
ビジネス実務法務検定は意味ない?そういわれる理由と実際の活用シーンについて解説
ビジネス実務法務検定は、法務知識を体系的に学べる資格として人気です。一方で「取得しても意味ない」「役に立たない」という声もしばしば聞かれるため、取得するかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ビジネス実務法務検定は意味ないといわれる理由を紹介すると共に、検定の概要や役に立つシーン、取得するメリット、検定を生かして転職を成功させるためのポイントについて解説します。
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コンテンツ目次
そもそもビジネス実務法務検定とは?基礎知識を解説
ビジネス実務法務検定とは、東京商工会議所が主催する検定試験に合格することで取得できるビジネス資格の一つです。業務で必要な法務知識への理解度を測ることを目的としたもので、検定に合格すれば、ビジネスパーソンが習得しておくべき法律知識を有していることを証明できるようになります。
ビジネス実務法務検定は1~3級の3段階に区分されており、合格した級に応じてビジネス法務リーダー(3級)、ビジネス法務エキスパート(2級)、ビジネス法務エグゼクティブ(1級)といった称号が付与されます。なお、1級受験者の不合格者のうち、得点上位者は1級合格に準じる準1級と認定されます。
主催者である東京商工会議所は、ビジネス実務法務検定について「仕事の法律入門」と位置づけており、業務上のリスクを回避するための知識やスキルを習得できると共に、自分の身を守るために役立つ検定であるとしています。
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なぜ「ビジネス実務法務検定は意味ない」といわれるのか?主な理由を3つ解説
ビジネス実務法務検定の受験者数は、2023年度、2024年度ともに3万人を超えており、多くの方が受験する人気の検定試験です(※)。
では、なぜインターネット上で「取得しても意味がない」という声が散見されるのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
※参考:東京商工会議所.「データ」.https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/about/data.html ,(参照2025-04-17).
民間の検定試験であるから
ビジネス実務法務検定は、公認会計士や税理士といった国家資格とは異なり、東京商工会議所が主催する民間の検定試験です。
公認会計士や税理士には、その資格を保有していないと従事できない独占業務が存在するため、各士業として活躍するには必須の資格です。
民間の検定であるビジネス実務法務検定には、その資格がないと従事できない仕事というものは存在しません。独占業務がない、つまり必須ではない資格であるため、「取得しなくても良い」「取っても意味ない」と考えられるケースが多いようです。
取得のハードルが低いから
ビジネス実務法務検定は、どの級にも特別な受験資格は設けられておらず、学歴や年齢、性別、国籍などに関係なく誰でも受験可能です。合格率は級によって異なりますが、入門に当たる3級の合格率は2023年度で50.7%、2024年度で43.5%とかなり高めです(※)。
受験するに当たって何らかの資格(学識や資格、職歴など)が必要だったり、合格率が1割台やそれ未満だったりする税理士、公認会計士などの資格に比べると、取得までのハードルはかなり低く「誰でも取れる」というイメージを持たれがちです。
履歴書に記載することは可能ですが、必ずしも就職・転職活動で有利になるとは限らないため「がんばって取得しても意味がない」と見なされる原因となっています。
※参考:東京商工会議所.「データ」.https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/about/data.html ,(参照2025-04-17).
認知度があまり高くないから
ビジネス実務法務検定は毎年2~3万人が受験しており、決してマイナーな検定ではありません。しかし、税理士や公認会計士といった資格はもちろん、日商簿記といったメジャーな検定試験に比べるとまだまだ知名度は低く、企業の人事担当者に認知されていない場合も多いです。
そのため、履歴書に記載してもどのようなスキル・知識を保有しているのか理解されにくく、アピール材料として活用できない可能性があります。
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ビジネス実務法務検定を取得するメリット
ここまでビジネス実務法務検定が意味ないといわれる理由について説明してきましたが、「取っても意味がない」と考えるのは早計です。確かに公認会計士や税理士などの国家資格と比べると実用性や認知度は高くありませんが、ビジネス実務法務検定を取得することで得られるメリットも少なくありません。
具体的にどのようなメリットがあるのか、3つのポイントに分けて説明します。
仕事に役立つ法律知識が身に付く
法律というと弁護士や司法書士などの士業をイメージする方が多いですが、ビジネス実務法務検定で身に付ける法律知識は、日々の仕事にも役立つものが多いです。
例えば、顧客との契約の成立や契約違反による損害賠償などは民法、雇用主と交わす労働条件の取り決めは労働基準法、職場における安全衛生管理体制のルールは労働安全衛生法が、それぞれ法的基準となります。
法に関する知識が不足していると、契約上でトラブルが発生したり、職場で不当な扱いを受けたりしたときにどう対策すれば良いのか、その行為が違法に当たるのかどうかなどを正確に判断することができません。
ビジネス実務法務検定を取得すれば、このような場面で役立つ法律の基礎知識を習得できるため、業務上でのリスク回避や、いざというときに自分の身を守る術として役立ちます。
高度な資格へのステップアップに役立つ
ビジネス実務法務検定の取得に向けた勉強では、基礎的な法律知識や法律系の実務に関する知識を習得できます。これらの知識は他の法律系資格、例えば行政書士や中小企業診断士などと重複する部分があるため、より高度な資格取得を目指す前のステップアップとして活用することが可能です。
いきなり高度な資格にチャレンジすると、あまりのハードルの高さに挫折してしまいがちですが、ビジネス実務法務検定で基礎を作っておけば、その後の学習効率アップや勉強時間の短縮につながるでしょう。
転職・キャリアアップに役立つ
ビジネス実務法務検定は難易度と認知度が低いため、就職や転職活動で役に立たないと思われがちですが、まったく評価されないわけでもありません。
特にコンプライアンス意識の高い企業や、顧客との契約交渉を主な業務とする営業職では法律に関する知識が重宝されるため、検定に合格していることが就職や転職活動で有利になる場合もあります。
また、企業によっては検定の保有者に特別手当を支給しているところもあり、入社後の待遇に良い影響を与える可能性も期待できます。
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ビジネス実務法務検定が役立つ場面
ビジネス実務法務検定には独占業務こそありませんが、習得した知識やスキルはさまざまなビジネスシーンで活用できます。
ここでは一例として、ビジネス実務法務検定が役立つ場面を4つ紹介します。
契約業務に関する場面
顧客や取引先との間で交わされる契約について、成立の条件や締結の自由、債務不履行などのルールは民法で定められています(※)。
法律の知識にのっとって契約締結や契約書の作成を行えば、自社の権利や損害賠償についての取り決めが明確になり、万が一のリスクを軽減できます。
※参考:e-GOV法令検索.「民法」.“第四百十五条,第五百二十一条,第五百二十二条”.https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 ,(参照2025-04-18).
