ビジネス会計検定試験とは?簿記との違い、メリットや勉強法をまとめて解説
2024/01/26
ビジネス会計検定という資格はご存知でしょうか?一般的にビジネスにおける会計や財務の資格と聞くと、まず初めに簿記を思い浮かべる方が多いでしょう。
簿記は経理や経営、ビジネスにおいて欠かせない資格ですが、併せて覚えておくと良い資格として「ビジネス会計検定」が挙げられます。簿記が経理に特化した資格なのに比べて、ビジネス会計検定は経理だけではなく、他の業務などビジネス全般に活用しやすい知識を得ることができます。
今回は、ビジネス会計検定試験の概要や取得するメリット、合格に向けた勉強法を紹介します。これからビジネス会計検定試験を受けてキャリアアップを目指したいと考えている方におすすめの内容ですので、ぜひ参考にしてください。
会計に関連した資格の取得を考えている方、ビジネスに役立つ資格を取得したい方などにおすすめの記事です。
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コンテンツ目次
ビジネス会計検定試験とは
ビジネス会計検定試験は、2007年に初めて実施された比較的新しい試験です。主催は大阪商工会議所で、簿記のスキルに加えて身につけておきたい会計スキルといえます。この資格は、簿記によって作成された財務諸表を分析するスキルを問うものです。財務諸表に関する知識だけでなく、数字が表す内容を理解してビジネスに活かすことが目的となります。一見すると簿記と混同されやすい資格ですが、大きな違いがあります。
参考:大阪商工会議所、施行商工会議所「ビジネス会計検定試験」
日商簿記検定試験との違い
簿記検定は、毎日の会計記録を元に仕訳を起し、財務諸表を作成するスキルが問われる資格試験です。最終的に企業の経営状態が明確に示された資料の作成を目的としています。一方で、ビジネス会計検定試験は、簿記のスキルを使って作られた財務諸表を分析するスキルを問う資格試験です。つまり、書類を作り上げるのが簿記で、読み解くのがビジネス会計検定試験のスキルとなります。
簿記検定の詳細は「日商簿記1級・2級はすごい資格なのか?取得すると年収は上がるのか解説!」で紹介しています。
ビジネス会計検定に向いている方
ビジネス会計検定試験は、その性質上、経理担当者以外の方にも役立つ資格です。例えば、就職や転職を目指している方にとっては、財務諸表を読み解く力を即戦力としてアピールできます。
また、簿記2級を合わせて取得しておけば、会計事務所や金融機関からの評価も上がりやすくなるでしょう。また、ビジネス会計検定は管理職になった方にも役立ちます。管理職は、状況を冷静に分析して部下に対する指示を出さなければなりません。財務諸表を読み解く力があると、論理的な説明がしやすくなります。
その他、株式投資を行っている人にもビジネス会計検定試験はおすすめです。株式投資には財務諸表を読み解き企業を分析する力が欠かせません。ビジネス会計検定を取得しておくと、経済新聞や会社四季報を正確に読めるようになるため、投資をするうえでの判断材料として活用できるでしょう。
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ビジネス会計検定に合格するメリット
ビジネス会計検定試験は簿記検定に比べると知名度が低い資格です。しかし、簿記検定では得られない財務諸表の分析力が身につくことで、多くのメリットを得られるでしょう。ビジネス会計検定合格によるメリットを把握したうえで試験を受けると、活用方法が明確になりモチベーションも高まります。
- 企業の財務諸表が読めるようになる
- 株式投資の基礎知識が身につく
- 簿記の勉強に繋がる
- 転職活動時のアピールに使える
- 転職先を見極めやすくなる
企業の財務諸表が読めるようになる
ビジネス会計検定最大のメリットは、企業の財務諸表が読めるようになる点です。自社の状態はもちろん、新聞やニュースで流れる経済の情報も読み解くことができるようになります。今まで理解できなかった社会情勢の見方が変わることに気がつくでしょう。ビジネス会計検定に合格することで、視野が広がり今まで意識しなかった角度で物事が考えられるようになります。
株式投資の基礎知識が身につく
経済情報が読み解けるようになるのと同時に、株式投資の基礎知識が身につくのもビジネス会計検定のメリットです。株式投資では、専門的な指標を読み解きながら投資の判断をします。こうした指標に関する知識は、簿記では得られないものです。株式投資に興味がありながら、専門用語に対して苦手意識がある場合、ビジネス会計検定を受けておくと意味がわかるようになります。
