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社労士は稼げるのか?

社労士の平均年収はどれくらい?年齢・働き方別の年収や給与アップのポイントを解説

2024/01/25

昨今、政府が推進する働き方改革による働き方の多様化などの影響もあり、社会保険労務士(社労士)のニーズは増え続けています。
しかし、社労士といえば合格率わずか5%前後という超難関の国家試験です。苦労して資格を取得し、社労士として働くことでどれくらいの年収を得られるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。また、既に社労士として働いている方の中には、今の年収が他の人と比べて高いのか低いのか分からない、という人もいるかもしれません。
そこで、今回の記事では、社労士の「年収」にフォーカスを当てて解説します。平均年収はもちろん、働き方・年齢・地域でどれくらい年収に差が出るのかについてもご紹介します。

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社労士の年収はどれくらい?

厚生労働省は毎年、「賃金構造基本統計調査」というものを実施しており、労働者の雇用形態、年齢、性別などの属性と賃金の関係を明らかにしています。
2022年の調査結果から、社労士、弁護士(裁判官・検察官などの法務従事者はあわせて集計されている)、公認会計士・税理士(公認会計士と税理士はあわせて集計されている)の年収を計算してみると、企業規模別に次のとおりになります。

<主な士業の平均年収>

従業員数 社会保険労務士 弁護士(裁判官・検察官などの法務従事者を含む) 公認会計士・税理士
全企業(10人以上)計 780.9万円 971.4万円 746.6万円
10人~99人の企業 652.6万円 917.8万円 693.1万円
100人~999人の企業 856.4万円 1,068.5万円 778.4万円
1,000人以上の企業 780.9万円 808.1万円 861.4万円

※参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

この3種の中では、社労士の平均年収は低めになっています。また、1,000人以上の企業では、100人~999人の企業と比べて社労士の年収が下がっています。大規模な事務所は人手が多く、分業制で業務を進められるため、専門業務だけに注力できます。業務負担が軽くなる分、年収が伸び悩むケースもあります。

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社労士の年収は条件によって異なる

社労士としての働き方はいくつか存在し、社労士事務所や企業に勤務する人もいれば、独立して自分の事務所を持つ人もいます。年収は、社労士自身の働き方やスキル、年齢といった条件で変わるものです。ここでは、働き方・年齢・地域といった条件が年収にどのような影響を与えるのかご紹介します。

働き方別の平均年収

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、社労士の年収は約780.9万円です。ただし、社労士には2種類の働き方があります。1つは独立開業をすること。もう1つは社労士事務所や民間企業などに勤務することです。どちらの働き方を選ぶかで年収が大きく変わってきます。

開業社労士の平均年収

開業社労士とは、自ら社労士事務所を開いて独立する社労士のこと。日本学術振興会科学研究費助成事業のアンケートによると、開業社労士(副業ありも含む)の割合は85.2%に登ります。社労士の独立開業は比較的スタンダードな働き方といえそうです。

開業社労士の年収については、公的なデータはありませんが、年収1,000万円を超えている方がいる一方で、勤務社労士の平均年収を下回る方も多くいるとされています。アンケートでは、2016 年度における個人の収入額が掲載されており、開業社労士の個人収入は300 万円未満がもっとも多い26.3%でした。次に多いのが300 万円以上~400 万円未満ですが、その次は1,000 万円以上~3,000 万円未満と続きます。

全体的に見ると、開業社労士の半数は400 万円~500 万円未満。この平均年収は、勤務社労士よりも低い結果です。一方で、開業労務士の約2割が副業をしているというデータもあります。あくまでも社労士としての年収が低い傾向にあるということで、トータルの年収で勤務社労士より低いとは限りません。

勤務社労士の平均年収

勤務社労士は、会社や社労士のオフィスで働く人たちのことです。日本学術振興会科学研究費助成事業のアンケートによると、社労士のうち、社労士事務所や社労士法人に勤務する社労士は5.2%、企業や官公庁等に勤務する社労士は 9.6%でした。開業社労士と比べるとかなり少ない数字です。

アンケートによると、勤務社労士の2016 年度の個人収入は500 万円以上~600 万円未満がもっとも多く、次に700 万円以上~800 万円未満と続きます。中でも、600 万円以上~700 万円未満が55.6%と半数以上を占めるという結果です。開業社労士よりも勤務社労士の方が、平均年収は高くなる傾向があるようです。
参考:社会保険労務士の業務展開についてのアンケート調査

年齢別の平均年収

社労士という職業に就くためには、原則として2年以上の実務経験が必要です。若くして社労士の資格を取る方もいますが、20代中頃~30代に入ってから本格的に社労士として働き始めるのが一般的です。

社労士は、年齢を重ねるごとに年収が高くなる傾向があります。社労士としての経験値が増えると、大口顧客の獲得に繋がったり高度な業務に携われるようになったりするためです。50~54歳には、1,000万円以上の大台に乗っています。年齢別の年収をまとめると、以下のようになります。

<社労士の年齢別の平均年収>

年齢 年収(賞与などを含む)
25~29歳 386.6万円
30~34歳 665.2 万円
35~39歳 707.4万円
40~44歳 907.2万円
45~49歳 821.8万円
50~54歳 1,073.2万円
55~59歳 919.0万円

参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

地域別の平均年収

社労士は企業を相手にする仕事なので、必然的に年収にも地域差が生じます。例えば、企業の数が多い都市部で仕事が多く、そのぶん年収が高くなるという傾向にあり、関東では東京都、近畿では大阪府の平均年収が高くなっています。以下の表では、地域別に社労士の年収をまとめています。

<地域別の社労士の年収>

地域 年収(賞与などを含む)
北海道・東北地方 約380~750万円
関東地方 約490~950万円
中部地方 約390~710万円
近畿地方 約350~670万円
中国地方 約440~830万円
四国地方 約480~581万円
九州・沖縄地方 約420~850万円

参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

社労士が年収をアップさせるには?

