会計大学院に通うと公認会計士試験が免除される?メリットとデメリットを解説
2024/08/23
公認会計士になるための効率的な学び方にはいろいろな選択肢があります。例えば、会計大学院に通ってより深い知識を身につけるという方法もそのひとつです。
会計大学院という名前からわかるとおり、大学の上に位置する教育機関で、大学よりも専門的に会計分野についての研究を行う専門職大学院です。
公認会計士を初めとする資格試験で優遇を受けられることでも知られる会計大学院について、どのようなメリットやデメリットがあるかを詳しく解説します。
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コンテンツ目次
そもそも会計大学院とは?
会計大学院は2003年からスタートした専門職大学院のひとつです。従来の大学院の目的は専門分野の研究者を育てることですが、会計大学院は会計の実務家を育てることを目的としています。そのため、研究の指導や論文の審査などはなく、一定割合で実務家が教員に含まれていることなどが特徴です。
会計大学院は、社会人でも問題なく通えます。社会人のライフスタイルに合わせたカリキュラムを組んでいる会計大学院も多いため、公認会計士を目指す人にとってありがたい教育機関です。
会計大学院と予備校の違い
公認会計士を目指す上で、会計の知識を学ぶ機関には、会計大学院以外にも予備校があります。会計大学院は、経営学や会計学など実務における会計の知識を付けることを目的としている教育機関です。いわゆる「会計のプロ」を育てる学校といえます。また、修了時には会計の専門職修士の学位が授与されるのが特徴です。
一方、予備校は試験対策を通して公認会計士試験に合格することを目的としています。会計学員とは異なり「修了」ではなく「卒業」のため、学位を得ることはできません。
会計大学院の種類
2005年に、会計大学院が互いに協力し合い、教育水準をアップさせ、優れた人材を養成することを目的として、会計大学院協会が設立されました。現在の主な会員は以下の通りです。
・関東
青山学院大学・明治大学・早稲田大学・千葉商科大学など
・関西
関西大学・関西学院大学・兵庫県立大学など
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会計大学院の特徴とは
会計大学院は、公認会計士試験の合格を目的としておらず、会計のプロフェッショナルを育てるための教育機関です。そのため、公認会計士の予備校とは学習方法が異なります。予備校では公認会計士試験の対策を行い、合格率を上げることを目指しますが、会計大学院の学習方法では、合格率が上がらないという声も少なくありません。
しかし、令和4年公認会計士試験の合格者を見てみると、会計大学院に在学している人の合格率は、願書提出者に対して8.5% と大学卒業者や大学院修了者よりも高いです。
会計大学院によって学び方も異なるため一概にはいえませんが、専門分野を深めることは公認会計士試験の合格率アップにもつながるでしょう。
引用:公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験 合格者調」
会計大学院は就職・転職でもメリットがある
会計大学院には、単純に試験科目の免除の他に、就職や転職で有利になりやすいというメリットがあります。続いては、会計大学院がなぜ就職や転職に有利なのかを解説します。
現場で活用できる知識と技能が身につきやすい
会計大学院では、実務で活かせる知識を深めていくため、会計に関する知識やスキルを総合的に学ぶことができます。こうした専門的な教育を受けた実績は、就職や転職においても即戦力があるとして評価されます。公認会計士をはじめ、大企業の経理や会計に関する職種でも価値を認められるでしょう。
人脈づくりにつながりやすい
会計大学院の社会人を対象としたコースには、多種多様な経歴を持つ人が集まります。会計に関する仕事をしている人もいれば、弁護士や官公庁に勤める人もいるでしょう。公認会計士にとって人脈は財産であり、会計大学院でできたつながりは、その後に有利に働きます。
就職後のキャリアアップに差がでやすい
会計大学院は、一般的に2年間を費やして修了します。長い期間をかけて、会計に関する知識やスキルを深めるため、独学や予備校を通して公認会計士に合格した人よりも、基礎ができているでしょう。そのため、同じ監査法人や会計事務所、大企業の会計業務に就いたとしても、その後のキャリアアップに差がでる可能性があります。
また、国際会計基準(IFRS)を学べる会計大学院も多く、日本の会計ではなく、海外進出を目指す人にとってもおすすめです。
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その他の会計大学院のメリット
会計大学院に通うと、就職や転職に関してだけではなく、さまざまなメリットがあります。それらを理解しておくと、より効率的に会計大学院で学べるでしょう。続いては、就職や転職以外の利点について解説します。
試験科目が一部免除になる
公認会計士の試験はマークシート形式の1次試験が4科目、論述形式の2次試験が6科目で構成されています。令和3年に実施された公認会計士試験 において、1次試験の受験者が約12,200人だったのに対して、合格者は約2,000人で全体の約16%でした。また、2次試験の合格者は約3,900人だったことから、1次試験の合格率が低いことがわかります。
1次試験を通過しやすくする方法として、会計大学院を修了して、1次試験の「財務会計論」「管理会計論」「監査論」を免除する方法があります。合格率の低い1次試験を1科目に減らすことができれば、負担も減るでしょう。
科目免除については、以下のページで詳しくご紹介しています。
公認会計士試験は免除制度を最大活用で合格率アップ!徹底解説します!
