
簿記1級を取っても就職できない?「やめとけ」といわれる理由とは?
簿記1級は難関資格として知られており、就職に有利になることを見込んで取得を目指す方も多い資格です。しかし、実際に簿記1級を取得しても就職が必ず保証されるわけではなく、取得しない方が良いと考える人もいます。
本記事では、簿記1級が「やめとけ」といわれる理由や簿記1級を取得していながら就職に苦戦してしまう原因、就職を成功させるためのポイントを解説します。 さらに、簿記1級取得者におすすめの就職先や、併せて取得すると役立つ資格もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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コンテンツ目次
簿記1級が「やめとけ」といわれる理由とは?
先述のように、簿記1級は難関資格であり能力の高さを証明できそうなのにもかかわらず、「やめとけ」といわれることも少なくありません。ここでは、そのようにいわれてしまう理由を3つ紹介します。
難易度が高いから
簿記1級が「やめとけ」といわれる理由の一つは、その難易度の高さにあります。2022年6月~2024年11月分の平均合格率は10.45%と低く、数ある資格試験の中でも難関資格の一つといえるでしょう(※)。
出題範囲は広く、1級では「会計学」「原価計算」が加わる他、「商業簿記」「工業簿記」の問題の難易度がより高まります。高度な専門性と応用力が求められるため、中途半端な気持ちで挑戦すると挫折してしまう可能性が高く、時間とお金を無駄にしてしまうリスクがあります。
難関資格であることを理解した上で、相応の覚悟を持って臨む必要があるでしょう。
※参考:日本商工会議所.「1級受検者データ(統一試験)」.https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class1 ,(参照 2025-02-06).
勉強に時間がかかるから
簿記1級の取得には膨大な勉強時間が必要となることも、「やめとけ」といわれる理由の一つです。
一般的に、合格までに必要な勉強時間は、500時間から1,000時間程度とされています。毎日2時間勉強しても、8カ月から1年半以上かかる計算です。特に働きながら、または学業と並行しての学習となると、長期間にわたってモチベーションを維持したり、勉強時間を確保したりすることが難しくなります。途中で挫折してしまうリスクも高くなるでしょう。
また簿記1級の勉強に時間を割くには、プライベートの時間をある程度犠牲にしなければなりません。それだけの犠牲を払ってでも簿記1級の取得を目指すのか、よく検討しましょう。
簿記2級でも十分に業務をこなせるから
簿記2級の知識でも十分に経理業務に対応できるため、簿記1級の取得は不要だと考える人もいます。実際に、簿記1級を取得していなくても経理職に就いている方もいます。
ただし、上場企業や子会社を持つ大企業など、高度な連結決算業務に携わりたい場合は、簿記1級で学ぶ「連結会計」の知識が必要です。
つまり、簿記1級の必要性は目指すキャリアパスによって異なります。初めから上場企業の経理職に就きたいわけでなければ、まずは簿記2級を取得し、実務経験を積んだ上で必要に応じて簿記1級の取得を目指す方が効率的といえるでしょう。
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簿記1級取得者が就職に苦戦する4つの原因
簿記1級を取得しても、必ずしも就職できるとは限りません。ここでは、簿記1級取得者が就職活動で苦戦する主な理由を4つ解説します。
実務経験が不足しているから
簿記1級取得者が就職活動で苦戦する大きな原因の一つは、実務経験の不足です。企業が求めるのは、簿記の知識があるだけでなく、その知識を生かして実際に業務を遂行できる人材です。
簿記1級の試験は理論中心のため、実務で必要とされるスキルとの間に差がある場合があります。例えば、経理の実務では会計ソフトの使い方や月次・四半期・年次の決算対応、開示資料の作成、監査法人との折衝など試験勉強だけでは身に付けられないスキルも必要です。
そのため実務経験が少ない、あるいは全くない簿記1級取得者は、即戦力として評価されず、就職において不利になる可能性があります。
年齢が高いから
年齢も簿記1級取得者の就職に影響を及ぼします。
特に30代後半以降で未経験の業界や職種に転職する場合、年齢がネックになることがあります。企業は、長期的なキャリア形成や将来性を考慮して、若手人材を優先的に採用する傾向があるためです。
また年齢が高いと、新しい環境に適応できるか、年下の先輩や上司とうまくやっていけるのかといった点で、不安を持たれることもあります。
さらに、年齢に見合った給与を支払う必要があるため、採用コストの面でも不利になりがちです。
