
会計の仕事内容とは?経理や税務との違いも解説
2023/11/01
会計は、企業や公的機関などにおけるお金の出入りを管理する仕事です。大まかな仕事内容はイメージできても、具体的な業務内容を知らない人も少なくありません。また、「経理」、「簿記」、「税務」など、会計と類似した仕事とも混同しがちです。
今回は、会計の具体的な仕事内容を紹介するとともに、類似した仕事との違いについて解説します。
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Contents
会計とはどのような仕事か
会計は、企業や公的機関などの日々の収支を記録、管理する仕事です。ここでは、何のために会計を行うのか、どのようなルールがあるのかについて詳しく解説します。
会計の仕事の意義
会計の業務によって企業のお金の流れを正しく管理することで、財政状況や業績が正確に判断できます。会社を経営し、利益を追求していくためには、お金の流れを健全に管理する会計の業務が必要です。例えば、過去の会計帳簿をチェックすることで、これまでの経営判断が正しかったか検証できます。
さらに、企業の経営者だけでなく、株主や金融機関、取引先、顧客などにとっても、会計の管理によって明確になる情報は、その企業を判断するうえで重要な情報になるでしょう。
会計の仕事はルールに則り行われる
企業において大切な役割を担う会計には「企業会計原則」といったルールが設けられています。会計の仕事は、企業会計原則に則って行われる点が大きな特徴です。企業会計原則自体は法令に該当するものではないため、万が一、ルールに反してしまっても直接ペナルティが科せられることはありません。しかし、企業会計原則のルールに沿わずに業務を行うと、知らない間に金融商品取引法や会社法などの法律に反する可能性があります。
健全な企業経営を行うためにも、会計の仕事はルールに則って行うことが大切です。
会計の仕事の種類
会計の仕事は、主に「財務会計」と「管理会計」の2種類に分類されます。それぞれ役割が異なるので、正しく把握しておくことが大切です。ここでは、会計の仕事について、種類ごとに詳しく解説します。
財務会計
財務会計は、投資家や金融機関、税務署など、企業と利害関係にある外部に対して、財務状況や経営成績を開示するための業務です。財務状況とは、所有している資産や負債の状況、経営成績は、会計期間においてどの程度の利益があるかということを意味します。これらを開示する際に、決算報告書を作成しますが、法令に則った書式を用いなければなりません。
財務会計によって報告される情報のうち、法律に則って行われる会計を「制度会計」といいます。制度会計は、「会社法会計」、「金融商品会計」、「税務会計」の3つに分類されるのが特徴です。
投資家は、財務会計で報告された情報を踏まえて、株式の売買を検討します。これらの情報は、金融機関にとっても融資の判断をするうえで大切な情報です。外部との関係を円滑にし、公正な取引を行うためにも、正確な財務会計が重要視されます。
管理会計
管理会計は、企業の業績を把握するための業務です。外部に対して情報を開示する財務会計とは異なり、経営者や管理者など企業内部の利害関係者に対して経済状況を報告します。内部で活用するための情報であり、法的な決まりはありません。各企業が、自社の経済状況を明確に把握するために、独自のルールを設けるケースが一般的です。会計期間や情報の収集方法なども決まりがなく、必要な情報に焦点を合わせて設定できます。
企業の任意で行う会計であり、中には管理会計を行わない企業もありますが、経済状況を正確に把握し、健全な経営を行うためには必要な業務です。
会計の具体的な仕事内容
会計は、前述した「財務会計」、「管理会計」によって仕事内容が異なります。それぞれの仕事内容について確認しておきましょう。
管理会計の仕事内容
管理会計では、主に予算の管理や原価管理を行います。予算の管理は、年度ごとに行われるだけでなく、中長期的なスパンで全体目標を立て、各部門に対して予算を振り分けたり、分析を行ったりする業務です。予算管理によって、売上目標を立てやすくなるだけでなく、リスクの拡大を防ぐ役割もあります。
一方、原価管理は、商品やサービスにかかる費用を具体的に把握し、原価の最適化をおこなうための業務です。主に製造業で導入される業務であり、原材料費や人件費、設備費などを、事前に可視化します。原価管理をしなければ、利益をイメージすることができず、将来的な経営判断も難しくなるでしょう。目標として設定した原価と現状の差を踏まえて、適正な原価を導くためにも原価管理は大切な作業です。
財務会計の仕事内容
財務会計では、主に「情報提供」と「利害調整」を行います。企業は、投資家や金融機関など利害関係のある外部に対して、投資や融資を行う際に的確な判断をするための情報を提供しなければなりません。財務会計の情報提供がなければ、企業の経営状況が分からないため、投資や融資を受けるのは難しいでしょう。適正な財務会計を行い、情報の信用度を上げることが大切です。
また、外部との利害に関して問題や対立が発生した場合にも、財務会計は調整役として活躍します。例えば、株主は、投資したお金が適切に使われることによって、企業が成長し、株の値上がりや配当金が増えることに期待を寄せています。しかし、企業の財務状況の情報を開示しなければ株主に不信感を与えることになるでしょう。財務会計によって、適切に管理された財務情報を開示できれば、トラブルを回避でき、スムーズに利害調整を行えます。このように、財務会計は、外部の利害関係者とのやりとりを円滑にするための、大切な業務です。
会計業務の具体的な流れ
会計業務には、「日々の業務」、「月次業務」、「年次業務」の3つの業務があります。それぞれの業務を繰り返すことが、会計業務の基本です。ここでは、会計業務の具体的な流れを、企業会計を例にして3つの業務ごとに解説します。
会計が行う日々の業務
企業では、日々の経済活動において、様々な取引が行われています。こうした取引や金銭の処理が、会計で行う日々の業務です。業務内容は業種によって異なりますが、一般的に、売上や仕入れの他、消耗品費や旅費交通費、雑費などの細かな経費の処理を行います。
