税務とはどんな仕事?

会計と税務の違いを解説!会計業界で働くなら知っておきたい基礎知識

2026/01/21

会計と税務はいずれも企業の「利益」を扱う点で共通しているため、両者の違いが見えにくいと感じる方は多いでしょう。ただし、目的や適用されるルール、情報を届ける相手(開示先)などがそれぞれ異なります。

まずはこの全体像をつかむことで、整理して理解しやすくなります。

本記事では、会計と税務の基本を踏まえつつ、その相違点をわかりやすく解説します

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会計と税務の違い

経理やバックオフィスの現場では、日々の仕訳や帳簿への記録、決算書・申告書の作成などを通じて、「会計」と「税務」の両方に関わります。
ところが、同じ取引であるにもかかわらず、会計上と税務上で金額や処理方法がズレるケースがあり、「なぜこの費用は損金にならないのか」「会計上の利益と課税所得の数字が一致しないのはなぜか」と疑問を持つ方も少なくありません。

このズレは、

  • 何のために計算するのか(目的)
  • どのルールに従うのか(会計基準・税法・法人税法など)
  • 誰に向けて情報を出すのか(株主・投資家・金融機関・税務署・経営者などの利害関係者)

が会計と税務で異なることに起因します。

したがって、会計業務や税務会計を正しく運用するためには、「企業会計(財務会計)」「管理会計」「税務会計」という三つの領域を切り分けて理解し、それぞれの役割・対象範囲・計算ルールを整理しておくことが重要です。

会計とは

広い意味での会計とは、企業の日々の取引を仕訳として記帳し、勘定科目ごとに整理・集計したうえで、決算書という形で財政状態や経営成績などを「見える化」する仕組みを指します。

ここで示されるのは、主に次のような情報です。

  • 財政状態:資産・負債・純資産など、企業が保有する財産や借入の状況
  • 経営成績:収益・費用などから計算される利益
  • キャッシュの流れ:営業・投資・財務活動を通じたお金の増減

これらを貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/F)といった決算書類にまとめ、企業の経営状態を外部の利害関係者に報告します。

会計の目的は、

  • 株主や投資家が企業価値を判断し、投資の意思決定を行う
  • 金融機関や銀行が融資判断をする
  • 取引先が自社との取引継続の安全性を把握する
  • 従業員や人事が会社の安定性を確認する

といった意思決定の前提となる財務データを、客観的な形式で提供することにあります。

会計を支えるルール(会計基準・法令)として日本の企業会計は、

  • 企業会計原則
  • 各種会計基準(日本基準、場合によってはIFRSなど国際会計基準)
  • 会社法・金融商品取引法などの法律や関連法令

といったルールに基づいて運用されます。

これらのルールに沿って、会計期間ごとに取引を記録し、決算時に減価償却費や引当金などの決算整理仕訳を行い、決算書を作成・公表します。
会計ソフトやクラウド型の会計システム、経費精算システム、AIを活用した自動仕訳などを組み合わせることで、会計業務の効率化・自動化も進んでいます。

税務とは

会計は、決算書や財務諸表を作成することを主な目的とするのに対し、税務は企業が納付すべき税額を計算し、その結果を反映した「法人税申告書」を作成することを目的とします。

税務の世界では、課税対象となる収益を「益金」、費用を「損金」と呼びます。また、会計でいう利益は税務上では「所得」に当たり、益金から損金を控除して算定します。

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会計の目的と種類

財務会計

財務会計は以下の特徴を持ちます。

  • 対象:株主・投資家・金融機関・取引先・従業員など社外を含む利害関係者
  • 目的:企業の財務状況・経営成績などを適正に開示し、外部の判断材料を提供する
  • 成果物:貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの決算書類

財務会計では、会計上の収益・費用・資産・負債などを、会計基準に従い一定の方式で計算し、企業全体としての損益や財政状態などを体系的に整理します。

大企業はもちろん、中小企業であっても、金融機関からの融資や取引先との信用維持のために、財務会計が事実上の必須条件となるケースが増えています。

管理会計

一方の管理会計は、経営者や管理部門が自社の経営状態を把握し、経営管理・ガバナンス・経営戦略を強化するためのものです。

  • 対象:経営者、経営企画、事業部門、経理・人事など社内
  • 目的:経営成績の分析、経営状態の診断、事業の意思決定に必要な情報提供
  • 成果物:部門別損益、製品別採算表、予算実績管理表、KPIレポート、経営分析レポートなど

管理会計は法律上の作成義務がなく、形式も企業ごとに任意で設計できます。そのため、

  • 経費精算や経費削減の状況を分析
  • 事業別・製品別・店舗別・プロジェクト別の損益を算出
  • キャッシュフローや投資回収期間をシミュレーション
  • 人員配置や賞与の原資など、人事面も含めた意思決定に反映