以上のような理由から、年齢が高い簿記1級取得者は、若い方と比較して就職で不利になる場合があります。
企業研究が不足しているから
簿記1級取得者が就職に苦戦する原因として、企業研究不足も挙げられます。
簿記1級を保有していることは、確かに高い能力の証明にはなるものの、多くの場合それだけでは面接を通過することはできません。企業は自社の事業内容や経営理念、求める人物像などを理解し、熱意を持って応募してくる人材を採用したいと考えているからです。
しかし、企業研究が不十分なまま面接に臨んでしまうと、「なぜ当社を志望するのか」「当社でどのように活躍したいのか」といった質問に、納得感のある回答ができず、熱意や適性をアピールできません。
結果として、能力的には十分だったとしても、企業から「自社への理解が足りない」「志望度が低い」と判断されてしまい、選考を通過することが難しくなってしまうのです。
ソフトスキルが不足しているから
簿記1級取得者が就職活動で苦戦する原因として、コミュニケーション能力や協調性、問題解決能力、リーダーシップといったソフトスキルが不足していることも考えられます。
企業で働く際には専門知識だけでなく、円滑に業務を行ったり、チームワークを高めたりするためのソフトスキルも重要です。例えば、会計・経理業務では他部署との連携や顧客との交渉など、コミュニケーション能力が求められる場面が数多くあります。
しかし、簿記1級の学習だけでは、これらのソフトスキルを十分に磨くことはできません。そのため、面接においてソフトスキルが不足していると判断されると、選考を通過することが難しくなる可能性があります。
簿記1級を生かして就職するための3つのポイント
簿記1級の資格を最大限に生かし、就職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に効果的な3つのポイントを解説します。
転職サイトを活用する
簿記1級を生かして就職を成功させるためには、転職サイトの活用がおすすめです。特にエージェントサービスを提供している転職サイトは、求人情報の提供だけでなく、キャリア相談、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策など、転職活動全般をサポートしてくれます。
例えば、会計業界に強い転職サイト「会計求人プラス」では、業界に精通した専門エージェントが、あなたのスキルや経験にマッチした求人を紹介してくれます。 会計事務所や税理士法人はもちろん、一般企業の経理・財務職の求人も豊富で、簿記1級を生かせる求人に出会える可能性が高まるでしょう。
アルバイトやインターンシップで実務経験を積む
実務経験が不足している場合は、いきなり正社員を目指すのではなく、アルバイトやインターンシップで経験を積むのも一つの方法です。
簿記1級の知識を生かせる経理や財務関連の補助業務に携わることで、実践的なスキルを身に付けることができ、就職活動の際のアピールポイントにもなります。たとえ短期間であっても、実際の業務を経験することで、企業が求める即戦力に近づけるでしょう。
またアルバイトやインターンシップを経験しておくことで、その後、別の会社に入社する際のミスマッチを防ぐことにもつながります。雇用形態にとらわれ過ぎず積極的に求人を探して、実務経験を積む機会を得ることが大切です。
万全な面接対策を行う
簿記1級を生かして就職するためには、万全な面接対策が必要です。
面接では、簿記1級の知識だけでなく、人柄やポテンシャル、入社の意欲なども評価されます。そのため自己分析をしっかり行い、自分の強みや弱み、キャリアプランなどを明確に説明できるようにしておきましょう。
また志望企業についてしっかりと理解しておくことも重要です。企業理念や事業内容、求める人物像などを理解した上で、「なぜこの企業で働きたいのか」「簿記1級の知識をどのように生かせるのか」を、具体的に説明できるように準備しておきましょう。
もし、ぶっつけ本番での面接が不安であれば、想定される質問に対する回答を用意し、模擬面接などで練習しておくことで、自信を持って面接に臨めるでしょう。
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簿記1級取得者が目指せる主な就職先
簿記1級取得者は高度な会計知識を生かし、さまざまな業界・企業で活躍できるポテンシャルがあります。ここでは、主な就職先を3つ紹介します。
一般企業の経理・財務部門
簿記1級取得者が目指せる代表的な就職先が、一般企業の経理・財務部門です。
経理部門では、日々の仕訳入力や決算業務など、企業の会計業務全般を担当します。財務部門では、資金調達や予算管理、財務分析など、企業のお金に関する戦略的な業務に携わります。簿記1級で得た会計知識は、これらの業務を行う上で大きな助けとなるでしょう。
