
働き方も選べる!女性の公認会計士の年収とは?
2023/11/01
日本では、女性が働きやすい環境づくりが進められています。やりたいことを実現しやすい時代だからこそ、給与面や働きやすさにも注目しながら自分がやりたいことを叶えてみてはいかがでしょうか。
安定した収入を得られる働き方のひとつとして、公認会計士や税理士といった職業があります。実際に働いたときにどれくらいの年収を得ることができるのかをイメージしておくことで、これからの働き方を考える際に役立ちます。女性は結婚や出産、育児などで働き方をその都度検討しなければいけないこともあるでしょう。
ここでは、女性の公認会計士の年収や結婚・出産を迎える際に知っておきたい役立つ情報について紹介していきます。
Contents
☆ズバリ公認会計士の年収はどのくらい?
公認会計士や税理士は給料が安定しているというイメージを持つ人が多く見られます。しかし、実際にどれくらいの給料をもらっているのか知らない人がほとんどです。公認会計士の場合、資格試験に合格したからと言って、すぐに公認会計士として働けるわけではなく、監査法人などで公認会計士の補助を行いながら、実務経験を積む「業務補助」の仕事を2年以上行う必要があります。
この経験を積んで、修了考査に合格すると晴れて公認会計士としてのキャリアをスタートさせることができますが、この業務補助の仕事でも給料がもらえます。大手の監査法人なら、年収が600万円ほど、中小規模なら、年収500万円くらいになります。2年以上の業務補助の仕事が終わり、公認会計士として働きはじめると年収はグンとアップします。
公認会計士や税理士は、経験や実力次第で高収入が目指せる恵まれた環境と言えますが、それは女性にとっても同じです。一般企業に勤める女性の年収と比べても明らかで、賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、女性の年収のピークで330万円というデータがあり、公認会計士として働く女性の年収と比べると、一般労働者の女性が受け取る額の方が少ない傾向にあります。
☆公認会計士の企業規模別・男女別の年収推移
公認会計士や税理士の年収は、企業規模、男女別でも変わってきます。先ほど紹介した「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」によると、公認会計士および税理士が働く企業の規模や男女別における年収は、以下の通りになります。
企業規模 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年収 | 平均年齢 | 年収 | 平均年齢 | |
10~99人 | 666万円 | 43.9 | 422万円 | 46.4 |
100~999人 | 1338万円 | 50.4 | 892万円 | 46.5 |
1000人以上 | 854万円 | 36.1 | 767万円 | 34.7 |
上記の表を見ると、男女ともに100~999人の企業規模が最も高く、女性にとって実力と経験があれば、年収アップが狙える環境と言えます。女性にとっての大きなライフイベントには、結婚や出産がありますが、一度、仕事の第一線を離れたとしても、公認会計士の資格を持っているので再就職がしやすいのも、この業界の大きなメリットです。
無事に出産が終わって、保育園に通わせられるくらい育児が落ち着けば、復職を希望する人も少なくありません。とはいっても、育児や家事を疎かにすることはできませんので、フルタイム勤務や残業はやはり厳しいと言わざるを得ません。そのような場合は、正社員としてではなく、パートやアルバイト勤務という形で働くことができます。
決算期のような繁忙期になると、人手も足りなくなるため、パートやアルバイトの募集も増えます。このように資格を所有しておけば、自分のライフスタイルに合わせて働き方を自分で選択できるため、結婚や出産をしても働きやすい業界と言えるでしょう。
公認会計士の年収はどう推移する?
公認会計士として働く場合、就職する企業によって得られる年収には差が生じます。もちろん大手監査法人に就職するほうが高い年収を望むことができるでしょう。大手監査法人に就職すると、はじめのうちはスタッフとして働くことになります。年収は500万円ぐらいが一般的で、ステップアップを経て年収も上がっていく仕組みです。
3~5年が経過すると、経験や実績も多くなりシニアスタッフへとランクが上がります。この頃になると年収は650万円程度になり、10年近く勤務してマネージャークラスになると、800万円以上の年収が見込めます。さらにシニアマネージャーやパートナーになると、1000万円以上の年収を稼ぐ人も多くなるのが特徴です。コンスタントに年収をアップさせていくことができるので、仕事にやりがいを感じながら働ける点が大きなメリットといえます。
中堅監査法人は大手監査法人と比較すると年収は若干下がる傾向になりますが、一般企業で働くよりも高収入を得ることが可能です。
監査法人で働くと「スタッフ」から始まり、「シニアスタッフ」「マネージャー」「シニアマネージャー」「パートナー」という順序で昇格していきます。
シニアスタッフに昇給した場合の年収
入社してから3年ほどは「スタッフ」と呼ばれます。早い人だと、4~5年目から「シニアスタッフ」に昇格することができます。シニアの月給はスタッフのときと比べると10万円から15万円程度増え、40万円から45万円程度が相場です。
マネージャー・シニアマネージャーに昇給した場合の年収
「シニアスタッフ」として4~6年くらいの実績と経験を積むと、「マネージャー」に昇格します。管理職という扱いになるため、責任もより一層重くなります。マネージャーの平均年収は800万円から1,000万円と言われています。
パートナーに昇給した場合の年収
