公認会計士にMBAは必要?取得のメリット・デメリットと将来性を解説
2025/10/20
日本では、MBAの評価が欧米ほど高くないといわれています。しかし近年は経済のグローバル化が進み優秀人材の確保が重要になる中で、日本企業でもMBAを重視する動きが強まっています。
一般的にMBA取得は主に企業の幹部候補や管理職層のビジネスパーソンによってなされます。では専門職である公認会計士がMBAを得た場合、どのようなキャリア展開が可能になるのでしょうか。
そこで本記事では公認会計士がMBAを取得するメリット・デメリットに加え、取得後に想定されるキャリアパスについて解説します。
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コンテンツ目次
公認会計士にMBAは必要?
公認会計士としてキャリアアップを目指す場合、MBAの取得は必要なのかこの章で解説します。
MBAとは?
MBA(Master of Business Administration)は日本語で「経営学修士」を意味します。MBAは資格ではなく、経営系大学院の修士課程を修了して授与される学位のことです。経営層・管理職へのキャリアアップを志す人は取得を勧められることも多いかもしれません。
MBA課程を設置する大学院は「ビジネススクール」と総称され、主な対象は在職の社会人です。研究者養成ではなく、経営者やマネジメントを支える実務家の育成を目的としています。
教員陣や設計によって学べる内容は異なり、実務に直結する実践重視のカリキュラムを提供する学校もあれば「学」としての経営を体系的に学ぶアカデミック寄りのプログラムを用意する学校もあります。
アプローチに違いはあっても、AACSB・AMBA・EFMDなどの国際認証を受ける大学であれば修了によりMBAホルダーとなる点は同じです。
実際にビジネススクールを選ぶ際は自身の学びたい領域や身につけたい知識・スキルに合致する大学を選定しましょう。
MBAで学べること
MBAでは会計だけにとどまらず、経営組織論・経営管理論・マーケティング論・広告論、さらに企業戦略やファイナンス、ビジネスアナリティクス、オペレーションマネジメント、人材・リーダーシップ開発といった領域まで、複数の専門分野を横断して体系的に学ぶことができます。
個々の科目がバラバラに存在するのではなくケーススタディやプロジェクト演習を通じて相互に関連づけながら理解を深められる点が特徴で、実務に直結する意思決定力や課題解決力の強化につながります。
言い換えると、MBAは経営学全般にわたる幅広い知見を段階的かつ計画的に修得するための「学びのプラットフォーム」です。理論のインプットに加え、実務家教員や企業との連携科目を通じて仮説立案→検証→改善のサイクルを回す経験を積めるため、知識を“使える力”へと転換しやすい環境が整っています。
加えて、同じ志を持つクラスメイトと切磋琢磨する過程そのものが大きな価値です。バックグラウンドの異なる同級生や卒業生ネットワーク(アルムナイ)と協働することで異業種の視点に触れ、実務で活かせる人脈を広げられます。
チームワークやリーダーシップを鍛えるグループワーク、ピッチやコンペへの挑戦などを通じて単なる知識の拡充にとどまらない成長機会が得られるでしょう。
MBAは現在のキャリアを深めるだけでなく職種転換・起業・社内での新規事業参画など、将来の選択肢と可能性を大きく広げてくれる場だと捉えるのが適切です。
学び・実践・ネットワークの三位一体で次のステージへ進むための土台を着実に築けます。
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公認会計士がMBAを取得するメリット
この章では、公認会計士がMBAを取得することのメリットを説明していきます。
企業経営に関する知識を学べる
第一の利点は、企業経営に関する幅広い分野の知識を横断的に学べる点です。
ビジネススクールは企業のマネジメント層や起業家に必要な知見を総合的に修得する場であり、監査・決算といった業務に加えて将来的にコンサルタントとしてのキャリアを志す場合にもそこで培った知識を実務に生かすことができます。
幅広い人脈を作れる
二つ目のメリットは、幅広いネットワークを築けることです。
ビジネススクールには将来の管理職や経営に携わることを期待されるビジネスパーソンが多数在籍しており、在学中に交流を深めて友人関係をつくることで強力なコネクションを形成できます。
とりわけ海外のビジネススクールには高い志を持つプロフェッショナルが世界中から集まるため、修了までの1~2年でグローバルな人脈を構築することが可能です。
将来会計士として海外での活躍を視野に入れているなら、海外のビジネススクールへの進学を検討するのがおすすめです。
信頼性が上がる
さらに、MBA取得はクライアントや所属する法人・企業に対して自分が経営分野の体系的知識を有することの証明になります。
とりわけ外資系企業や銀行ではMBA保有者の評価が高く、転職時に責任あるポジションへ抜擢されやすい傾向があります。
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公認会計士がMBAを取得するデメリット