毎日、伝票や帳簿の処理をしていていく中で、入力間違いや記入忘れなど人為的ミスが起こることも少なくありません。そのため、間違いやミスをなくすために日々の業務を丁寧に行うことが大切です。こうした日々の業務は、コツコツと行う単調なものですが、正しい納税や今後の会社の指標に繋がる重要な作業といえるでしょう。
会計の月次業務
月次業務では、給与支払いに関する事務や末締めで請求書を発行した売上の処理などを行います。また、買掛金や売掛金に関する処理や、従業員が立て替えて支払った経費の精算なども月次で行う作業です。また、企業によっては、帳簿を月ごとに締め、決算書を作成する「月次決算」を実施するケースもあります。月次決算を行うことで、経営状況を細かく確認できるため、早い段階で事業戦略を練りやすくなるのがメリットです。
月次処理は法律で定められていないため、必ずしも実施する必要はありません。しかし、月次処理で少しずつ軌道修正することで、正確な月次決算に繋がります。月次決算を正しく行うためには、丁寧な日々の会計処理や月次業務が大切です。
会計の年次業務
年次業務では、年末調整に関する事務や決算書、税務申告書類の作成などを行います。年次業務で作成する決算書は、月次決算とは異なり、株式会社は必ず行わなければなりません。日々の業務や月次業務によって処理された1年間の取引内容をチェックし、税法に則った書式で決算書を作成します。そのうえで、法人税や消費税といった各税金の納付額の計算、税務申告を行うのも年次業務の1つです。
また、利害関係者に対する報告も、年次業務で作成した決算書をもとに行います。報告するための書類は、会社法に基づいて作成しなければなりません。このように、会計の仕事は決算に向けて行われる業務であり、年次業務は会計の仕事の集大成といえます。日々の業務や月次業務が丁寧に行われていれば、年次業務をスムーズに進めやすくなるでしょう。
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会計と混同されがちな仕事
会計と似た仕事に「税務」や「経理」があります。いずれも、お金に関する仕事ですが、仕事内容が異なるため混同しないように注意が必要です。ここでは、会計と財務、経理それぞれの違いについて説明します。
会計と経理の仕事の違い
経理は、企業において日常的に発生した収支を管轄します。毎日の売上や税金の処理、給与などのお金の流れを管理・記録することが主な仕事内容です。経理が行った業務をもとに、会計で財務諸表を作成します。経理の作業が滞れば、会計の業務にも影響が出てしまうため、会計にとって経理は必要な存在です。
会計と簿記の仕事の違い
簿記は、日々行われる経済活動を記録することを意味します。また、年度ごとの決算書作成も簿記に該当する作業です。会計も、ほとんど同じ作業を行いますが、記録をする目的が異なります。簿記は、各年度の決算書の作成を目的としていますが、会計は、利害関係者に対して報告を行うことを目的に、決算書を作成します。
会計と税務の仕事の違い
税務は、国に納める必要がある税金を算出し申告する業務で、主に法人税に関する申告書を作成します。税務における申告書の計算は、課税対象となる「益金」や控除対象となる「損金」を用いて行います。また、会計と税務は業務の目的も異なります。税務では、法人税の申告を行うことを目的としますが、会計は最終的に社外に情報を公表することが目的です。
税務に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
「税務ってどんな仕事?会計との違いとは?未経験でも働けるの?」
会計の仕事に向いている人
会計の仕事に向いているのは以下の人が挙げられます。
- 自ら最新の情報を調べられる人
- コツコツと勉強をすることが苦ではない人
- パソコン操作が得意な人
- 責任感がある人
- 仕事を抱え込まず、疑問点があれば周囲に助けを求められる人
会計の仕事は、簿記や税金、労務、金融など様々なジャンルの知識が必要です。これらの情報は法律の改定で変化することがあるため、自ら最新の情報を調べられる人や、自身の知識のアップデートのためにコツコツと勉強ができる人は会計の仕事に向いています。また、会計業務は、パソコンを使って行われるケースがほとんどであり、パソコン操作に長けている人にもおすすめです。
加えて、会計は金銭の管理だけでなく、決算書の作成や報告を行う必要があり、企業の経営に大きく関わる業務も行います。そのため、責任感があり、分からないことをそのままにしない姿勢も重要です。
会計の仕事に必要なスキル
会計の仕事をスムーズに行うためには、帳簿や財務に関連する書類を作成するスキルだけでなく、外部にわかりやすく報告する際に資料をまとめるスキルも求められます。また、経営者や各部署との連携も大切な仕事であり、コミュニケーションスキルも必要でしょう。
初めて会計の仕事に就く場合は、まず会計に関する知識を得ておかなければなりません。特に、財務会計に必要な損益計算書や貸借対照表について理解するために、日商簿記検定3級程度の知識が必要です。また、経営を分析する管理会計では、日商簿記2級程度の知識があると業務で活かせます。
現場で業務をこなしながら覚えるのも1つの方法ですが、日商簿記の資格を得ておくと転職時にも役立つため、早い段階でチャレンジしておくと良いでしょう。
まとめ
会計は、企業がスムーズに経営をすすめるための指標となる大切な業務です。日々の業務はコツコツと丁寧に行う必要があり、根気がいる作業といえるでしょう。しかし、最終目的である決算書の作成や利害関係者への報告は、企業において重要な業務であり、業務を遂行した後はやりがいを感じられます。
会計に興味があっても、知識やスキルがないため転職を悩んでいる人も多いでしょう。会計に関する知識は、仕事をしながら経験を積んで学ぶことも可能です。そのためには、働きながら学べる環境が整った転職先を探さなければなりません。
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投稿者情報

- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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