業務としての会計・税について学べる
会計大学院は、公認会計士の試験対策のためではなく、業務に活かせる会計や税の知識を得られる教育機関です。体系的に学習するため、独学で学ぶよりも効率がよく、幅広いノウハウを得られます。また、会計大学院に通う人は、学生だけではなく社会人も多く、人脈づくりが可能です。知識やスキルと合わせて、人脈も業務における強みであり、独学では得られない利点といえるでしょう。
大学院修了という肩書が手に入る
会計大学院を修了すると、「大学院修了」という肩書が得られるのも利点のひとつです。大学院修了の肩書は、公認会計士だけではなく、税理士や企業の会計に関する業務など、さまざまな進路において役立ちます。会計業界とは関係のない道に進んだとしても、難度の高い内容を修了している点で重宝されるでしょう。
会計大学院に通うときに注意したいデメリット
会計や税に関する職種に就く上で、非常に利点の多い会計大学院ですが、注意点も把握しておく必要があります。続いては、会計大学院に通う際の注意点やデメリットを解説します。
入学試験を受ける必要がある
会計大学院は、勉強したいからといって誰でも通えるわけではありません。通学するためには、入学試験を受けて合格する必要があります。例えば、青山学院大学では、書類審査と口述試験を受けなければなりません。
口述試験では、簿記検定2級と3級で出題される商業簿記と工業簿記から問われ、口頭での説明が求められます。また、出願資格も定められているので、各学校の要項を確認してから挑むことが大切です。
修了・学位授与までに2年かかってしまう
一般的に、会計大学院を修了し学位が授与されるまでには、2年間を費やさなければなりません。会計大学院修了後のビジョンが明確であれば、この2年間は有意義なものになるでしょう。
しかし、ビジョンを持たずあやふやな状態で通学しても、思うように勉強した内容を活かせず、無駄にしてしまう可能性もあります。会計大学院に通う場合は、しっかりとした目標を持って学びを深めることが大切です。
授業料がかかってしまう
会計大学院は、あくまでも学校であるため学費がかかります。どこの会計大学院を選ぶかによって学費が異なりますが、国立大学で150万円前後、私立大学で300万円前後が必要です。経済的な負担がかかることは念頭に置いておく必要があります。ただし、奨学金の活用も可能なので、うまく使って負担を減らすのもひとつの方法です。
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会計大学院に入学するときのポイント
会計大学院に入学し、スムーズに学びを深めるためには、ポイントを押さえておく必要があります。特に、働きながら学ぶ場合は、本業とのバランスを大切にしなければなりません。続いては、会計大学院に入学する際のポイントを3つ解説します。
職場に相談する
会計大学院に入学すると、2年間集中して勉強をしていきます。社会人の場合、会計の仕事に役立つことを学ぶとはいえ、本業に影響がでる場合もあります。また会社に何も知らせずに入学すれば、他の従業員に迷惑を可能性もあるでしょう。会計大学院の入学を考えている場合は、まず職場に相談することが大切です。
入学前に準備を進めておく
会計大学院の入学を決めたら、入学前の準備をしっかりと行う必要があります。まず、入学条件や必要な学費を調べましょう。入試で求められるスキルを学んでおくことも大切です。また、学費が足りない場合は、入学までに貯蓄をしておかなければなりません。その他、奨学金を利用する場合は、事前の手配が必要となります。
仕事・授業・プライベートを両立するスケジュールを立てる
社会人として会計大学院に通うとなると、仕事と授業だけではなく、プライベートとのバランスも大切です。無理をしすぎると、ストレスがたまり授業にも影響がでるでしょう。仕事量と単位を取るために必要な授業時間をベースに、自分にあったスケジュールを立てる必要があります。
会計大学院はメリットも大きい
会計大学院は公認会計士の試験を受けるためには必ず通わなければならないというような機関ではありません。ですから、メリットとデメリットを見比べて、自分にとってメリットが大きいと感じられた場合には選択肢のひとつとして選ぶという形になるでしょう。
公認会計士は日本3大国家資格と言われているほどの資格です。試験の難易度も高く「質」の難易度が高いということからも膨大な知識を一度に詰め込まなくてはなりません。税理士試験のように科目制度がありませんから、1度の試験にかかる負担が高くなってしまいます。
そのため、会計大学院で体系立てて勉強できることはメリットが大きいと言えます。
将来公認会計士として活躍するうえで役に立つ幅広い知識やノウハウを身に付けられる場であることは間違いありません。
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投稿者情報
- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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