FP技能検定は仕事や転職に役に立つ資格?受験方法や活かせる職業を解説
2023/10/30
ファイナンシャルプランナー技能検定(FP技能検定)という名称は聞いたことがあるけれど、どんな資格か詳しく知らないという方もいらっしゃることでしょう。
ファイナンシャルプランナー(FP)は、金融商品や保険に関する知識を豊富なお金のプロフェッショナルです。ファイナンシャルプランナーの資格取得を目標とする人は多く、主婦や学生もチャレンジするほどです。今回は、FP技能検定について解説します。
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コンテンツ目次
FP技能検定とはどのような資格?
ファイナンシャルプランナー(FP)には、「FP技能検定」と呼ばれる国家資格があります。ファイナンシャルプランナーの仕事をするためには、特定の資格は必要ありませんが、多くの人がFP技能検定を取得してから職に就いています。
FP技能検定の資格は、1〜3級の種類に分かれ、一度合格すれば更新する必要はありません。FPと似た資格に「AFP」や「CFP」といった民間資格もあります。CFPに関しては、FP技能検定1級と同等レベルの難易度です。しかし民間資格の場合は、2年間の有効期限が設けられています。
ファイナンシャルプランナーに要求される知識
ファイナンシャルプランナーの資格を得るには、さまざまな知識が必要です。しかし、日常的に使っているお金にまつわる分野のため、比較的取り組みやすい内容といえるでしょう。ここでは、ファイナンシャルプランナーに要求される知識を分野ごとに解説します。
ライフプランニングと資金計画
ファイナンシャルプランナーの仕事の1つに、お金の面からライフプランを組み立てて提案する仕事があります。例えば、「家を持ちたい」「夢を叶えたい」といった目標を達成するためには、資金計画を立てる必要があります。ファイナンシャルプランナーは「教育資金」や「住宅資金」、「老後資金」などの資金を作るための知識が必要です。
金融資産運用
ファイナンシャルプランナーは、貯蓄や債券、株式などさまざまな資産運用に関する知識が要求されます。近年、貯蓄よりも投資をして金融資産を運用する人が増えており、相場指標の読み方や金融取引に関する知識が問われるでしょう。また、社会保険や年金、税理士法や金融商品取引法など幅広い知識も必要です。
タックスプランニング
消費税や所得税などの税金は、身近な存在です。税金のバリエーションは多く、相続税や法人税、都市計画税など馴染みのない種類もあるでしょう。ファイナンシャルプランナーはこういった税金に関する知識が要求されます。例えば、各税金の仕組みや税額を算出するための計算方法や、支払い手続きの流れなどを把握しておく必要があります。また、できるだけ節税するためのプランを提案するのもファイナンシャルプランナーの仕事の1つです。
リスク管理
人生には、病気や事故など想定外の事態が多く、リスクに対する備えを検討する方も少なくありません。ファイナンシャルプランナーは、こうしたリスク管理の一環として保険の提案を行います。保険には生命保険や損害保険、医療保険などさまざまな種類があります。ファイナンシャルプランナーには、ライフプランに適した保険の仕組みに加えて、保険料の支払いや税金に関する知識も必要です。
不動産
大きな買い物といえば、土地や住宅といった不動産を思い浮かべる人も多いでしょう。不動産には法律や税金が関わってくるため、しっかりとした知識が重要です。不動産のプロフェッショナルとして宅地建物取引士が有名です。しかし、ファイナンシャルプランナーの資格を得るためには、宅地建物取引士の分野も勉強する必要があります。
相続と事業承継
高齢化社会と謳われる近年は、相続や事業継承に関する仕事もあります。ファイナンシャルプランナーの資格試験にも出るため、しっかりと押さえておく必要があります。相続税に加えて、生きている間に財産を与える際に必要な贈与税や事業継承に関する知識も理解しておくとよいでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格を活かせる職業
ファイナンシャルプランナーの資格を得たのちは、しっかりと活かせる職業に就くことが大切です。続いては、ファイナンシャルプランナーの資格を活かせる職業を紹介します。
銀行・証券会社等の金融業界
ファイナンシャルプランナーの資格が活かせる業種として代表的なのが金融業界です。銀行や証券会社によっては、入社後に資格取得を奨励するケースも少なくありません。