これまで様々な条件下で社労士の年収が変化することについて取り上げてきました。社労士は全体的に年収が高い傾向にある職種といえます。そうはいっても、「もっと年収を高めるためのチャレンジがしたい!」という方もいるかもしれません。

ここからは、社労士が年収をアップさせるために何をするべきかについて解説します。

独立開業して顧問契約を増やす

基本的に、社労士が年収をアップさせる方法は、独立開業をすることです。
ただし、社労士として独立開業しただけで年収が上がるわけではありません。顧客を獲得するためには、営業や集客活動が必要です。

社労士が独立開業すれば顧客の方からやってくる、という時代もありましたが、今は社労士の数がどんどん増えており、インターネットでも社労士を探せるようになりました。大勢の社労士の中から自分の事務所を選んでもらうためには、新規顧客開拓という営業力が必要です。

インターネット上で顧客にアプローチするスキルも必要ですが、他の士業とのコネクションを作ることも欠かせません。民間企業は、既に顧問契約している税理士事務所・弁護士事務所に相談を持ちかけることが多いからです。相談内容が社会保険制度や年金制度に関することであれば、税理士や弁護士からの紹介を受けて顧客を得るケースもあります。

営業がうまくいかなければ、他の社労士事務所に顧客を取られてしまいます。他の事務所との差別化を図り、顧客獲得競争を勝ち抜く力を身につけることが重要です。

「3号業務」ができる社労士を目指す

社労士の3号業務とは、中小企業の経営に関するアドバイスを行うコンサルティング業務のこと。社労士が行う業務といえば、独占業務である書類作成や手続代行と思われがちですが、労働・雇用に関する法律の専門家でもある社労士は、労働環境の改善やコンプライアンス確保のコンサルティングを行うのにうってつけの人材です。

働き方改革法の施行や、コロナ禍によるリモートワークの導入など、企業の労務環境も急激に変化しています。目まぐるしく改正される人事労務関係の法律に対応したクリーンな会社づくりのために、専門家を頼りたいという経営者は増えつつあります。

3号業務では、採用業務・人材配置、社員教育、賃金設計・人事考課制度の確立など、労働者の環境や待遇に関する課題に対してアドバイスを行うことが期待されています。専門知識を活かすことも大切ですが、法律に明るくない経営者にも分かりやすく説明する力も求められます。

ただし、3号業務は社労士の独占業務ではないため、社労士でない方も競争相手になります。
そのような状況で仕事を獲得していくためには、社労士としての深い知識と経験が必要になります。

クライアントの事業環境や動向などには常に注視して、労務に限らず広く情報収集することも重要です。多くの経験を積むため、コンサルティング企業や、会計事務所に勤めて経験を積むというのも手段の一つでしょう。

まずは社労士としての経験を積もう!

社労士としての平均年収は780.9万円ほどです。年齢や所属する都道府県、働き方でも年収には差が出ます。働き方や頑張り次第で、十分高い年収が目指せる資格といえるでしょう。合格率わずか5%前後といわれる国家資格の社会保険労務士試験をパスして社労士になれたのですから、せっかくなら高収入を目指したいものです。

社労士として年収アップを目指すのであれば、独立開業を目指すのも一つの手です。しかし、試験を突破しいきなり開業社労士として働き始めるのはリスクの大きい選択です。独立したら、自ら新規顧客を開拓して売上を増やしていかなくてはなりません。いきなり独立をしても、なかなか顧客が見つからず、思うように年収が伸びないということもあります。開業社労士よりも勤務社労士の方が平均年収が高いことや、開業社労士のうち2割は副業をしているというデータがある点からも、独立後の生計を立てることが並大抵のことではないと分かります。
参考:社会保険労務士の業務展開についてのアンケート調査

いずれ独立を目指すにしても、企業や事務所などに勤務社労士として勤め、経験を積んでから開業を目指すという流れになるでしょう。

年収アップを目指すなら転職も視野に入れよう

いくら働いてスキルアップをしてもあまり年収が上がらない、と悩んでいる方は、思いきって転職をして環境を変えるという方法もあります。勤務社労士を選ぶ方は少ないですが、だからこそ、企業や官公庁などでは社労士資格を歓迎する求人も多く、社労士は転職に有利な資格といえます。
人事・労務関係の業務は、実務経験も重視される傾向があるため、社労士としての経験を重ねておくことも大切です。

また、社労士がダブルライセンスを目指すことで、活躍の場が広がることもあります。例えば、社会保険関係の業務と相性の良い税理士や、コンサルティング業務に関連する中小企業診断士といった資格を取るのも良いでしょう。独立を目指す際にも、取り扱える業務範囲が広くなれば、新規顧客を獲得するチャンスにも繋げられます。

まずは、勤務社労士として勤める企業、事務所を探すことから始めてみませんか。今の職場で働いていてもスキルアップが難しいと感じているなら、思いきって転職をしてみるというのも一つの方法です。
年収アップのために会計事務所・社労士事務所などの転職先を探すのであれば、会計業界に特化した転職サイトを利用するのが近道です。

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税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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