といった形で、経営管理のための「経営会計データ」として活用されます。

近年は、クラウド会計や経費精算システム、AI分析ツールと連携させて、リアルタイムに経営成績を把握し、ガバナンスと経営管理を強化する大企業も増えています。

一方、中小企業・スタートアップでも、管理会計を導入することで、経営状態の把握とリスク管理を大きく改善できる可能性があります。

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税務の目的と税の種類

税務とは、本来、法人税・所得税・消費税などの税額を計算し、税務署などに申告書を提出して納税する一連の手続き全般を指します。

実務上は、

  • 会計帳簿に記録された取引や決算書の情報
  • 税法(法人税法・所得税法・消費税法など)
  • 各種税制や税制改正の内容

を前提として、課税所得を算出し、別表などの申告書類を作成し、税額を確定させる「税務会計」が中心的な役割を担います。

税務会計の最終的な目的は、「課税所得を正しく計算し、適正な税額を算出して、期限までに申告・納付すること」です。

ここでは、企業会計上の利益ではなく、「税法上の益金と損金」をベースにした数字が中心となります。

法人税

法人税は、法人が事業年度ごとに得た所得(利益)を課税標準とし、法人税法に基づき税額を計算する税金です。

計算の基本構造は、

会計上の税引前当期純利益
→ 益金不算入や損金不算入などの調整
→ 課税所得(法人税法上の所得)
→ 法人税額(税額控除等を考慮)

という流れになります。

この過程で、

  • 会計上費用として認められていても、税務上は損金とならない金額(損金不算入)
  • 会計上は収益でも、税務上は益金に算入しない金額(益金不算入)

などを別表で調整し、法人税等を確定させます。申告書の提出・納付は原則として事業年度終了後2か月以内に行う必要があり、期限を過ぎると加算税・延滞税などのリスクが生じます。

消費税

消費税は、商品やサービスの取引に広く課される税金で、事業者は売上にかかる消費税から仕入等で支払った消費税を控除し、その差額を納税します。

  • 一定の条件を満たすと免税事業者となる可能性がある
  • 事業年度や設立時期、資本金、特定期間の売上など条件により、納税義務の有無や方式が変わる
  • インボイス制度など、税制改正による実務負担の変化が大きい

といった特徴があり、中小企業や個人事業主にとっても重要な税目です。

法人事業税

法人には法人税以外にも地方税として、法人事業税などが原則としてかかります。

たとえば法人がスーパーマーケットを運営する場合、店舗や商品、従業員だけで事業が成り立つわけではありません。店舗へアクセスできる道路の整備や、電気・上下水道といったインフラが整っていることが前提になります。

このように、法人は事業活動を行う過程で、地方公共団体から多様な行政サービスの提供を受けています。したがって、そのサービスに要する費用の一部は法人も負担すべきだという考え方があります。こうした発想に基づいて課される税金が、法人事業税です。

法人事業税は、所得や付加価値、資本などを基準に税額を計算する外形標準課税が適用されるケースもあり、企業の規模や業種によって税負担の構造が変わります。

法人住民税

法人住民税は、地域社会を維持するための費用について、地域の一員である法人にも個人と同様に広く負担を求める税金です。税目は道府県民税と市町村民税に分かれ、事務所や事業所などを置く法人に対して、その所在地の都道府県および市町村がそれぞれ課税します。

課税方式には、資本金等の規模や従業者数などに応じて一定額を負担する「均等割」と、法人税額を基礎として算定される「法人税割」があります。

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税務における注意点

常に税制改正に注意して実施する

税務の世界では、所得税・法人税・消費税などの税制改正がほぼ毎年行われており、

  • 税率の変更
  • 税額控除や特別償却などの制度の新設・廃止・縮小・拡充
  • 損金算入の限度額・条件の見直し

など、ルールが頻繁に更新されます。

そのため、前年と同じ感覚で処理を続けると、知らないうちに税制改正に対応できておらず、税額計算や申告内容に誤りが生じるリスクがあります。

経理・会計業務の担当者や経営者は、

  • 最新の法令・通達・Q&A・解説資料の確認
  • 顧問税理士・社外専門家との連携
  • 会計ソフトやシステムのバージョンアップ・設定変更
  • 社内マニュアルやチェックリストの更新

を通じて、税制改正に確実に対応していくことが重要です。

税務会計で経営状態を判断しない

税務会計の目的は、「税額を計算し、適切に納税すること」にあります。そのため、税務上の利益や課税所得の数字だけを見て、企業の経営状態や経営成績を評価するのは適切ではありません。