例えば銀行では、資産運用や保険商品を取り扱っており、ファイナンシャルプランナーが持つライフプランを組み立てるスキルが活躍します。また証券会社では、経営に関する相談やサポートの際にファイナシャルプランナーの知識が役立つでしょう。
保険業界
保険業界もファイナンシャルプランナーの知識が役立ちます。保険の中には、投資型や貯蓄型の商品があります。リスク管理もファイナンシャルプランナーが持つ知識の1つです。顧客は、ファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けることで、より適切な保険を選択できます。
不動産業
ファイナンシャルプランナーの知識として、不動産や相続、事業継承があります。そのため、ファイナンシャルプランナーの資格があれば、不動産業界でも活躍できるでしょう。例えば、住宅を購入する際は多くの人が住宅ローンを利用します。長期にわたる借り入れになるため、無理のない返済計画を立てなければなりません。ローンを組む際、ライフプランを踏まえた上でアドバイスをするのはファイナンシャルプランナーの仕事です。
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ファイナンシャルプランナーになる方法
ファイナンシャルプランナーの仕事は、資格がなくても業務に就けます。しかし業務を行っているのは、ファイナンシャルプランナーの国家資格であるFP技能検定か、民間資格のAFPもしくはCFPの試験を受験して合格している人が多い傾向にあります。
FP技能検定の資格試験は、日本FP協会と金融財政事情研究会が実施しています。AFP資格の正式名称は「アフィリエイテッド ファイナンシャルプランナー」です。日本FP協会によって運営されています。
一方のCFPは、正式名称が「サーティファイド ファイナンシャルプランナー」で、AFPの上位資格に該当します。
AFPは実務に密着した資格で、FPと違い2年ごとの更新が必要です。合格して会員登録すると、毎月会報誌が送付され、金融や経済における最新情報や税法などの知識を得られます。さらに上のレベルや、独立開業を目指す人におすすめなのがCFPです。高い信頼性があり海外でも通用するため、AFPに合格した人が実務経験を積んだ上で挑むケースが多いでしょう。また、CFPもAFPと同様に資格の更新が必要です。
FP技能検定1級・FP技能検定2級・FP技能検定3級の違い
概要の項で述べた通り、FP技能検定は、1〜3級までの段階に分けられます。最も難しいのが1級で、2級3級と続きます。
3級は基礎知識が求められるため、合格しやすい試験といわれています。2級は、3級と比べて難易度が上がります。3級の試験は○×形式と3答択一となっていますが、2級になると4答択一になり、選択肢が増えるためです。また法人に関する問題も増えるため、範囲を広げて勉強する必要があります。1級はさらに難度が上がり、2021年9月の試験では、2級の学科試験における合格率が25.46%なのに対して、1級は13.03%です。(※1)
※1 一般社団法人金融財政事情研究会「試験結果:2021年9月試験」
1級の試験は、技能検定と学科検定に分けられますが、特に学科の基礎編が難しいといわれています。3級や2級では対象とならなかった細かな分野まで網羅されるため、隅々まで勉強しておかなければなりません。また、テキストや過去問には登場しない問題が多いことも1級の難度を上げている要因の1つです。
ファイナンシャルプランナーに関係する仕事は、取得しているFP技能検定の等級によって応募できる求人が異なります。それぞれの級に対応した求人は以下のページでご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
⇒ファイナンシャルプランナー1級の求人を探す
⇒ファイナンシャルプランナー2級の求人を探す
また、ファイナンシャル技能士検定について、更に詳しく知りたい場合は「2級FP(ファイナンシャル・プランニング技能検定)のメリットとは?試験内容など解説」の記事をご覧ください。
ファイナンシャルプランナー試験の受験資格
FP技能検定の試験は1〜3級それぞれの受験資格が異なります。3級では、ファイナンシャルプランナーに従事しているもしくは、従事しようとしていることが条件です。そのためFP技能検定3級の資格を取得したいと思えば誰でも受けられます。FP技能検定2級と1級は受験資格があるため、チェックしておきましょう。
FP技能検定2級
FP技能検定2級を受けるためには、次の条件のどれかに該当する必要があります。