簿記の勉強に繋がる
簿記とは目的が違うビジネス会計検定ですが、簿記で作られる財務諸表を分析することもあり、簿記の知識も必要となります。例えば、仕訳の知識はビジネス会計検定でも欠かせません。ビジネス会計検定を受けた後に簿記を取ろうと考えている場合は、ビジネス会計検定の勉強で得た知識も役に立ちます。
転職活動時のアピールに使える
ビジネス会計検定のレベルのうち2級を取得していると、企業によっては「簿記や財務諸表を分析できる人材」と評価されやすくなります。さらに1級を取得しておくと、より高い評価を得ることができ、就活や転職に役立てることも可能です。また、ビジネス会計検定では、自社だけではなく競合他社の経営状態を読み解くスキルを身につけることができます。こうしたスキルが活かせる業務を志望する方であれば、転職時の大きな武器になるでしょう。
転職先を見極めやすくなる
転職を望む人の多くは、これまで働いていた企業よりも条件の良い企業を探しています。例えば、せっかく転職しても、数年で倒産してしまっては意味がありません。ビジネス会計検定を取得しておくことで、転職先の企業を選ぶ際に、業績や将来性を見極めやすくなるでしょう。また、候補の企業が数社ある場合の比較においても役に立ちます。
ビジネス会計検定試験のレベル
ビジネス会計検定は、1級から3級までのレベルが用意されています。どの級からでも受験可能ですが、3級の内容も理解しておかなければ1,2級の取得は難しいでしょう。ここでは、各級の特徴や内容について紹介します。
ビジネス会計検定3級
ビジネス会計検定3級では、財務諸表のベースである貸借対照表と損益計算書、キャッシュ・フロー計算書にそれぞれ記載される項目を学ぶのが基本です。加えて、計算構造についての理解も必要となります。そのため、簿記に関する知識もある程度必要となるでしょう。
財務諸表の知識を踏まえたうえで、企業の成長について、支払い能力のこと、稼ぐ力などといった財務諸表分析の基礎的な力を測ります。ビジネス会計検定3級は、制限時間2時間のマークシート方式です。会計初心者でも挑みやすい内容となっており、難易度はさほど高くありません。転職や就職、ビジネスに活かしたいと考えている場合は、3級に合格した後に2級を目指すことをおすすめします。
ビジネス会計検定2級
ビジネス会計検定2級は、3級で学習した内容を踏まえてさらに踏み込んだ分析を行います。ベースとなるのは、有価証券報告書の連結財務諸表に記載されている項目です。
加えて計算構造についての知識も必要です。昨今、重要視されているキャッシュ・フローの分析や損益分岐点分析といった範囲も出題されるため、3級よりも専門性が高くなっています。とはいえ、それぞれの分野における基本的な内容が出題される傾向にあるため、まずは基礎をしっかりと学んでおく必要があります。
2022年10月に行われた第31回ビジネス会計検定試験では合格率が53.3%でした。(※1)ビジネス会計検定3級に合格している場合は、しっかり勉強をすれば独学でも合格ができるレベルです。なお、出題形式は3級と同じく制限時間2時間のマークシート方式となります。ビジネス会計検定2級を取得すると、より実践的なスキルを身につけられます。そのため、転職や就職、キャリアアップにおけるアピールに活用しやすくなるでしょう。
ビジネス会計検定1級
ビジネス会計検定の最上位クラスが1級です。2級と3級で得た内容に加え、会計情報におけるトータル的な知識が必要となります。さらに、投資に関わる各種ディスクロージャーに加えて、財務諸表と計算書類に関する知識も網羅しなくてはなりません。
特に、財務諸表の分析に関しては、2級までよりもさらに深く読み解くため、構成要素の中でも重要とされるポイントや会計基準の内容を把握する必要があります。また、補足情報の読み方も求められるでしょう。ビジネス会計の応用領域も出題され、概念のフレームワークや会計基準、内部統制に関する勉強も欠かせません。
難易度は2級までと比べて一気に上がり、2022年3月の第30回ビジネス会計検定試験では、合格率が10.8%となっています。低い年でも、16%程度だったのですが、2022年は特段低い合格率でした。