「パートナー」とは、一般企業で言うところの社長や役員にあたるポジション。そのため、パートナーになるには、15年程度の年数がかかり、現場の仕事だけでなく、経営に関する判断力も求められます。その分、パートナーになればマネージャー時代よりも大幅な年収アップが期待できるケースが多く、年収平均額はおよそ1,500~2,500万円と言われています。
出産・育児を経て復職したい女性の場合
上記で紹介したのは正社員の場合ですが、結婚や出産・育児を経て、復職した女性の場合はどうでしょうか。
先ほど紹介したように、復職しても家事や育児は大切なので、フルタイム勤務や残業がある正社員として働くのが難しい場合、パートやアルバイト勤務で働くことができます。それでも、公認会計士という資格を持っている優位性が活かせるため、一般的な仕事のパートやアルバイトよりも時給は高く、短時間で高収入を得ることができます。
アルバイト時給の全国平均が1,051円に対して、公認会計士の資格を持つアルバイト時給は、およそ5,000円~7,000円(日当で4万円~6万円)が相場と言われています。主査経験など個人の経験や勤務先によっては、もっと高給を狙うこともできます。また、公認会計士の有資格者ではなくても、公認会計士試験の合格者であれば時給2,000円~3,000円ほどは狙えるようです。
☆公認会計士の年収が高いのは取得が大変だから
高収入を得られるなら、ぜひ公認会計士になりたいと考える人も多いことでしょう。しかし、実際に公認会計士になるための道のりは決して楽なものではありません。
公認会計士は弁護士や医師の資格と並んで取得が難しいことで知られています。非常に難易度の高い国家資格で、誰でもなれるというわけではありません。公認会計士になるためには、公認会計士の試験に合格する必要があります。受験科目は全部で9科目。必須5科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法)と、選択1科目(経営学、経済学、民法、統計学の4科目から1つを選択)を受けてクリアしなければなりません。
また、試験に合格できたからといってすぐに資格が取得できるわけではなく、2年間の実務経験を積む必要があります。つまり、試験に挑んでから公認会計士として活躍するまでには、年数がかかるというわけです。
公認会計士の試験内容について、より詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。

公認会計士の試験は全部で9科目!試験の流れと内容を詳しく紹介
活躍の幅の広さが魅力的な公認会計士ですが、受験科目は全部で9科目もあり、資格を得るためにはその中から必須5科目・選択1科目の合計6科目を受けて難関試験に合格しなければなりません。そこで、公認会計士試験の流れと受験科目の内容について解説します。
☆女性の公認会計士は結婚・出産を視野に入れて
公認会計士の資格を取るのも実際に職場で出世するのも簡単なことではありません。公認会計士として働くのであれば、コンスタントに出世できるとも限らないことを頭に入れておくことが大切です。特に女性は結婚や出産などライフスタイルの変化によって休暇が必要になるケースも考えられます。
その点、公認会計士として働いていれば時短勤務やパートタイムとして働いても高時給が見込めるのが魅力です。公認会計士の日当相場は4万~6万円であることを考えると、資格があれば結婚後や出産前後もある程度の収入を確保することができます。つまり、公認会計士はライフワークバランスがとりやすい働き方であるといえます。
4~5月の繁忙期に非常勤で働ける人を募集する企業も多いため、収入源の確保もしやすいといえます。一般労働者の場合、男女の給与格差が見られたり結婚や出産によってライフワークバランスが取りにくくなったりすることが少なくありません。しかし、公認会計士なら実績や働き方次第で高収入を目指すこともできます。
年齢やライフスタイルに合わせた働き方ができるのは、公認会計士のメリットでもあります。
☆まとめ
公認会計士を目指している人やすでに監査法人で働いている人は、一般労働者の平均年収やステップアップしたときの給与額を知っておくと良いでしょう。公認会計士の資格を取るためには、経営学や監査論などさまざまな分野の知識を身につけなければなりません。
さらに実務経験を重ねる必要があるので、独り立ちするまでの計画をしっかりと立てておくことがポイントです。就職する企業や監査法人によって年収額の差が大きくなるので、資格取得後は条件を比較しながら希望にマッチした職場を探しましょう。
女性の場合、結婚や出産が働き方に大きく影響することも少なくありません。仕事をセーブしたり人によっては退職を考えたりする人もいることでしょう。公認会計士は、国家資格を取得していることもあり非常勤として採用されやすいというメリットがあります。一般労働者のなかには、男女の給与格差に悩む人もいますが、公認会計士であればライフワークバランスが取りやすいだけでなく安定した収入を望むことが可能です。コンスタントに出世できれば年収1000万円を稼ぐこともできるので、ステップアップを目指したい人はやりがいを感じながら働くことができるでしょう。
コンスタントに出世できれば年収1,000万円を稼ぐこともできるので、ステップアップを目指したい人はやりがいを感じながら働くことができるでしょう。
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その一環として、会計業界でお役に立つ情報をお届けするために10年以上記事を書いています。是非、会計業界で働く人が楽しく、知識を得られるような情報をお伝えできればと思います。
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