会計事務所は残業なしがあり得るのか?

会計事務所で残業が増える理由とは?残業が多い事務所・少ない事務所の見極め方

2026/06/16

会計事務所の残業は「多い」というイメージが強いものの、実際には事務所の規模・業務体制・IT活用度によって大きく変わります。この記事では、会計事務所で残業が多くなる理由から、残業の多い事務所・少ない事務所の特徴まで、転職前に必ず知っておきたいポイントを詳しく解説します。

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会計事務所は残業が多いのか?

 会計事務所の残業時間は、事務所の人員数や業務内容によって異なりますが、一般的には月30~40時間程度といわれています。ただし、繁忙期には100時間を超えることもあり、大幅に残業時間が増加する傾向があります。
 会計事務所の繁忙期は、11月頃から5月頃を指します。年末調整や償却資産申告、法定調書の作成、個人の確定申告、3月決算法人の申告などが続くためです。
ただし、事務所規模や、専門分野によって業務内容が異なるため、残業時間もさまざまです。就職を考える際には、残業が多い会計事務所なのかどうか、見極める必要があるでしょう。
特に、担当件数が多い事務所や、法人顧問だけでなく相続・資産税・事業承継まで幅広く扱う事務所では、時期による波が大きくなりやすい点も押さえておきたいところです。

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会計事務所で残業が発生する理由

 会計事務所で残業が発生する理由にはいくつかの要因があります。業務そのものが、「期限」をベースに動くため、毎日同じペースで業務を進めるのが難しいという特徴があります。加えて、急な顧問対応やスポット案件もあり、予定通りに仕事が終わらないことも少なくありません。

繁忙期の業務量増加

前述の通り、会計事務所の繁忙期は11月頃から5月頃を指します。12月の年末調整、3月には個人の確定申告で業務量のピークを迎え、3月決算法人の申告手続きなどが5月頃まで続きます。繁忙期は残業が発生しやすくなります。「申告期限」などがベースとなるため、業務の平準化が困難であることが残業の大きな要因でしょう。期限直前になれば、チェックや修正対応が増え、残業に持ち込まれやすい状況となります。

スポットでの依頼が発生する

 会計事務所では、月次などの定例業務だけでなく、予期せぬ突発的な業務も発生します。税務調査の対応、相続業務、融資を行う際の金融機関対応、法人の新規設立や解散、M&Aなどが該当します。
 これらのスポット業務は発生時期がわからないため、繁忙期に重なると一気に負荷がかかります。通常業務と並行しての対応が必要となり、残業時間が増える要因となります。
 また、スポット案件は期限が短いものが多く、事務所内で分担しにくいケースもあります。その結果、経験のある担当者に仕事が集中しやすく、残業が恒常化することもあります。

外回りによる移動時間

 顧客の月次訪問を行う事務所では、移動時間が業務を圧迫します。訪問件数が多い場合や、移動距離が長い場合などは社内での処理時間が削られ、結果的に残業が発生しやすくなります。
 クライアントの意向などにもよりますが、在宅やWeb会議などに切り替えることができれば時間短縮につながるでしょう。訪問前後の準備や移動中の待機時間も、積み重なれば大きなロスになるため、業務の進め方そのものが残業時間に影響すると考えられます。

会計事務所の人手不足

 どの業界でも「人手不足」に悩まされていますが、会計業界も例外ではありません。会計事務所でも慢性的な人手不足で、税理士試験の受験者数も年々減少傾向にあるとされています。職員が少ない事務所では1人あたりの担当件数が多く、繁忙期の負担も多いと考えられます。既存スタッフの長時間労働でカバーしている事務所も多いものと予想されます。
 人材の採用が難しい状況では、教育や育成に時間をかけられず、さらに人材が定着しにくくなる悪循環も起こり得ます。結果として、ベテラン職員に業務が集中し、残業が増える構造に繋がります。

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残業が「多い」会計事務所の見分け方

 残業が多い会計事務所を見分けるポイントをまとめました。求人票の条件だけでは見えない部分も多いため、面接や事務所見学で業務の進め方まで確認することが重要です。

ITツールなどの効率化に関心がない

 税理士業界でも、ITツールの導入は進んでいます。クラウド会計ソフト、チャット、ウェブ会議、オンラインストレージなど、さまざまなツールが導入できる環境です。ITツールの導入には丁寧な設定と運用が不可欠ですが、うまく活用することで業務の効率化を図ることができます。
しかし、ITツールの導入を検討せず、昔ながらの方法のままでは手作業が減らず、非効率な業務体制が続いてしまいます。紙での申告、郵送、確認や差し戻しも増え、余計な時間が積みあがります。そのような事務所では余分な作業時間が多く、残業時間が多い傾向があるでしょう。求人情報欄などに、「IT活用」や「DX」、「クラウド対応」といった言葉が具体的に表現されていない場合は注意しましょう。
さらに、ITツールを導入していても、実際には一部の社員しか使いこなせていないケースもあります。制度やツールの有無だけでなく、現場に浸透しているかどうかまで確認すると見極めやすくなります。