機密情報の保護に関する場面
企業は顧客や取引先から預かった情報について適切に管理する義務があります。個人情報の取得・保持や利用、管理については個人情報保護法やマイナンバー法、営業秘密の取り扱いについては不正競争防止法などで定められており、適切に取り扱わないと違法行為と見なされて処分されたり、会社としての信頼を失ったりする恐れがあります。
ビジネス実務法務検定で培った法律知識を活用すれば、こうした機密情報をどのように扱うべきか、どのような管理体制を整えておくべきかを正しく判断できるでしょう。
消費者保護に関する場面
消費者と取引を行うに当たっては、消費者契約法や特定商取引法といった法律に基づいて勧誘や取引を実施する必要があります。これらのルールを破って強引な勧誘を行ったりすると行政処分の対象になったり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
ビジネス実務法務検定の法律知識を駆使すれば、消費者と取引するに当たってなすべきこと、注意すべき点などを理解した上で営業活動を行えるでしょう。
知的財産権に関する場面
企業が生み出した新しい技術やデザイン、ネーミング、ロゴなどには独占権が与えられ、模倣防止のための保護や研究開発へのインセンティブ付与などを目的とした知的財産権の対象となります。
これらの権利を取得すれば、一定期間中、新しい技術やデザインなどを独占的に使用することが可能です。そのため、知的財産権を取得することは、市場における優位性の確保や企業の成長において重要です。
また、もし権利侵害が認められた場合は法的措置を取ることが可能になり、ビジネス実務法務検定で習得した法律の知識を大いに役立てることもできます。
さらに、自社の権利を保護するだけでなく、他者が生み出した著作物を利用する際に気を付けるべきことなども正しく把握できるようになり、トラブルの防止にも役立つでしょう。
ビジネス実務法務検定を生かして転職活動に成功するためのポイント
ビジネス実務法務検定を生かして転職活動を行う際に押さえておくべきポイントを2つ紹介します。
2級以上の取得を目指す
ビジネス実務法務検定を転職活動に生かしたい場合は、2級以上の取得を目指しましょう。2級に合格すれば、3級で身に付ける基礎知識に加えて、実務での法的対応力や、かつ弁護士などの外部専門と連携できるレベルの知識を持っていることの証明になります。
さらに上位の1級を取得していれば、業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持ち合わせ、高度な判断・対応ができるスキルを持っていることの証明となります。合格率も2級で30%台、1級で10%前後と、3級に比べて難易度が高いため、「誰でも取れる検定」という印象を払拭し、履歴書や面接でも説得力のある資格となるでしょう。
面接で資格についてアピールする
ビジネス実務法務検定は簿記などに比べると認知度が低いため、履歴書を見ただけではどのような資格なのか、どういったスキルを持っていることの証明になるのかが伝わりにくいかもしれません。そのため、面接での自己PRでは検定に合格している事実だけではなく、法律に関する知識を習得していることを積極的にアピールしましょう。
ただ資格を持っていることだけでなく、勉強を通じて得られた知識やスキルについて具体的に説明すると説得力が生まれ「業務に必要な知識を備えた人材である」と評価してもらえる可能性が高くなります。
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まとめ:ビジネス実務法務検定は意味がない資格ではない
ビジネス実務法務検定は、合格しても公認会計士や税理士のような独占業務がなく、3級の場合は比較的難易度が低く、認知度も低いなどの理由から、取得する意が味ないと思われがちです。しかし、契約業務や情報保護、消費者保護、知的財産権など、業務を遂行する上で必要な法律知識を習得できるため、リスク回避やコンプライアンス強化などに貢献することが可能です。
また、より高度な資格試験にチャレンジする足がかりとして活用することもできるため、キャリアアップやステップアップを目指している方にも役立つでしょう。
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- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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