- 日本FP協会認定のAFP認定研修を終了した人
- FP技能検定3級に合格した人
- ファイナンシャルプランナーとして2年以上の実務経験を有する人
ここで挙げる実務経験については、自己申告です。ただし虚偽や不正が発覚すれば、試験の停止や合格の取り消しが行われるなどのペナルティが課せられるため注意しましょう。
FP技能検定1級
FP技能検定1級は、学科試験と実技試験それぞれに受験資格が設けられています。学科試験の受験資格は次の通りです。いずれか、1つを満たしていれば受験ができます。
- FP技能検定2級に合格し、ファイナンシャルプランナーとして1年以上の実務経験がある人
- ファイナンシャルプランナーとして5年以上の実務経験を有する人
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する人
また、実技試験を受けるためには、次のいずれかを満たす必要があります。
- FP技能検定1級の学科試験に合格した人
- 「FP養成コース」修了者で、ファイナンシャルプランナーとして1年以上の実務経験を有する人
- 日本FP協会のCFP認定者
- 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者
ファイナンシャルプランナーの試験について
ファイナンシャルプランナーの試験は、各級で学科(筆記)試験と実技試験があります。
2級と3級では学科と実技試験が同日に行われるため、合格証書を受け取るには両方に合格しなくてはなりません。ただし、どちらかに合格した場合、次回の試験では合格した試験は免除されます。1級の試験は学科試験合格後に実技試験が行われ、学科資格の合格者には一部合格証書が発行されます。
学科・実技試験ともに、合格点は満点の60%です。金融財政事情研究会の試験の場合、3級と2級の学科試験は60点満点で36点、1級は200点満点で120点を獲得する必要があります。実技はそれぞれ、3級と2級が50点満点で30点、1級は200点満点で120点を獲得すれば合格です。肝心な学科試験の試験範囲は級に関係なく共通しており、ファイナンシャルプランナーに必要な分野が全て出題されます。一方の実技試験は、級ごとに範囲が異なるので注意しましょう。
3級の実技試験は、日本FP協会の試験では「資産設計提案業務」に関する問題が出題されます。金融財政事情研究会の実技試験では「個人資産相談業務」もしくは「保険顧客資産相談業務」からの選択方式です。
日本FP協会の試験では2級も3級と同じく、「資産設計提案業務」から出題されます。金融財政事情研究会では、「個人資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」から1つ選択する方式です。
日本FP協会の1級における実技試験は「資産設計提案業務」に関する記述式ですが、金融財政事情研究会では、面接形式になっており、口頭試問方式で2問出題されます。
試験合格に向けた勉強のポイント
ファイナンシャルプランナーの資格を得るためには、3級や2級でも勉強することが必要です。さらに難度の高い1級に合格するための学習ポイントを押さえておきましょう。続いては、試験合格に向けた効率的な勉強方法について紹介します。
問題が解けるようになるまで繰り返し解答する
1級の検定試験は、毎年新しい問題が提出される傾向にあります。しかし、過去問もイメージを掴むためには大切な勉強道具です。過去問に加えてテキストや問題集をうまく活用し、理解できないポイントがあれば繰り返し解答して把握しておきましょう。
法改正対策をしておく
FP技能検定1級の試験は、法改正に関する問題も出されます。そのため、法改正に関する対策はしっかりと押さえておく必要があります。テキストや問題集を選ぶ際には、最新版を選ぶようにしましょう。また、日々新聞を読んで情勢を把握しておくのもおすすめです。新聞を読むと、ファイナンシャルプランナーに関する予備知識や専門用語にも触れられるため勉強になるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格を取得してすぐに、転職を考える人も少なくありません。しかし、募集背景などをチェックしないで応募してしまうと、失敗する可能性があります。また、自己分析をしないままに転職すると、自分のスキルに見合っていない職場を選んでしまうこともあるでしょう。
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