ここからは、公認会計士がMBAを取得することのデメリットを説明していきます。
時間がかかる
公認会計士がMBAを取得する際の第一の難点は、1~2年にわたりビジネススクールへ通う時間的負担です。
週末開講の講義・ゼミを用意して働きながらでも通いやすいカリキュラムを組む学校もありますが、その場合は土日の休息を返上することになり家族や私生活の時間が犠牲になりがちです。
平日夜間に通学する形を取るなら、残業は基本的に断らざるを得ません。特にゼミでは予習が不可欠で、そのための学習時間も別途確保する必要があります。
こうした時間制約が生じる点はMBA取得を目指すうえでのデメリットと言えるでしょう。
費用がかかる
MBAは取得コストが高い点がデメリットといえます。国内のフルタイムMBAの学費目安はおおよそ100~430万円ほどです。
大学院での学習費として見れば極端に非現実的ではないものの、資格・称号取得の費用としてはかなり高額といえるでしょう。
海外のMBAでは総額2,000万円前後に達するケースもあります。
そのため、MBA取得を検討する際は学費の工面や資金計画の見通しも含めて慎重に判断する必要があります。
英語力が求められる
海外のビジネススクールに出願する際はTOEFLやGMATなどのスコア提出が求められる場合があり、各校が定める基準点を満たす必要があります。
また、MBAの取得には入学時の要件だけでなく授業やケース討議の場でも十分な英語運用能力が不可欠です。
とりわけ海外校に通う場合は日常会話レベルでは不十分で、経営関連の専門用語を英語で適切に扱える力が求められます。加えて英語の学術論文を読み込み理解する読解力も必要となり、相応の語学力が前提となります。
そのため、MBA取得を目指すうえでは講義に充てる時間に加えて英語力を強化するための学習時間も確保しなければなりません。
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USCPAとMBAはどっちがおすすめ?
この章ではUSCPAとMBAの取得はどちらがおすすめかを説明していきます。
USCPAとは
USCPAは、米国の会計基準に関する高度な知識を身につけられる資格で、米国で公認会計士を名乗るためのライセンスにあたります。
USCPA(米国公認会計士)は各州が認定する国際資格であり、アメリカの資格ながら日本を含む世界中で多様な業種・職種・年齢の人が、就職・転職・キャリアアップなどを目的に受験しています。
国際的な認知度が高いビジネス資格であることから、グローバルに活躍できるキャリア形成に有利なのが大きな魅力です。
試験は英語で実施されるため、合格すれば会計知識だけでなく実務で通用する英語力も示せます。英語での顧客対応や交渉が可能な人材として評価され、就職・転職の選択肢や活躍の場が広がるでしょう。
キャリアアップのためにUSCPAとMBAのどちらが良いか
会計・監査分野に特化したキャリアを志向する人にUSCPAは適しています。具体的には、監査法人やコンサルティングファームへの就職・転職を考えている場合、USCPA取得を目標にするとよいでしょう。
英語で会計実務をこなせるようになるため、外資系や海外展開企業で会計関連の仕事を通じてグローバルに活躍したい人にも有効です。
一方で会計に限らず幅広いビジネススキルを身につけたい、将来的に経営幹部としてキャリアアップを目指したい人にはMBAが適しています。
MBAを取得することで年収向上につながる可能性もあります。ただし、どのビジネススクールを修了するかで評価は大きく変わるため、学校選びは慎重に行う必要があります。
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MBA取得後の転職先・キャリアパス
MBA保有者が活躍しやすい企業・業界としては、まず経営戦略への意識が高く、積極的にグローバル展開を進める企業が挙げられます。具体例には戦略コンサル、外資系メーカー、さらに投資銀行やVCなどの金融分野が典型です。
加えて、サステナビリティ関連など社会課題の解決を軸に事業を展開する企業でもMBA人材の採用が増えています。これらの企業はMBAで培われた高度な経営スキルを重視しており、業界の競争力強化を狙った人材ニーズが高まっているのが背景です。
公認会計士としてのキャリアを考えてMBAを取得する
公認会計士がMBAを取得する意義としては企業経営に関する幅広い知識を吸収できること、強固なネットワークを築けること、転職市場での評価が高まることなどが挙げられます。
一方でビジネススクール通学には時間と費用が伴うため、実際に目指す際はその点に十分留意が必要です。学費不足で在学中に中断してしまう事態は避けましょう。
なお、海外を含む多くの大学には奨学金制度が整備されています。これらを活用すれば自己負担を抑えられるため、出願を検討する段階から並行して奨学金の情報収集を進めておくことが重要です。
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投稿者情報

- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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