このことからも難易度の高さがわかるでしょう。(※1)また、出題方式もマークシートだけではなく、論述式が加えられ制限時間が2時間半に伸びます。2015年に実施された第18回ビジネス会計検定試験より、不合格者の中でも120点以上を獲得した人には、準1級が認定されるようになりました。
ビジネス会計検定試験の概要
ビジネス会計検定試験は、年に2回全国で一斉に開催されます。基本的に10月と3月の日曜日に行われ、東京や大阪をはじめとする全国17箇所が会場です。ただし、1級に関しては年に一度3月のみに行われるので注意しましょう。
試験の大きな流れとしては、まず、試験日の2ヶ月程度前から団体受付が開始されます。その後、順を追ってコンビニ店頭決済とクレジットカード決済が開始されるので個人による申し込みも可能です。合格結果については、基本的にWeb上で照会できます。郵送でも成績票を受け取ることができますが、Webで閲覧できない場合のみです。
また、合格すると試験日から1、2ヶ月で合格証書が郵送されます。
受験資格に制限はなく、学歴・年齢・性別・国籍全て問いません。また、希望する級から受けられるうえ、連続する2つの級を同日に受けることができます。各級の受験料については次の通りです。(※2)
- 3級:4,950円(税込)
- 2級:7,480円(税込)
- 1級:11,550円(税込)
なお、ビジネス会計検定試験だけに限らず、資格試験は制度の改正などで試験内容や受験料などが変更されることもしばしばです。そのため、今現在の正確な情報を知るには、資格試験のオフィシャルサイトを通じて確認することをおすすめします。
ビジネス会計検定試験に合格するための勉強法
ビジネス会計検定2級までは難易度がさほど高くないこともあり、しっかりと勉強しておけば受かる可能性が十分にあります。そのため、独学で勉強できる資格試験といえるでしょう。とはいえ、効率的な勉強法を押さえておくことは欠かせません。スクールや通信講座を受ける人も多いようです。
確実に合格を掴み取るための勉強法を3つご紹介します。
- 公式テキストを活用する
- 過去問題集を解く
- 対策講座を受ける
公式テキストを活用する
ビジネス会計検定に関する公式テキストが、中央経済社から出版されています。それぞれの級に対応したテキストになっており、手軽に手に入れられるので独学には最適です。特に、2〜3級に関しては、基礎問題が多く出題されます。そのため、公式テキストを繰り返して読むことで合格に繋がりやすくなるでしょう。
過去問題集を解く
公式テキストと同じく、中央経済社からは過去問題集も出ています。これまで実際に出題された問題がベースとなっており、公式テキストの内容に沿って構成されているため、公式テキストと併用するのがおすすめです。何度も繰り返し問題を解くことで、苦手な部分が明確になり対策が立てやすくなります。
対策講座を受ける
全国の自治体にある商工会議所では、ビジネス会計検定の受験対策講座を開催しているケースがあります。独学だと難しいと感じている人は、対策講座を受けておくと安心でしょう。また、ビジネス会計検定に特化したビジネスカレッジを受講するのも一つの手段です。特に、上位級を狙っている人は、講師や仲間の存在が力になります。
なお、ビジネス会計検定に合格するために必要な勉強時間は、各級によって異なります。一番受かりやすい3級でも、50〜100時間程度は必要です。2級を目指すのであれば100〜150時間は確保が必要となります。1級なら、さらに時間を費やして勉強しなければ合格は難しいでしょう。もちろん、受験者の知識量や学習法などによって勉強時間は大きく変動しますが、自分自身の理解度と照らし合わせながら勉強時間を調整することも大切です。
まとめ
ビジネス会計検定は、簿記と合わせて賢く活用することでより効果を発揮する資格です。経理だけではなく様々な職種で役立てることができ、株式投資や転職時の企業選びなどビジネスシーン以外でも活用できます。しかも、2級までは比較的受かりやすいので、キャリアアップを目指す場合は受験しておくと良いでしょう。
ビジネス会計検定をはじめ、簿記や公認会計士など会計に関する資格を持っていれば、キャリアや年収アップに繋げることも夢ではありません。現在の職場でキャリアアップの見込みが薄い場合は、転職もおすすめですが、自分に合った転職先を見つけることは容易ではありません。中には、資格やキャリアをしっかり評価してくれる職場に転職したいと考えている方も少なくないでしょう。
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