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税理士への道のりとは

税理士になるには?受験資格から登録までの道のりを徹底解説

国家資格の中でも、非常に難易度が高いとされる試験の1つが税理士試験です。従来は試験内容が広く難しいだけではなく、受験資格にも厳しい制限がありました。しかし2023年度の税理士試験から受験資格要件が緩和されました。税理士を目指そうとしている人、税理士に興味があったものの受験資格がネックとなって踏み出せなかった人にとっては朗報といえるでしょう。

今回は、税理士試験の受験資格について改めて解説するとともに、受験資格緩和や合格後の流れについても触れていきます。これから税理士になろうと税理士試験を受ける人はしっかりと確認してから試験に挑んでください。

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税理士になるには

税理士になる方法は、まず税理士試験に合格する必要があります。しかし税理士試験は誰でも受けられるものではなく、受験資格という条件を満たした人のみが受験できる仕組みになっています。

学識・職歴・資格のうちから要件を満たす

税理士試験は「学識」「職歴」「資格」などの受験資格が設けられており、受験するにはいずれかに該当する必要があります。受験資格も少し複雑な内容となっているため、詳しくは次の章で解説します。また令和4年税理士法改正により、令和5年4月1日以降に実施する税理士試験から受験資格要件が緩和されたので、最新の情報を確認しましょう。

税理士試験に合格する

税理士試験は、よく簿財と言われれている必須科目「簿記論」「財務諸表論」の2科目と、選択必須科目「法人税法」「所得税法」のいずれか1科目以上を含めた税法3科目、合計5科目に合格することが必要となります。5科目を一気にまとめて取得するのはかなり困難ですが、科目合格制度を採用しているため2〜5年かけて合格を目指すのが一般的です。

実務要件を満たす

税理士資格を得るためには2年間の所定の実務経験が必要です。従って、試験に合格しただけではすぐに「税理士」の肩書きを得られるわけではありません。税理士試験合格と2年間の実務経験を満たした後、税理士登録をして初めて「税理士」を名乗ることができるのです。試験の難易度だけではなく、こうした仕組みも税理士試験が難しいとされる所以といえます。

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税理士試験の受験資格とは

ここでは税理士試験の受験資格について解説していきます。

学識に関する受験資格

学識の受験資格については以下の5通りです。

  1. 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  2. 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  3. 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  4. 司法試験合格者
  5. 公認会計士試験の短答式試験に合格した者

資格に関する受験資格

資格については以下の2通りです。
いきなり税理士試験を突破することを考えるより、一度これらの資格を目指してみるのも、無理なく受験資格を得る一つの方法として有効です。

  1. 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
  2. 公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。)]

職歴による受験資格

「職歴」は税理士試験を受験する前の職歴も対象となります。この制度をうまく利用し、税理士試験対策をしながら「職歴」での受験資格を得られる職業に就くのも賢い方法です。
職歴については以下の3通りです。

  1. 法人又は事業行う個人の会計に関する事務(複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等)に2年以上(※)従事した者
  2. 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※)従事した者
  3. 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上(※)従事した者・行政機関における会計検査等に関する事務

※=異なる勤務先等の職歴は、通算して2年以上

参考:税理士理士試験受験資格の概要|国税庁

国税審議会の個別認定

過去に国税審議会が受験資格に関して個別認定したものとしては、次のようなものがあります。

  1. 「学識」に掲げる者と同等以上の学識を有すると認められる方(例えば、外国の大学を卒業した方で、社会科学に属する科目※を1科目以上履修している方
  2. 「職歴」に掲げる事務又は業務に類すると認められる事務又は業務(例えば、商工会や青色申告会における複式簿記による記帳(経理)及び決算指導の事務や信用金庫(組合)や協同組合における貸付審査事務)に、通算して2年以上従事した方

参考:受験資格について|国税庁

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税理士試験の受験資格緩和について

令和5年度(第73回)の税理士試験から受験資格要件が緩和されました。この緩和により以前よりも受験資格を持つ人が増えるため、より多くの人が税理士資格を取得する機会を得ることができます。今までは勉強時間の確保のみならず、まず受験資格を得ることからスタートしなければいけない試験だったため受験を諦めていた方も、準備の期間が大幅に短縮可能となる点には大きなメリットと言えます。

具体的な変更点としては大きく次の2点になります。

会計学科目の受験資格要件の撤廃

会計学科目である簿記論・財務諸表論が誰でも受験可能となりました。従来は高校生や大学1・2年生が受験するためには日商簿記1級などの受験資格を満たすことが必要でしたが、これが不要となり誰でも受験できることになったのです。これによって税理士試験にチャレンジする若い人が増えることが見込まれます。

税法科目の受験資格要件の緩和

従来は大学等で「法律学又は経済学」に属する科目を少なくとも1科目は履修している必要がありましたが、「法律学又は経済学」が「社会科学」に拡大されることになりました。これにより、文学部や理工系学部などの大学出身者であっても受験できる可能性が広がりました。

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税理士試験を受験するために必要な勉強時間はどのくらい?

