税理士試験の最新動向!受験者増加の背景と若手に求められる強み

2026/10/27

結論からいうと、税理士試験の受験者数は2023年度の受験資格緩和後に増加しています。一方で、資格取得後に活躍するには、税務知識だけでなく、IT活用力、顧客への説明力、得意分野を築く力が重要です。
「税理士はAIに代替される」「将来性がないのではないか」といったネガティブな言説を目にすることがあります。実際に、税理士試験の受験者数は長年にわたり減少傾向が続いており、業界の高齢化も深刻な課題とされてきました。
しかし、現場における税理士業務の需要は決して失われていません。2023年に実施された受験資格の大幅な緩和を契機に、税理士試験の受験者数は増加へと転じています。時代に合わせた制度に変革を遂げたことで、新たな受験生層が流入し始めています。
本記事では、税理士試験の受験者数の推移や2023年改正の具体的な内容を整理した上で、なぜ若手税理士の割合が増えにくいのか、その構造的背景を解説します。AI時代の到来をチャンスに変え、ITリテラシーや発信力を武器に活躍する「これからの若手税理士」に期待される役割と強みについて掘り下げます。

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減少していた税理士試験の受験者が2023年から増加

税理士業界の現状を正しく理解するためには、これまでの受験者数の推移と、近年の動向を正確に把握する必要があります。「不人気職になった」という一面的な見方だけでは捉えきれないことがわかります。

税理士試験の受験者数の推移

税理士試験の受験者数は長期的に減少し、2022年度は28,853人でした。しかし、受験資格が緩和された2023年度は32,893人、2024年度は34,757人、2025年度は36,320人となり、3年連続で増加しています。受験者増加の背景を考える際は、制度変更前後の実人員を比較することが重要です。
出典:国税庁「令和5年度(第73回)税理士試験結果」「令和7年度(第75回)税理士試験結果」 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm

受験資格の緩和により2023年から増加

受験者数の減少傾向に歯止めをかけ、業界の構造を転換させるきっかけとなったのが、2023年の制度改正です。制度改正以降、税理士試験の受験資格が大幅に緩和され、ハードルが引き下げられることとなりました。これまで年齢や学歴、職歴などの要件で受験を断念していた若年層の参入が容易になり、実際に受験者数は増加傾向へと転じています。若いうちから早期の科目合格を目指す環境が整ったことで、次世代を担う新しい人材が業界に挑戦しやすい土壌が形成されつつあるといえるでしょう。

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税理士試験の受験資格緩和とは

2023年度(第73回)試験から適用された受験資格緩和は、長年続いていた受験者数の減少を食い止め、若年層の参入を促進するための制度改革となりました。条件緩和により、早期の税理士資格取得が現実的なものとなりました。

簿記論・財務諸表論

大きな変更点の一つが、必須科目である会計2科目(簿記論および財務諸表論)における受験資格の撤廃です。
改正前は、特定の学歴・職歴、あるいは日商簿記検定1級・全経簿記上級の合格といった受験資格を満たす必要がありました。これらを満たさない人が税理士を目指す場合、まずは受験資格を得るための勉強から始めなければなりませんでした。
改正以後は、年齢やバックグラウンドに関係なく最初から簿記論・財務諸表論を受験することが可能となり、挑戦できる環境が整えられました。これにより、学生の早期挑戦や、異業種で働く社会人がダイレクトに税理士試験の学習をスタートできるようになりました。

税法科目

所得税法や法人税法など、税法科目の受験資格に関しても見直しが図られました。
従来、学歴区分における受験資格としては「法律学または経済学に属する科目」を一定単位以上修得していることなどが求められていましたが、「社会科学に属する科目」へと拡大されました。社会科学には、従来の法律学や経済学だけでなく、政治学や社会学、経営学、政策学、国際関係学といった幅広い学問分野が含まれることになりました。
この拡充により、幅広い学部で学んできた学生や社会人が税法科目の受験資格を満たせるようになり、多様なバックグラウンドを持つ人々が税理士業界を目指せる土壌が整ったといえます。

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受験者増加と税理士業界の年齢構成

受験資格緩和後は若い受験者も増えていますが、受験から複数科目の合格、実務経験、税理士登録までには時間がかかります。そのため、受験者数の増加が登録者全体の年齢構成に反映されるまでには一定の時間差があります。

税理士は高年齢層の割合が大きい

日本税理士会連合会が2024年4月に実施した第7回税理士実態調査では、税理士会員・税理士法人会員38,607件の回答が集計されています。年齢構成を扱う際は、平均年齢だけを断定するのではなく、調査年と年代別構成を併記することが大切です。高年齢層が活動を続ける一方、若手の参入や事業承継を進める必要性が指摘されています。
出典:日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書」 https://www.nichizeiren.or.jp/datalibrary/system/survey/250221b/