  • 税務上は損金算入できない費用(損金不算入)がある
  • 逆に、税務上だけの調整によって利益が変動することがある

など、税務の数字は「課税のための利益」であり、「経営の実態をそのまま表す利益」とは限らないからです。

経営判断に利用すべきなのは、

  • 財務会計に基づく財務諸表
  • 管理会計で再整理した経営指標・分析データ

です。

税務会計は、あくまで税金計算に特化した数字と割り切り、経営状態の診断や経営管理には財務会計・管理会計を活用する、という役割分担を意識することが大切です。

財務会計とは数値が異なることがある

近年は、クラウド会計ソフトやAIを搭載した経理システム、経費精算システム、請求書発行ツールなど、会計業務と税務業務を自動化・効率化するサービスが多数登場しています。

  • 銀行やクレジットカードとのデータ連携による自動記帳
  • 仕訳候補の自動提案・学習機能
  • 経費精算のワークフロー化・ガバナンス強化
  • 決算・申告書作成の負担軽減

といったメリットがあり、中小企業でも導入が進んでいます。

もっとも、どれほどシステムが高度化しても、

  • 会計上と税務上の違い
  • 法人税法や税制改正の内容
  • 自社の業種・業界特有の論点

を理解していることが前提となります。

AIやクラウドはあくまで「効率化のツール」であり、最終的な判断は経営者・経理担当者・税理士など人間が行う必要があります。

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業務形態と税務の関係

個人事業主と税務

個人事業主は、会社設立の登録を行っていないため、「法人」ではなく個人として事業を営みます。

  • 税金:所得税・消費税が中心(場合によっては住民税・事業税も)
  • 会計:財務諸表の外部開示義務はない
  • 実務:日々の取引を帳簿に記帳し、確定申告書を作成して所得税・消費税を申告

このため、個人事業主の会計処理は、税務申告に必要な範囲の帳簿・書類作成が中心であり、企業会計のような詳細な財務諸表の作成や公表は求められません。

ただし、所得税の節税や金融機関からの借入、将来の会社設立・法人化を検討する場合には、財務諸表に準じた決算書の作成や管理会計的な分析を行うことで、経営状態をより正確に把握できるメリットがあります。

法人と税務

法人(株式会社・合同会社など)の場合、

  • 事業年度ごとに財務諸表を作成して決算を行う
  • 株主総会や金融機関への報告、場合によっては公表・開示の義務がある
  • 法人税・法人事業税・法人住民税・消費税など、複数の税目について申告・納税する義務がある

という点で、個人事業主よりも会計・税務の範囲が広くなります。

法人では、財務会計と税務会計を切り分け、

  1. 会計基準に従って決算書(貸借対照表・損益計算書など)を作成
  2. その決算書をベースに、法人税法などの規定に従って別表で調整し、課税所得と税額を算出
  3. 法人税・地方税・消費税の申告書を作成し、期限までに税務署・都道府県・市町村へ提出

という流れで業務を進めます。

このプロセスには、経理担当者だけでなく、税理士や公認会計士などの士業、場合によってはAI搭載の会計システムやクラウド会計ソフトの活用が欠かせません。

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会計業界で働くなら会計と税務の違いを理解しておきましょう

本稿では、

  • 会計(財務会計・管理会計)の目的と役割
  • 税務会計と法人税・消費税などの基本的な仕組み
  • 会計上の利益と課税所得が違ってくる理由
  • 個人事業主と法人の会計・税務の違い
  • 税制改正への対応や経営判断での注意点

を整理して解説しました。

会計と税務は、いずれも企業や事業のお金の流れを扱う領域ですが、

  • 目的(外部報告・内部管理・課税)
  • ルール(会計基準・法人税法などの税法)
  • 利用者(投資家・金融機関・税務署・経営者など)

が異なるため、「同じ取引なのに計算結果が違う」という状況が生じます。

会計業界で働く方、経理業務の担当者、中小企業の経営者や個人事業主にとって、こうした違いを基礎知識として理解しておくことは、

  • 適正な決算書と申告書の作成
  • 税務調整の内容の把握
  • 経営管理・ガバナンスの強化
  • 今後の事業展開や節税策検討

に大きく役立ちます。

まずは、会計上の数字と税務上の数字が「目的の違いから生まれる別々のもの」であると押さえたうえで、自社の状況や業種に応じた運用方法を、税理士・会計士などの専門家とともに検討し、実務に活用していくことをおすすめします。

あなたにとって本稿が、会計と税務の「違い」を整理し、会計処理や税務対応を見直すきっかけになれば幸いです。

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投稿者情報

会計業界ライターZEN
会計業界ライターZEN
税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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