税理士試験に合格するための勉強期間の目安ですが、一般的に約4〜5年程度、必要な勉強時間の目安は約3,000時間程度とされてます。長期間を要するため、科目合格制度を活用して1-2科目ずつの合格を積み上げていくのが定石となります。

受験を検討する際には1日の勉強時間のみならず、必要な勉強期間も見極めることが大切です。自分にとって最適な学習プランを設定してコツコツと勉強を進めれば、合格は現実的なものとなってきます。

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税理士試験の合格率はどのくらい?

令和4年度(第72回)の税理士試験の試験結果を確認してみると、合格率は19.5%であり、前年度と比較すると0.7%上がり合格人数も487人増加という結果でした。

年代別で見ると、25歳以下の合格率が30.9%と最も高く、やはり大学等の良質な環境で多くの時間を集中して勉強できる学生が高い合格率になりやすいことが推測されます。しかし、30歳以上の合格者が全体の50%以上であることにも着目すべきです。30歳以上の多くの人は働きながら勉強して合格を勝ち取っているのです。

既に社会人で受験を検討している方は、受験対策を行う上でこういった先輩たちの事例を参考にしつつ自分に合った適切なプランを立て、効率良く試験合格を目指せる道のりを見つけることが重要で、例えば会計事務所に就職して勉強しながら実務経験も積んでいくことが近道となります。

なお、2023年からの受験資格要件の緩和を皮切りに今後は受験者数が増えることが予想されるため、上述の合格率に変動が起きることも予想されます。

参考:令和4年度(第72回)税理士試験結果|国税庁

税理士試験合格後の流れ

実は税理士試験に合格するだけでは税理士として活躍することはできません。税理士登録を行うためには、税理士試験に合格することに加えて通算で2年以上の実務経験を積む必要があります。複雑な内容も多い税理士試験合格後の税理士登録の流れについて、ここでは詳しく解説しています。

まずは就職して実務経験を積もう

実務経験は税理士として活動する上で必要な実務スキルを習得するための期間です。税理士の資格取得をするためには、税理士事務所などに就職し通算2年以上の実務経験を積む必要があります。税理士登録に必要な実務の内容については、租税に関する事務や会計に関する事務等、法令で定められているものですので確認が必要です。なお、この実務経験は合格の前後を問われませんので、試験前に必要な実務経験を積んでいれば合格後すぐ税理士登録することも可能です。

実務経験を経て税理士登録へ

税理士試験に合格に加えて通算2年の実務経験が終わったら税理士登録が可能となります。必要書類と登録料を用意して日本税理士会連合会に提出し登録申請を行います。提出した書類が確認され次第、税理士会から税理士証票が発行され、晴れて税理士となることができます。これにより税理士としての活動が可能となり、税理士証票を持つことができるようになります。

必要書類は以下をご参照ください。
参考:登録に必要な提出書類等|日本税理士連合会

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税理士の平均年収はいくら?

2020年に厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」によると、税理士(※会計士含む)の平均年収は958万円でした。また、2015年に日本税理士会連合会が実施した「第6回税理士実態調査報告書」によれば、社員税理士の平均年収は890万円でした。この調査から税理士の平均年収は900万円前後となっています。ただし、こちらはアンケートに基づいた平均値のため勤務先や仕事内容によって当然違いはあり、小規模な事業所では平均年収より低くなる傾向があります。
 
国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」によれば、2022年(令和4年)の給与所得者の平均年収は458万円でした。また、2022年に東京商工リサーチが実施した調査によれば上場会社の平均年収は620万円でした。このように一般的な会社員の年収と比較すると、税理士が高収入であることがよくわかります。

参考:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
参考:東京商工リサーチ「2022年度 上場企業3,235社「年間給与」調査」

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税理士を目指しながら年収アップ

今回の改正で税理士を目指せる人の裾野が広がったことで、今まで税理士資格の取得を諦めたり迷っていた人にとっては大きなチャンスとなりました。税理士試験に合格すれば、社会的に高く評価され転職の際には年収アップも狙えるでしょう。

先の内容で税理士試験の合格に必要な勉強期間が4~5年程と紹介しましたが、その期間中に試験勉強だけではなく、必要な実務経験も済ましてしまうことができれば、果てしなく先に思える税理士試験合格も効率良く目指せます。

また、自身が税理士に向いているかどうかを、実務経験を積む中で確認するようにしましょう。せっかく何年もかけて税理士資格を取得できたとしても、あとから税理士には向いてなかったときがつくのは多くの時間が無駄になってしまいます。

税理士として活動するために必要な2年の実務経験を積みながら並行して勉強を続けていくのが無駄のない時間の使い方となるので、税理士を目指すならまずは仕事内容が試験勉強の役にも立つ会計事務所に転職して働くのがオススメです。

税理士になれば、高年収も期待できますし、独占業務もある仕事ですので魅力ある資格であることは間違いありません。

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税理士ライターSOU
税理士ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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