税理士の平均年齢が高い理由

なぜこれほどまでに税理士の平均年齢は高い状態が維持されているのでしょうか。これには、資格の独自の制度や働き方の特性が関係しています。
例えば、国税庁や税務署などで長年勤務した公務員は、一定の勤務年数や研修等の条件を満たすことで、税理士試験の科目が免除され、税理士資格を取得することができます。40代後半以降や定年退職後に税理士登録を行うケースが多く、平均年齢を押し上げる一因となっています。
また、一般企業では定年退職制度がありますが、開業税理士には定年退職が存在せず、心身が健康であれば70代や80代になっても現役として長く働き続ける人が多いことも、平均年齢を押し上げる要因となっています。

若手税理士の割合が少ない理由

一方で、若い世代が税理士登録するまでに至るハードルの高さも、若手税理士の割合が上がらない原因となっています。
税理士試験は「科目合格制」を採用しており、数年かけて合格を目指すのが一般的です。極めて高い難易度であり、合格までに長期にわたって勉強する必要があります。働きながら勉強を続ける場合、日々の業務と両立させながら勉強を継続する精神的・時間的な負担は非常に重いものです。途中で挫折してしまうケースも少なくありません。
さらに、社会全体の構造として、少子高齢化に伴う若年人口の減少そのものが、業界を問わず課題となっています。税理士業界も例外ではありません。

若手税理士は強みを活かすことで需要が高まる

年齢層が高い業界だからこそ、若い世代の税理士が持つ強みや視点は、現在のマーケットにおいて非常に強い武器となります。特に近年のビジネストレンドであるDX化の潮流は、若手税理士の優位性を揺るぎないものにしています。

ITやAIツールの活用による業務効率化

現在の税理士業務では、クラウド会計ソフトをはじめ、さまざまなIT・AIツールの積極的な活用が進んでいます。手作業での仕訳入力や、紙の帳簿作成作業などは、ITツールの導入によって大幅に効率化され、銀行口座やクレジットカードの明細データから自動で仕訳を生成することも可能になりました。「freee」や「マネーフォワード」などのクラウドサービスを使いこなし、バックオフィス業務全般のデジタル化をクライアント企業に提案できる若手税理士は、業務効率の面でアドバンテージを持っているといえます。
AIやITは「税理士の仕事を奪う脅威」ではなく、生産性を高める便利なツールとして柔軟に使いこなす姿勢こそが、今の時代に求められる大きな武器となります。

SNSやYouTubeの活用で集客力アップ

マーケティングや顧客獲得のアプローチにおいても、若手税理士ならではの強みが発揮できるでしょう。
従来の会計事務所の集客は、紹介や地道な地域密着型の営業が主流でしたが、近年ではSNSやYouTube、オウンドメディアなどを活用して自らの専門知識や人柄を発信する若手税理士が増えています。
複雑で難解な税法や会計に関する情報を、一般の経営者や個人事業主、スタートアップ層に向けて分かりやすく解説し、オンライン上で信頼関係を築くことで、新しい顧客層の獲得や集客力の強化に成功している事例が数多く見られます。地理的な制約を超えて、全国から新しい顧客を獲得することも可能でしょう。ベテラン層がアプローチしきれていない新しい市場を開拓できるのは若手税理士にほかなりません。

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税理士試験と若手キャリアのよくある質問

2023年度から誰でも税理士試験を受けられるようになった?

簿記論・財務諸表論は受験資格の制限がなくなりました。税法科目には学識、資格、職歴などの受験資格があり、大学等で履修する対象科目は法律学・経済学から社会科学へ拡大されています。

AIによって税理士の仕事はなくなる?

定型的な入力や資料作成は効率化が進みますが、税務判断、顧客への説明、経営課題に応じた提案には専門家の関与が必要です。AIを業務効率化に活用し、人が担う相談・提案業務へ時間を振り向ける視点が重要です。

若手が税理士業界で生かしやすい強みは?

クラウド会計やAIツールへの適応力、オンラインでの情報発信、顧客に分かりやすく説明する力が強みになります。年齢だけではなく、得意業種や専門分野を明確にすることも大切です。

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まとめ

税理士試験の受験者数は、過去の長期的な減少期を経て、受験資格緩和を機に、現在は増加傾向へ転じました。会計科目の要件撤廃や税法科目の対象拡大は、挑戦へのハードルを下げました。
AIやテクノロジーの普及によって将来性を不安視する声もありますが、複雑な税法の解釈や経営アドバイス、ITツールを駆使したコンサルティングなど、人間にしか担えない専門的役割の価値は今後も失われることはないでしょう。
受験資格要件のハードルが低くなったことで、多くの若年層が早期から試験に挑戦し、フレッシュな視点を持って税理士業界へ参入してくることができるようになりました。ITリテラシーや発信力を駆使し、経営者を支える心強いパートナーとして活躍することが期待されます。

投稿者情報

税理士ライターSOU
税理士ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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