業務が属人化している

 税理士事務所では、顧問先によって業務内容や会計処理が異なることも多く、属人的な業務体制となっている場合が多いです。担当者しか進め方がわからない状態になっている事務所では引継ぎや応援が難しく、担当者の残業時間が増えやすいでしょう。属人化を防ぐには、業務の標準化やマニュアル整備が重要です。
マニュアルなどが存在しない場合、職員が退職した際などには、引き継いだ職員は手探り状態で業務を行うことになります。事務所全体の業務効率が悪化し、作業時間が増え、残業時間が増えてしまう悪循環に繋がります。業務の標準化やマニュアル整備、教育体制が整っている事務所では、負担の集中を防ぎ、業務効率を維持しやすくなります。
急な休みや退職があっても業務を回せる仕組みが整っているかどうかは、残業の多寡を見極めるうえで重要な基準です。

報酬とサービスが見合っていない

 税理士事務所が効率的な経営を行うためには、他の業種の経営と同じく、労働に見合った利益を確保する必要があります。しかし、適切な対価を設定せず、安価な報酬で多くの案件を受注してしまうと、職員が疲弊してしまい、非効率な業務体制に繋がり、残業時間が増えやすくなります。
 料金体系や契約内容が曖昧な事務所では、スタッフが負担を抱えていることが考えられます。安価な顧問料で案件を採っている事務所などは注意が必要です。特に、価格競争を優先して受任件数だけを増やしている事務所は、少人数で無理に回していることもあり、結果的に長時間労働になりやすいでしょう。

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残業が「少ない」会計事務所の見分け方

 残業が少ない会計事務所を見分けるポイントをまとめました。働きやすさは、単に残業時間の数字だけでなく、事務所運営の設計などに表れます。

効率的な業務体制が整っている

 残業が少ない事務所は、クラウド会計やチャット、オンラインストレージなどを使って業務を整理しています。資料収集や仕訳入力、チェック、申告書の作成、申告までの流れが整っていて、ボトルネックが見えやすいのも特徴です。「属人化」を防ぐ設計になっているかどうかが見極めるポイントです。
 加えて、業務の締め切り管理や進捗確認がルール化されている事務所はミスも少なく、突発的な残業を抑えやすいといえるでしょう。職員個人に頼るのではなく、組織としての設計が重要です。

スポット案件より継続的な案件が多い

 関係性の長いクライアントが多く、毎月の顧問業務が中心の事務所では、仕事量が安定しているといえるでしょう。急な案件が少ない状況では予定も立てやすく、繁忙期も比較的コントロールができます。顧客対応の見通しが立てやすい状況は、職員の予定も組みやすく、ワークライフバランスを保ちやすい傾向があります。
一方、相続やM&Aなどの突発的なスポット案件が多い事務所では、コントロールがしづらく、残業が増えやすい傾向があります。事務所の特徴、経営方針、業務内容や顧客層について、チェックできるとよいでしょう。

多様な働き方ができる

 在宅勤務やフレックスタイム、テレワークなどを取り入れている事務所は移動時間を削減しやすく、残業抑制につながります。また、多様な働き方ができる事務所の離職率は低く、家庭や試験勉強との両立もしやすいといえるでしょう。形だけでなく、実際に利用されているのかを面接の際などに確認するとよいでしょう。
 繁忙期でも柔軟な働き方、勤務調整ができる事務所は、無理なく業務を回しやすく、結果的に残業の偏りも小さくなります。

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まとめ

会計事務所の残業時間についてみてきました。ITツールの活用などにより効率的な業務体制を整えた会計事務所では残業時間を抑えることができるものと考えられます。一般的には繫忙期に残業時間が多くなるものの、業務体制によって大きく異なるでしょう。会計事務所への転職の際はぜひ参考にしてください。
残業の多寡は「忙しさ」だけでは判断できません。どのような案件を扱い、どのような仕組みで仕事を回しているのかは会計事務所によって異なり、働きやすさは大きく変わります。IT活用、属人化の有無、業務の標準化、柔軟な働き方ができるかなどを確認することがポイントです。

投稿者情報

税理士ライターSOU
税理士ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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