間を確保できる勤務制度や研修・費用補助の有無も確認が必要です。
独立を目指すなら、手続きだけでなく、営業、顧客対応、就業規則作成、助成金、経営相談まで経験できる環境が適しています。上司や先輩からの指導体制も確認し、面接では、入社後の役割、研修内容、評価制度、昇給・賞与、将来の配属やキャリアパスについて具体的な説明を求めましょう。

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会計事務所への転職を成功させるポイント

転職を成功させるには給与、年収、勤務地などの条件と、身につけたいスキルの両方を比較することが大切です。同じ「社労士募集」でも、採用目的や仕事内容は事務所ごとに大きく異なります。

事務所の業務範囲を確認

まず税務・会計が中心なのか、給与計算や社会保険、労務コンサルまで対応しているのかを確認します。税理士法人や社会保険労務士法人の併設、外部士業との連携、顧問先の業種・規模、法人向けサービスへの特化状況も判断材料です。
東京都港区など勤務地を限定する場合も、通勤条件だけで選ばず、経営支援、会計、税務、人事のどの分野で経験を積めるかを比較しましょう。外資系企業のクライアントが多い事務所では、英語や海外制度の知識が求められることもあります。

社労士業務の割合を見る

求人票に「社労士歓迎」とあっても、日常業務の大半が会計入力や一般事務である場合があります。面接では社会保険・労働保険の手続き件数、給与計算を担当する法人・従業員数、就業規則や労務相談に関わる頻度を確認してください。
自分でクライアントを担当するのか、補助から始めるのか、税務と労務の担当比率はどの程度かも重要です。実務の範囲が明確であれば、未経験からでも必要なスキルを段階的に身につけやすくなります。

求人情報・非公開求人の活用

求人サイトに加え会計業界・税務業界・士業業界に強い転職エージェントを活用すると、一般には出ない非公開求人や新着求人を紹介してもらえる可能性があります。無料の会員登録後に、希望条件に合う募集情報をメールで受け取れるサービスもあります。
エージェントや専門コンサルタントからは、応募書類の作成、面接対策、給与・年収の交渉、勤務条件の確認について支援やアドバイスを受けられます。社会保険完備、交通費支給、資格手当、研修費用補助、賞与、昇給、福利厚生など、求人票に書かれた条件の実態も確認しましょう。
複数の求人情報を比較し、仕事内容、職場環境、残業、休日、給与、キャリアの優先順位を整理してから応募することが、転職後のミスマッチを防ぐポイントです。

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会計事務所×社会保険労務士は将来性の高いキャリア

会計事務所に社会保険労務士が加わると税務・会計に加え、給与計算、社会保険手続き、就業規則、労務相談まで一体的に提供できます。企業側は複数の専門家へ別々に依頼する必要がなくなり、情報共有、手続き、管理コストの面で効率化を図れます。
社労士側も税理士や公認会計士と協働しながら、財務、人件費、経営課題を踏まえた提案力を磨けます。労務だけにとどまらない実務を経験することで、転職、管理部門、コンサル、独立開業など、将来の選択肢を広げられるでしょう。
AIやDX、Webシステムの活用が進むと、給与計算や電子申請などの定型作業は効率化されます。その分制度設計、従業員への説明、経営への提案といった高付加価値業務が重要になります。
会計事務所での経験は、社会保険労務士としての専門性とビジネス理解を同時に高められる、有力なキャリアの一つといえるでしょう。

投稿者情報

会計求人プラスシ転職エージェントKU
会計求人プラスシ転職エージェントKU
会計事務所や税理士事務所、一般企業の経理職など会計業界の求人情報が豊富な「会計求人プラス」を運営し、多くの求職者の方、会計事務所の採用ご担当者とお話をさせていただいています転職エージェントです。
異業種から会計業界へ転職を希望している方をはじめ、これから税理士や公認会計士を目指す未経験の方や、今までの税務・会計の知識・経験を活かして年収アップやスキルアップしたい方などを全力で支援しています。
その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。

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