また大手企業や上場企業では、連結決算や国際会計基準への対応など、より専門性の高い業務に携わるチャンスもあり、キャリアアップを目指せます。
会計事務所・税理士事務所
会計事務所・税理士事務所も、簿記1級を生かしやすい就職先です。
会計事務所では、クライアント企業の記帳代行、決算業務、税務申告書の作成など幅広い業務に携わります。税理士事務所では、税務相談や税務調査の立ち会いなど、税務に関わる業務が主です。どちらの業務においても簿記1級の知識は基礎となります。
また会計事務所・税理士事務所での実務経験を生かし、税理士や公認会計士の資格を取得するなど、さらに専門性を磨いていくことも可能です。会計業界で長期的なキャリアを築きたい方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
コンサルティングファーム
簿記1級の知識は、コンサルティングファームでの業務にも生かせます。
コンサルティングファームは、クライアント企業の抱える経営課題の解決や業績向上を支援する仕事です。簿記1級を取得していれば、会計に関する専門知識があるため、クライアント企業に対して財務面での的確なアドバイスができます。
特にM&Aコンサルティングは、簿記1級の知識を生かしやすい分野です。M&Aコンサルティングファームでは、クライアント企業がM&Aを行う前のデューデリジェンス(買収対象企業のリスク評価)やバリュエーション(企業価値評価)などを担当します。簿記1級の知識は、決算書が正しく作成されているかを確かめたり、企業の適正価格を算定しM&A時の買収価格を決定したりする際に役立てられるでしょう。
ただし、コンサルティングファームへ就職するには、専門知識だけでなく、高いポテンシャルも求められるため、入念な準備と自己研鑽が必要です。
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就職に役立つ簿記1級以外のおすすめの資格3選
簿記1級に加えて他の資格も取得することで、キャリアの幅を広げたり、さらに専門性を高めたりすることが可能です。ここでは、簿記1級取得者におすすめの資格を3つ紹介します。
税理士
税理士は、税務の専門家として税務相談、税務書類の作成、税務調査の立ち会いなどを行うための専門性を証明する国家資格です。簿記1級で得た会計知識は、税理士試験の科目である「簿記論」や「財務諸表論」の学習に役立ちます。
また税理士を取得すれば、企業で働くだけでなく、独立開業して自分の事務所を持つことも視野に入れられます。働き方の選択肢を広げてくれる資格だといえるでしょう。
公認会計士
公認会計士は、企業の財務諸表が適正かどうか監査し、信頼性を保証する役割を担う国家資格です。企業の経営を支援するためのコンサルティング業務を行うこともあります。
簿記1級で得た会計知識は、公認会計士試験の「財務会計論」や「管理会計論」などの科目で役立ちます。公認会計士資格を取得すると、監査法人はもちろん、一般企業の経理・財務部門やコンサルティングファームなど、活躍できる場が広がるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対して診断や助言を行う国家資格です。経営戦略論、財務・会計、生産管理、マクロ経済、ミクロ経済など幅広い知識が求められます。簿記1級の知識は、特に「財務・会計」の学習をする際に役立つでしょう。
中小企業診断士資格を取得することで、コンサルティングファームや会計事務所、一般企業の経営企画部門などでの活躍が期待できます。
また中小企業の経営を支援し、地域経済の活性化に貢献したい方にもおすすめの資格です。地域の商工会議所などに就職すれば、地元企業を経営面や財務面から支援できます。
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簿記1級を取得すればキャリアの幅が広がる
簿記1級は、高度な会計知識を証明する難関資格ですが、取得したからといって必ずしも就職が保証されるわけではありません。就職を成功させるには、実務経験やソフトスキル、面接対策などのうち、自分に不足している点を見極めて対策を行うことが大切です。必要に応じてアルバイトやインターンシップで実務経験を積むのも良いでしょう。
簿記1級取得者は、一般企業の経理・財務部門、会計事務所・税理士事務所、コンサルティングファームなど、さまざまな分野で活躍できる可能性があります。併せて税理士、公認会計士、中小企業診断士といった資格を取得すれば、さらにキャリアの幅を広げることが可能です。
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投稿者情報

- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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